精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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「女性のメンタルヘルスの地平」(河野貴代美編著)

「女性のメンタルヘルスの地平 新たな支援システムとジェンダー心理学」
「女性のメンタルヘルスの地平」(河野貴代美編著)_a0103650_20553651.jpg〈ジェンダー〉と女性の〈病〉が交差するトポスで
     いま、何がおこっているのか?
         理論と実践
         大学と現場
     個人と社会はどう関わるかを
     真摯に問いかける気鋭の論集
   行政・NPO・研究に携わる9人の報告

序章:女性のメンタルヘルス研究のなりたち
 第1節 本研究を始めるにあたって
  1.あるエピソード
  2.精神的困窮(メンタル・サファリング)への理解と受容
  3.メンタルヘルスの定義
 第2節 本研究の目的
  1.本研究の意図および研究領域の設定
  2.なぜ女性を研究の対象とするか
 第3節 研究の目標と進め方
  1.本報告の目標
  2.本研究の方法
  3.先行研究
  4.研究員

第1章:女性のメンタルヘルスとフェミニストカウンセリング
 第1節 女性という存在とメンタルヘルスの歴史
  1.「魔女狩り」と女性の狂気
  (1)魔女狩りの意味
  (2)ヒステリーという文化と女性というジェンダー
  2.「女」という存在
  (1)実存主義者の女性論
  (2)ポスト・モダンの言説
  3.フェミニズム前夜
  (1)フロイトの女弟子たち
    ①M・クラインの活動
    ②K・ホーナイの活動
  4.フェミニズム以降
  (1)フェミニズムの勃興
    ①「名前のない問題」
  (2)女性たちの手になるグループ活動の発足とその意義
    ①CRグループ活動
    ②ATグループ活動
  (3)フィリス・チェスラーの『女性と狂気』の出版
  (4)米国におけるフェミニスト心理学者・臨床家の活躍
 第2節 日本における女性のための相談業務の沿革と意義
  ―フェミニストカウンセリング導入以前の女性関連施設における相談事業ー
  1.女性関連施設における相談事業
  (1)前史ー明治・大正・昭和初期の女性保護運動
  (2)地域の女性団体活動の拠点としての女性会館と相談事業
  (3)婦人教育施設としての婦人会館における相談事業
  (4)「婦人教育施設における婦人教育相談事業のあり方」研究事業
  2.婦人相談所
  (1)売春防止法と婦人保護事業
  (2)婦人相談所における相談の状況
  (3)婦人相談員
  3.女性関連施設における相談事業の意義と問題点
 第3節 フェミニストカウンセリングの導入と「女性センター」における相談事業の変遷
  1.「国連女性の10年」と「女性センター」の誕生
  2.女性の学習活動の広がりとフェミニズムの視点の根づき
  3.女性相談におけるフェミニズムの視点
  4.女性センターでの相談事業に対するフェミニストカウンセリングの影響
  5.女性センター・女性相談の多様性と問題点
  6.北京会議以降の社会変化と女性センター
  7.これからの女性センター相談事業とその課題
  (1)フェミニストカウンセリングとして専門化する必要性
  (2)NPO法人やアカデミズムとの協働の推進
  (3)新しい女性相談ニーズへの対応
  8.最後に
 第4節 フェミニストカウンセリングの誕生と活動
  1.女性解放運動(ウイメンズリブ)と時代背景
  2.日本における初めての民間フェミニストカウンセリング・ルーム
  3.フェミニストカウンセリングがめざすもの
  4.「職業」としての位置付け
  5.自治体との連携による発展
  6.女性センターにおいて相談業務を開始
  7.フェミニストカウンセラーの養成
  8.「女性相談業務」の拡張とカウンセラーの「資格化」
  9.民間フェミニストカウンセリング・ルームの課題

第2章:女性のための相談業務のいま
 第1節 調査の方法
  (1)アンケート調査
  (2)聞き取り調査
 第2節 相談員のプロフィールと専門性
  (1)相談員のプロフィール
  (2)相談員の専門性
    ①行政機関から相談員への期待
    ②相談員の専門性
  (3)相談員や相談業務から得た知見の反映
 第3節 電話相談
  (1)電話相談実施の状況
  (2)匿名性と電話相談依存の問題
  (3)電話相談と面接相談の連動性
 第4節 相談内容の分類について
  (1)主訴・相談ニーズの分類の有無について
  (2)分類表の作成者と分類の特徴
 第5節 相談者および相談内容の変化について
  ー10年以上の相談員歴をもつ相談員の見解
  (1)相談者の属性や相談内容に関する変化
    ①相談内容の変化について
    ②相談員から見た相談者の態度や印象について
  (2)変化への対応について
  (3)最後にー女性の抱える問題と相談機関の役割
 第6節 大学や研究機関と女性相談施設・機関との協働
  (1)大学や研究機関と女性相談施設・機関の協働に関する認識
  (2)大学・研究機関は女性相談を行っている施設に対して何ができるのか
    ①相談員に対する直接的サービス
    ②相談員に対する間接的サービス
    ③相談者に対する直接的サービス
    ④相談者に対する間接的サービス
    ⑤相談者以外に対する直接的サービス
    ⑥相談者以外に対する間接的サービス
    ⑦施設・機関に対する直接的サービス
    ⑧施設・機関に対する間接的サービス
  (3)女性相談施設・機関が大学・研究機関に対して貢献できること
  (4)まとめ
  (5)米国の実践例

第3章:未来への提言
 第1節 非医療機関における援助についての提言
  1.訴えの脱病理化とは何か
  (1)非医療領域における脱病理化の意味について
    ①「異常」VS「正常」という二分法
    ②非医療領域における二分法からの離脱
  2.相談員にとって、どのようなスタンスが考えられるか
  (1)ストレス理論
    ①ストレス理論の応用
    ②ストレス・モデル理論
  3.エンパワーメント・モデルの構築ーシステムと関係性
  (1)エンパワーメント・モデルの使用とそのパラダイムの転換
    ①回復モデルとしてのエンパワーメント
    ②エンパワーメントの定義
  (2)エンパワーメント・モデルの歴史とその理論
    ①ソーシャルワーカーの実践から
    ②概念構成の例
  4.社会支援の機能とその概念化について
  (1)社会支援と本研究領域における関連
    ①地域社会での自助グループのようなグループ援助
    ②社会支援の背景
  (2)社会支援の概念とその実践理論
    ①社会支援とストレス理論の関係
    ②メンタルヘルスと予防的思考
 第2節 地域の社会資源としての女性センター
  1.相談事業の困難とシステムの必要性
  (1)フェミニストカウンセリングと女性センター相談事業
  (2)女性センター相談事業の困難
    ①根拠法のないあやうさ
    ②定型のない業務の範囲や内容
    ③相談現場と方針決定との乖離
  (3)システムとしての相談事業
    ①相談システム構築の必要性
    ②不可欠なソーシャルワーク的サポート
    ③女性センターの相談システム
  2.女性センター相談事業を支えるシステム
  (1)個々の相談対応を支えるシステム
  (2)総合施設としての女性センター
  (3)地域の社会資源との連携
  3.地域の社会資源としての女性センター
  (1)拠点施設としての女性センター
  (2)非医療機関としての女性のメンタルヘルス支援
  (3)社会資源としての自助グループへの支援
    ①自助グループとは
    ②自助グループの有効性
    ③女性センター相談事業における自助グループ支援
  4.社会システムの変更を迫る主体としての相談員
  (1)相談者にとっての相談の意味
  (2)相談分類の主体と当事者の自己定義
  (3)行政施策評価のツールとしての相談分類
  (4)代弁者ではなく主体としての相談員
 第3節 カウンセリングの政治学
  ー「新たな名づけえぬもの」の名づけに向けて
  1.「女性のメンタルヘルス」の問題系
  2.「転移」とカウンセリング
  3.《他者》の欲望、「幻想」の権力
  4.カウンセラーの「逆転移」
  5.行動化としての「抵抗」
  6.カウンセリングという公的資本

資料編
 1.アンケート調査
 2.聞き取り調査
 3.女性のメンタルヘルス支援システムに関する文献資料

あとがき

(河野貴代美編著、2005年、コモンズ)

●女性のメンタルヘルス研究プロジェクト●
河野貴代美(お茶の水女子大学)
大野曜(日本女性学習財団)
川喜田好恵(大阪府立女性総合センター)
小柳茂子(相模女子大学)
遠藤みち恵(フェミニストセラピィ〝なかま〟)
井上直美(フェミニストカウンセリング東京)
榊原佐和子(フェミニストカウンセリング東京)
桜井陽子(横浜市女性協会)
竹村和子(お茶の水女子大学)
by open-to-love | 2008-02-21 20:23 | 所蔵書籍一覧 | Trackback | Comments(0)