精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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うつ病は心の風邪!

うつ病は心の風邪!

(単極型)うつ病の診断
①抑うつ気分
②興味と喜びの消失
③活力の減退による易疲労感の増大
①~③のうち2つ以上
④集中力と注意力の減退
⑤自己評価と自信の低下
⑥罪責感と無価値感
⑦将来に対する希望のない悲観的な見方
⑧自傷あるいは自殺の観念や行為
⑨睡眠障害
⑩食欲不振
④~⑩のうち2つ以上が通常2週間以上続き、生活に障害をきたすもの。薬物や器質的要因がみあたらないもの。心理的要因がある場合もない場合もうつ病になりうるが、両者の鑑別は困難である。

うつ病とはどのような病気ですか?
●日常的なストレスからくる悲しみや、不安・憂うつな気分などのこころの状態がいつまでも回復せず、日常生活に支障を来してしまう病気です。
●ごくありふれた病気です。
●「こころの風邪」

うつ病の症状にはどのようなものがありますか?
●気分が落ち込む
●やる気がでない
●頭痛・肩こりがする
●便秘になる
●食欲が出ない
●眠れない
●性欲が落ちる
●朝早く目が覚める
●ものごとが決められない
●体がだるい、疲れやすい
これらの症状が2週間以上続く場合、うつ病の恐れがあります。

外見から推定されるうつ状態・うつ病
●服装:普段よりだらしなく見える
●姿勢:前屈姿勢になりがち
●振る舞い:緩慢、自発性に乏しい、落ち着きがなくいらいらしている
●表情:苦しそうな、悲しそうな、憂うつそうな
●話し方:口数が乏しい、声が小さい
●話の内容:悲観的、否定的
など

うつ病の疫学
①発症率:感情障害(うつ病、そううつ病、そう病など)の生涯有病率は8~12%
②初発年齢:20~30代に最も多いが、40~50代の初発も多く認められる。
③性差:1:2で女性の方が多い。

うつ病の原因
A)生物学的要因
B)性格
C)家族や職場を含めた環境
などの相互作用にあると考えられています。

A)うつ病の生物学的異常とは?
生物学的異常とは、脳内の神経伝達物質の異常です。うつ病では、神経終末のシナプス間において放出されるノルアドレナリン、セロトニンの量が減少していることが知られています。

B)うつ病になりやすい性格とは?
●まじめ
●几帳面
●状況に合わせるのが苦手
●柔軟性に欠ける、など

C)うつ病の誘因・きっかけは?
●引っ越し
●リストラ、定年、同僚との折り合いの悪さ
●転職、転勤、昇進、栄転
●病気、事故、配偶者の死、親しい者との別れ
●結婚、出産
●子どもの結婚、独立
●些細な出来事も引き金になりうる

うつ病の治療とは?
A)薬物療法
B)精神療法
C)環境調整
これらのバランスを取ること

A)薬物療法
第1選択は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
●主な副作用は消化器症状。数日で改善することがほとんど。
●効果が現れるまで7~10日はかかります。
●症状に応じて抗不安薬や睡眠剤を併用します。

抗うつ薬を服用する時の注意
1)効果と副作用について理解する。
三環系:口渇、便秘、排尿困難
 SNRI、SSRI:吐き気、下痢、性機能障害、中止後発現症状
2)効果が出るまでに時間が掛かる。
3)必要なときにはしっかりと服用する。
  中途半端な服薬ではかえって慢性化する。
  症状がよくなったからといって薬をやめない。
  うつ病は再発しやすい。
4)薬を飲むよりはアルコールを飲んだ方がいいか?
  自己治療薬としてのアルコール
   アルコールは:ナレ、クセが出る(依存の危険)、眠りが浅くなる、気持ちを沈み込ませる

B)うつ病の方への精神療法
1.病気であることの説明「怠慢ではない」
2.必ず直る病気であることの保証「不安が解消される」
3.治すために必要なことは何かを明らかにする「まずは休息」
4.重要な決定は病気が良くなってから行うように指導する「判断が消極的、否定的になりがち」
5.患者を励ましたり、元気づける試みは避ける「負担を増すだけで、逆効果になる」

C)環境調整
●自宅静養か入院加療か判断
●家族間の調整
●ご本人と職場の上司や学校関係者間の調整
●ストレスの原因が明らかであれば解決できるような工夫を一緒に考えます

難治性(これらの治療で治らない場合)のうつ病の治療
●三環系抗うつ薬
●リチウム製剤(リーマス)
●修正型電気けいれん療法
●甲状腺剤
●抗精神病薬
●一部のパーキンソン病薬
●光線療法、断眠療法など

もしもうつ病を過小評価すると?
 うつ病がもとでいろいろな問題が起こります。
●人間関係がうまくいかなくなる
●仕事にならない日数の増加、社会経済的損失(世界銀行の調査1993)
●全うつ病患者の10~15%が自殺し3分の2が自殺念慮をしめす(KaplanおよびSadock)

うつ病はこころの風邪!
●早期発見、早期治療が重要。
●みんなの取り組みで乗り越えましょう。
(2006年、盛岡市立病院文化祭のミニ講演会資料)
by open-to-love | 2007-04-30 10:21 | うつ病・躁うつ病(気分障害) | Trackback | Comments(0)