精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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盛岡ハートネットニュース第7号「キラりん一座盛岡デビュー!」

盛岡ハートネットニュース第7号

「キラりん一座盛岡デビュー!」第8回例会

 盛岡ハートネット第8回例会「キラりん一座in盛岡」は1月31日、盛岡市のプラザおでってで、約100人の参加で開催。東磐井の当事者会「心の病と共に生きる仲間達連合会キララ」(佐藤正広代表)メンバーによる「キラりん一座」の第3作目となる新作演劇「心 天気になあれ! Part2」を披露していただきました。大雪でしたが、ホールの中はあったかくて、いい天気になりました。

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 演劇は、リュウタとその母親の心の葛藤を軸に展開。高校生のとき学校に行けなくなり、卒業後に統合失調症で入院したリュウタは、何回か仕事につくが長続きしない。通い出した当事者会でやっと自信と希望を取り戻し始めた。一方、母親は、以前のように仕事探しを焦らなくなったリュウタを見て、将来への不安を強める。主治医には「お母さん、焦らないで」と言われるのだが、やっぱり焦ってしまい、リュウタにあれこれ口出ししてしまう。
 悩んだあげく、当事者会に顔を出してみることにした母親。そこには、笑顔のメンバーたちがいた。「俺たちみ~んな障害者。正真正銘。手帳付き。俺は2級。統合失調症歴40年」「俺は1級だもんね」と自らを語るメンバーたち。心を開き、リュウタの将来に対する不安を打ち明けた母親に、「障がい者だけど助け合って会を進めている」「必要なのは仲間と知識と良い経験」とメンバー。その楽しそうな雰囲気に、母は、リュウタにとって当事者会がいかに大切かを実感。「リュウタは、みなさんのところに雨宿りさせてもらってたんですね」。その言葉に、メンバーは「止まない雨はないもんな。つらいこと経験してるからこそ、できることあるよ!」。曇りがちだった母の心に晴れ間ができる…。
 キララメンバー一人一人の「心の声」を、北川明子さん(保健師)が脚本に昇華。そして、キャストとして、当事者として、その脚本を演じ切ったキララのメンバー。支援者と当事者との信頼関係があるからこそできる演劇、だからこそ観客に伝わる、当事者会の大切さや「母と子は分かり合える」とのメッセージ。最後にステージ上に勢ぞろいしたキララ一同、「薬づけだよ人生は」(「浪花節だよ人生は」の替え歌)を合唱。佐藤代表が「みんなでここに立てて幸せです」と締めくくり、大きな拍手が送られました。

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 当事者メッセージでは、キララメンバー2人が話しました。菊地さんは、統合失調症で引きこもりがちだったが、キララの演劇をみて「凄いな」と思い、当事者会に参加。「キララに参加するようになって少しずつ一人で街に出かけられるようになった。キララは自分の人生を探すところ」。うつ病の三浦さんは「ストレスから会社を辞め、北川さんに相談に乗ってもらい、感謝している。キララの集まりに参加したらみんな生き生き活動していてびっくりした。集まりに出ることが元気のバロメーター。キララに参加する前の自分は、どうして自分は心の病気になってしまったか、いつも嘆いてばかりいた。今は、障がい者だからこそできることはなにかを考えてる。病気になって、人の痛みをいくらかでもわかるようになった。だから私もみんなを幸せにできるように頑張ります」と、晴れやかに発表。
 北川さんも「自信や希望を育てる障がい者・当事者活動について」と題しスピーチ(実は本人は「キララが主役だから私のスピーチはいらない!」と固辞したのですが、無理矢理お願いしました)。当事者会が形ばかりではなく「当事者主導の当事者会」になるためには「当事者のやる気というエッセンス、支援者のピリッとしたスパイス、時には強火で時には弱火で、じっくりと、ゆっくりと、コトコト煮込んで、味見をしながら、してもらいながら、悩みながらみんなで作っていくものだなあ~と実感しています」と指摘。ほのぼのとした語り口ながら、数々の現場体験を踏まえた北川さんならではの、滋味深い話でした。
 アンケートには「私も当事者ですが、みなさんのように頑張って前向きに生きていこうと思います」「出演者それぞれが個性的で楽しかった。皆さん、魅力的! 脚本も素晴らしい」「思っているだけではだめで、表現することがすばらしいし、意味があると感じた」「ご自身から出るものは、胸にひびきます」「また観たい」「菊地さん三浦さん、北川さんの信頼の深さを感じました。当事者、支援者という立場を越えての信頼が」「北川さんにもとても興味が湧きました。かっこいいなあと思いました(本当に!)」。キララに今後どんな演劇をやってほしいかという設問には「リストラされて元気がないので復帰できる事の劇」「ドクターや支援者にバカにされたことがあります。リアルな劇」「ひとりでも多くの人に障害を分かってもらえる劇」など続々。
 「盛岡でも当事者会があればいいな」という声もありましたが、実は盛岡にもあるのです。その会が、今後いかにキララのように輝くかを、当事者、家族、市民、とりわけ支援者!が考えるためにも、盛岡公演は実に意義深かったことでしょう。キララ頼みでも北川さん頼みでもなく、自分達が、自分達の地域でどうやっていくか、考えましょう。
 おしゃべり交流会については、「もっと時間がほしかった」という声が多くありました。すいません(ですが、この日、キララメンバーは早い人で朝6時半に出発、午後5時に盛岡を出発して、北川さんが家に着いたのは翌日午前1時。これでもギリギリの時間設定だったのです)。
 ちなみに、キララは2004年に結成。演劇公演はじめ月1回の定例会、年1回の「明るく生きる精神保健シンポジウム」主催、大原水かけ祭りなど地域活動への参加、体験冊子の作製販売、レクリエーションなど多彩に活動。2008年3月、一関保健所大東支所廃止で活動拠点が失われましたが、千厩酒のくら交流施設に引っ越しし、活動を続けています。「支援」を求めることより「連携」、「保健福祉」以上に「地域」とのつながりを大事にした活動へ。新たなステージを歩み始めたキララを応援しましょう。
  ◇      ◇       ◇
 さて、最近ニュース発行が滞っておりました。すいません。ハートネットが有名になってきて、講演やら何やらで忙殺されておりました。以下、かいつまんで報告です。
 ▽第7回例会「奥家連(奥州市家族会連合会)との交流会」(2008年10月8日、県立博物館内・喫茶ひだまり)
 65人が参加。奥家連は家族限定の集まり、ハートネットは誰でもいいですよの集まり。盛岡と奥州、家族と当事者の対話のテーマは「困ってること、幸せなこと」。困ってることは「病気」「親亡き後」「年金」「薬の副作用」など、やはり疾患中心。一方、どんなときに幸せを感じるかについては「一日が無事終わり、晩酌できる時」「スポーツで汗を流せる時」「日常のおだやかなちょっとした時」「家族が楽しいとき」などなど。幸せって、障害のあるなし関係なくみんな同じなんだなあ、としみじみ実感しました。
 ▽キララ主催「明るく生きる2008・こころのシンポジウム」(9月27日、一関市千厩 酒のくら交流施設)
 黒田がパネリスト参加。当事者会活動を原点に、演劇を通じ社会に精神障害への理解を呼び掛けるキララと、家族会主導で結成され、当事者・家族・関係者・市民との対話、相互理解を目指すハートネット。出自は異なるけれど、「開かれた活動」では共通していると話してきました。ちなみに、その場で「キララのみなさん、盛岡で演劇やってください」と呼び掛けたら、盛岡公演が実現したのでした。
 ▽もりきたエコムネット学習会「地域での福祉ネットワークづくりを考える」(11月22日、盛岡市西部公民館)
 山口みどりが体験発表。息子さんの発病という辛い過去を乗り越え、母として、喫茶ひだまり指導員として、ハートネット事務局として、「つながり」を持ちながら前向きに生きている現在までを振り返り「大丈夫! 決してあなた一人ではありません」とにこやかに語りました。
 ▽「ふれあいin八幡平」(12月5日、西根地区市民センター)
 黒田が、歯に衣着せぬ物言いで知られる八幡平市の保健師藤村裕子さんのお招きで、岩手日報社の承諾を得て「家族&記者」として講演。「障害者自立支援法は当事者主体をうたっているが、精神保健福祉法の入院手続きと実態は依然として家族依存。その結果、受診・回復遅れになることが多い」と、受診から社会復帰まで、当事者主体のトータルな制度設計の必要性とともに、岩手の保健師伝統の家庭訪問の重要性を指摘。「『この病気に生まれたる不幸とともに、訪問しない保健師の街に生まれたる不幸』なんてことないよう、藤村さんは自身のノウハウを、市の枠を越えて次代に伝えてね」。藤村さんは厳しい目で頷きました。
 ▽「第7回地域生活支援セミナーinにのへ」(2009年2月1日、二戸市民文化会館)
 オープニングの、地元中学生による障害理解をテーマにした演劇は素晴らしかった(その契機を生んだ相談支援専門員の力量、なかなかです)。その後、当事者の初森旦さんと黒田が講演、対談。お互い身も蓋もない体験談を披露した上で「当事者と家族と関係者のみならず、広く社会へ精神障害を理解してもらう地道な取り組みが重要」で一致。黒田は「二戸には初森さんみたいなすごい当事者がいるんだから、ハートネットみたいな集まりをやりゃいいじゃん」と提言しました。
 ▽介護労働安定センター第2回ヘルパー2級研修「高齢者・障害者(児)等の家族の理解」(3月10日)
 阿部稲子、黒田が講話。阿部は、娘さんが病気になった経験など激動の半生を笑顔で振り返り、訪問看護やホームヘルプサービスを使った体験談とともに、統合失調症の幻覚や幻聴の疑似体験も。黒田は、精神障害者や家族は根深い偏見から家に閉じこもりがちで、人間関係が専門家に限定され、広く社会との接点がなかなか持てない現状を踏まえ、ヘルパーは専門性を磨きつつも「普通」の感覚を大切に、「社会の風」として活躍してほしいと期待を込めました。(文責・黒田)
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by open-to-love | 2009-03-12 20:04 | 盛岡ハートネットニュース | Trackback | Comments(0)