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家族会の集まり(定例会)を楽しくするには?

家族会の集まり(定例会)を楽しくするにはどうすればいいでしょう。
(今月の回答者 西巴 章 京都府南丹保健所)

問:私は地域の家族会で、他に引き受け手がないまま、数年にわたり会長を務め定例会などを主催しています。先ごろ、次のような、会員の陰の「声」に接し、たいへん落ち込んでいます。その「声」の要旨は、「地域家族会に何度か参加してみて、お互いにいろいろな話をしたり聞いたりできるのかなと思ったのですが、やや期待外れでした。それはなぜかというと、ある時は、リーダーと思われる人がほぼ一方的にしゃべり、お知らせや検討を進めるという形で、無味乾燥でしたし、またある時は、『皆さん、ご自由にお話し合いを』といわれましたが、なかなか自由に話せるような雰囲気ではなく、不満感が残ったからです」というものでした。会長として精一杯やっているつもりなのですが、「声」は率直な感想として真剣に受け止めなければと思っています。会長(リーダー)として、参加者が「参加してよかった」と思える、会(集まり)を少しでも楽しくするための工夫はないでしょうか。

答:会長さんの「何とか良い家族会を!」という一生懸命さが伝わってきます。しかし、一方で、一生懸命になるあまりに、会長さんの思いを伝える事に熱心になりすぎたり、また逆に事務局からの連絡事項で終ってしまっている現状もよく伝わってきます。
 そこで家族が交流でき「元気になるコツ」について今回は一緒に考えてみたいと思いますので、参考にしてみてください。
 誰もができる、簡単な方法です。お試しあれ。

家族会運営の一工夫
 まず家族会を運営するうえで次のことに気をつけることが大切です。
①安心でき、リラックスできる場の工夫
 お茶を準備したり、花を飾ったり、グループの前後にお互いに話しやすくするための小道具を用意することも大切です。なるべく快適な状態にしておきましょう。
②家族会の初めに「ウオーミングアップ」の時間を設ける
 家族会をはじめる前にウオーミングアップの時間を設けましょう。
 例えば、初めに「先月一カ月でご自身が楽しく感じた事は?」「最近気に入っているドラマは?」など、自己紹介だけではなく、家族が日常生活で「生き生きした場面」を思い起こさせるような工夫をしてみましょう。参加された家族の違った一面を発見できるでしょう。
 また、家族会に初参加の人がいる場合は、ていねいに自己紹介をし、無理なく参加してもらうことに心がけましょう。
③グループのルールを伝える
 ここで話されたことは、ここだけの秘密にすることを伝えます。そうすることで、「安心できる」場になります。また、初めて家族会に参加した家族は座ってるだけで、精一杯の事もあります。話すことに抵抗がある場合は「パス」してもいいことを伝えましょう。
④「分かち合い」の時間を設ける
 家族会の最後には「今日の感想」を一言ずつ家族に話をしてもらいましょう。これは大切な作業です。シェアリングといって今日の家族会を参加者で「分かち合う」のです。このことで、今日の家族会の内容がメンバーに適していたのかどうかチェックできます。こうして出てきた意見を次の家族会に生かすことができるのです。

司会を行う人のコツ
 どうしても家族同士交流ができない原因として、司会の方が参加者の言葉に全部応えないといけないと思い過ぎていませんか?
 こうしたやり方では、それぞれの質問に答えていると「一対一」のコミュニケーションになってしまい、参加者の交流が進みません。これでは、グループの形は取っていますが、「集団個別相談会」になってしまっており、せっかくのグループが活かされず、相互交流は生まれません。自分たちの家族会が「ありがちなパターン」になっていないかチェックしてみてください。
 もし、ご自身の家族会が「ありがちなパターン」とすれば、「めざせ三角形!」を参考にやってみてください。必ず家族同士の交流が進みます。
 進行のやり方のコツは、メンバーからの質問に司会者が答えるのではなく、他のスタッフやメンバーに答えてもらうことに徹することです。各家族の個性をよく知っている司会者ならば、どの家族同士が相性が合うか、住んでいる地域が一緒か、同じような生活上の悩みを持っている等よく知っていると思います。このように、さまざまな家族同士の共通点を見つけ、「つなぎ合わせる」ことが大切なのです。家族同士の交流の中で、家族が家族をサポートし、促すだけでいいのです。
 また、参加メンバー全員に平等であることも司会の人には求められます。視線は常に参加者全員に平等に配る。そのことだけでも「自分のことを気にしていてくれている」「次は私の話を聞いてくれる」と参加家族は安心して、他の家族の話を聞くことができるのです。
 このように交流を促すコツは「会話の三角形」を作ることを心掛けることで、そうすれば、うまくいきます。自信を持ってやってみてください。

※ありがちなパターン※
司会者:何か本人さんへの対応のことで困っていることはありませんか?
Aさん:なかなか朝、起きて来てくれないんですが…。
司会者:作業所等に通所してみてはどうでしょうか。リズムが整ってくると思いますよ。他に困っていることはありませんか?
Bさん:夜がなかなか眠れないようなのですが…。
司会者:主治医の先生とよく相談して下さいね。その他に困っていることは…。

※目指せ三角交流※
司会者:何か本人さんへの対応のことで困っていることはありませんか?
Aさん:なかなか朝、起きて来てくれないんですが…。
司会者:Bさんの息子さんも昔は同じでしたね。どのようにしてリズムを整えたのですか。
Bさん:私のところは昼間に作業所に行くようになってリズムができました。一度作業所などに見学に行ってみてはどうですか?
Aさん:作業所はどこにあるのですか?
司会者:Dさんの息子さんも作業所に行かれてましたね。
Dさん:作業所は○○にあって、送迎もしてくれますよ。私のところも初めは朝起きれませんでしたが、今では元気に。

交流がうむ効果
 ①自分の問題が自分一人ではなく、分かち合えることに気付き、安堵感を経験することができます。
 初めて家族会に参加した時、あなたが感じた気持ちの変化です。このことが家族会の原点ではないでしょうか。
 ②同じ悩みの人達の中で、安心して自分の思っている事を吐き出せ、カタルシス(心の浄化・癒し)を得られます
 ③既に経験している家族と出会えることで、希望が出てきます。
 このままどうなるのか分らず不安という気持ちが、先輩家族の意見を聞く中で光が見えてくるのです。
 ④支えられる側であった人が、同じ悩みを持つ人を「支える」という経験をし、自尊心が回復してきます。
 何回か家族会に参加し、家族自身が元気になってくると、今度は初めて参加する家族を「支える」立場になることができ、「自分にも何かできる」という新たな元気が生まれます。
 ⑤他の人を見習ってみようという動きが出てきます。
 ⑥「支え」「支えられ」のネットワークが発展し、おしゃべり友達、茶飲み友達へと地域の中でのネットワークが広がります
 何よりも、家族会で知り合ったメンバー同士で、地域の中で「おしゃべり友達」「茶飲み友達」へと生活の場でのネットワークの広がりがでてきて、地域の中での孤立感が無くなってきます。
 家族会は「家族が元気になれる場」。この合い言葉を大切にして、実践してみてください。必ず家族会が充実した会になっていくと思います。
(月刊「ぜんかれん」2006年6月号 「ハイ!相談室です」)

みのもんた的司会はダメということです。(黒)
by open-to-love | 2007-07-07 23:21 | 家族のスキルアップ | Trackback | Comments(0)