精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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リストカット

用語解説「リストカット」
 精神科救急の中には、リストカッティングという自傷行為をされる患者さんも見受けられます。イライラを抑えられず、掻きむしるように自分を傷つける人、気がついたら切っていたという人…。多くの場合、傷は浅いことが多く、このリストカットはストレスに対する対処としての表現だと私は考えています。
 治療にはストレスを別の方法で発散したり、言葉で表現したりできるようにするトレーニングが必要です。これを精神科では精神療法と言い、リストカットをする患者さんに行っています。早い段階だとこれで一件落着となることが多いのですが、切ることが癖になってしまった場合は精神療法がなかなか効かないことが多く、患者さんと二人で途方に暮れることも少なからずあります。
 リストカットをする人の中には自分を傷つけるのに罪悪感を持たない人たちがいます。考え方にある種の特徴があるため、自分自身を大切なものとして自分の中で認めることができません。だからストレスに対して社会で容認されにくいリストカットという方法をとってしまいます。リストカット単独で精神科を受診する場合は少なく、この考え方の特徴こそが生きづらくなる大きな原因なので、その中でリストカットも副次的に治療の対象になります。
 リストカットは問題解決の一つとも言えるかもしれません。リストカットをする人は、自分に価値がない、人生に臆病になっている。自分が自分に似付かわしくない、望んでいた自分と違う、将来に希望が持てない、などの生きづらさを感じがちです。それらの一つでも自分も他人も傷つけない方法で解決しようというのが精神療法のゴールです。同時に精神エネルギーを高めることも目標になります。精神エネルギーが低いときはうつに傾き、孤独に陥ったり考えが堂々巡りしたりして、リストカットを癖にしてしまいがちです。精神療法ではこの問題解決の選択肢を治療者が手助けをすることで増やしていきます。生活していく上でのネガティブな考え方をポジティブな考え方へと修正することで、いつの間にかリストカット自体をいらない物として処分することをお手伝いさせてもらっています。時として家族など周囲の人たちとの人間関係に踏み込んでいく必要に迫られることもあります。
 最後に、リストカットをする人に接するたびに、なんと身近な日常が緊張と苦悩に満ちていて自分をさいなむような考え方をされる方がいらっしゃるのかと私はいつも思い知らされます。自分を責めず他人も呪わずに、問題を解決する方法を一つでも増やし、眺める視点を変えるところに、リストカットを治すヒントはあると思います。
(遊坐敦子/大館市立総合病院 神経精神科)
(月刊「ぜんかれん」2006年11月号)
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by open-to-love | 2007-07-16 21:10 | 自傷 | Trackback | Comments(0)