精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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精神障害者ケアガイドライン(第2版)…その2

精神障害者ケアガイドライン(第2版)…その2

■2■ケアの理念

(1)ノーマライゼーション理念に基づくケアサービスの提供

 障害者に対する保健福祉等ケアサービス提供の基本理念は、ノーマライゼーションの理念に基づいたものです。すなわち、障害のある人もない人も、だれもが住み慣れた地域社会で普通の生活を営み、活動できる社会を構築するとともに、障害者が社会活動に参加できるよう必要な援助を必要に応じて受けることができることを基本としています。

(2)ニーズ中心のケアサービスの提供

 国際障害者年行動計画で、障害者は「通常の人間的なニーズを満たすのに特別な困難を持つ普通の市民」とされていますが、自ら必要とするケアサービスは障害者本人が最も良く認識しています。加えて、地域に分散するサービスを障害者に合わせて統合的に享受するためにも、ニーズ中心にケアサービスが提供される必要があります。

(3)自立と質の高い生活実現への支援

 障害者の自立とは、障害者一人ひとりが社会生活力を持ち、責任ある個人として主体的に生きることを意味します。そのための基礎的な要件は、第一に日常的な生活が営めること、第二にその生活を維持していくために必要な生活条件が整備されること、第三は社会参加の機会を可能とする環境条件を整備することです。
 従来、精神障害者に対しては、保健医療の中でサービスが組み立てられ生活者としての視点が希薄であったことは、否定できません。これからは、障害者が可能な限り家族や市民が生活する地域社会の中で共に生活でき、人生や生活のあり方を自らの意志で決定し、身体的、精神的、社会的、文化的に満足できるように支援することが重要です。

(4)自己決定の尊重

 障害者一人ひとりの考え方、生活様式に関する好み、性格等を尊重しながら本人が自分の能力を最大限発揮できるように援助します。サービス提供のすべての経過において、常に情報を本人に伝え、その中から本人が選択できることが必要です。

(5)一般社会の理解の促進

 我が国の現状においてノーマライゼーションの理念を実現するためには、多くの問題が残されていることを指摘しなければなりません。中でも重要な問題は一般社会の偏見や差別意識です。これに対して社会に対する知識の普及、啓発活動が同時に行われなければなりません。

大島巌著『ACT ケアマネジメント ホームヘルプサービス 精神障害者地域生活支援の新デザイン』(2004年、精神看護出版)
by open-to-love | 2010-08-19 19:57 | ケアマネジメント | Trackback | Comments(0)