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ショートステイ

精神障害者短期入所事業(ショートステイ)

経過
 精神障害者短期入所事業は、1999(平成11)年の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律改正により、平成14年度から精神障害者居宅生活支援事業の一つとして市町村において実施されている。
 それまで在宅精神障害者は、介護者が病気等の場合には精神科病院への入院等で急場をしのがざるを得なかったが、この事業の実施で短期入所ができることとなった。

制度の概要
 この事業は、精神障害者の介護等を行う者の疾病その他の理由により、精神障害者本人が居宅において介護等を受けることが一時的に困難となった場合に、精神障害者生活訓練施設等に短期間入所させることにより、精神障害者およびその家族の福祉の向上を図ることを目的としている。
 事業の実施主体は市町村となっている。運営主体は市町村長が指定した精神障害者短期入所生活介護等施設を併設した精神障害者生活訓練施設等である。
 利用対象者は、原則として精神障害者保健福祉手帳、精神障害を支給事由とする障害年金の年金証書等により確認することになるが、緊急の場合においては、主治医等により確認できる場合もある。また、ICDー10に基づく神経症または人格障害の場合も精神障害者として利用できる。これらの条件を満たしている人の介護等を行う者が社会的理由または私的理由により居宅において一時的に介護できないと認められた場合に利用できる。
 利用は、原則として精神障害者本人等から市町村長に申し込むことにより、市町村長が利用の可否を決定する。また、運営主体を経由して申し込みすることもできる。利用の期間は7日以内で、期間延長がやむを得ないと市町村長が認めた場合には必要最小限の範囲で延長できることになっている。運営の補助は国2分の1、都道府県4分の1(指定都市2分の1)、市町村4分の1となっている。また、ショートステイの利用料は、補助により事業を実施する場合にあっては運営主体が、市町村が自ら実施する場合および事業を委託することにより実施する場合にあっては市町村長が決定する。

現状と課題
 この事業は、精神障害者生活訓練施設等、実施できる施設が限られていることから、利用できる地域が偏っているという問題があり、2004(平成16)年3月で全国市町村の17%が実施しているだけである。
 現在の制度では居宅において介護等を受けることが一時的に困難になった者が対象であることから、介護等のないひとり暮らしの精神障害者の利用はできない。また、施設側には、障害の状況が分らない人にいきなり来てもらっても対応に困るといった考えがみられる。利用の見込みのある人にはあらかじめ施設に来ていただき、施設側が状況把握できている人について受け入れるとしているところもある。このように、現状では利用の要件を満たしていても、住んでいる地域等により利用できない場合があり、緊急時の利用には困難が伴うことが多い。
 緊急時の利用とともに、介護している家族が休養をとれる、障害者自身が家族から離れて休みたい、単身の障害者が一人で不安になったとき安心して過ごせる場として利用するなどがこの事業には求められるが、それを実現するには事業の利用範囲を広げるとともにもっと身近に多くの利用可能な施設が必要である。(大石信弘)

在宅サービスを実際に提供した市町村数(全市町村に占める割合)
ホームヘルプサービス
身体:2491(78%)
知的:1706(53%)
障害児:1190(37%)
精神:1671(53%)
デイサービス
身体:1624(51%)
知的:1101(34%)
障害児:1456(46%)
ショートステイ
身体:967(30%)
知的:1643(51%)
障害児:1583(50%)
精神:531(17%)
(厚労省調べ:身体・知的・障害児は平成16年1月、精神は同年3月データ)
(「精神保健福祉白書」2006年版)
by open-to-love | 2007-06-16 21:29 | ショートステイ | Trackback | Comments(0)