精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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滝沢武久著『こころの病いと家族のこころ』………その49

滝沢武久著『こころの病いと家族のこころ』………その49

滝沢武久著『こころの病いと家族のこころ』(1993年、中央法規)

九 精神障害者の地域福祉システム確立のために
 昭和六二年の改正時に住民福祉の直接的担い手である市(区)町村行政サービスとしての精神障害者社会復帰施設について、市(区)町村も設置することが「できる」と規定したことで、なぜ「義務化」できないのかとの批判があります。しかしその経緯をみると、従来の精神衛生法は、その法文のほとんどが自傷他害のおそれある精神障害者の措置入院など、入院手続きで占められていましたが、新法ではわずかに任意入院、指定医、告知、精神医療審査会などとともに第二種社会福祉事業の社会復帰施設が盛り込まれ、また併せて公衆浴場法の改正がなされました。永年、法定されている国および都道府県知事の措置権限は留保されたままであり、市区町村業務としてはわずかに保護義務者がないときのみ登場する程度の法文根拠では地域福祉サービスシステムができあがるべくもありません。平成五年の法改正ではまず大都市(政令指定都市)に権限を委譲することになりました。
 また、公衆衛生機関としての保健所サービスも、これからは精神保健が最重要業務となると指摘する向きもしばしばありますが、直接的地域住民サービスの役割は、本来的にはやはり市区町村が中心となって担うべきです。
 〝地方〟行政サービスへの移行こそが地域の家族会活動による社会復帰実践活動を生かし、心病む精神障害者が病院や施設から地域社会に定着した生活を築く支援システムとなることは間違いありません。他の心身障害児者、とりわけ精神薄弱者の「手をつなぐ親の会」活動が地域単位に根づくときと同様、精神障害者家族会が地域に支えられるとき、精神障害者自身の地域社会参加の実現が図られることとなるでしょう。
by open-to-love | 2009-12-28 17:56 | 滝沢武久 | Trackback | Comments(0)