精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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浦河べてるの家著『 べてるの家の「非」援助論』

浦河べてるの家著『 べてるの家の「非」援助論—そのままでいいと思えるための25章』
(医学書院 シリーズ・ケアをひらく 2002年5月)
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精神障害をかかえた人びとが共同生活を送る北海道・浦河町のグループホーム「べてるの家」。その特徴は、病気を治療し、社会復帰をめざすのではなく、悩み、弱さをそのまま受けいれ、問題だらけの人生を肯定する力の獲得をめざしていることだ。本書は、1984年の設立からの道のりを、メンバー自身、および彼らを支えてきたソーシャルワーカー、医師、地域住民らがありのままにつづった記録集である。
「べてるの家」が全国的な注目を浴びたひとつのきっかけは、地元特産の昆布を売る会社をみずからの手で起こしたことだった。しかし本書によれば、その目的は「苦労を取り戻す」ためだったという。「利益のないところを大切に」「安心してサボれる会社づくり」などのユニークなモットーは、一般的な企業の発想とは正反対の右肩下がりのものばかり。こうした理念が生まれた背景には、心の病という現実から逃げずに向き合った一人ひとりの人生との格闘、および「三度のメシよりミーティング」を行うお互いの関係づくりの歴史があった。
本書には、幻覚や妄想をメンバーが競って発表しあう場面など思わず笑いを誘われるエピソードが満載され、全体にユーモラスなトーンが貫かれている。しかしそれは、「べてるの家」の存在が、近代的な昇っていく生き方に対する無言の批評となっていることをも意味している。医療・福祉関係者はもちろんながら、むしろ正常という病に侵されているふつうの人々にこそ読んでほしい1冊だ。(松田尚之)

浦河べてるの家は、精神障害をかかえた人たちの有限会社・社会福祉法人である。昇っていく生き方はもうやめた。リハビリなんて諦めた。病気の御旗を振りながら、べてるは今日も明日も降りてゆく。苦労と出会うために「商売」を。悩みをとりもどすために「経験」を。「弱さ」と「語り」をキーワードにした、右肩下がりの援助論。(「BOOK」データベース)

目次
 「べてるの家」ってこんなところ
   今日も、明日も、あさっても—べてるはいつも問題だらけ
 べてるの家の歩みから—坂道を転がり落ちた一〇年がくれた「出会い」

 2 苦労をとりもどす
   地域のためにできること—「社会復帰」という切り口の貧相
   苦労をとりもどす—だから私たちは商売をする ほか
 3 病気を生きる
   三度の飯よりミーティング—話し合いは支え合い
   幻聴から「幻聴さん」へ—だんだん“いい奴”になってくる ほか

 4 関係という力
   弱さを絆に—「弱さ」は触媒であり稀少金属である
   それで「順調!」—失敗、迷惑、苦労もOK ほか

5 インタビュー
   社会復帰ってなんですか?
   病気ってなんですか?
by open-to-love | 2008-05-08 19:58 | 所蔵書籍一覧 | Trackback | Comments(0)