精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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秋季当事者支援研修会 講演レジュメ…滝沢武久さん

家族(会)活動40年を振り返って、そして今後の課題と展望
=ひとりの家族・ソーシャルワーカーとしての職業・運動の中から見えてきたこと= 

滝沢武久

1、私の精神障害者家族体験から以下のことを知った。
①家族(親・兄弟姉妹等)の当事者支援は、精神的・心理的に本質的限界。

②精神科医療技術の効果と限界を感じた。兄の何回もの受診・入院加療から、精神科医療に、今だ、薬の効果が最大であり根本治療技術は少ない

③「社会資源」(社会福祉システムによる生活構築等)は、本人の精神的安定的に強力な武器となる=職業リハ(作業所等)、所得保障(生活保護・年金他)、住宅確保、友人・仲間・ボランテア・専門職等の支えが、当事者への精神的・心理的および経済的負い眼を双方が感じない。

2、精神保健福祉相談員(ソーシャルワーカー)としての職業体験から
①多くの精神科医療関係者は善意ではあるが、患者・家族の立場の差によるゴールが違う。患者・家族の願い(親亡き後も就職・結婚など社会人一般のレベルまでの自立生活を願う)実現とは大きな乖離がある。

②精神科医療関係者が現実的に出来ることは、薬による病状・症状の消失・安定・軽減化までが最大限である(診療報酬制度の範囲)。特にわが国では職業リハビリ・所得保障・住居施設整備などが緊急課題である。

3、諸外国の精神科医療と福祉と精神障害者の自立生活の特徴は何か。
①当事者が成人になった場合は、家族でも保護義務・治療責任はない(個人単位の原則)。このことが精神的・心理的自立にも大きく、本人・家族双方の自立心を促す。

②地域医療の中で、現実の社会生活感覚を失わず、むしろ学習体験で磨きつつ、本人が希望する人生に家族の過干渉なく挑戦できる可能性。

③北欧・西欧(福祉国家諸国)は全体的に「社会が自立を支える仕組みが出来ている。「福祉と自己責任」。=病状も薬も殆んど万国共通である=

4、当事者には、病識・病感があり、自己決定、就労能力、責任能力あり。

5、全家連(家族会)活動は、社会福祉施策向上運動である(障害者福祉法・優生保護法改正・障害者雇用対策促進法、精神保健福祉法に精神障害者を含ませた)。キャンペーンによる市民理解向上など。

6、最近の日本における「自立を支える家族と社会の役割とは何か」
①「障害者自立支援法」における地域活動支援センターや・授産施設・生活訓練施設、就労支援・継続施設、作業所等あるいは企業へ「仕事・住居」確保の活動を始めよう。

②「障害者雇用促進法」改正の今後こそ、企業就労・特例子会社作りのチャンス。家族会でも職場開拓を積極的に働きかけよう。(他の障害者の雇用対策に追いつけ)

③生活保護や年金で生活して、スポーツ・レクリエーションも「怠け」ではない。

④仲間や友達、ボランテアとの付き合いが精神的安定に重要。

私の提言
*家族・役員は、①世間体を振り切ろう。②精神・心理・経済的親子自立生活設計を作り、保護者制度撤廃運動を高めよう。③社会復帰施設(作業所やグループホーム等)を増やし、職員にはならず運営に参画しよう。➃親に、もし財産があれば遺言を書き、当事者・兄弟などに生前贈与を進めよう。⑤親は、こころのチャンネル切り替え技術を覚えよう。⑥当事者の意見を出来るだけ尊重し、忍耐強く見守ろう。(これが親のできること)

*当事者は、①こころ内に鬱屈を溜めないで仲間や友人と話しあおう。②自分の希望に再度チャレンジし、体験学習を試みよう。③権利と義務、責任と自由を覚悟しよう。➃色々なアルバイト・職業・趣味などを体験してみよう。

以上

※平成20年度秋季当事者支援研修会(テーマ 「みんなの活動・今までとこれから」)は、11月6、7の両日、盛岡市のつなぎ温泉ホテル大観で開かれます。滝沢さんは第2日目(7日)9:00~10:00、「家族会活動40年をふりかえって そして 今後の展望と期待~ひとりの家族として、運動の中から見えてきたこと~」と題して講演されます。
by open-to-love | 2008-10-27 21:52 | 岩家連 | Trackback | Comments(0)