精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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イタリアの離婚法

※精神障害になると離婚する、あるいは、精神障害者は未婚者が多い。…本人、家族にとって、この問題は、いまだタブーです。しばしば、このことは、ひそひそ語られますが、わいわい論議されることはありません。
 結婚も離婚も両性の自由意思…と言ってしまえばそれまでですが、知らんぷりし続けるわけにはいかない。自己決定は、①文字通りの自己決定、②強いられた自己決定、③暗黙のうちに強いられてるのに本人が気付いてない自己決定ーという、少なくとも3つに分類されると思います。さらに、それぞれが少なくとも①制度的なレベル②意識レベルーで規定されますから、概念的には3×2で計6つに分類できます。
 で、精神障害になると離婚する、精神障害者は未婚が多いという問題は、意識レベルにおける精神疾患・障害に対する無理解や偏見に起因しており、精神障害になっても離婚すべきではない、婚姻関係になんら支障はない―という目的に向かって論理構築するのが、精神障害者運動としての基本的なスタンスであることでしょう。ただ、その論理は、ともすれば、結婚至上主義になっちゃいます。私としては、精神障害であろうとなかろうと、結婚であれ非婚であれ離婚であれ、文字通り自己決定が尊重されるべきなのに、制度的なレベルでも、意識レベルでも、②強いられた自己決定や、③暗黙のうちに強いられてるのに本人が気付いてない自己決定をしている―のであれば問題だ、というスタンスで、この問題をこれから考えてみたいと思います。
 どこから考えるか。まずは歴史。私の超愛読書である講談社『20世紀全記録』(1987年)に、興味深い記述があるので、紹介します。

イタリアの離婚法

1970(昭和45)年12月1日

イタリアで条件付き離婚法成立 ローマ教皇庁が抗議

 イタリア下院が、この日未明、離婚法を可決した。これによりムッソリーニ首相時代にローマ教皇庁と結んだ「ラテラン条約」(1929年2月)によって、離婚が違法とされていたイタリアで、正式で離婚が認められているようになった。
 しかし、この離婚法による離婚の条件は、一定の年数の別居状態が続いている場合、配偶者の一方が性犯罪で5年以上の刑を科せられた場合、また、一方が精神病院に入院した場合など、いくつかの条件に限定されている。
 イタリアには別居生活者が15〜20万人いるといわれ、適格者はこれで「晴れて」離婚できることになった。
 ローマ教皇庁は24日、離婚法を成立させたイタリア政府に対して正式に抗議。国際条約を無視し、かつイタリアの国教であるカトリックの精神に反するというのが主な抗議内容だった。カトリックでは、神の前で誓った結婚はこれを犯してはならず、離婚は神前の誓いを破り犯すものであるとしている。
 イタリア国内でも離婚法反対の動きが出て、74年5月には離婚法の存続可否を問う国民投票が行われるが、結果は廃止に反対する人が約59%も占め、離婚法の存続が決定する。

(講談社『20世紀全記録』1987年)

※ちなみに、この年世界でどんなことがあったかというと、「太陽の塔」の大阪万博、東西ドイツ首脳初会談、日本赤軍よど号乗っ取り、ビートルズ解散、ベトナム戦争拡大、米でウーマン・リブ大行進、ジミヘン変死、ジャニス・ジョップリンがヘロインでショック死、三島由紀夫割腹自殺、ソルジェンイーツィンがノーベル賞、沖縄コザ市で反米焼き打ち事件…という感じでした。ちなみに、最近のクロニクル物より、一昔前に刊行された本の方が、事象の取捨選択や記述内容がいい、と私は思います。むろん、この本は87年までの記述しかないですが…。本書の企画委員は小松左京、堺屋太一、立花隆。そうそうたるメンバーですね。(黒)
by open-to-love | 2009-02-12 00:51 | 恋愛・結婚・離婚 | Trackback | Comments(0)