精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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不安障害

7 不安障害 Anxiety Disorders
パニック発作及び広場恐怖は、この章のいくつかの障害と関連して起こることから、パニック発作および広場恐怖の診断基準をはじめに独立して取り上げてある。しかし、それらは独自の診断コードをもっておらず、独立した単位として診断することはできない。

パニック発作
Panic Attack

注:パニック発作は、コード番号のつく障害ではない。パニック発作が起こる特定の診断にコード番号をつけること。
 強い恐怖または不快を感じるはっきり他と区別できる期間で、そのとき、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。
(1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
(2)発汗
(3)身震いまたは震え
(4)息切れ感または息苦しさ
(5)窒息感
(6)胸痛または胸部の不快感
(7)嘔気または腹部の不快感
(8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
(9)現実感消失(現実でない感じ)または離人症状(自分自身から離れている)
(10)コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖
(11)死ぬことに対する恐怖
(12)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
(13)冷感または熱感

広場恐怖
Agoraphobia

注:広場恐怖は、コード番号のつく障害ではない。広場恐怖が起こる特定の診断にコード番号をつけること
A.逃げるに逃げられない(または逃げたら恥をかく)ような場所や状況、またはパニック発作やパニック様症状が予期しないで、または状況に誘発されて起きたときに、助けが得られない場所や状況にいることについての不安、広場恐怖が生じやすい典型的な状況には、家の外に1人でいること、混雑の中にいることまたは列に並んでいること、橋の上にいること、バス、列車、または自動車で移動していることなどがある
B.その状況が回避されている(例:旅行が制限されている)か、またはそうしなくても、パニック発作またはパニック様症状が起こることを非常に強い苦痛または不安を伴いながら耐え忍んでいるか、または同伴者を伴う必要がある。
C.その不安または恐怖症性の回避は、以下のような他の精神疾患ではうまく説明されない。例えば、社会恐怖(例:恥ずかしい思いをすることに対する恐怖のために社会的状況のみを避ける)。特定の恐怖症(例:エレベーターのような単一の状況だけを避ける)、強迫性障害(例:汚染に対する強迫観念のある人が、ごみや汚物を避ける)、外傷後ストレス障害(例:強いストレス因子と関連した刺激をさける)、または分離不安障害(例:家を避けることまたは家族からは慣れることを醒める)
D.

300.01 広場恐怖を伴わないパニック障害
Panic Disorder Without Agoraphobia

300.21 広場恐怖を伴うパニック障害
Panic Disorder With Agoraphobia

300.22 パニック障害の既往歴のない広場恐怖
With Agoraphobia Without History of Panic Disorder

300.29 特定の恐怖症(以前は単一恐怖)
Special Phobia (formerly Simple Phobia)


300.23 社会恐怖(社会不安障害)
Social Phobia(Social Anxiety Disorder)


300.3 強迫性障害
Obsessive-Compulsive Disorder

309.81 外傷後ストレス障害
Posttraumatic Stress Disorder

308.3 急性ストレス障害
Acute Stress Disorder

300.02 全般性不安障害(小児の過剰不安障害を含む)
Generalized Anxiety Disorder(Includes Overanxious Disorder of Childhood)


293.84 …[一般身体疾患を示すこと]…による不安障害
Anxiety Disorder Due to …[Indicate the General Medical Condition]

物資誘発性不安障害
Substance-Induced Anxiety Disorder

300.00 特定不能の不安障害
Anxiety Disorder Not Otherwise Specified
# by open-to-love | 2007-04-28 02:14 | DSM-Ⅳ-TR | Trackback | Comments(0)
障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例

2006(平成18)年 9月22日提出
2006(平成18)年10月11日成立
2007(平成19)年 7月 1日施行

前文
障害のある人もない人も、誰もが、お互いの立場を尊重し合い、支え合いながら、安心して暮らすことのできる社会こそ、私たちが目指すべき地域社会である。
このような地域社会を実現するため、今、私たちに求められているのは、障害のある人に対する福祉サービスの充実とともに、障害のある人への誤解や偏見をなくしていくための取組である。
この取組は、障害のある人に対する理解を広げる県民運動の契機となり、差別を身近な問題として考える出発点となるものである。そして、障害のあるなしにかかわらず、誰もが幼いころから共に地域社会で生きるという意識を育むのである。
すべての県民のために、差別のない地域社会の実現と、一人ひとりの違いを認め合い、かけがえのない人生を尊重し合う千葉県づくりを目指して、ここに障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例を制定する。

第1章総則

第1条(目的)
この条例は、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための取組について、基本理念を定め、県、市町村及び県民の役割を明らかにするとともに、当該取組に係る施策を総合的に推進し、障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会の実現を図り、もって現在及び将来の県民の福祉の増進に資することを目的とする。
第2条(定義)
①  この条例において「障害」とは、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に規定する身体障害、知的障害若しくは精神障害、発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第1項に規定する発達障害又は高次脳機能障害があることにより、継続的に日常生活又は社会生活において相当な制限を受ける状態をいう。
② この条例において「差別」とは、次の各号に掲げる行為(以下「不利益取扱い」という。)をすること及び障害のある人が障害のない人と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むために必要な合理的な配慮に基づく措置(以下「合理的な配慮に基づく措置」という。)を行わないことをいう。
1 福祉サ−ビスを提供し、又は利用させる場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為
イ 障害を理由として、福祉サ−ビスの利用に関する適切な相談及び支援が行われることなく、本人の意に反して、入所施設における生活を強いること。
ロ 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要がある場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、福祉サービスの提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
2 医療を提供し、又は受けさせる場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為
イ 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要がある場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、医療の提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
ロ 法令に特別の定めがある場合を除き、障害を理由として、本人が希望しない長期間の入院その他の医療を受けることを強い、又は隔離すること。
3 商品又はサービスを提供する場合において、障害のある人に対して、サービスの本質を著しく損なうこととなる場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、商品又はサービスの提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
4 労働者を雇用する場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為
イ 労働者の募集又は採用に当たって、本人が業務の本質的部分を遂行することが不可能である場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、応募若しくは採用を拒否し、又は条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
ロ 賃金、労働時間その他の労働条件又は配置、昇進若しくは教育訓練若しくは福利厚生について、本人が業務の本質的部分を遂行することが不可能である場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、不利益な取扱いをすること。
ハ 本人が業務の本質的部分を遂行することが不可能である場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、解雇し、又は退職を強いること。
5 教育を行い、又は受けさせる場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為
イ 本人に必要と認められる適切な指導及び支援を受ける機会を与えないこと。
ロ 本人若しくはその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第22条第1項に規定する保護者をいう。以下同じ。)の意見を聴かないで、又は必要な説明を行わないで、入学する学校(同法第一条に規定する学校をいう。)を決定すること。
6 障害のある人が建物その他の施設又は公共交通機関を利用する場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為
イ 建物の本質的な構造上やむを得ない場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、不特定かつ多数の者の利用に供されている建物その他の施設の利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
ロ 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要がある場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、公共交通機関の利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
7 不動産の取引を行う場合において、障害のある人又は障害のある人と同居する者に対して、障害を理由として、不動産の売却、賃貸、転貸又は賃借権の譲渡を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
8 情報を提供し、又は情報の提供を受ける場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為
イ 障害を理由として、障害のある人に対して情報の提供をするときに、これを拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
ロ 障害を理由として、障害のある人が情報の提供をするときに、これを拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。
③ この条例において「 障害のある人に対する虐待」 とは、次の各号に掲げる行為をいう。
1 障害のある人の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
2 障害のある人にわいせつな行為をすること又は障害のある人をしてわいせつな行為をさせること。
3 障害のある人を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の障害のある人を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
4 障害のある人に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の障害のある人に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
5 障害のある人の財産を不当に処分することその他当該障害のある人から不当に財産上の利益を得ること。
第3条(基本理念)
① すべて障害のある人は、障害を理由として差別を受けず、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしく、地域で暮らす権利を有する。
② 障害のある人に対する差別をなくす取組は、差別の多くが障害のある人に対する誤解、偏見その他の理解の不足から生じていることを踏まえ、障害のある人に対する理解を広げる取組と一体のものとして、行われなければならない。
③ 障害のある人に対する差別をなくす取組は、様々な立場の県民がそれぞれの立場を理解し、相協力することにより、すべての人がその人の状況に応じて暮らしやすい社会をつくるべきことを旨として、行われなければならない。
第4条(県の責務)
県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための施策を総合的かつ主体的に策定し、及び実施するものとする。
第5条(県と市町村との連携)
県は、市町村がその地域の特性に応じた、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための施策を実施する場合にあっては、市町村と連携するとともに、市町村に対して情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第6条(県民の役割)
① 県民は、基本理念にのっとり、障害のある人に対する理解を深めるよう努め、障害のある県民及びその関係者は、障害のあることによる生活上の困難を周囲の人に対して積極的に伝えるよう努めるものとする。
② 県民は、基本理念にのっとり、県又は市町村が実施する、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための施策に協力するよう努めるものとする。
第7条(財政上の措置)
知事は、県の財政運営上可能な範囲内において、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

第2章差別の事案の解決

第1節差別の禁止等
第8条(差別の禁止)
何人も、障害のある人に対し、差別をしてはならない。ただし、不利益取扱いをしないこと又は合理的な配慮に基づく措置を行うことが、社会通念上相当と認められる範囲を超えた人的負担、物的負担又は経済的負担その他の過重な負担になる場合においては、この限りでない。
第9条(虐待の禁止)
何人も、障害のある人に対し、虐待をしてはならない。
第10条(通報)
①  障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第5条第1項に規定する障害福祉サービス又は同条第17項に規定する相談支援(以下「障害福祉サービス等」という。)に従事する者(以下「障害福祉サービス等従事者」という。)は、障害福祉サービス等を利用する障害のある人について、他の障害福祉サービス等従事者が障害のある人に対する虐待を行った事実があると認めるときは、速やかに、これを関係行政機関に通報するよう努めなければならない。
② 障害福祉サービス等従事者は、前項の規定による通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。
第11条(通報を受けた場合の措置)
県が前条第1項の規定による通報を受けたときは、知事は、障害福祉サービス等の事業の適正な運営を確保することにより、当該通報に係る障害のある人に対する虐待の防止及び当該障害のある人の保護を図るため、障害者自立支援法の規定による権限を適切に行使するものとする。

第2節地域相談員等

第12条(身体障害者相談員)
身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第12条の3第2項に規定する身体障害者相談員は、同条第1項に規定する業務の一部として、差別に該当する事案(以下「対象事案」という。)に関する相談に係る業務を行うものとする。
第13条(知的障害者相談員)
知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第15条の2第2項に規定する知的障害者相談員は、同条第1項に規定する業務の一部として、対象事案に関する相談に係る業務を行うものとする。
第14条(その他の相談員)
① 知事は、障害のある人に関する相談を受け、又は人権擁護を行う者その他第30条第1項各号に掲げる分野に関し優れた識見を有する者のうち適当と認める者に委託して、対象事案に関する相談に係る業務を行わせることができる。
② 知事は、前項の委託を行うに当たっては、あらかじめ千葉県行政組織条例(昭和33年千葉県条例第31号)に基づき設置された千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会(以下「調整委員会」という。)の意見を聴かなければならない。
第15条(業務遂行の原則)
① 前3条に規定する業務を行う相談員(以下「地域相談員」という。)は、対象事案の関係者それぞれの立場を理解し、誠実にその業務を行わなければならない。
② 地域相談員は、この条例に基づき業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その業務を終了した後も同様とする。
第16条(広域専門指導員)
① 知事は、次の各号に掲げる職務を適正かつ確実に行うことができると認められる者を、千葉県行政組織条例第17条第4項に規定する健康福祉センタ〜の所管区域及び保健所を設置する市の区域ごとに、広域専門指導員として委嘱することができる。
1 地域相談員に対し、専門的な見地から業務遂行に必要な技術について指導及び助言を行うこと。
2 対象事案に関する相談事例の調査及び研究に関すること。
3 第22条第2項に規定する調査に関すること。
② 知事は、前項の委嘱を行うに当たっては、あらかじめ調整委員会の意見を聴かなければならない。
第17条(指導及び助言)
① 地域相談員は、対象事案に係る相談について、必要に応じ、広域専門指導員の指導及び助言を求めることができる。
② 広域専門指導員は、前項の求めがあったときは、適切な指導及び助言を行うものとする。
第18条(協力)
地域相談員以外の、障害のある人に関する相談を受け、又は人権擁護を行うものは、知事、地域相談員及び広域専門指導員と連携し、この条例に基づく施策の実施に協力するよう努めるものとする。
第19条(職務遂行の原則)
① 広域専門指導員は、対象事案の関係者それぞれの立場を理解し、誠実にその職務を行わなければならない。
② 広域専門指導員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

第3節解決のための手続

第20条(相談)
① 障害のある人、その保護者又はその関係者は、対象事案があると思うときは、地域相談員に相談することができる。
② 地域相談員は、前項の相談を受けたときは、次の各号に掲げる措置を講じることができる。
1 関係者への必要な説明及び助言並びに関係者間の調整
2 関係行政機関の紹介
3 法律上の支援(民事上の事件に限る。)の制度に関するあっせん
4 関係行政機関への前項の相談に係る事実の通告
5 虐待に該当すると思われる事実の通報
6 次条に規定する助言及びあっせんの申立ての支援
第21条(助言及びあっせんの申立て)
①障害のある人は、対象事案があると思うときは、知事に対し、調整委員会が当該対象事案を解決するために必要な助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをすることができる。
② 障害のある人の保護者又は関係者は、前項の申立てをすることができる。ただし、本人の意に反することが明らかであると認められるときは、この限りでない。
③ 前各項の申立ては、その対象事案が次の各号のいずれかに該当する場合は、することができない。
1 行政不服審査法(昭和37年法律第160号)その他の法令により、審査請求その他の不服申立てをすることができる事案であって行政庁の行う処分の取消し、撤廃又は変更を求めるものであること。
2 申立ての原因となる事実のあった日(継続する行為にあっては、その行為の終了した日)から3年を経過しているものであること(その間に申立てをしなかったことにつき正当な理由がある場合を除く。)。
3 現に犯罪の捜査の対象となっているものであること。
第22条(事実の調査)
① 知事は、前条第1項又は第2項の申立てがあったときは、当該申立てに係る事実について調査を行うことができる。この場合において、調査の対象者は、正当な理由がある場合を除き、これに協力しなければならない。
② 知事は、前条第1項又は第2項の申立てについて必要があると認める場合には、広域専門指導員に必要な調査を行わせることができる。
③ 関係行政機関の長は、第1項の規定により調査の協力を求められた場合において、当該調査に協力することが、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他公共の安全と秩序の維持(以下「公共の安全と秩序の維持」という。)に支障を及ぼすおそれがあることにつき相当の理由があると認めるときは、当該調査を拒否することができる。
④ 関係行政機関の長は、第1項の規定による調査に対して、当該調査の対象事案に係る事実が存在しているか否かを答えるだけで、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるときは、当該事実の存否を明らかにしないで、当該調査を拒否することができる。
第23条(助言及びあっせん)
①知事は、第21条第1項又は第2項に規定する申立てがあったときは、調整委員会に対し、助言又はあっせんを行うことの適否について審理を求めるものとする。
② 調整委員会は、前項の助言又はあっせんのために必要があると認めるときは、当該助言又はあっせんに係る障害のある人、事業者その他の関係者に対し、その出席を求めて説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
③ 関係行政機関の長は、前項に規定する出席による説明若しくは意見の陳述又は資料の提出(以下「説明等」という。)を求められた場合において、当該説明等に応じることが、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることにつき相当の理由があると認めるときは、当該説明等を拒否することができる。
④ 関係行政機関の長は、説明等の求めに対して、当該対象事案について事実が存在しているか否かを答えるだけで、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるときは、当該事実の存否を明らかにしないで、当該説明等の求めを拒否することができる。
第24条(勧告等)
① 調整委員会は、前条第1項に規定する助言又はあっせんを行った場合において、差別をしたと認められる者が、正当な理由なく当該助言又はあっせんに従わないときは、知事に対して当該差別を解消するよう勧告することを求めることができる。
② 知事は、前項の求めがあった場合において、差別をしたと認められる者に対して、当該差別を解消するよう勧告することができる。この場合において、知事は、前項の求めを尊重しなければならない。
③ 知事は、正当な理由なく第22条第1項の調査を拒否した者に対して、調査に協力するよう勧告するものとする。
④ 知事は、関係行政機関に対し第2項に規定する勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該行政機関の長に対してその旨を通知しなければならない。この場合において、当該行政機関の長が公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることにつき相当の理由があると認めて通知したときは、知事は、当該勧告をしないものとする。
第25条(意見の聴取)
知事は、前条第2項又は第3項の規定による勧告をする場合には、あらかじめ、期日、場所及び事案の内容を示して、当事者又はその代理人の出頭を求めて、意見の聴取を行わなければならない。ただし、これらの者が正当な理由なく意見の聴取に応じないときは、意見の聴取を行わないで勧告することができる。
第26条(訴訟の援助)
知事は、障害のある人が、差別をしたと認められるものに対して提起する訴訟(民事調停法(昭和26年法律第222号)による調停、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第275条第1項の和解及び労働審判法(平成16年法律第45号)による労働審判手続を含む。以下同じ。)が第23条第1項に規定する助言又はあっせんの審理を行った事案に係るものである場合であって、調整委員会が適当と認めるときは、当該訴訟を提起する者に対し、規則で定めるところにより、当該訴訟に要する費用の貸付けその他の援助をすることができる。
第27条(貸付金の返還等)
前条の規定により訴訟に要する費用の貸付けを受けた者は、当該訴訟が終了したときは、規則で定める日までに、当該貸付金を返還しなければならない。ただし、知事は、災害その他やむを得ない事情があると認めるときは、相当の期間、貸付金の全部又は一部の返還を猶予することができる。
第28条(秘密の保持)
調整委員会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

第3章推進会議

第29条(設置)
①  県は、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすため、障害のある人及びその支援を行う者、次条第1項に規定する分野における事業者、障害のある人に関する施策又は人権擁護に関し専門的知識を有する者並びに県の職員からなる会議(以下「推進会議」という。)を組織するものとする。
② 推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が定める。
第30条(分野別会議)
① 推進会議に、次の各号に掲げる分野ごとの会議(以下「分野別会議」という。)を置くものとする。
1 福祉サービス、医療及び情報の提供等の分野
2 商品及びサービスの提供の分野
3 労働者の雇用の分野
4 教育の分野
5 建物等及び公共交通機関並びに不動産の取引の分野
② 分野別会議は、次の各号に掲げる事項に関し協議を行うものとする。
1 前項各号に掲げるそれぞれの分野における障害のある人に対する差別の状況についての共通の認識の醸成に関すること。
2 前項各号に掲げるそれぞれの分野における障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための、構成員によるそれぞれの立場に応じた提案に基づく具体的な取組に関すること。
3 前号に規定する取組の実施の状況に関すること。
4 調整委員会と連携して行う、前項各号に掲げるそれぞれの分野における差別の事例及び差別の解消のための仕組みの分析及び検証に関すること。
③ 分野別会議の構成員は、基本理念にのっとり、相協力して障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための取組の推進に努めなければならない。

第4章 理解を広げるための施策

第31条(表彰)
① 知事は、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすため、基本理念にのっとり、県民の模範となる行為をしたと認められるものについて、表彰をすることができる。
② 知事は、前項の表彰をするに当たっては、調整委員会の意見を聴かなければならない。
③ 地域相談員及び広域専門指導員は、第1項の行為をしたと認められるものを知事に推薦することができる。
④ 知事は、第1項の表彰をした場合は、その旨を公表するものとする。
第32条(情報の提供等)
知事は、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすための民間の取組について、県民への情報の提供その他の必要な支援をすることができる。

第5章 雑則

第33条(条例の運用上の配慮)
この条例の運用に当たっては、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第1項に規定する委員会及び委員の独立性並びに市町村の自主性及び自立性は、十分配慮されなければならない。
第34条(関係行政機関の措置)
関係行政機関は、この条例の趣旨にのっとり、公共の安全と秩序の維持に係る事務の執行に関し、障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第35条(委任)
この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第36条(罰則)
第19条第2項又は第28条の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。


附則略。
毎日新聞社会部副部長 野沢和弘著「条例のある街 障害のある人もない人も暮らしやすい時代に」(ぶどう社、22007)は必読です。(黒)
# by open-to-love | 2007-04-27 22:41 | 障害者差別をなくす条例 | Trackback | Comments(0)

特別障害給付金

学生無年金障害者裁判によって生まれた特別障害給付金

 特別障害給付金制度は、2005(平成17)年から始まった。「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」という名が示すように、無年金者の一部(学生、主婦等)を特定しての給付である。「学生無年金障害者裁判」では、国が国民年金の改正を怠ったのは立法不作為であるとする違憲判決が東京地裁、新潟地裁でも相次いで出された。これらに対応して国会が立法化へ動き、創設されたもの(平成16年12月10日法律第166号)であり、緊急避難的な制度という特徴と限界をもっている。

 制度の概要

 対象者:下記の①か②であって、国民年金に任意加入していなかった期間内に初診日があり、現在、障害基礎年金1、2級相当の障害に該当する人
     ①1986(昭和61)年3月以前の任意加入対象の主婦等
     ②1991(平成3)年3月以前の任意加入対象の学生

 支給額:1級:月額5万円(2級の1.25倍)、2級:月額4万円
      請求の翌月からの支給(遡及なし)

 窓口:請求は市区役所・町村役場、審査・支給等は社会保険事務局(社会保険庁)

 必要書類:障害基礎年金請求と同じ。加えて、在学証明書などが必要

 費用負担:全額国庫負担

 不服申し立て:国民年金法に基づく処分であり、二審制(社会保険審査官、社会保険審査会)


当面の課題、今後の課題

①手続きは障害基礎年金とほぼ同じで、そのうえ、かなり以前の初診日の確認、在学証明書など必要書類を整える難しさは倍加している。制度開始の2005年4月を例にとれば、全国の照会件数2万4000件、正規に受理されたのは1600件という数字がそれを表している。なかでも、初診日の確認の困難性は当然予想されており、社会保険庁は初診日の確認が書類上できない場合は、「初診日当時の状況を把握している複数の第三者各々の証明」があればと柔軟な、しかしあいまいな見解を示している。これをいかに実効性のあるものにするかが当面の問題である。

②対象から外されている在日外国人、在外邦人、夜間部の学生の問題など、緊急避難適性度であるため課題は多い。さらに、低額であることの問題は深刻で、今後この制度をどういう方向に発展させるか、現実に根ざした取り組みが当事者、関係者にも求められている。(池末美穂子)

「精神保健福祉白書2006年版 転換期を迎える精神保健福祉」
(精神障害者社会復帰促進センター・財団法人全国精神障害者家族会連合会・精神保健福祉白書編集委員会編、中央法規、2006年1月10日発行=26、27ページ)
第1編 解説編 第1部 トピックス
# by open-to-love | 2007-04-27 09:24 | 特別障害給付金 | Trackback | Comments(0)

全家連の活動の報告

 財団法人全国精神障害者家族会連合会 平成19年度臨時評議員会の議案書に添付されていた文書です。全家連としての公式見解と思われます。いずれ、最後のぜんかれん誌に、もっと詳しい経緯が掲載されるのでしょう。


 全家連の活動の報告(2007年4月17日)

 (1)家族会全国組織の発足
 精神障害者の家族会は、1960年頃より大病院で始められ、次第に各地域に広まっていった。1964年、ライシャワー米大使刺傷事件が発生、精神障害者に対し監視を強める法改正の動きに精神医療界は反対運動を展開、家族会も同調した。精神衛生法改正についても陳情活動を続ける中で、全国組織結成の機運が芽生え、1965年、全国精神障害者家族連合会(全家連)が設立された。(本年で42年目)

 (2)啓発活動・請願運動
 ライシャワー事件が起こる前年、米国ではケネディアメリカ大統領が、米国議会に「精神病及び精神薄弱に関する教書」を提示し、精神障害者の隔離収容策から地域ケアへの転換を国策として進めていた。しかし、わが国では、同事件発生後、入院施設の増強を図り、入院患者数が増え続ける事態になる中、忌まわしい宇都宮病院事件が発生する。
 このような精神障害に対する無理解・偏見に対し、全家連は家族の思いを込めて、偏見解消への啓発(カーター元アメリカ大統領夫人の招聘など)、医療制度の改善(医療費負担軽減ほか)、福祉施策改正への要求(精神保健法、精神保健福祉法への改正)等の活動を幅広く展開し、わが国の精神保健福祉制度の向上に努力し続けてきた。

 (3)本部ビルの建設
 法改正により社会復帰施設が認められる時代を迎え、そのモデル施設や活動拠点を確保したい要望が高まる中、家族(中村友保・千恵子ご夫妻)から用地の提供(約4億円)があり、建設資金を工面して1990年、東京・台東区下谷に地下1階地上7階建ての本部ビル(恵友記念会館)を完成させることができた。そこに本部事務局、研究所、通所授産施設、共同作業所が入居した。

 (4)ハートピアきつれ川の建設
 少しづつではあるが、精神障害者への理解が進む中、厚生省の中で「少し夢のある事業、例えば自然の中で精神障害者や家族が温泉でくつろげるような施設があってもいいなという構想」が生まれ、打診を受けた全家連は、厚生省が支援してくれるならばということで趣旨に賛同した。保養所の運営業務を当事者達が訓練を受けながら担当する入所・通所授産施設と組み合わせることで先進的な社会復帰施設を目指し、土地も温泉のある栃木県喜連川町の県有地を選んで、事業は動き出した。しかし、20億円の建設費の調達は難航し、計画の見直し論も出たが、国、栃木県、日本財団の補助金12億円と家族、産業界(経団連・製薬メーカーなど)の募金8億円の見込みで再スタートした。しかし、バブル崩壊後の不況で産業界の寄付は集まらず金融機関からの多額の借入金が発生した。(実建設費20・5億円の内訳:国9・2億、栃木県0・5億、日本財団1・7億、家族会1・1億、社会福祉医療機構の借入4・5億、みずほ銀行の借入3・5億)そして借入金の返済は年6千万円にもなった。
 1996年、ハートピアきつれ川は竣工、開所し、以後多くの研修会等に利用されると共に、全国から集まる当事者達の社会復帰訓練施設の役割を果たした。

 (5)補助金流用の発覚と返還命令
 2002年11月、全家連は国等の補助金を交付目的外に使用しているとの新聞報道がなされ、直ちに補助金交付5団体(厚生労働省、福祉医療機構、高齢・障害者雇用支援機構、日本自転車振興会、日本財団)は過去5年分(一部は10年分)について補助金使用状況の立入検査に入った。
 その結果を基に、翌年(2003年)の春、5団体は補助金の不正流用について返還命令を出した。返還命令は3億8400万円プラス延滞金等で総額5億3900万円にのぼった。
 全家連は2003年度までは、年10億円前後の補助金を受けて精神保健福祉の向上に関する事業を行っていたが、その補助金の一部を使ったことにして一般会計に繰り入れ、借入金の返済などに使用したのである。なお立入検査では個人的な不正使用は認められなかった。目的外使用をした背景には、財政の厳しさがあり、その主因はハートピア建設時の借入金返済とハートピア運営の赤字補填であった。全家連の自己資金は会員の会費(約1億円)が主であるが、事業拡大に伴い増大する補助金のなかには人件費が認められない上、一部自己負担を強いられることもあり、財団の運営はもともと楽なものではなかった。

 (6)募金による組織の存続活動
 事件が発覚して直ちに全役員は辞任、新たな役員による新体制の下でこの難局をどう乗り切るか大問題になった。借入金の返済が続く上、返還金は高率な延滞金等(10・95%)が付く過酷なものである。財政的に破綻は避けられないとする一方で、このような事態になったのは国にも責任があり、救済策を講じるべしとの意見を表明される国会議員もおられ、議論は混沌とした。
 その頃、身体・知的障害福祉分野では、支援費制度の運用が始まったが、その適用を受けない精神障害福祉分野の関係者は余りの格差の大きさに危機感を募らせ、格差解消は精神障害福祉制度改正の重要な眼目となった。ところが運用開始間もなく、支援費制度の利用者は予想以上の数で予算が足りず、制度の存続が問題視され、障害者福祉制度の見直しは避けられない風潮となった。
 このような状況の中で、全家連がやるべきことをせずに消えてよいのか、あらゆる努力をして組織の存続を図り制度の改善に努めるべきではないかの検討がなされ、募金2億5千万円による多額返還と自己財源1千万円による長期返還を組み合わせた返還計画が立てられ、理事会、評議員会に諮られた。
 2003年10月23日に開かれた臨時評議員会は、全家連の命運を賭けて白熱の議論が交わされた。何らかの手を打たなければ解散は避けられず、財政は厳しいが存続の可能性を選ぶかどうかで採決した結果、賛成多数で募金による存続・再生が議決された。
 2004年9月末を目途に活動に入った募金は、目標額2億5千万円に対し7300万円に留まったが、債権者に対し極力誠意を尽くして返還し、不足分については猶予を願い、併せて加算金、延滞金の免除を申し出て認められた団体もあった。(募金は以後も継続し、家族会6640万円、全家連の再生を支える会1540万円、計8185万円)その後も返還金の免除、軽減のお願いを続けているが、3億8千万円もの返還残高は消えていない。
 2004年、厚労省はグランドデザイン構想を公表し、障害者福祉制度改革の方向を示した。
 全家連は、格差解消を図るため、3障害一元化を骨子とする基本案に賛成しつつ、医療費等負担増の軽減策を強く要望し、小松理事長は国会での意見陳述の機会に、精神障害者の実情を訴え、この点を明確に主張した。法案は2005年10月、障害者自立支援法として成立したが、政令で示された個人負担軽減策や施設運営費用には不満が続出した。全家連は他障害団体と連携し、国会や厚生労働省に運用策の見直しを求める運動を展開、作業所国庫補助110万円復活を含む1200億円の緊急緩和予算を獲得した。

 (7)全家連の財政状況
 有用な活動を続ける全家連ではあるが、巨額の返済金・返還金を抱えた現状について、国会議員や厚生労働省も憂慮し、救済策を模索する委員会を厚労省内に設けて検討を続けた。一時、ハートピアの国有化案も浮上したが、実現へのハードルが高く、救済策は混迷したままである。長期借入金は未だに5億4千万円もの残高があり、みずほ銀行の元金返済軽減契約は2007年3月末で期限を迎えた。流用補助金の返還義務を併せ、財務状況は行き詰まりを見せている。
 なお、全家連の再生に際し求められていた、ハートピアおよび都内福祉施設の運営事業切り離し作業は鋭意進められて、平成18年度中に別法人への移譲が実現されることとなった。

                                                        以上


 なお、評議員会は2007年4月17日、東京都中野区中野4の1の1、中野サンプラザ13階会議室で開かれました。
 そこでの報告事項としては

(1)福祉施設運営事業の移譲について
  通所授産施設「ZIP」→社会福祉法人あしなみ(平成19年4月1日より)
  共同作業所「かれん」→NPO法人えん(同)
  共同作業所「たいとう倶楽部」→NPO法人えん(同)
  入所・通所授産施設「ハートピアきつれ川」
                  →社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会(同)

(2)負債状況について(平成19年3月末現在)

  返還金について(厚労省等5団体)
 返還元金(384425991円)+加算金等(154436132円)=小計538862123円
 返還金確定(459882718円)-返還済み額(79107671円)=返還残額380775047円

  長期借入金について(3団体及び銀行)
 借入金(930000000円)→借入金残高546290000円

となっています。  
# by open-to-love | 2007-04-26 13:52 | 全家連 | Trackback | Comments(0)
「精神障害者は危険!」という根強い偏見に対する有効な反証を見付けました。「精神保健福祉白書」より、以下引用します。みなさん「危険」と言われたら、以下の数字を挙げて冷静に反論しましょう。

「精神保健福祉白書2006年版 転換期を迎える精神保健福祉」

第1編 解説編 第1部 トピックス

「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」

検討会の経緯・概要(特徴)

 厚生労働省からの第1回検討会の招集は2003年10月であり、以降5回にわたり、学習・調査・検討を重ね、2004年4月には報告書をまとめ、都道府県、市町村に送付という、いわば短期決戦型の検討会であった。この検討会の意図はその名称の示すとおりであるが、この種の検討会としては「初めて」という特徴が二つある。
 一つは検討会の構成員の立場が精神保健の分野中心ではなく、さまざまな分野にわたっている点。
 具体的には、新聞社・広告会社・市町村・一般企業・教育・労働組合・福祉施設等の関係者、エッセイスト・漫画家・精神科医・看護職・PSW・当事者・家族と、20人の構成員の分野(立場)が実に十数種に及んでいることである。あらゆる機会を通して精神疾患の理解・啓発を幅広く進めたいという、検討会の設置意図の表れとのことであった。
 もう一つは、報告書が単なる机上の「あるべき論」に終わらぬよう工夫してある点である。
 すなわち、後述の八つの柱からなる指針「こころのバリアフリー宣言」とともに、指針の趣旨を実際どのように普及・啓発していくかという取り組みの方策について「主体別」に、かつ、具体的な取り組みの先進事例を紹介しつつ言及していることである。
 ここで「主体別」とは、普及・啓発に取り組むのは誰か。つまり、どの分野での取り組みなのかということ。報告書ではこれらの分野別に取り組みの方向性を示唆しているが、このことは、一歩あるいは半歩踏み込んだ試みといえよう。

報告書「精神疾患を正しく理解し新しい一歩を踏み出すために~こころのバリアフリー宣言」の内容

 報告書は以下の三つのポイントを軸に構成されているので、それに従って概説する。
①普及・啓発の基本的方向性
 偏見の温床であった精神疾患に対する古い認識を改め、現状を「正しく」理解し、「態度を変える」こと。要約すると精神疾患は「誰もがかかり得る」「治療により軽快・治癒する」「代表的な精神疾患の一つである統合失調症も生活習慣病と同様に、継続的治療や支援によって長期的安定を図れる」こと、その認識が基本になることを強調している。
 「態度を変える」ことはいうまでもなく、偏見を改めることであるが、そのための具体的材料として、報告書では「精神障害者は危険」という漠然としたとらえ方にきちんとした数値を提示して次のように反論している。「精神障害者の全人口に占める割合は少なくとも約2%であるが、平成14年度犯罪白書によれば、刑法犯の全検挙者中、精神障害者の占める割合はわずか0・6%にすぎない。これは(統計の数値を基にして)別な見方をすれば、犯罪行為に及ぶようないわゆる〝危険な精神障害者〟は精神障害者全体のわずか0・1%、精神障害者の1000人に1人であり、これに対して、精神障害者を除く人が検挙される割合は人口の100人に1人である。これだけを見ても、〝精神障害者はみな危険〟という認識は、明らかに誤りである」

②「こころのバリアフリー宣言」(八つの柱)
 ○△宣言というと、とかくお題目の羅列で終わりがちだが、本報告書ではなるべくそうならぬよう「あなた」(個人)への呼び掛け・問い掛けの形と「一般」向けのメッセージとに分ける工夫をしている。表現もわかりやすく親しみやすさに意を用いたことはもちろんである。

【あなたは絶対に自信がありますか、心の健康に?】
第1:精神疾患を自分の問題として考えていますか(関心)
第2:無理しないで、心も身体も(予防)
第3:気づいていますか、心の不調(気づき)
第4:知っていますか、精神疾患への正しい対応(自己・周囲の認識)

【社会の支援が大事・共生の社会を目指して】
第5:自分で心のバリアを作らない(肯定)
第6:認め合おう、自分らしく生きている姿を(受容)
第7:出会いは理解の第一歩(出会い)
第8:互いに支えあう社会づくり(参画)

③バリアフリー宣言の趣旨の普及方法
 普及方法は冒頭に述べた「主体別の取り組み」と「先進事例の紹介」がポイントである。「主体別」については、(1)当事者(本人・家族)、(2)保健・医療・福祉関係、地域活動関係、(3)雇用・教育関係、(4)行政・メディア関係の4主体に分け、それぞれについて、内部=同業者・同僚向けと、外部=地域社会・市民向けの場合分けをして取り組みの方向性に言及している。主体がメディアの場合を例にすると、内部的には「報道関係者の理解を深める・当事者とのふれあいなどを通しての共感の醸成・普及効果を高めるための工夫をする」となっており、外部的には「メディア自らが普及・啓発に主体的に取り組む」となっている。
 「先進事例」については、「施設コンフリクトを解決」したものとして大阪市の総合的社会復帰施設「ふれあいの里」や苫小牧市の援護寮「遊友荘」の事例など、さまざまな形での啓発的取り組みが紹介されている。(中井和代)

(精神障害者社会復帰促進センター・財団法人全国精神障害者家族会連合会・精神保健福祉白書編集委員会編、中央法規、2006年1月10日発行=12、13ページ)
# by open-to-love | 2007-04-26 12:15 | 差別 偏見 スティグマ | Trackback | Comments(0)

幻聴さん明るく告白

べてるの家 幻聴さん明るく告白

 横浜市の公会堂で開かれた講演会。客席は立ち見が出る盛況ぶりで、北海道浦河町からやってきた主役たちに、熱い視線が注がれていた。テーマは「幻聴・妄想を抱えながら地域で暮らすまで」。清水里香(37)が壇上のメンバーを代表して自己紹介した。「私たちは“自分の専門家”です」
 襟裳岬に近く、サラブレッドの産地として有名な浦河町。人口約一万五千人の過疎の町に、精神障害を抱える人々の活動拠点「浦河べてるの家」はある。メンバーは毎週のように各地の集会やシンポジウムに招かれ、自身の症状や対処法を伝える「病気の語り部」だ。

 職場でいじめ

 一九七八年、浦河赤十字病院精神科を退院した患者らが、ソーシャルワーカー向谷地生良(51)と回復者の会を始めたのがきっかけ。現在、約百五十人のメンバーが活動し、コンブの袋詰めや紙おむつの宅配などの事業でグループ全体の年商は一億円を超える。
 清水は大学卒業後、栃木県でスーパーに就職、職場でいじめに遭い“サトラレ”になった。頭の中に浮かんだ言葉や考えが、全部周囲に伝わってしまうと感じる、思考伝播(でんぱ)と呼ばれる統合失調症の症状だ。病気と思えず「エスパーになってしまった」と悩んだ。
 いじめる人たちの幻聴にいつも頭の中を監視され、自宅に七年間引きこもった後、七年前に浦河にやってきた。
 べてるでは毎日のようにメンバーが自らの苦労や悩みを語り合い共有する。そこから「三度の飯よりミーティング」「弱さをきずなに」など多くの基本理念が生まれた。
 人とのかかわりを絶つことで「自分を精いっぱい隠していた」清水にとって、そこは「仲間が気持ちを分かってくれるだけで安心できる」場所だった。これまで打ち明けられなかった思いがあふれ出し、「こんなに伝えたいことがあったんだ」と自分でも驚いた。
 精神障害の当事者が症状のことを語ったり、聞いたりするのは長い間タブーとされてきた。向谷地は「そんなタブーをひそかに変革し、破ってきたのが、べてるの歴史なんです」と振り返る。

 前首相と恋仲

 「浦河では、彼らに『大切な経験をしてきたね』って伝え、みんなで分かち合う。そうすることで仲間に必要とされ、一人じゃないんだと思える安心感が生まれる。そんなシンプルなことを、愚直に繰り返してきた」
 べてるでは幻聴のことを「幻聴さん」と呼び、毎年、最も際立った体験をしたメンバーを表彰する「幻覚&妄想大会」が盛大に開催される。昨年のグランプリは統合失調症“ドラマチックタイプ”の自己病名を持つ千高のぞみ(27)だ。「小泉純一郎首相の幻聴さんと恋仲となり、激しい恋に身を焦がした」のが主な受賞理由。数年前から小泉前首相の声の幻聴が聞こえ、ついには身体の半分が裂けて、首相官邸に会いに行ってしまうという妄想がやって来た。
 世界平和の願いと看護師への恋が重なり、なぜか妊娠を経験してしまったという大会委員長の松本寛(34)は「若手の台頭により、自分の存在が危ぶまれてます」。会場は、爆笑の連続だ。
 清水はべてるに来て「幻聴さんが聞こえることは、それほどの悩みじゃない」と思うようになった。「それよりも、幻聴さんを抱えながら、どうやって豊かに生きるかの方がずっと大事だから」

 サトラセたい

 現在、べてるが力を入れているのが「当事者研究」だ。メンバー同士が研究者の視点で自身の症状の対処法やメカニズムを探る“世界初”の試み。清水と同症状の吉野雅子(25)は、研究で「サトラレは“サトラセ”だった」と結論づけた。
 家族や周囲とうまくコミュニケーションがとれず、高校二年で発症。二十一歳で浦河に来て、初めて自分を語り始めた。
 仲間との研究で見えてきたのは、絶対的孤立感の中で「本当は自分のつらさに気付いてほしい。人とつながっていたい。自分の存在を“サトラセ”たい」という切実な願望だった。吉野は今、「わたしは病気を語ることで生まれ変われた。同じ悩みを持つ人が少しでも楽になれば」と各地の講演で経験を伝えている。
 べてるには毎年、精神障害の当事者や家族、研究者ら約二千五百人が見学に訪れる。その姿は「聖地」に光を求める巡礼のようだ。だが、吉野は言う。「誰かに自分の弱さを話すことができたら、そこに『べてる』はできる」(敬称略)
(文・写真・多比良孝司 グラフィックス・安藤 大輔=共同通信)

脱収容の動き広がる 「べてる」国内外が注目

 精神科病院など施設への収容中心の体制から、地域で暮らす環境づくりへ。欧米で一九七〇年代に進められた精神障害者の“脱施設化運動”の影響を受け、日本でも各種授産施設、生活支援センターなどの「精神障害者社会復帰施設」や、共同生活を営む「グループホーム」が年々増えている。
 地域に根差し、複数の授産施設やグループホームを運営する「浦河べてるの家」は、こうした動きとともに国内外の注目を集めている。全国精神障害者団体連合会(会員約五千人)は昨秋、全国大会を浦河町で開催、約七百人がべてるの活動報告に聞き入った。理事長山口光雄(66)は「多くの困難を抱えながら、町に溶け込み、積極的に活動するバイタリティーを学びたい」と話す。
 米エール大大学院助教授の中村かれん(36)は、これまで数度べてるを訪れてドキュメンタリーフィルムを作製、米国各地で上映会を開いている。
 米国では脱施設化の一方で、地域の受け皿がなく、精神障害者のホームレス問題が顕在化しているという。中村は「べてるはコミュニティー性が強く、病気をマイナスにとらえず元気に表舞台に出ている。米国にもない『べてるスタイル』を紹介したい」と話す。
 べてるについては数多くの関連書籍が出版される一方、メンバーもそれぞれが自身の症状の研究成果を「べてるの家の『当事者研究』」(医学書院)にまとめている。
(2007年4月3日付岩手日報夕刊特集面「光が見える―再生への助走」⑬=共同通信の配信記事)
# by open-to-love | 2007-04-25 21:54 | べてるの家 | Trackback | Comments(0)
幻聴さんと付き合おう 弱みを公開すれば仲間が助ける

 本人優先、知恵浮かぶ 前向きに地域とともに

 統合失調症など精神障害を抱える人たちは、幻聴などに基づく行動が社会生活でトラブルを引き起こすことが多い。このため、当事者は病気を隠し殻に閉じこもりがち。そんな中、障害を隠さず地域と共生する北海道浦河町の社会福祉法人「浦河べてるの家」のメンバーがこのほど、花巻市の東和総合福祉センターで講演。「幻聴さん」とともに前向きに生きようと呼び掛けた。
 講演会は花巻市社会福祉協議会の指定障害者相談支援事業所あけぼのが主催し、県内外の約二百六十人が参加。講師は、浦河赤十字病院ソーシャルワーカーとして一九八四年、精神障害を持つ当事者らとべてるの家を創立した向谷地生良(むかいやちいくよし)さん(現北海道医療大看護福祉学部教授)と、当事者の下野勉さん、松本寛さんの三人。
 下野さんがギターの弾き語りで、べてるの家の歴史を紹介。ちょっとしたことで度々一一九番通報するうち「本当の火事で通報しても消防車が来ない…燃える燃える」。会場は爆笑だが、その歴史は笑えぬトラブル続出だった。
 人生何一ついいことなく「白旗しか揚げたことのないメンバーが一旗揚げよう」と取り組んだのが日高昆布の袋詰め販売。やる気も根気もない人たちの商売が今や過疎の町の一大産業に成長した。
 その秘訣(ひけつ)を、向谷地さんは「弱さの情報公開による助け合いの輪」と言う。「10メートルしか走れない人が100メートル走ろうとするから無理がある。10メートルしか走れないと『情報公開』すれば、仲間が助けに来る。10メートルずつバトンを確実に渡し続ければ、仕事が回る」
 幻聴は当事者によってさまざま。幻聴が聞こえたら、普通は即病院、投薬。ところが、べてるの場合はまず仲間に情報公開する。メンバーが集まり「幻聴さんはどんな人?」「何言ってた?」とワイワイ語り合う。「その人自身が持っている経験から生み出される知恵」を大切にし、対処法をみんなで考えることで、幻聴に振り回されなくなる。徹底した当事者主体の在り方が、メンバーの笑顔、地域との共生の根本にある。

 徐々に行動をコントロール 会場からも率直な声

 「言いたいことがあります」。講演会の後半、会場から声が上がった。予想外の展開だったが、向谷地生良さんは平然と「どうぞ壇上へ」。
 登壇したのは、精神障害を抱える花巻市の三人。病気のつらさ、人間関係の大変さ、少ない障害年金で生活する困難などを吐露した。「悪いことばかり考える。症状の一つかもしれないけど、前向きになれない…」
 重苦しい雰囲気を破ったのは松本寛さん。「昔は『親を殴れ』という幻聴が聞こえたら、忠実に親を殴っていた。でも(べてるの家に来てから)大事なのはどう行動に移すかだと気付いた」
 五歳ごろから幻聴が聞こえる松本さん。今も四六時中、幻聴の世界で罵声(ばせい)を浴びせられているという。
 松本さんを救ったのは、べてるの家で出会った仲間と、弱さを分かち合う日々だった。幻聴に対する行動をコントロールできるようになった。
 「まじめな行動を心掛けている。ごみを拾ったりとかね。落ちてなかったら、自分で捨てて拾う。そしたら運が向いてきた」
 苦しみを率直に語った花巻市の三人。そして、前向きに生きる努力をユーモラスに語る松本さん。会場から、それぞれに大きな拍手が送られた。
(2007年3月13日付岩手日報朝刊家庭欄)
# by open-to-love | 2007-04-25 21:50 | べてるの家 | Trackback | Comments(0)
弱さ認め 自分語ろう 「べてるの家」荻野施設長・盛岡で講演

精神疾患と向き合う 成果主義の社会に問い

 精神障害者が自らの幻聴、幻覚を率直に語る。弱さを認め合い、あるがままの自分を見詰める。自分たちで商売に乗り出す―。北海道浦河町の「浦河べてるの家」は、こうした取り組みを二十年以上積み重ね、地域と共生するモデルケースとして全国的に注目されている。べてるの家理事兼施設長の荻野仁さんがこのほど盛岡市内のホテルで講演。「べてるの家の実践は、障害者の在り方のみならず、新しい社会の在り方」と語った。
 講演は県精神障害者家族会連合会(荒木田次郎会長)主催の自立支援法研修会の一環。当事者の家族や一般市民ら約百三十人が参加。演題は「当事者活動 私の体験記 なにがあっても順調」。
 荻野さんは一九五五年同町生まれ。地元高校を卒業し東京の大学の法学部に進み弁護士を志したが「十年間頑張り挫折した。目標が高すぎた」。
 司法試験をあきらめ民間企業に就職するが、価値観の違いで適応できない。職を変わるうちに、現実と理想のギャップから統合失調症になった。
 「寝床の天井に監視カメラがあり二十四時間監視されている、買い物に行こうとしても誰かが見張りしているという妄想に襲われ、一歩も外に出られなくなった」
 九五年、東京での生活をあきらめ浦河町に帰郷。実家で両親と一緒に生活していたが、症状は収まらず暴力的な行動を取り「出口のない状況」に。精神病院で投薬治療を受け、べてるの家の活動に参加した。
 べてるのモットーは「手を動かすより口を動かせ。三度の飯よりミーティング」。仕事よりコミュニケーションを大切にし、悩みを分かち合う日々。東京での孤独な生活で発病した荻野さんは、こうして社会との「関係を回復」した。
 べてるの家では「当事者研究」が盛んだ。仲間とともに、自分の言葉で病気と対処法を考える。専門家は脇役にすぎない。荻野さんが自分の病気に付けた名前は「逃亡失踪(しっそう)症。都合悪くなると逃げるから」だそうだ。
 施設長という管理職の立場に「同じ職場にいる健常者スタッフを指導する立場。障害者という負い目からストレートにものを言えない。どうスタッフを動かしたらいいのか、日々悩んでいる」。自分の弱さから逃げない。
 「べてるに行けば何とかなる」と、全国から訪れる当事者や親が絶えない。共通しているのは、症状以上に、地域の閉鎖性に苦しんでいることだという。家を建て住み着く人が何人もいる。「異質な者を排除する日本人のメンタリティーが問題。許容していく豊かさがそれぞれの地域にあれば、統合失調症患者も救われるんじゃないか」
 統合失調症の原因は、脳内神経伝達物質ドーパミンの大量放出とされる。荻野さんは「それに対処することが解決だろうか。大量に放出される社会の在りようが問題ではないか。健常者を業績と成果主義に追い立てる日本で、精神疾患は国民的課題だ。べてるの家は新しい社会の在り方を提示している」と強調する。

障害隠さず地域密着

 浦河べてるの家は、人口約一万六千人の北海道浦河町にある。一九八四年四月、浦河赤十字病院を利用する精神障害者とソーシャルワーカーらで開設。「べてる」は旧約聖書に出てくる地名で、「神の家」の意味。当事者性を尊重し、障害を包み隠さず、数々のトラブルを乗り越え地域に根付いている。
 「商売しよう」と、町内のキリスト教会で五人のメンバーによる日高昆布の袋詰め作業からスタート。現在は小規模通所授産施設二カ所、グループホームと共同住居各三棟、地域交流の場「四丁目ぶらぶらざ」など展開。二〇〇一年、社会福祉法人になり、年商一億円を超える。
 メンバーが実名で登場し自らを語るビデオ「精神分裂病を生きる」などで注目を集め、〇二年の世界精神医学会横浜大会ワークショップではメンバーが実践報告した。
 見学者が後を絶たず、昨年度は二千人を超えた。斉藤道雄「悩む力」(みすず書房)、横川和夫「降りていく生き方」(太郎次郎社)など、べてるの家に密着した著作も多い。(2006年9月14日付岩手日報朝刊家庭欄掲載)

関連記事 トークネット

共生は逆転の発想で  新里 耕一さん

 ○…精神障害者の社会復帰促進が叫ばれる昨今。「偏見差別大歓迎」をキャッチフレーズに自らの障害を包み隠さず、数々のトラブルを乗り越え地域と共生してきた北海道浦河町の「浦河べてるの家」の施設長が、このほど盛岡市内で講演した。
 主催した県精神障害者家族会連合会事務局長の新里耕一さんは「精神障害者の場合、病気であり障害であるという二重の困難が苦しみの中にあるが、べてるの理念は逆転の発想。マイナス面を表にさらけ出してプラスに変えている」と、大いに感じ入った様子。 統合失調症の新薬開発が進む中、社会のストレスは増大。「わが子の精神疾患に苦しむ家族は、これからもどんどん出てくるだろう」。理想郷としてのべてるの家、一方に本県の現状。あまりにかけ離れた彼我の差…。
(9月21日付岩手日報朝刊家庭欄掲載)
# by open-to-love | 2007-04-25 21:46 | べてるの家 | Trackback | Comments(0)
スロー・キュア ナチュラルハウスは、盛岡市内丸の岩手日報から見える、マクビの店です。精神障害者の小規模作業所でもあります。経営者の坂本有さんが、岩手日報に登場しましたので、紹介します。

「マクロビオティック 献立に“一味” 植物性たんぱく利用して

 乾物大豆は肉の食感 低脂肪で低カロリー

 穀物と野菜を中心とした食事で、体本来のバランスを取り戻そうと説く「マクロビオティック」。ダイエットなどとの関連で注目されているが、肉を控えた食事では献立に行き詰まりそう―。そんなときは、大豆や小麦から作った植物性たんぱく食品を上手に利用してみよう。盛岡市内丸でマクロビオティックに基づく料理を提供しているレストラン「スロー・キュア ナチュラルハウス」の坂本有さんに、食べ方などを教えてもらった。
 乾物の大豆たんぱく食品は肉に近い食感が楽しめる。坂本さんによると、料理するときは「しっかり水で戻し、しっかり味付けする」のがコツだ。
 たっぷりの水に一晩つけて戻すと、香ばしい香りがする。メーカーなどにもよるが「戻し時間が短かったり湯を使うと、においや歯ごたえがもの足りなくなる」そうなので要注意。これをぎゅっと絞って、水を切る。
 例えば空揚げなら、ここに直接、ショウガの絞り汁や各種のスパイス、しょうゆなどを振り掛け、しっかりともみ込んで味を付ける。やや濃いめぐらいがちょうどいい。小麦粉も加えてもんだら適温の油の中へ。
 カラリと揚がった大豆たんぱくは中が軟らかく風味も豊か。鶏の空揚げと同様、立派に主菜になる。
 「大豆たんぱく食品はそれ自体からけっこうだしが出るので、大根などと炊き合わせると、しょうゆだけの味付けでもおいしい」という。煮物、炒め物など、幅広く使える。
 煮物に使うことの多い高野豆腐や、小麦たんぱくの車麩(くるまふ)なども、油を加えるとよりおいしくなる、と坂本さんは勧める。「揚げたレンコンなどと一緒に高野豆腐を煮るとこくが出る。男性にも喜ばれます」。ときには揚げ煮やフライにしてみるのもいい。
 いずれも低脂肪、低カロリーが期待できる食材。高野豆腐はおろし金ですりおろせば、そぼろのように使うことができる。車麩はだし汁で戻し、戻し汁をこして煮汁などに利用すると一層おいしく、無駄もない。
 食べ方は工夫次第でいくらでも広がりそう。アイデアを生かし、食卓に取り入れてみては。

 マクロビオティックとは 教育者・哲学者の桜沢如一(ゆきかず)さん(一八九三―一九六六年、京都府出身)が提唱した自然食中心の食事法。食養ともいう。身土不二、穀菜食、全体食を原則とする。近年、健康志向から日本の伝統食が見直される中、ダイエット効果があり海外の著名人も実践しているなどと紹介され、話題となった。
(2007年3月20日付朝刊家庭欄)
# by open-to-love | 2007-04-25 21:26 | スローキュアナチュラルハウス | Trackback | Comments(0)
ハートピュア盛岡(盛岡市)

障害者の復帰 促進する場に

 ハートピュア盛岡は、精神障害者の社会復帰を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)。盛岡市内で製品販売店と福祉作業所、二カ所のグループホームを運営している。
 製品販売店「ふれあいショップ風の又三郎」には、県内各地の施設のアクセサリーや手芸品、せっけんなどが並び、売り上げの一部が収入になる。名称は、宮沢賢治の奉仕の心に習いたいと、代表作から取った。
 二階には福祉作業所があり、現在二十三人が通う。作っている製品は、ダンベルに似た高齢者の健康器具「玄米ニギニギ棒」など。手芸品なども製作している。
 同NPO法人は、もとは二〇〇一年設立の任意団体「ハートピュアを共に歩む市民の会」。今年六月のNPO法人化後は、福祉作業所に委託される仕事が増えた。
 しかし安定して作業があるという状態ではなく、同作業所の杉村景弘所長は「いつも作業があるとありがたい。仕事を探している」という。
 ほかに二カ所のグループホーム「フレンドピュア」(定員五人)と「憩の家」(同四人)を運営する。精神障害者が仲間と生活を共にし、社会復帰に向けた準備を行う場となっている。
 同会の千葉健一さんは「厚労省は精神障害者の社会参加の方針を打ち出しているが、受け入れ先は乏しく、退院しても自宅で閉じこもる例が多いのが実情。共同生活と仕事を続ける中から、社会復帰を促進したい」と話す。
 グループホームは、開所からの半年で二人が自立し、アパートを借りた。自立はスタッフにとっても大きな喜びとなっている。
 精神障害者家族会会員の川村キヌ理事長は「以前自分でグループホームを建てた時に、入居者が『自分の座る場所ができた』と喜んでくれたことがうれしかった。障害を持つ人が引け目を感じずに自信を持って生きていけるような社会になってほしい」と願う。
 同NPO法人は、市民と連携した精神障害者の社会参加を目指している。まだ具体化はしていないが、草取りや掃除など、地域の人たちのために奉仕することで、活動を広げていくことが今後の目標という。

【メモ】 ハートピュア盛岡 福祉作業所兼ふれあいショップ「風の又三郎」は盛岡市緑が丘3丁目1の1。電話019・662・6699。月―土曜の午前9時半から午後5時まで開店し、県内各地の授産施設や障害者作業所の製品を販売している。(2005年11月20日付岩手日報朝刊 日曜広場「岩手のNPO」第110回)

千葉さんは盛岡市議で、今回の市議選でも当選しました。第30回記念岩手県精神障害者家族大会盛岡大会の実行委員長です。
# by open-to-love | 2007-04-25 21:09 | 地域活動支援センターetc | Trackback | Comments(0)