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国連障害者権利条約(仮訳)

障害のある人の権利に関する条約(前文〜10条まで収録)

前文
 この条約の締約国は、

(a) 世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものとして、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び価値並びに平等のかつ奪い得ない権利を認める国際連合憲章において宣明された原則を想起し、

(b) 国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、すべての人はいかなる区別もなしに同宣言及び同規約に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明し及び合意したことを認め、

(c) すべての人権及び基本的自由の普遍性、不可分性、相互依存性及び相互関係性並びに障害のある人に対してすべての人権及び基本的自由の差別のない完全な享有を保障する必要性を改めて確認し、

(d) 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約、子どもの権利に関する条約並びにすべての移住労働者及びその家族構成員の権利保護に関する国際条約を想起し、

(e) 障害(ディスアビリティ)が形成途上にある概念であること、並びに障害が機能障害(インペアメント)のある人と態度上及び環境上の障壁との相互作用であって、それらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものから生じることを認め、

(f) 障害者に関する世界行動計画及び障害のある人の機会均等化に関する基準規則に含まれる原則及び政策指針が、障害のある人の機会を一層平等化するための国内的、地域的及び国際的な政策、立案、計画及び行動の促進、形成及び評価に影響を与えるに当たり重要であることを認め、

(g) 持続可能な開発の関連戦略の不可分の一部として障害問題の主流化が重要であることを強調し、

(h) また、いかなる人に対しても障害に基づく差別は人間の固有の尊厳を侵害するものであることを認め、

(i) 更に、障害のある人の多様性を認め、

(j) 障害のあるすべての人(一層集中的な支援を必要とする人を含む。)の人権を促進し及び保護する必要性を認め、

(k) これらの種々の文書及び約束にもかかわらず、世界のすべての地域において、社会の平等な構成員としての参加を妨げる障壁及び人権侵害に障害のある人が依然として直面していることを憂慮し、

(l) あらゆる国特に開発途上国における障害のある人の生活状況を改善するために国際協力が重要であることを認め、

(m) 地域社会(コミュニティ)の全般的な福利及び多様性への障害のある人の貴重な既存の及び潜在的な貢献を認め、更に、障害のある人による人権及び基本的自由の完全な享有並びに完全な参加を促進することにより、障害のある人の帰属意識が高められること、並びに社会の人間的、社会的及び経済的開発並びに貧困の根絶に多大な前進がもたらされることを強調し、

(n) 障害のある人にとって、その個人の自律及び自立(自ら選択を行う自由を含む。)が重要であることを認め、

(o) 障害のある人が、政策及び計画(障害のある人に直接的に関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定過程に積極的に関与する機会を有するべきであることを考慮し、

(p) 人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的、先住的若しくは社会的出身、財産、出生、年齢又は他の地位に基づく複合的又は加重的な形態の差別を受けている障害のある人の困難な状況を憂慮し、

(q) 障害のある女性及び少女が、家庭の内外で暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取を度々受ける危険に一層さらされていることを認め、

(r) 障害のある子どもが、他の子どもとの平等を基礎として、すべての人権及び基本的自由を完全に享有すべきであることを認め、また、このために子どもの権利に関する条約の締約国により約束された義務を想起し、

(s) 障害のある人による人権及び基本的自由の完全な享有を促進するためのあらゆる努力にジェンダーの視点を組み込む必要があることを強調し、

(t) 障害のある人の大多数が貧困の状況下で生活している事実を強調し、また、これに関しては、障害のある人に対する貧困の負の影響に取り組むことが必須であることを認め、

(u) 国際連合憲章に含まれる目的及び原則の完全な尊重に基づく平和及び安全の条件並びに適用のある人権文書の遵守が、障害のある人、特に武力紛争下及び外国の占領下の障害のある人の完全な保護に不可欠であることを想起し、

(v) 障害のある人がすべての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするに当たり、物理的、社会的及び経済的環境のアクセシビリティ、保健及び教育のアクセシビリティ並びに情報及びコミュニケーションのアクセシビリティが重要であることを認め、

(w) 個人が、他人に対し及びその属する地域社会に対して義務を負うこと並びに国際人権章典において認められる権利の促進及び遵守のために努力する責任を有することを認識し、

(x) 家族が、社会の自然かつ基礎的な単位であり、かつ、社会及び国による保護を受ける権利を有すること、また、障害のある人及びその家族の構成員が、障害のある人の権利の完全かつ平等な享有に家族が貢献することを可能とするための必要な保護及び援助を受けるべきであることを確信し、

(y) 開発途上国及び先進国の双方において、障害のある人の権利及び尊厳を促進し及び保護するための包括的かつ総合的な国際条約が、障害のある人の著しく社会的に不利な立場を是正することに重要な貢献をすること、並びに市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的分野への障害のある人の平等な機会を伴った参加を促進することを確信して、

次のとおり協定した。

第1条 目的
 この条約は、障害のあるすべての人によるすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し及び確保すること、並びに障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。
 障害(ディスアビリティ)のある人には、種々の障壁との相互作用により、他の者との平等を基礎とした社会への完全かつ効果的な参加を妨げることのある、長期の身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害(インペアメント)のある人を含む。

第2条 定義
 この条約の適用上、

 「コミュニケーション」には、筆記、音声、簡単な言葉、朗読者及び拡大・代替コミュニケーションの様式、手段及び形態(アクセシブルな情報コミュニケーション機器を含む。)とともに、言語、文字表示、点字、触覚コミュニケーション、拡大文字及びアクセシブルなマルチメディアを含む。

 「言語」には、音声言語、手話及び他の形態の非音声言語を含む。

 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む。

 「合理的配慮」とは、特定の場合において必要とされる、障害のある人に対して他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適切な変更及び調整であって、不釣合いな又は過重な負担を課さないものをいう。

 「ユニバーサルデザイン」とは、改造又は特別な設計を必要とすることなしに、可能な最大限の範囲内で、すべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計(デザイン)をいう。「ユニバーサルデザイン」は、特定の範囲の障害のある人のための支援装置が必要とされる場合には、これを排除してはならない。

第3条 一般的原則
 この条約の原則は、次のものとする。

(a) 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択を行う自由を含む。)及び人の自立の尊重

(b) 非差別

(c) 社会への完全かつ効果的な参加及びインクルージョン

(d) 差異の尊重、並びに人間の多様性及び人間性の一部としての障害のある人の受容

(e) 機会の平等

(f) アクセシビリティ

(g) 男女の平等

(h) 障害のある子どもの発達しつつある能力の尊重、及び障害のある子どもがそのアイデンティティを保持する権利の尊重

第4条 一般的義務
1 締約国は、障害に基づくいかなる種類の差別もない、障害のあるすべての人のためのすべての人権及び基本的自由の完全な実現を確保し及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。

(a) この条約において認められる権利を実施するためにすべての適切な立法措置、行政措置その他の措置をとること。

(b) 障害のある人に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適切な措置(立法措置を含む。)をとること。

(c) すべての政策及び計画において障害のある人の人権の保護及び促進を考慮すること。

(d) この条約に合致しないいかなる活動又は行為をも差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの条約に従い行動することを確保すること。

(e) いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別をも撤廃するためのすべての適切な措置をとること。

(f) 第2条に定義するすべての人向けに設計された物品、サービス、備品及び設備であって、障害のある個人に特有の必要を満たし、障害のある人の利用可能性及び使用を促進し、かつ、基準及び指針の開発の際にユニバーサルデザインを促進するための可能な限り最低限の調整及び最小の費用を要すべきものを研究し及び開発することを開始し又は促進すること。

(g) 負担可能な費用の機器を優先させて、障害のある人に適した新機器(情報コミュニケーション機器、移動補助用具、装置及び支援機器を含む。)を研究し及び開発することを開始し又は促進すること、並びに当該新機器の利用可能性及び使用を促進すること。

(h) 移動補助用具、装置及び支援機器(新機器を含む。)に関する並びに他の形態の援助、支援サービス及び設備に関するアクセシブルな情報を障害のある人に提供すること。

(i) この条約において認められる権利により保障される支援及びサービスの提供を一層向上させるために、障害のある人と共に働いている専門家及び職員に対する当該権利に関する訓練を促進すること。

2 各締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、この条約に含まれる義務であって国際法に基づき即時的に適用されるものに違反しない限り、それらの権利の完全な実現を漸進的に達成するという観点から、自国における利用可能な資源の最大限の範囲内で、また、必要な場合には国際協力の枠内で措置をとることを約束する。

3 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策を発展させ及び実施するに当たり、並びに障害のある人と関連する事項に係る他の意思決定過程において、障害のある人(障害のある子どもを含む。)を代表する団体を通じて、障害のある人と緊密に協議し、かつ、障害のある人を積極的に関与させる。

4 この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際法に含まれる規定であって、障害のある人の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。この条約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ又は存する人権及び基本的自由については、この条約がそれらの権利若しくは自由を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利及び自由を制限し又は逸脱してはならない。

5 この条約は、いかなる制限又は例外もなしに連邦国家のすべての地域について適用する。

第5条 平等及び非差別
1 締約国は、すべての人が法の前及び下において平等であり、かつ、いかなる差別もなしに法の平等な保護及び利益を受ける権利を有することを認める。

2 締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、また、障害のある人に対していかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護を保障する。

3 締約国は、平等を促進し及び差別を撤廃するため、合理的配慮が行われることを確保するためのすべての適切な行動をとる。

4 障害のある人の事実上の平等を促進し又は達成するために必要な特定の措置は、この条約に規定する障害に基づく差別と解してはならない。

第6条 障害のある女性
1 締約国は、障害のある女性及び少女が複合的な差別を受けていることを認め、また、これに関しては、障害のある女性及び少女によるすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を確保するための措置をとる。

2 締約国は、この条約に定める人権及び基本的自由の行使及び享有を女性に保障することを目的として、女性の完全な発展、地位の向上及びエンパワーメントを確保するためのすべての適切な措置をとる。

第7条 障害のある子ども
1 締約国は、障害のある子どもによる他の子どもとの平等を基礎としたすべての人権及び基本的自由の完全な享有を確保するためのすべての必要な措置をとる。

2 障害のある子どもに関するあらゆる活動において、子どもの最善の利益が主として考慮されるものとする。

3 締約国は、障害のある子どもが、他の子どもとの平等を基礎として、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を有することを確保する。この場合において、障害のある子どもの意見は、その年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。締約国は、また、障害のある子どもが当該権利を実現するための支援であって障害及び年齢に適したものを提供される権利を有することを確保する。

第8条 意識向上
1 締約国は、次のための即時的、効果的かつ適切な措置をとることを約束する。

(a) 障害のある人に関する社会全体(家族を含む。)の意識の向上、並びに障害のある人の権利及び尊厳の尊重の育成

(b) あらゆる生活領域における障害のある人に関する固定観念、偏見及び有害慣行(性及び年齢に基づくものを含む。)との闘い

(c) 障害のある人の能力及び貢献に関する意識の促進

2 このため、締約国がとる措置には次のことを含む。

(a) 次のことのために計画された効果的な公衆向けの意識向上キャンペーンを開始し及び維持すること。

 (i) 障害のある人の権利の受容を育むこと。

 (ii) 障害のある人に対する肯定的認識及び一層大きな社会的意識を促進すること。

 (iii) 障害のある人の技能、功績及び能力並びに職場及び労働市場への貢献についての認識を促進すること。

(b) 教育制度のあらゆる段階(幼年期からのすべての子どもの教育制度を含む。)において、障害のある人の権利を尊重する態度を育成すること。

(c) すべてのメディア機関が、この条約の目的に合致するように障害のある人を描写することを奨励すること。

(d) 障害のある人及びその権利に関する意識向上のための訓練計画を促進すること。

第9条 アクセシビリティ
1 締約国は、障害のある人が自立して生活すること及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にするため、障害のある人に対し、他の者との平等を基礎として、都市及び農村双方において、物理的環境、輸送機関、情報及びコミュニケーション(情報コミュニケーション機器及びシステムを含む。)並びに公衆に開かれた又は提供される他の設備及びサービスへのアクセスを確保するための適切な措置をとる。このような措置は、アクセシビリティにとっての妨害物及び障壁を明らかにし及び撤廃することを含むものとし、特に次に対して適用する。

(a) 建物、道路、輸送機関その他の屋内外の設備(学校、住居、医療設備及び職場を含む。)

(b) 情報サービス、コミュニケーション・サービスその他のサービス(電子サービス及び救急サービスを含む。)

2 締約国は、また、次のことのための適切な措置をとる。

(a) 公衆に開かれた又は提供される設備及びサービスのアクセシビリティに関する最低限度の基準及び指針の実施を発展させ、公表し及び監視すること。

(b) 公衆に開かれた又は提供される設備及びサービスを提供する民間主体が、障害のある人に係るアクセシビリティのあらゆる側面を考慮することを確保すること。

(c) 障害のある人が直面するアクセシビリティに係る事項についての訓練をすべての関係者に提供すること。

(d) 公衆に開かれた建物その他の設備において、点字表示及び読みやすく理解しやすい形態の表示を提供すること。

(e) 公衆に開かれた建物その他の設備のアクセシビリティを容易にするためのライブ・アシスタンス(人又は動物による支援)の諸形態及び媒介者のサービス(ガイド、朗読者及び専門職の手話通訳者を含む。)を提供すること。

(f) 情報への障害のある人のアクセスを確保するため、障害のある人に対する他の適切な形態の援助及び支援を促進すること。

(g) 障害のある人が新たな情報コミュニケーション機器及システム(インターネットを含む。)にアクセスすることを促進すること。

(h) 早期の段階において、アクセシブルな情報コミュニケーション機器及びシステムに関する設計、開発、生産及び分配を、それらを最小の費用でアクセシブルにするようにして促進すること。

第10条 生命に対する権利
 締約国は、すべての人間が生命に対する固有の権利を有することを改めて確認し、また、障害のある人が他の者との平等を基礎として当該権利を効果的に享有することを確保するためのすべての必要な措置をとる。

【訳者より】
(*1)この日本語訳は、「障害のある人の権利に関する条約CONVENTION ON THE RIGHTS OF PERSONS WITH DISABILITIES」及び「障害のある人の権利に関する条約の選択議定書OPTIONAL PROTOCOL TO THE CONVENTION ON THE RIGHTS OF PERSONS WITH DISABILITIES」の全文仮訳である。
(*2)この仮訳の訳出に当たり、国連ウェブサイトに掲載されている“True Certified Copies”の英語版テキストを基本的に利用した他に、必要に応じて、その仏語版等のテキストも利用した。

川島聡・長瀬修 仮訳(2007年3月29日付訳)
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by open-to-love | 2007-04-28 21:22 | 国連障害者権利条約 | Trackback | Comments(0)