精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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マーク・レーガン著、前田ケイ訳『ビレッジから学ぶリカバリーへの道』

マーク・レーガン著、前田ケイ訳『ビレッジから学ぶリカバリーへの道―精神の病から立ち直ることを支援する』(金剛出版、2005年)
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 統合失調症などの重い精神の病を持っていても、人は立ち直ることができる。人として尊重され、希望を取り戻し、社会に生活し、自分の目標に向かって挑戦しながら、かけがえのない人生を歩むこと、それが「リカバリー」である。本書で紹介されている「ビレッジ」は、精神保健福祉サービスの統合的ケアモデルのパイオニアであり、リカバリー・コミュニティとして活躍しているカリフォルニア州の団体である。ここでは「メンバー」と呼ばれる利用者が、職員と一緒に自分用のリハビリテーション・プログラムを作成しつつ、それぞれのリカバリーを体験している。ビレッジの設立スタッフである著者は、本書において、多くのメンバーの物語を織り交ぜながら、個人がどのような過程でリカバリーを経験していくか、専門家がその過程にどう参与していくかについて、具体的な実践原則を述べている。

目次
日本の友に贈る言葉:ロバート・ポール・リバーマン
日本語版へのまえがき:マーク・レーガン
本書をお読みいただく前に:リカバリーについて:前田ケイ

序 章 はじめに

第1章 リカバリーの段階を考える
 リカバリーの四つの段階
第2章 第1段階:希望
 伝統的な見方に疑問を持つ
 治療に成功することの再検討
 可能性を信じる
 将来への明確なイメージを持つ
 気持ちの内側に入り込む

第3章 第2段階:エンパワメント
 事例としてでなく人として見る
 医師の役割を再評価する
 薬物治療を協働で進める
 役に立つ情報と選択肢を提供する
 産科とガン治療の分野から学ぶ
 エンパワメントを実行する
 敬意と誠実を示す

第4章 第3段階:自己責任
 ストレスを避けるのではなく,リスクをサポートする
 強制ではなく働きかけを続ける
 メンバーの選択をサポートする
 準備ができているかどうかに関係なく,トライする
 私たち自身の内にある差別をみつめて
 失敗を覚悟で挑戦するのは,たやすいことではない
 リスクに挑むにはよい関係作りが必要
 ほかの人への思いやりを増す

第5章 第4段階:生活のなかの有意義な役割
 新たな役割を探す
 ●仕 事
 期待を高める
 ●愛とセックス
 ●家 族
 家族のもとへ帰るということ
 ●子ども
 家族と支援を拡大する
 ●スピリチュアリティ
 道を探し求めて
 スピリチュアルな雰囲気を創る
 ●生きがいのある生活
 障害となるものを取り除く
 生活を失うということ
 有意義な役割を持つ人として関わる
 役割を変える
 コミュニティを築く

終 章 リカバリー・ビジョンを広める
 リカバリー・ワーカーになる
 態度の変化に影響を与える

【モーリス・ウィークスさんの手記】ワルの俺にはさよならだ

前田ケイ(ルーテル学院大名誉教授 学術顧問 SST普及協会認定講師)
本書刊行時の略歴:ルーテル学院大学大学院総合人間学研究科臨床心理学専攻教授。ハワイ大学社会学科卒業、BA。コロンビア大学大学院ソーシャルワーク修士課程修了、MS。SST普及協会運営委員および研修委員、日本心理劇学会理事。1988年より東京大学病院精神神経科デイホスピタルにおいて、SSTの日本への導入に尽力し、現在は日本各地の精神科病院、社会復帰施設、少年院などで、SSTの指導とリーダーの養成にあたっている。
by open-to-love | 2009-12-24 10:05 | 所蔵書籍一覧 | Trackback | Comments(0)