精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:家族会長会議講演( 10 )

家族会ネットワークをつくろう! -「盛岡ハートネット」の活動を通じて- 下
(2008年2月8日 県精神障害者家族会長会議資料に加筆、再編)

5-付記 家族会長会議での質疑応答を通じて

本小論は2008年2月8日、盛岡市繋のホテル紫苑で開かれた岩家連家族会長会議のゲストとして、奥州市家族会連合会事務局長と、「盛岡ハートネット」事務局の私が招かれた際、発表資料として配付したものです。
会議には、県内各地の単位家族会長約20人が参加。奥家連とハートネットがそれぞれ取り組みを発表したほか、各家族会の活動報告もありました(ブログ「岩家連」のカテゴリーに「2007年度岩家連家族会活動報告(2007年度岩家連家族会長会議資料)」として収録しています)。
会議は午後3時から5時まで2時間。私は初参加でしたので以前の会議の様子は知りませんが、参加者からは活発な意見や質問が飛び出し、おそらくは近年まれに見る白熱の会議だったかと思います。岩家連の現状に対する私の批判と問題提起、それに対し「ここまで書かれて(言われて)黙ってられっか!」とやおら立ち上がった岩家連事務局長の新里進さんの口ぶりから、私と新里さんとの間で感情的な対立が生まれたと受け取られた向きもあるかもしれません。でも、心配なさらないでください。諸先輩が30年間にわたり築いてきた岩家連を受け継いでいくため、どうすべきかを考える上で、私は私なりの解決策を示し、新里さんは30年積み上げてきた熱い思いを吐露した。そういうことです。
会議終了後、家族会長のみなさんは宴会へ。私は自宅に戻って家事を済ませ、大急ぎで再び会場へ。…が、宴会はすでに終わり、みなさん既にホテルの部屋へ。新里さんの部屋をたずねると、やっぱり、新里さんはワンカップをかっぽかっぽと飲んでおりました。
それから、新里さんは再び、自分がどれほどの苦労をして岩家連をつくってきたか、縷々語りました。県内市町村あまねく回って、精神障害者がいる家庭を一軒一軒訪ね、家族会結成を呼び掛け、自腹で全家連大会に参加し、家族会ニュースを1人で130号まで書き続けたこと。精神科医を講師に招いた講演会を主催し、集まった多くの家族に「家族会に入ってください」と呼び掛けたものの、さーっとみんな帰ってしまったこと。それでも地道に呼び掛けを続け、少しずつ会員が増えてきたこと。毎年県内各地で県精神障害者家族大会を開き、県や市町村と折衝をし…。退院後の当事者のため、これまた身銭を切って作業所を立ち上げ、1994(平成6)年に作業所補助金が出るまで指導員に月3、4万円しか給料を払えず、作業所から一般就労へメンバーを送り出したが、ただの1人として実現せず、ボロボロになって帰ってきて、引きこもって…。と同時に、バスをチャーターし岩手から大挙して全家連大会に参加し、帰途は観光をしたり、温泉に入ったりと楽しい旅行をした思い出話も。
ようやく精神障害に対する社会の理解が進み、県内各地に作業所ができてきたと思ったら、今度は自立支援法の施行で利用者の1割負担が導入され、利用者が作業所を辞め…。
そして、新里さんは言いました。「黒田さんは、オレらが30年前にやってきたことを、またやろうとしている」。そうかもしれません。でも、やっぱりそれは違います。私たちは新たに一から何かを始めよう、というわけではないからです。新里さんたちがやってきたことの上に乗っかって、地域ネットワークをつくろうとしているだけなので、30年前に比べれば、はるかに楽なのです。私は岩家連に入ってたかだか2年。今よりはるかに差別と偏見があった当時の苦労、想像も付きません。そして、そうして文字通り血と汗と涙で築き上げてきた岩家連、そこに注いできた新里さんたちの苦労が、今、会員の高齢化によって崩れ去ろうとしている現状に危機感を感じ、そしてさらに、岩家連の危機によって、まだ支援の手から遠く離れ引きこもっている無数の家族がつながる手立てを奪われることがあってはならないと思い、できることから始めようと思っているだけなのです。
午前零時を回るころ、「じゃ、そろそろ」と部屋を出ようとした際、新里さんに握手を求められました。80歳とは思えぬ力強さ。固く握手を交わし、別れました。
 
さて、家族会長会議の場、あるいはその後ロビーでタバコ吸ってるときとかに寄せられた質問と、その答えを以下、まとめました。参考にしていただけたら幸いです。

Q.盛岡ハートネットの交流会の会場だが、ふれあいランドとか駐車場のあるところでできないのか?
黒田「すいません。今参加しているメンバーの中心は、盛岡市内の女性ですが、車がない人もいるので、バスの便を考え、なるべく市中心部に設定しています。盛岡市福祉総合センターにはちょっとだけ駐車場がありますが、プロジェクターがないという欠点があります。現在はパソコンを使って発表するケースが多いのですが、市の福祉センターにプロジェクターがないというのは、信じがたいことです」
Q.平日の昼間だと参加できない。土日とか夜はできないか?
黒田「主婦の場合、夜は厳しいです。私自身、家事と育児がありますんで…。いずれ、参加者の一番来やすいのが平日の午後なんですが、それだと作業所関係の人や、昼間稼いでいる人は来れない。会を重ねたら、そのうち土日や夕方以降にも会を開いてみたいと思います」
Q.指摘の通り、未だに家族会に入らず、また受診に至らず、ひたすら引きこもっている家族はいっぱいいる。私も、何人も知っている。その人たちにどう声掛けするか悩んでいる。どうやって声を掛ければいいのか?
黒田「声を掛けるためには、その人がつながる『場』がなければなりません。あなたが一人で抱えるには限界があるし、一個人が出来ることにも限りがある。4、5人で抱えるのも大変だ。そこで、私たちが考えたのは、ハートネットというゆるやかな『場』です。一人でも、4、5人でも大変だから、この際みんなで力を合わせてみよう、という発想です。
来る方の立場に立って考えて見れば、4、5人の少人数の集まりに参加するより、30人位の集まりにひょっこり顔を出す方が気楽かな、と思います。人の中にまぎれるし、名乗らなくてもいいし、講演会気分で気楽に参加できる。声を掛ける方だって、『○○家族会に来ませんか』より、例えば『今度、紫波町保健師の八重嶋幸子さんの講演会やるんだけど、顔出してみない? すごく勉強になりますよ』という方が、断然誘いやすいですよね。さらに、少人数の家族会が新たな会員を迎えるにあたっては、すでに会員になっている家族の意見も聞く必要があります。新規加入者と家族会メンバーの相性の問題もありますね。その点、ネットワーク方式は、それやこれやをあんまり考える必要がないので、気楽です。
そもそも家族会に入るとは、「診断名が付いた患者の家族の仲間入りをする」ということです。入るにはかなり勇気がいる。まして、家族会として、まだ診断名がついてない段階の人の家族に声を掛けることは、なおさら難しい。自分自身の経験を振り返っても、診断名が付く前こそ、当事者も家族も一番困難な時期ですが、その時期に『うちの家族会に入りませんか』というアプローチはできない。そのアプローチ自体『あなたの子どもは精神障害者だ』というレッテル貼りと受け止められてしまう可能性もある。『うちの子は病気なんかじゃない!』と逆ギレされるかもしれません。まして、親が診断が付く前の当事者に内緒で家族会に入って、それが当事者にばれたら…悲劇です。精神障害の特性は、本人に病識がないことですから『自分は精神障害者じゃないのに、お母さんは、自分に内緒で、自分のことを精神障害者だと決めつけて、家族会に入ったんだな!』となる。
病院家族会に入るには、当事者がその病院に入院または通院していることが条件。地域家族会(保健師主導型)に入るには、その市町村の住民であることが条件。地域家族会(作業所運営型)は、作業所運営が忙しくて、いわゆる家族会活動をする暇がない。
こうした諸課題を一挙に解決するのが、こうしたもろもろの壁を取っ払い、小さな家族会が力を合わせてネットワークの場をつくり、そこを、困っている人の窓口とすることです。それがハートネットです」
Q.だれか身近に困ってる人がいるとして、その人にハートネットを紹介しようかな、と思ったとします。そのとき、その人に黒田さんの名前とか携帯番号とか、しゃべっていいの?
黒田「どうぞどうぞ。黒田大介と申します。携帯は090・2883・9043です」
Q.どうして若い人が家族会に入らないんでしょうかね?
黒田「私は35歳で、みなさんに比べ思いっきり若いです。どこに行っても、そうです。何でか? 私の方が聞きたいくらいです。中途障害である以上、親の場合は50代とか60代であることは仕方ないとして、伴侶や兄弟姉妹が当事者の人がいないわけないんですけどね。どうなってんでしょうね。
若い人は、家族会のような濃密な人間関係を敬遠する傾向があるかもしれませんね。最近は世の中全体の人間関係が希薄です。地域社会が崩壊し、隣近所に誰が住んでるんだか知らない時代ですからね。でも、家族会には出たくないけど、情報は得たいという若い人は結構います。その意味でも、そんなに濃密じゃない人付き合いで気楽なネットワークは有効だと思います。実際、これまで4回、交流会を開きましたが、家族会に入ってない若い家族の方も何人か参加してます」
Q.見学に行きたいんだけど、盛岡以外から行ってもいいの?
黒田「どうぞ、誰が来ても構いません。会費払ってもらえれば(笑)」
Q.それにしても、盛岡は遠い。
黒田「そりゃそうです。ガソリン代だって高いです。ですから、みなさんがみなさんの地域で、その地域ならではのネットワークをつくればいいんです。地元の役所の障害福祉課の担当者さん、保健師さん、お医者さん、地域生活支援センターの所長さんとかを講師に招き話をしてもらい、それから交流会を開いてお互い仲良くなったりしてみてはどうですか。盛岡ハートネットのように規約も会費もなし、という方式もあれば、奥家連のようにきちんと会則をつくり、年会費制できっちりやる方法もある。それぞれの地域らしいネットワークづくりをすればいいんだと思います。頑張ってくださいね」
Q.会費200円とか300円でやっていけるの?
黒田「ええ。だって、やってますから」
Q.盛岡ハートネットのことを、新聞やテレビで取り上げてくれればいいのに。
黒田「オレ日報の記者なんですよね(笑)。で、自分のことを自分で書くのは公私混同、自作自演だからできません。でも、いずれにせよ、一番強いのは、口コミですよ。私は自分のプライバシーを主張しませんので、黒田のことやハートネットのことを好きに言いふらして下さいな。口コミで、輪をどんどん広げてくださいな」
(2008年5月23日)
by open-to-love | 2008-05-23 22:00 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
家族会ネットワークをつくろう! -「盛岡ハートネット」の活動を通じて- 中
(2008年2月8日 県精神障害者家族会長会議資料に加筆、再編)

2-2  単位家族会の課題
 ここで、あらためて、単位家族会の課題を列挙してみます。一言でいえば、人任せ体質は活動のマンネリ化を招き、すると若い人が入らなくなり、高齢化と会員減が進み、それはさらなる人任せ体質と活動のマンネリ化になり、ますます若い人が入らない、という悪循環を招く。さらに、病院は病院、作業所は作業所、市町村は市町村でバラバラに活動しているので、互いの連携もなく、かろうじて岩家連とそれぞれがつながっているだけ、というのも深刻な課題です。

2-2-1 若い人にメリットが見えない
 これは、病院家族会と地域家族会(作業所運営型)に顕著な特徴です。世代間のギャップが背景にあります。長らく子どもが入院している高齢の家族と、子どもや伴侶が病気になったばかりで、非常な混乱期におかれている家族とのコミュニケーションは、極めて難しい。また、地域家族会(作業所運営型)の場合、作業所の運営が忙しくて、利用者の家族が悩みや苦しみを語り合う、いわゆる家族会活動をしている暇がないという、いかんともしがたい現状があります。

2-2-2 人任せ体質
 病院家族会に顕著です。運営が病院スタッフ任せですから。さらに、地域家族会(保健師主導型)も、会員が保健師におんぶにだっこになりかねない危険性をはらんでいます。 

2-2-3 統合失調症の家族ばっかり
 これまでの家族会は、一般に統合失調症の患者の家族が中心でした。ですが、目下社会問題になっているのは、統合失調症よりうつ病などの気分障害と、それによる自殺です。岩手は自殺率全国ワースト3ですから、県はうつ病の対策に懸命ですね。あと、実感として、人格障害が増えているような…? 今後、家族会にうつ病患者の家族が参加することも予想されますが、そのとき、例えば統合失調症患者の家族10人の家族会の中に、1人だけポツンとうつ病患者の家族が参加するとします。2次障害(障害による生きづらさなど)は同じですが、障害特性そのものはかなり違う。それをお互い理解し合った上での関係性が結べれば、それにこしたことはないですが、現状では、そして人間関係の濃密な少人数の場では、双方やりづらいことでしょう。

2-2-4 閉鎖性
 単位家族会は、基本的に、クローズで活動しています。会員は家族のみで、ドアの閉められた部屋の中で、近況や悩みを語り合う。そこでの話はドアの外には持ち出さない。それはそれで悪いことではないし、だからこそ、同じ病気を抱える家族が肩寄せ合い打ち解け合い悩みを語り合う「家族会」なのです。しかし、クローズな活動ばかりで、どうやって社会に理解を訴えていくのか? 社会との接点はいつまでたっても生まれない。さらに、ときに当事者から「お母さん、また集まって僕の悪口言うの!」なんて言われてしまうことだってある。
 じゃあ、ドアを開けましょう…といっても、現実的には、小世帯の単位家族会が単独で取り組むのは難しい。「一般の人でも参加してOKですよ、どうぞ来て下さいな」と呼び掛け、小さな部屋に家族5人が集まっておしゃべりしてるのを、一般の人が1人壁際に座って見学している様子を想像してみてください。厳しいですよね。また、そういう場に来る一般の人がいるか?…家族より、一般の人の方が緊張するんじゃないでしょうか。やっぱり、来づらいことでしょう。

2-2-5 新規会員増と適正規模のジレンマ
 メンバーが若々しく活発な地域家族会(自主独立型)ですが、そこはそこで、これから問題を抱えることは必至であります。
 単位家族会の適正規模はだいたい十数人、多くても20人でしょう。一家族会の会員がかりに50人になったら、1人10分ずつ近況報告すると6時間超。これじゃ、癒しどころかかえって疲れてしまい、家族会として成り立ちません。
 さて、統合失調症は100人に1人。当然、新たな患者は出てくるし、その家族も出てきます。そして、今、うつ病や人格障害などの患者も増えています。そうした患者の家族は、どこにつながりを求めればいいのか?その受け皿として、既存の単位家族会が想定されます。中でも、年齢構成が若い「地域家族会(自主運営型)」が、世代も近いので、入りやすいでしょう。ですが、数人ならともかく、あまり増えると、1家族会が受け皿となるのは無理です。
 で、かりに次々に家族会入会希望者が出てきたとして、「私たちの会は定員いっぱいです」と断れるかというと、断れないのが人情。とりわけ自分自身苦しんだ家族会員だからこそ、苦しんでいる家族を救いたいと思うのが共通した思いです。でも、増え続けたとして、限度がある。でも、受け入れないと、自宅で孤独に引きこもり、苦しむ親子が出てくる。どうしよう?…それが、地域家族会(自主独立型)のジレンマです。
 つまり、私たち家族会員は、さまざまな精神疾患患者と家族が増加するであろう時代にコミットするため、既存の家族会を受け皿とするだけではなく、行政がやらないんなら、新たな受け皿を自分たちで準備していくことも考えなければならないと思います。

2-2-6  岩家連と単位家族会の連携の希薄
 岩家連(ふれあいランド岩手にある事務局)と単位家族会個々のつながりがあるだけで、家族会の横のつながりがないのは、大きな課題です。市町村や圏域レベルの中間ネットワークがない。とりわけ盛岡の場合は、ものすごくバラバラでした。支援法により、サービス主体も財源も、県から市町村に移ったのに、岩家連は制度変革に対応できていない。サービス提供主体の市町村に何か要望するなり、協力して何かするなどの際、その主体が不在なんです。市町村の担当者だって困ると思いますよ。さあ、自分たちがサービスの主体になったぞ、でも、管轄内の当事者や家族にどんなニーズがあるのか、どんな現状なのか、どこの誰に聞けばいいんだ? 
 市町村対応まですべて岩家連事務局にお任せ、というのは、専従事務局員1人態勢の現状では無理です。さらに、岩家連の財政難で、家族会長会議の開催数も減少しました。交通費掛けて広い県内から一堂に集まることは、それ自体が大変なことです。よって、ますます家族会同士の横のつながりは希薄になっていく。そして、岩家連は県内各地の家族会それぞれが抱える課題を集約できるような態勢にはありません。


3-家族会ネットワークについて

3-1 盛岡ハートネットの特徴
 そんなこんなの課題を解決するため、私たち盛岡の家族会有志が考え、実践し、他の圏域にお住まいのみなさんにも提唱したいのが、県組織と単位家族会の間に家族会ネットワークをつくることです。
 盛岡の場合は「盛岡ハートネット」という名称で、活動を始めています。この活動によって、先に挙げた課題解決、すなわち①若い人にメリットがある組織とするため、高齢者に限らずさまざまな世代の人が集える場②人任せ体質脱却のため、誰彼に頼らず自分たちが主体的に運営する場、③統合失調症に限らずさまざまな精神疾患の当事者や家族が集まれる場、④閉鎖性を超え、少しオープン(セミクローズ)な集まりにすることで、家族会員に限らず誰が来てもOKの場、⑤新規会員の受け皿、既存の地域家族会(作業所運営型)の家族の受け皿としての場、⑥岩家連と単位家族会の中間にあり、相互の連携をスムーズにする場-を目指しています。
 以下、ハートネット結成からこれまでの取り組み状況を紹介します。なお、具体的な中身については、添付のニュースを参照下さい。何より、見学に来て下さい。百聞は一見にしかず、です。

3-1-1 誰が来てもいいですよ-セミクローズな場
 参加対象者は、各単位家族会の会員に限定していません。誰が来てもいいですよ、というスタンスでやってます。ですから、厳密には「家族会連合会」という枠には収まらないゆるゆるのネットワークです。家族会員以外でも、当事者も、関係者も、興味本位の人も、誰でもOKです。
 なぜそうしているのか? いろんな悩みを抱えていたり、知識に飢えていながらも、主に「2」で述べたような事情から既存の家族会にメリットを感じず入っていない家族の方が参加しやすくするためです。いまだに、家族会の存在自体を知らない人だっています。生活上の困難から、家族会に入りたいけど金がない人も、クローズとはいえ自らのプライバシーを明かしたくない人、名乗りたくない人もいることでしょう。こうした、あらゆる家族の参加を歓迎するため、一切の参加制限はしておりません。
 さらに、同じ心の病である以上、統合失調症に限らず、気分障害も人格障害も何でもござれ。単位家族会の集まりで統合失調症の家族10人に対し気分障害の家族1人だと、話が合わなくてなかなか大変かと思いますが、当方は幅広い枠組みですから、交流会にはいろんな立場の人、数十人がごちゃごちゃ集まります。こうしたスケールメリットにより、どんな事情を抱えた人でも、すごく困って切羽詰まってる人でもそれほど困ってない人でも、話が合う人の1人や2人は、大丈夫、必ず見付かります。
 むろん、当事者もOK。障害種別も問いません。せっかく3障害一元化になったのですから、知的や身体障害の方もどうぞ。行政、医療、保健、福祉関係者や、一般市民の参加も歓迎。こうした開かれた場とすることで、各方面の関係者と情報や課題を共有することができるでしょう。行政関係者の方は、この場に来れば現場の悲痛な生の声に接することで、そのニーズをくみ取り施策に反映することが可能になるし、苦虫かみつぶしたような顔してる(?)財政課の方を説得する原動力にもなるでしょう。障害福祉関係者のみならず、一般の人がぶらっと参加しても構いません。一般の人に門戸を開き、精神障害に縁もゆかりもない人が私たちと場を共有することは、障害問題の理解促進、共生社会樹立の一助となります。
 はっきり言います。家族が内輪でひそひそ話しているだけじゃ、いつまで経っても、世の中なんにも変わりません。
 なお、私は、従前の家族会=家族だけの集まり、ひいては当時者会、自助グループといった取り組みを否定するわけではありません。ただ、そうした集まりが、いつかどこかの時点で、開かれたネットワークになっていかないと、あるいはそうした集まりを続けつつも開かれた部分を併存するようになっていかないと、自分たちが何を思い社会にどうあってほしいのかが社会に伝わらないのは自明です。
 むろん、プライバシーには配慮し、やりとりはこの場限り。外でへらへら「だれそれさん家の息子さんが○○なんだって!」とか言いふらされちゃ困ります。ハートネットは完全にオープンな場ではない。しかし、上記の理由で「誰が来てもいいですよ」と謳っている以上、ここは単位家族会の定例会のような、完全にクローズゆえの極めて親密なやりとりの場でもない。ここはオープンとクローズの真ん中=セミクローズな場なのです。クローズで親密なやりとりは単位家族会の気の合う仲間同士で。ハートネットはそこから一歩踏み出し、少し門戸を広げることによって、いろんな人たちと出会い交流する場です。
 これまで4回例会を開いてきましたが、プライバシーの点で特に問題になったことはありません。そりゃそうですよね。他者の痛みを理解できない人が、精神障害者の家族である資格はありませんからね。

3-1-2 ゆるゆる運営、あるいは自主性の尊重
 ハートネットには会則がありません。以下、4つのルールだけで運営しています。
①代表は選びません。参加された皆さん一人ひとりが主役です
②参加費の領収書は出しません。払うか払わないかは任意です
③安心し楽しくおしゃべりしましょう。プライバシー厳守です
④大事なことはみんなで決めよう。みんなのハートネットです

 端的に、岩家連が象徴的ですが…あらゆる組織というものは、代表を決めると、その人におんぶにだっこになりがちです。あえて会長やら役員やらは選ばず、ゆるゆる運営方式で続けていきたいと思っています。だいたい、行政に補助金もらう気ないもんね。

3-1-3 講師のお話とおしゃべり会の二本立て
 ハートネット交流会の流れを紹介します。前半は行政や関係機関の方を招いての話題提供。後半は小グループに分かれてのおしゃべり交流会と、二本立てのプログラムとしています。単位家族会でいつも仲間同士のおしゃべりだけでは活動がマンネリ化しますから、講師の話を聞くことで勉強になり、単位家族会活動の刺激にもなります。視点を変えれば、行政や支援機関の関係者が家族会にイベントや制度変更など何か周知したい際、単位家族会を1カ所ずつ回るより、ハートネットの場で紹介すれば1回で済むから、楽ちんですね。後半は気楽におしゃべりすることで、他の家族会員と仲良くなったり、他の家族会の面白い取り組みを知って自分たちもやってみようかなと思ったり、家族会同士で花見をするきっかけになったり、あるいは病院や作業所の「ここだけ情報」を入手したり…そんな展開をひそかに期待しています。

3-1-4 いいかげん?な明朗会計
 年会費はありません。交流会ごとに200円とか300円とか参加費をいただいて運営しています。お金のない人は払わなくてもいいですよ、というスタンスです。極めていいかげんではありますが、領収書はちゃんと保管してますし、会計報告は、ブログに随時公開することで透明性を確保しています。

3-2 ブログやニュースで情報発信
 ハートネット情報は、随時、ニュースを100部程度発行し、単位家族会や関係機関に郵送しています=添付資料参照。また、ブログ「http://opentolove.exblog.jp/」にも関連情報を網羅しています。
 なお、これまで岩家連はさっぱり情報発信をやってきませんでした。30年の歴史がありながら、クローズな領域での活動が中心だったゆえ「いわかれん?何それ?何やってんの?」と言われていました。このブログは、もともと、岩家連情報や精神保健福祉情報を網羅的に紹介するための、私設岩家連ブログとして2007年4月よりスタートしました。5月現在、アクセスは間もなく1万件。岩家連あるいは盛岡ハートネットの活動周知に一役買っております。新聞、市町村広報など世の中にはさまざまなメディアがありますが、掲載スペースが限られているなどさまざまな制約があります。ネットを上手に活用するなどして、まずは自分たちで情報発信することを心掛けましょう。
 なお、岩家連は2008年1月、ようやく機関誌を発行。4月に、カラーの立派なリーフレットも完成しました。ハートネットも、近く独自のリーフレットを作成する予定です。

4-将来展望

4-1 圏域単位でネットワークを
 盛岡のような集まりを、ぜひ他の市町村や圏域単位でつくり、地道に回数を重ねてほしいな、と思います。単位家族会が個々に活動しながら、市町村や圏域単位のゆるやかなネットワークを構築していく。ネットワークの場で定期的に情報交換し、情報発信し、医師を招いた勉強会や、保健師を招いた家族教室や、家族会や作業所の活動紹介などの取り組みを自主的に展開する。ゆくゆくは市町村への要望の窓口となる。ネットワークとしてニュースを発行する…。こうした取り組みの積み重ねによって、病院家族会、地域家族会(作業所型、保健師主導型)の弱点もある程度カバーできます。また、各地域の地域生活支援センターなどで取り組まれている当時者会と連携していくことも可能となるでしょう。

4-1-1 単位家族会とネットワークの関係
 くどくど書きましたが、ネットワークは要するに、いつもの家族会の集まりを少し広げた、隣近所の家族会から何人かずつが集り、おしゃべりする場でいいのです。「うちではこんなことやってんですよ」「うちの特徴はこんな活動ですよ」「へえ」…。そんな話から、互いの活動を参考にしたり、家族会同士で花見をしたり、作業所の見学をしたり、共通の悩みを確認したり、互いの情報を持ち寄り補完したりするのがネットワークです。
 ネットワークは単位家族会を吸収合併するのが狙いではありません。むしろ、単位家族会の活動を活発にするための情報や刺激を得る交流の場です。

4-1-2 ネットワークと岩家連の関係
 ネットワークが出来たら、岩家連は、市町村や圏域間の情報交換、格差是正など県への要望活動、全県的な大会や研修会開催、全国組織=全福連との窓口、全県的な生活実態調査など、全県的な事務に特化できるようになります。情報もいちいち個々の家族会におろさず、ネットワークにまとめておろすだけで済みますから、事務量も軽減するはずです。また、事務局はこれまで、何か文書を出す際に、54ある単位家族会総てに郵送していました。それが、将来各圏域や市町村にネットワークができれば、そのネットワークにまとめて1通出して、あとはそこから配布してもらうことだって可能です。

4-2 人任せ体質の脱却
 昔のことは分かりませんが、少なくともここ数年は、「誰ががやってくれるだろう」という意識で、行政や理事や事務局にすべてお任せで続いてきたのではないでしょうか。その岩家連の体質こそ、問題です。岩家連の再生は家族会の再生から。家族会の再生は、家族会員一人一人の意識を変えるところからから始まります。
 行政はさっぱり何もしてくれない、全家連はつぶれちゃった、岩家連は何やってんだかさっぱり分からない、とかグチってる場合じゃない。ならばどうすれば展望が開けるのかを、会員一人一人が本気で考えないと、岩家連は潰れます。障害を持つ当事者のみならず、私たち会員も、岩家連の会員としての当事者意識向上を図らなければ、どんなネットワークを作ろうとも、意味をなさない。医者任せはだめ、ベテラン会員任せはだめ、行政任せもだめです。
 そのため、ハートネットは代表を置いていない。事務局の黒田は、あくまで窓口です。阿部稲子さん(助支安の会)、山口みどりさん(喫茶「ひだまり」)、黒田の3人は、ときどき集まってごにょごにょ話して、例会の日時を設定し、ニュース作ったりして参加の呼び掛けをして、受け付けまではしますが、いざ例会が始まったら、主役は参加者のみなさんです。例会の場を自由に、最大限活用して楽しんでいただけたらと思います。

4-3 当事者会を支援する家族会への脱皮を
 岩家連は将来的には、当事者会を支援する家族会連合会への方向転換が必要です。
親も伴侶も、一生当事者の面倒を見ることはできません。当事者より長生きする、という意欲は美しい。でも、人生何があるか分からない。そのとき、何があってもいいように、当事者に力を付けることこそが、家族の役割であり、努めです。いつまでも、家族が中心の運動ではいけない。望ましい支援とは、当事者が望む支援であり、家族がそれを十全に代弁しきれるわけがない。だから、いつの日か、当事者主体の運動、それを支える家族会運動という、あるべき形へ再編すべきです。当事者の自立は、家族の自立と共にあります。
 日本はなぜ、いつまでも家族が中心なのでしょうか。精神の場合、かつて、当事者はいませんでした。つまり、発病すれば死ぬまで病院に入ったきりという、極めて日本的な事情が背景にありました。でも、もうそんな時代じゃない。ケネディ教書から半世紀、日本もようやく、長期入院ではなく短期入院と通院が一般的になり、当事者が街に生きる時代になってきました。そして、しかし、日本は悲しいかな、格差社会とストレスフル社会の進行で、心の病がますます増える時代になってしまいました…。だからこそ、今、岩家連の再生と、将来的には当事者会を支援する組織への脱皮が必要なのです。
 黒田が言わんとしていることは分かる、当事者の大変さ、家族の抱え込みの問題も分かる、でも、家族だって辛いんだ、家族だって当事者なんだ、黒田さんあなただって家族でしょ、同じ家族の苦しみが分かるでしょ? もしかして、黒田さんは男だから分からないのよ、母親は大変なのよ…こう反論される方がいるかもしれません。
 お答えします。その通りです。家族だって当事者です。あと、男はえてして気楽です。認めます。すいません。でも、それとこれとは別です。だって、家族=女性は好き好んで当事者になっているわけではない。家族=女性を当事者にならざるを得ないように仕向けているのは、この国の制度の問題=「保護者制度」であり、また、意識レベルの問題=「性別役割分担意識」です。当事者の当事者制回復は、家族が自らの人生を生きることであり、そのためには保護者制度の撤廃と性別役割分担の解消が前提となる。つまり、女が発病した子どもの世話をするのが当り前とか、子どもが病気になったのは母親の血筋のせいだ、育て方が悪かったためだ、といった風潮がなくならない限り、家族が当事者から解放され、当事者が家族から解放される日は遠いということです。
 つまり、家族が当事者に自らを同一化し、当事者の思いを過度に代弁し、それによって当事者が抑圧され、いつしか対立が表面化し、爆発する…そんな不毛さから脱却し、当事者が自らの人生、家族も自らの人生を生きるために求められているのは、当事者と家族の対立ではなく、当事者と家族を「家」に縛り付け、当事者と家族の対立を暗黙の内に強いている「制度」と「意識」を改変するがために、当事者と家族が力を合わせることなのだと思います。
 その上で、大いに、親子喧嘩なり、夫婦喧嘩すりゃいいんじゃないですか? 今、喧嘩してる場合じゃないですよ。

 最後に。
 2008年1月9日深夜、八戸市で、長年引きこもっていた18歳の少年が、家族3人を殺し家に火をつけるという衝撃的な事件が発生しました。不登校から引きこもり、母親は離婚し生活保護受給、3年ほど前には少年が自宅に灯油をまく騒ぎ、殺害された二男が「朝起きたらのどにナイフを突き付けられた、怖い」と話していた…。犯行の手口が自作小説と酷似している、ナイフで母の腹を切って異物を混入…さまざまな報道から、事件の全貌が浮かび上がってきています。また、昨年10月には母が警察を訪れ「長男を入院させるにはどうしたらいいか」と相談し、署員は保健所への相談を勧めたが、母は保健所に相談しなかったとのことです。
 私は、この事件が人ごととは思えません。保健師は、警察は、そして現地の家族会は何をしていたのか?なぜ、精神疾患の疑いがある少年を適切に医療へつなげることができず、惨事が起きるまで放置していたのか?
 岩家連、そして単位家族会は、今、危機的な状況を迎えています。ですが、私たちの危機感は、30年続いて愛着ある組織がなくなることへのノスタルジーであってはならないと思います。
 第2回ハートネット交流会で、ある参加者の言葉が印象に残っています。「ハートネットのような場に来られない人、まだどん底にいる人がたくさんいる。そんな人たちを、心の苦しみをはきだせるような場に引き出すにはどうしたらいいのか?」。…私たちの家族会、そして岩家連が今、危機にある当事者、家族に手を差し伸べられる組織でないことこそが、本当の危機的状況です。家族会が、そういう人たちを1人でも2人でも救えるような広がりを持った組織であるかどうか、私たちは、そういう人たちが危機から抜け出す一助となるような場を作り出すことができるか?それこそが問われているのです。(続く)
by open-to-love | 2008-05-23 21:59 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
家族会ネットワークをつくろう! -「盛岡ハートネット」の活動を通じて- 上
(2008年2月8日 県精神障害者家族会長会議資料に加筆、再編)

0-はじめに

1-家族会活動…歴史的経緯と今日的課題
1-1   家族会活動の全国的動向
1-1-1 全家連の破産、解散
1-1-2 全福連結成
1-1-3 コンボ結成
 1-2   本県における家族会活動
1-2-1 岩家連の現状
1-2-2 関係機関の取り組み
1-2-3 地域家族会ネットワーク結成の動き…奥家連、盛岡ハートネット
2-家族会活動…その4類型と課題
2-1   単位家族会の4類型
 2-1-1 病院家族会
2-1-2 地域家族会(作業所運営型)
2-1-3 地域家族会(保健師主導型)
2-1-4 地域家族会(自主独立型)
2-2   単位家族会の課題
 2-2-1 若い人にメリットが見えない
 2-2-2 人任せ体質
 2-2-3 統合失調症の家族ばっかり
2-2-4 閉鎖性
2-2-5 新規会員増と適正規模のジレンマ
 2-2-6 岩家連と単位家族会の連携の希薄
3-家族会ネットワークについて
3-1   盛岡ハートネットの場合
3-1-1 誰が来てもいいですよ-セミクローズな場
3-1-2 ゆるゆる運営、あるいは自主性の尊重
3-1-3 講師のお話とおしゃべり会の二本立て
3-1-4 いいかげん?な明朗会計
3-2   ブログやニュースで情報発信
4-将来展望
4-1   圏域単位でネットワークを
4-1-1 単位家族会とネットワークの関係
4-1-2 ネットワークと岩家連の関係
4-2 人任せ体質の脱却
4-3 当事者会を支援する家族会への脱皮を

 5-付記 交流会の質疑応答を通じて

添付①盛岡ハートネットニュース第1号(2007年11月5日発行)
  ②盛岡ハートネットニュース第2号(2008年1月15日発行)
  ③盛岡ハートネットニュース第3号(2008年3月22日発行)
  ④盛岡ハートネットニュース第4号(2008年5月15日発行)

(文責 盛岡ハートネット事務局・黒田大介)

0-はじめに

 この小論は「1」から「4」で構成しています。「1」では通時的(歴史的)観点から、主に全国や県レベルの家族会活動の現状を述べます。「2」では共時的(形式的)な側面から、主に単位家族会における活動の現状を述べます。「3」では、「1」「2」で指摘した諸課題を解決するための一案として、盛岡市内・圏域で実践している家族会ネットワーク「盛岡ハートネット」の取り組みを紹介。「4」では将来展望として、各地でのこうしたネットワークづくりの動きが、岩家連再生への一歩になるという見通しを、期待を込めてお示ししたいと思います。
 よって、「1」「2」はあくまで現状認識と課題の列挙ですから、まどろっこしい方、ハートネットの取り組みの実際を早く知りたい方は「3」からお読み下さい。
なお、本小論は「無断転載自由」です。どうぞ、あっちこっちにばらまいてください。


1-家族会活動…歴史的経緯と今日的課題

1-1 家族会活動の全国的動向
2007年。精神障害分野は、激動の1年でした。全国精神障害者家族会連合会(全家連)がいち早く賛同していた障害者自立支援法施行2年目。さまざまな課題が噴出している最中、その全家連が解散。そこから、NPO法人「地域精神保健福祉機構・コンボ」(事務局・千葉県市川市)と、「全国精神保健福祉会連合会(全福連)」(事務局・東京都)という2つの全国組織が誕生しました。岩家連は、全福連に加盟しています。

1-1-1 全家連の破産、解散
岩家連はじめ各都道府県連合会が加盟しており、国との窓口でもあった全国組織である全家連が自己破産、解散したのは2007年4月。国所管の財団法人の破産は異例のこと。そして、日身協、全日本育成会とともに3障害団体の一角を占め、精神障害団体として最大の組織である全家連の解散は、末端の会員には寝耳に水ということもあり、衝撃でした。破綻の大きな原因は、栃木県の温泉保養施設「ハートピアきつれがわ」運営で赤字が膨らみ、最終的には10億円近い負債を抱えたことだったようです。企業の寄付金を当て込んで建設に着手したものの、バブル崩壊でさっぱり集まらず、赤字ばっかり膨らみ、国からの補助金を赤字補填に目的外使用し、それがばれ、返還しなくちゃなくなった。岩家連はじめ会員から寄付を募り再生を目指したが、結局だめで、破産・解散に追い込まれました。

1-1-2 全福連結成
その後釜が、全福連(東京都)です。家族の立場に立った組織です。「みんなネット」という機関誌を発行しています。「ぜんかれん」誌の後継で、体裁もそっくり。当初は中身が薄かったですが、だんだん充実してきましたね。なお、岩家連に加盟要請があり、2007年5月19日、総会で承認されました。

1-1-3 コンボ結成
 一方、コンボは、当事者向けの組織を標榜しています。旧全家連研究所のメンバーが中心となり、立ち上げられたそうです。大島巌ら精神業界のそうそうたるメンバーが理事を務めています。笑顔の当事者が表紙を飾る機関誌「こころの元気+」は、各マスコミに取り上げられ、話題を呼びました。中身も充実しています。コンボは個々が会員になって雑誌を購読するスタイルで、全福連のように各県連が加盟するシステムではありませんが、私たちは、全福連(家族向け)とコンボ(当事者向け)双方の動きを注目していきましょう。「4」で詳述しますが、これからは、当事者が主人公。いつまでも、家族が当事者の思いを代弁している時代ではないのです。

1-2 本県における家族会活動
 あたかも、全家連解散が岩家連の行く末を暗示しているがごとく、本県の家族会活動も閉塞感が漂っています。単位家族会の高齢化と会員減は、そのまま、岩家連の高齢化と会員減へ直結しています。時代は変わっているのに、岩家連は依然として、統合失調症長期入院患者の家族組織から脱皮し得ていない。長らくじり貧状態が続き、岩家連として何をするか、ではなく、いかにして岩家連という組織を維持するか、という、組織の延命が自己目的化せざるを得ないような、おかしな状況に追い込まれています。

1-2-1 岩家連の現状
会員の高齢化と会員減の理由は、何より、中途障害ゆえの構造的問題を抜きには語れません。つまり、統合失調症は20歳前後で発症することが多く、その時点で家族は50歳から60歳。一般に、家族が家族会に入るのは発症から10年かかると言われています。すると、入会時、会員はすでに60歳とか70歳…新規会員がそもそも高齢なのです。子どもが障害を持って生まれ、親が若くて元気なうちから活動に参加する育成会とは、数十年にわたるタイムラグ、ジェネレーションギャップがあります。
その上で、です。30年前の岩家連立ち上げ時は、主に統合失調症(当時は精神分裂病)の精神障害者は精神病院に長期収容され、偏見もものすごいものがありました。よって、そんな中で家族が肩寄せ合って集まり悩みを語り合おう、というのが、家族会の始まりでした。
しかし、統合失調症は疫学的にあらゆる時代、人種、地域を問わず100人に1人が罹患する病気です。なら、なぜ岩家連の会員は年々減少するのか?不思議ですよね。その理由は、岩家連が設立当時の名残を未だにとどめ、時代の変化に対応していないから、新しい会員が増えないのです。若い人に魅力がないからです。なお、こうした組織の脆弱さは、財政基盤の脆弱さにもつながっています。財政難は深刻です。2007年5月の総会で、赤字分は、家族会単位で会員数に応じて会費を払い補填することに話はまとまりました。これは焼け石に水、対症療法でしかない。来年も、また来年も、そうやって補填していき、会員が減れば減るだけその補填額が増え…なんてことをやってれば、じり貧です。そして、金がない岩家連は家族大会やいきいき交流会など、ルーティンの年間行事をこなすので精一杯で、ホームページもなければ、岩家連を紹介するリーフレットや機関誌を発行するゆとりもなかった。なおさら、若い人に会員になってもらうだけのメリットを、組織として示せなかった。
「時代の変化」として、2点、挙げたいと思います。1つは、障害者自立支援法の施行。もう1つは、うつ病はじめさまざまな精神疾患への対応です。
 2006年春に障害者自立支援法が施行されました。精神障害者にとっては、大問題です。定期的な通院が必要にもかかわらず、医療費が0・5割から1割へと倍増になったんです。家族会などでは、生活が厳しくなったという声がしばしば聞こえてきます。でも、岩家連として、その声を集約することはできなかった。声なき声を代弁することはできなかった。岩家連は、それが運動体であるならば、1割負担がどう会員の生活に影響を及ぼしているかという全県的なアンケート調査をして、そのデータを取りまとめ、当事者や家族の置かれた現実と、施策の充実を広く訴えなければならなかったのに、悲しいかな、そんな余裕すらありませんでした。むろん、作業所の新サービス体系移行に向けたNPO法人格取得支援など、県組織としての努力は涙ぐましいものがありました。でも、それ以上ではなかった。組織維持に追われるあまり、運動体としての役割が欠落してしまいました。
 また、現代は「うつの時代」とも呼ばれています。年間自殺者3万人を超える日本で、自殺が社会問題化しています。その多くがうつ病との関連を指摘され、関係機関がうつ病対策に取り組んでいます。しかし、統合失調症患者の家族が中心の岩家連は蚊帳の外。同じ心の病の当事者を抱える家族の集まりにもかかわらず、岩家連は組織として何らの手だても打ち出していません。理由は、財政的に逼迫してそれどころじゃないからです。

1-2-2 関係機関の取り組み
どうしたら岩家連に新規会員が加入するか?これまでは、県の保健所が家族教室を開き、そこで病気や社会資源について学んだ家族が、既存の家族会に加入するというルートがありました。しかし、県の教室は終了し、取り組みは市町村に委ねられました。やる気がある市町村とない市町村…今後、市町村格差が生まれることでしょう。
なお、県精神保健福祉センターは、国の自殺対策がらみで、うつ病の家族教室を新たに始めています。県の精神保健施策は、とっくに統合失調症ではなくうつ病に重点を置いています。繰り返しますが、岩家連はこうした行政の動きに呼応できておりません。

1-2-3 地域家族会ネットワーク結成の動き…奥家連、盛岡ハートネット
そんな中、県組織としてではなく、地域独自に、新たな動きが生まれています。奥州市家族会連合会(奥家連)と、盛岡家族会連合会(盛岡ハートネット)の誕生です。
奥家連は2006年春、奥州市の合併に伴い、旧市町村単位の4家族会で結成。定期的に交流会を開いています。
盛岡ハートネットは2007年10月、盛岡市内8家族会はじめ、盛岡圏域15家族会に参加を呼び掛け結成。第1回交流会は約60人が参加し、盛岡市障害福祉課と保健センターの3人に「分かりやすい盛岡市の精神保健福祉サービス」と題し講演してもらいました。第2回交流会は35人が参加。ソーシャルサポートセンターもりおかのPSW廣田政彦さんが「困ったら相談しよう」と題し講演しました。第3回交流会は2月12日、盛岡市のもりおか女性センター別館で、紫波町のベテラン保健師八重嶋幸子さんに「紫波町の精神保健福祉活動」と題し講演していただきました。第4回例会は2008年3月23日、岩家連主催の家族SSTワークショップで盛岡を訪れた高森先生にお願いして、ハートネット主催の少人数で中身の濃い家族SST教室を開きました。(詳しくは「3」で紹介します)


2-家族会活動…その4類型と課題

2-1 単位家族会の4類型
では、この窮状をどうやって打開するか? 岩家連という大きな県組織のピラミッドの頂点をいじったって、小手先の対処でしかありません。まず足元を固めなければならない。なすべきことは、家族会員を増やすことです。底辺をどれだけ広げられるかです。
よって、本章では「足元」、すなわち県内各地に54ある単位家族会の現状について、その形態を4つに類型化した上で考えてみます。一般に、家族会は病院家族会と地域家族会と2種類に分けられますが、それは現状にそぐわない。地域家族会を3つに分け、①病院家族会②地域家族会(作業所運営型)③地域家族会(保健師主導型)③地域家族会(自主運営型)の、計4タイプに分類したいと思います。(なお、私はすべての家族会を回って聞き取りしたわけではありません。主に、私自身が加入する盛岡市内の4家族会の現状を見た限りの現状認識であることを了承ください)

2-1-1 病院家族会
 病院家族会は、病院単位で、そこの患者さんの家族がメンバーです。家族会では最も歴史が古い。そして、おそらくどこも、高齢化、新規会員減少という問題を抱えています。そこには、診療報酬の改訂や非定型抗精神病薬の進歩により、長期入院患者が減少していることが背景にあります。かつては発病したら10年、20年、あるいは一生入院するのが当たり前でしたから、多くの家族が家族会に入会していました。ですが、今はたいてい3カ月で退院。すると「3カ月だけなのに、どうして家族会に1年分の会費を?」と考え、わざわざ家族会に入ろうという人は減っているわけです。
すると、設立当初から長らく入院している患者の家族が今なお会員の中心として固定化してしまう。高齢化が進む。進めば進むほど、会員は病気がちになったり、体のあちこちが痛くなったり、耳が遠くなったりして、フットワークが重くなる。動きが鈍くなり、病院側スタッフに運営を任せることになり、家族会運営は病院におんぶにだっこ体質になってしまう。家族会を開いても、年々参加者は減少の一途。そして、会員がベテラン揃いだとなおさら若い人は入りづらい。すると、だんだんと、やってることがマンネリ化し、メリットが見えず、ますます若い人の家族会離れが進む、という構図になっています。もっと早くに、世代交代を図るべきでしたが、時既に遅し。病院家族会が仮に設立から30年ぐらいとして、主要な会員の高齢化と重ね合わせて類推すると…今や、設立当初のメンバーが櫛の歯が欠けるみたいに減っていったらそのまま自然消滅、あるいは、消滅しないまでも開店休業状態、という家族会は多いのではないでしょうか?
ただし、実態はともかくも、病院家族会には大きな存在意義があります。精神疾患は回復まで長くかかるし、回復しても再発防止のためには一生病院にお世話になり、服薬を続けなければならない患者もいる。長期入院ではなく短期入院・通院治療が主流の今こそ、患者とともに家族も服薬の大切さなど学び、力をつけないと、患者の早期回復につながらないからです。よって、とりわけ単科の精神科病院は、既存の形骸化した家族会をどうするかという狭い視野ではなく、新しい時代の精神科医療の一環としての家族心理教育の中に既存の家族会を位置付けたり、デイケアメンバーとの連携を図るなど、広い視野で捉え直すことが必要でしょう。病院家族会の問題は、決して家族だけの問題ではなく、病院がいかに地域に開かれた病院になっていくかという取り組みの一環として考えるべきです。

2-1-2 地域家族会(作業所運営型)
 地域家族会(作業所運営型)ですが、これも病院家族会と同様、高齢化、新規会員減少という問題を抱えています。その理由は、作業所(地域活動支援センターや就労継続支援事業所)運営に手一杯で、家族会活動をやってるヒマがないからです。作業所を運営しながら、毎月定期的に家族が集まって情報交換したり、会報を発行したりするのは厳しい。とりわけ支援法の新サービス体系移行期は、NPO法人格取得など事務手続きで手一杯。家族会としての活動はさっぱりできず、かつ今後も事務量は増えますから、ますます家族会活動は望めないでしょう。
作業所の担い手が家族会の担い手である限り、これは仕方がないとも言える。日本の障害福祉の歴史において、身体・知的と比べ、精神の社会資源が格段に立ち遅れていたため、精神障害者は、退院しても行き場がなく、結局、家族会が自分たちで作業所をやらざるを得なかった。
作業所はその業務の傍らいかに家族会を開くかを考えるより、家族会運営方式から早期に脱皮を目指すのが現実的だし、あるべき姿です。そして、作業所利用者家族のための家族会活動については、作業所としてやるのではなく、別な枠組みの中で受け皿を用意する方がいい。でないと、作業所スタッフは過労で倒れてしまう。そもそも、家族が作業所をやらざるを得ないという日本の精神障害者福祉行政の貧困さこそ問題なのです。

2-1-3 地域家族会(保健師主導型)
県内各市町村では、保健師主導で家族会を立ち上げ、保健師が事務局となって運営している家族会も多い。ここの課題は、市町村の行財政改革や合併、あるいは長年お世話になった保健師が退職して新しい人に代替わりしたなどの事情で、行政が家族会から手を離し自立を迫られる場合、果たしてそれが可能か、ということです。事務局=保健師が年間スケジュールを決め、場所を提供し、段取りをすべてつけてくれて、その上に家族が乗るというパターンが続くと、家族の自主性はいつしか失われ、自立は望めなくなるでしょう。

2-1-4 地域家族会(自主独立型)
地域家族会(自主独立型)ですが、これがいわゆる「心のオアシス」としての家族会本来の活動をしています。盛岡で言えば「助支安の会」です。同会は、盛岡保健所主催の家族教室の修了生で結成。毎月1回、自分たちで場所を確保し定例会を開き、悩みを語り合ったり情報交換をしています。さらに、医師を交えての勉強会、県立大教授を招いた家族SST教室、当事者と家族のアート交流会など、フットワーク軽く活発に活動してます。

(続く)
by open-to-love | 2008-05-23 21:52 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
晴山晋さんの「圏域連合体」構想

※岩家連元事務局員で、現在盛岡市内丸のスローキュアナチュラルハウスでボランティア(本人曰く「居候」)に励んでいる晴山晋さん(35歳)より、下記「圏域連合体」構想について、素案が寄せられました。各方面からの高評をいただきたい、とのことです。みなさま、よろしくお願いします。(黒)

圏域連合体
概況
退院促進が進み、精神障害者は街(地域)へ出る。ともに暮らす地域社会への移行。家族の手を離れ地域で自活する。そんな中での家族会活動。
かつて岩家連を力強く支えてきた「病院家族会」の衰退。
多くの「地域家族会」は、役所頼み。作業所家族会は、作業所運営にかかりきり。
各家族会共通の問題として、高齢化とともに会員の減少、会自体の停止。
歯止めをかけるには…。

事務所
特に設けない。各ブロックに任せる。「理事」が担当するのではなく、つながりの深い「若手」がいい。複数名が当たる。しかも民間。役人は担当しない。社協傘下、社福よりもNPO。活動として、以下活動を盛り込んでもらう?
例)盛岡…黒田氏、奥州…伊達武道具店、
案:一関…須藤、佐藤両氏(NPO法人であり、かわさき虹の会事務局兼)or菜の花工房
  宮古…レインボーネット内の精神関係
案:合併ブロック(花巻・北上、大船渡・釜石、久慈・二戸)
   理事に打診してお勧めしてもらう?
  花巻…既にある
  北上…既にある。北和会(NPO法人)
  大船渡あすなろ会
  釜石つくし会 OR 地域活動支援センター伊藤さん
 久慈…どんぐり工房事務局
  二戸…野崎さんとこ
理事との連携を図りつつ、以下の活動を行う。←カタイ?

活動および事業の展望
(1)地域家族会同士の連携を図る
①地域例会の開催。例)盛岡ハートネット方式。奥家連方式。
②夜の家族会(勤労者向け)…当事者の兄弟姉妹、各職員等にも呼びかけやすい。
③見学会など。
(2)地域関係施設・病院・役所等との連携 … 地域例会にお誘いする事で「巻き込む」
(3)地域当事者会の設立および支援あるいは連携(地域生活支援センターでやってる?) … 当事者会県連設立へ
(4)地域他NPO等との連携・企業との連携
<手順>
地域NPO協議会等への参加(お友達づくり)→他団体活動への参加(当事者も、できれば)
企業との連携…??
(5)新家族会の設立。(「各市町村」及び「各病ごとの家族会」)
①地域内市町村1家族会を目標に。
②気分障がい家族会、人格障害家族会など…を地域に1つ
<手順>
それぞれの「病型」勉強会開催。また研修会へのアンテナを張り巡らし、そこで「家族」へお誘い→そこで同じ悩みを持つ家族の結集を図る。→会結成?(ノウハウを伝える)(→岩家連への加盟)
(6)岩家連との連携。事業として組み込めるもの (全県を対象に参加を呼びかけることが原則)
①啓発 … 大会が一つ。(実行委員組織、金銭・役割分担等ノウハウ有り?)       相談事業。各事務局(PC可)に拠点として活動いただく。会報「がんかれん」に、「地域面」??
②家族会育成 … 家族教室開催等。
③社福施設の … 指導員研修、施設設置運動、企業との連携。
④その他 地域で行われる関係障害者団体主催行事への積極的な参加。地域他NPO等との連携、コラボ等。
以上、4項目に適えば、岩家連事業として、組み入れる事も可能。例:3月開催「高森信子氏ワークショップ」をハートネットで。
<手順>
企画・立案→助成団体への申請また振興局との相談→助成決定→県連理事会へ提案
→可:県連事業として次年度 講師の交渉、その他は圏域事務局 周知等は県事務局(要分担マニュアル)
 否:単独事業として開催

会計
各圏域連合体の判断に任せる

会議
各圏域連合体の判断に任せる
by open-to-love | 2008-05-19 18:58 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
家族会活動報告(2007年度岩家連家族会長会議資料 08年2月8日、ホテル紫苑)

設問①活動の状況
  ②会を運営する上での悩み
  ③その他(提案したいこと、今後の課題など何でも結構です)
※アイウエオ順、()内は圏域です。

あゆみの会(胆江)
①毎月第1木曜日、保健センターで集会(学習会)
 年2回奥州市家族会連合会主催(奥州市共催)家族会交流会に参加
②家族の高齢化
 兄弟姉妹の参加が今後の課題

江刺あすなろ会(胆江)
①06年度までの中心的事業であった小規模作業所「えさしふれあい工房」経営が本年度から社会福祉法人寿生会に移行したため事業内容が縮小された。07年度の主な事業は▽役員会開催(年4回程度)▽広報活動(会報の発行)▽ふれあいバザー開催(年1回)▽就労継続支援B型事業所「えさしふれあい工房」への事業協力(GH設置など)▽各種大会、研修会への参加促進など。
②イベント及び研修会への呼び掛けに対し、参加状況が低調であり、障害者福祉の現状を会員個々がどのようにとらえているか把握しかねています。

大船渡あすなろ会(気仙)
①通所者連絡協議会(家族会、病院、市福祉関係、保健所、支援センター)の開催
 定例家族会の開催
 会報の発行
 地域活動支援センター「つばき工房」運営
②運営の母体である家族会会員の高齢化に伴って、会議等の開催ができない状況です。また、移行後は事務量が多くなっているが、それをサポートする人材がない。
③各自治体において家族会支援事業、家族会育成事業の取り組みの強化をお願いします。

カッコウの会(盛岡)
①定例会年6回、大会参加等
  4月 総会、勉強会
  6月 定例会
  7月 家族大会参加
  8月 定例会、勉強会
  9月 滝沢村福祉ボランティアまつりにてカレーライス販売
 10月 定例会、勉強会、県精神保健福祉大会参加
 12月 定例会、滝沢ハートフル交流会(退院促進強化事業)協力
  2月 定例会
 その他
  ○当事者のデイケアに活動費の一部を助成
  ○5月に一番星の会(当事者)、あんずの会(精神保健ボランティア)と当会の合同で鞍掛山ウオーキング
  ○村要援護者避難支援計画策定において関係団体として検討会参加
  ○4月10日の勉強会は、広報で一般の方にも周知を行い、参加者には家族会の案内を行っています。
  ○定例会終了後は、書記が顛末を書き、事務局から『カッコウの会便り』として会員に送付しています。
②積極的に会員が参加する活動をする会になるには、どうしたらよいか。
 会員数がなかなか増えない状況。
③参考にできるし、励みにもなるので、県内の家族会の活動状況など情報提供していただけるとありがたいです。

川井村子どもを守る親の会(宮古)
①年1回の総会
②会員の高齢化で、出席する人も会に加入する人も少なくなった

かわさき虹の会(一関)
①各種大会参加や、工房てんとう虫メンバーとの交流も定期的に行っている。
②会員の高齢化

けやきの会(一関)
②会長が動かないと活動できません。変わらなければなりませんが、後任がありません(家族の都合などの事情)
③家族の受け入れが相当大変になっております。

県立南光病院家族会(一関)
①研修会、総会、岩家連大会参加、県精神保健福祉大会参加、全国精神障害者家族会参加
②会員数減
 会員把握困難と会員相互の連絡
 事業、行事への参加が少ない
③会への参加を高めるためには、個々会員の利益につながる情報、例えば治療薬のこと、交通費補助などに関することなど、会報や行事の中で伝えられることが必要ではないか。

コスモス家族会(宮古)
①定期総会開催、研修会参加、会員交流会開催、当事者活動支援
②会員の高齢化、会員数減少、事務局の担い手不足

さくら会(釜石)
①作業所の運営

沢内家族会(花北)
①岩家連臨時総会、岩家連大会、西和賀町社会福祉大会、西和賀福祉まつり参加
 月1回の在宅精神障害者の集まりに参加
②新規登録者は増えてきているが、家族会に入ってくれる家族が少ない。参加を進めていくためにはどんなPRをしていったらよいのか。
 会の高齢化により、活動が難しくなってきている。

しずくの会(盛岡)
①当事者の会、精神保健ボランティア会との合同活動、岩家連大会、ハートフルフェスティバルin雫石、各種研修会への参加
②会員の高齢化と事業参加者の固定化
 新規会員が無い

助支安の会(盛岡)
①毎月の定例会では近況を語り合い、歌い、あっという間に時間が経ちます。
 市内作業所の見学や、会員のニーズに応じた学習会を例会とは別に行っています。
 講師の方々のご好意によって学習会を行っていますが、自主学習会もできるようにと考えています。
②学習会に会員の家族の方も積極的に参加するために工夫が必要かと考えます。(当会の会員の多くは母親です。比較的経験の浅い会員が多いです)
③社会資源を活用した家族支援を他市町村で行われているならばぜひ知りたいものです。
 市議会便りのように岩家連理事会便りもあれば、今、どのような話し合いが行われているか、会員が知ることができるのではと思います。

しらかば会(盛岡)
①総会、家族教室(年2回)、各種大会、研修会への参加、デイケアへ参加し当事者、ボランティアとの親睦を深める
②会員が高齢化し参加者が減ってきている。さらに、新規の加入者もなく活動が難しくなってきた。
③発病時の若い母親は、病院家族会で「病気の知識や接し方」を学び、安定期(家族も)に入ったならば、地域の家族会を紹介する等…医療機関との連携で家族会の活動を支援できないものかどうか課題に思っています。

杉生会(花北)
①会報の発行、温泉家族交流会、新年家族交流会、各種研修会参加、総会、研修会開催
②事業費の不足、参加者の固定化
③県、国の情報の提供

すみれの会(二戸)
①総会、研修会、地域で行う行事へ参加
②会員の高齢化により活動への参加がむずかしくなってきている
③新しく会員を見つけていくこと

千厩むつみ会(一関)
①当事者の会が月1回あるので、一緒に活動している
 独自の集まりはない
②参加者が少ない(家族としての悩みを話し合うことが少ない)
 会員の勧誘が難しい
 会費の徴収が困難な場合がある
③合併して3年目になり、各地域の中にある家族会も合併する予定でいましたが…地域に家族会を残したいという思いと、広域で活動したいという思いが混在しています

たんぽぽの会(盛岡)
①毎月1回例会(「喫茶ひだまり」にて)
 県精神保健福祉センター職員を招いて懇談会
 総会
②講演会のお知らせ等、例会参加者以外の会員に連絡をするのが結構大変です。
 家に病人を抱えているので、あまり留守ばかりも出来ず,活動は限られてしまう。
③例会で、会員同士が悩みを打ち明け、新しい情報等を少しでも交換し合うことは良いことだと思います。

つくし会(釜石)
①つくし共同作業所と一体となって、花見会、岩家連大会や研修会への参加などさまざまな活動
②低所得者が多く、進んで活動に参加するような運営の努力や、運営の工夫をしていかなければならないと思っています。
 他の例から学びたいです。
③これまでの岩家連の組織は大切にしつつ、より連携しあって障がい者の福祉の向上につなげていきたいです(たとえNPOになり形態のかわるところが出てこようとも…です)。

東和やまなみの会(花北)
①毎月1回、支援員による相談日及び家庭訪問
 当事者による自主的活動(あすなろクラブ)月2回(SST、ボーリング、カラオケ等)
 研修会への積極的活動
 3障害交流事業への参加
②会員の拡大

和みの会(胆江)
①平成20年4月よりNPO法人衣川こぶしの会となります。ただし、合併しても家族の方々の集まりを何らかの形で行う予定。
②家族会員より賛助会員の総会や行事への参加があり、会の活動としては淋しい限りです。家族の方々へのアプローチの仕方を考える必要がある。
③岩家連として自立支援法に係る国、県への要望の取りまとめを行った方が良いのではないでしょうか。
 全家連がなくなり、そのときの理事長及び責任者の方々の謝罪が無かったようですが?

菜の花の会(一関)
①諸行事への参加を呼び掛け、参加しております。
 家族会としては年1回家族の集いを開催。
②諸行事には、役員といつも決まった会員のみの参加で、なかなか増えません。
 会費の納入が安定せず、難しいです。
③会長会議を毎年盛岡ばかりでなく、地方でも開催していただきたいです。

のんびり会(宮古)
①毎月第1月曜日、会員及び老人クラブの人たちと布ぞうりつくり
②自前で事務のできる人が欲しい
③布ぞうり作りを3障害の人たちと一緒にやってみたい。
 会の横のつながりがほしい

はまゆりの会(久慈)
①総会、交流会、学習会、料理教室、リハビリ教室、保健所主催事業への参加
②会員の高齢化
 新規会員がほとんどない

ひろののぞみ会(久慈)
①当事者会、家族会、ボランティア交流会(調理実習、勉強会、パークゴルフなど)
 総会、岩家連大会、結いっこフェスタ参加など
②新規会員がない(対象把握が難しい)

福寿草の会(盛岡)
①年12回(2回は大会含む)定例会を開催
 内容:制作、SST、ゲーム、レクリエーション、ストレッチ、調理実習、音楽鑑賞、啄木かるたとりなど
②新規会員がなく、会費の減少と高齢化
③新規会員を増やすことが課題です

藤澤病院家族会(気仙)
①ここ数年は停滞している。各種大会や会議への参加が主で、独自の活動はほとんど無い。
②会員が高齢化しており、活発に活動できない。加えて、役員の負担が大きく後継者がいない。年会費1000円なので、運営に苦慮している。活動が不活発なので会費値上げは難しい。会の存続について協議が必要と考えている。

ふじの輪会
②会員の高齢化、人数減が進み、新しい会員が増えない

北和会(花北)
①会報の発行、家族交流会(毎月1回)、作業所の運営
②会員の高齢化

宮古山口病院家族会(宮古)
①病院行事に参加
 年に数回勉強会を開催している
②なかなか入会する方がいない

矢巾町あすなろ会(盛岡)
①役員会
 当事者会、ボランティア会との交流及び当事者会支援
 紫波町家族会との交流会
 町内外のイベント参加、協力
 研修会開催、参加
②新規会員を増やしたい
③イベント等で会のPRに心がけています

やまびこの会(宮古)
①家族会と工房まんさくとの日帰り研修旅行、岩家連大会参加、「まんさく祭り」の協力と参加、調理実習、クリスマス会
②家族会会員の減少(新規入会者の問題、プライバシーの問題)
 高齢化(各種行事,集会等に参加することが困難)
 固定化(会員減と高齢化)
 一人暮らしの通所者が多い
 活動資金の不足
 作業所法人化後の問題
③作業所が自立支援法により法人化された後の問題(家族会の役割とか関わり、家族会のつながりなど)そして、協力関係をどのようにしたら良いのかなどの課題があります。

ゆだほっとの会(花北)
①年1回、会の総会には会員同士声がけし、できるだけ皆で出席するようにしています。県の家族大会等にも、会員の親睦も兼ね、お互い声がけして参加しています。会うと互いの近況やら悩み等をそれぞれ話して笑顔になって帰っていくようです。
②新会員が増えず、会員は高齢となり、また、家族介護の問題を抱えたりという状況の方もおり、独自の活動がなかなかできない状況です。

わさらびの会(久慈)
①総会や家族大会への参加のほか、定例会、勉強会の実施
②会員の高齢化、新会員が増えないこと
by open-to-love | 2008-02-11 19:23 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
2007年度岩家連家族会長会議参加報告

 岩家連の2007年度家族会長会議は08年2月8日、盛岡市繋のホテル紫苑で開かれました。県内各地の単位家族会長約20人が参加。ゲストとして、奥州市家族会連合会の伊達事務局長と、盛岡精神障害者家族会連合会「盛岡ハートネット」事務局の私が参加。それぞれ、地域家族会ネットワークの動きを紹介しました。
 (私の発表文「家族会ネットワークをつくろう!ー盛岡ハートネットの活動を通じて」と題し、本ブログの「管理人より」のカテゴリーに(上)(下)で紹介しています。なお、各家族会の活動報告については、「岩家連」のカテゴリーに「2007年度岩家連家族会活動報告(2007年度岩家連家族会長会議資料)」として収録しています。合わせてお読み下さい。
 会議は午後3時から5時まで2時間。私は初参加でしたので以前の会議の様子は知りませんが、参加者からは活発な意見や質問が飛び出し、おそらくは近年まれに見る白熱の会議ではなかったかと思います。岩家連の現状に対する私の批判と問題提起、それに対し「ここまで書かれて(言われて)黙ってられっか!」とやおら立ち上がった岩家連事務局長の新里進さんの口ぶりから、私と新里さんとの激しい応酬だったと受け取られた向きもあるかもしれません。でも、心配なさらないでください。私と新里さんは、対立関係ではありません。新里さんら諸先輩が30年間にわたり築いてきた岩家連を受け継いでいくため、どうすべきかを考える上で、私は私なりの解決策を示し、新里さんは、新里さんなりの30年積み上げて来た思いを語った。そういうことです。
 会議終了後、みなさんは宴会へ。私は市内に戻って娘の保育園のお迎えをし、夕御飯(ちなみに、前の晩に仕込んでおいたシチューとポテトサラダ)を作って食べて、母子を寝かしつけて再び会場へ向かいました。…が、宴会はすでに終わり、みなさん既にホテルの部屋へ。酒持って新里さんが泊まってる部屋をたずねると、やっぱり、新里さんはワンカップをかっぽかっぽと飲んでおりました。
 それから、新里さんは再び、自分がどれほどの苦労をして岩家連をつくってきたか、縷々語りました。県内市町村あまねく回って、精神障害者がいる家庭を一軒一軒訪ね、家族会結成を呼び掛け、自腹で全家連大会に参加し、家族会ニュースを1人で130号まで書き、医師の講演会を開いたら多くの家族が集まり、その後に「家族会に入ってください」と呼び掛けたらさーっとみんな帰ってしまったり、毎年各地で家族大会を開き、県や市町村と折衝をし…。退院後の当事者のため、これまた身銭を切って作業所を立ち上げ、1994(平成6)年に作業所補助金が出るまで指導員に月3、4万円しか給料を払えず、作業所から一般就労へメンバーを送り出したが、ただの1人として実現せず、ボロボロになって帰ってきて、引きこもって…。ようやく精神障害に対する社会の理解が進み、県内各地に作業所ができてきたら、今回の支援法で利用者1割負担が導入され、一気にメンバーが減り…。と同時に、バスをチャーターしてみんなで全家連大会に出掛け、帰りに温泉に入ってきた楽しい思い出話も。
 そして、新里さんは言いました。「黒田さんは、オレらが30年前にやってきたことを、またやろうとしている」。そうかもしれません。でも、それは違います。私たちは新たに一から何かを始めよう、というわけではないからです。新里さんたちがやってきたことの上に乗っかって、地域ネットワークをつくろうとしているだけなので、30年前に比べれば、はるかに楽です。私は岩家連に入ってたかだか1年半。当時の苦労、想像も付きません。そして、そうして築き上げてきた岩家連、そこに注いできた新里さんたちの苦労が、今、会員の高齢化によって崩れ去ろうとしている現状に危機感を感じ、そしてさらに、岩家連の危機によって、まだ支援の手から遠く離れ引きこもっている無数の家族がつながる手立てを奪われることがあってはならないを思い、できることから始めようと思っているだけなのです。
 午前零時を回るころ、「じゃ、そろそろ」と部屋を出ようとした際、新里さんに握手を求められました。80歳とは思えぬ力強さ。固く握手を交わし、別れました。
 
 さて、家族会長会議の場、あるいはその後ロビーでタバコ吸ってるときとかに寄せられた質問と、その答えを以下、まとめました。参考にしていただけたら幸いです。

Q.盛岡ハートネットの交流会の場所は、もりおか女性センター別館ってなってるけど、駐車場のある会場でできないのか?
黒田「すいません。今参加しているメンバーの中心は、盛岡市内の女性ですが、車がない人もいるので、なるべく中心部がいいんです。あと、若園町の盛岡市福祉総合センターはちょっとだけ駐車場がありますが、プロジェクターがないという欠点があります。パソコンを使って発表する講師さんの場合、プロジェクターがないと使えない。女性センター別館は使用料タダだし、プロジェクターも無料なんです。で、私たちは金がない」
Q.平日の昼間だと参加できない。土日とか夜はできないか?
黒田「主婦の場合、夜は厳しいです。私自身、保育園のお迎えして晩ご飯作んなくちゃないですから…。いずれ、参加者の一番来やすいのが平日の午後なんですが、それだと作業所関係の人や、昼間稼いでいる人は来れない。会を重ねたら、そのうち土日や夕方以降にも会を開いてみたいと思います」
Q.黒田が指摘したように、確かに、未だに家族会に入らず、引きこもっている家族はいっぱいいる。私も、何人も知っている。その人たちにどう声掛けするか悩んでいる。どうやって声を掛ければいいのか?
黒田「小さな所帯での声掛けはなかなか難しいと思います。例えば、参加メンバーがいつも5人だけの小さな所帯の単位家族会が、その人に『うちの家族会に来てみませんか』と声を掛けるのは、大変です。やっぱり、家族会=診断名が付いた患者の家族の仲間入りですから、入るにはかなり勇気がいる。入ってしまえば楽になるんですけどね…。
 まして、まだ診断名がついてない段階の人に声を掛けることは、なおさら難しい。家族会に入るとは、基本的に、診断名がついたことが条件です。自分自身の経験を振り返っても、診断名が付く前こそ、当事者も家族も一番困難な時期ですが、その時期に『家族会に入りませんか』というアプローチはできない。そのアプローチ自体『あなたの子どもは精神障害者だ』というレッテル貼りと受け止められてしまう可能性もある。『うちの子は病気なんかじゃない!』と逆ギレされるかもしれません。まして、親が診断が付く前の当事者に内緒で家族会に入って、それが当事者にばれたら…悲劇です。精神障害の特性は、本人に病識がないことです。『自分は精神障害者じゃないのに、お母さんは、自分に内緒で、自分のことを精神障害者だと決めつけて、家族会に入ったんだな!』となる。
 病院家族会に入るには、当事者がその病院に入院または通院していることが条件。地域家族会(保健師主導型)に入るには、その市町村の住民であることが条件。地域家族会(作業所運営型)は、作業所運営が忙しくて、いわゆる家族会活動をする暇がない。さらにまた、単位家族会が新たな人を迎えるにあたっては、家族会メンバーの意見も聞く必要があります。新規加入者と家族会メンバーの相性の問題もありますね。
 そこで、私たちが考えたのが、参加資格を問わないネットワーク方式なんです。例えば30人位人数が集まるネットワーク交流会であれば、来る方だって気楽です。人の中にまぎれるし、名乗らなくてもいいし、講演会気分で気楽に参加できる。声を掛ける方だって、『○○家族会に来ませんか』より『盛岡ハートネットで紫波町の保健師の八重嶋さんの講演会やるんだけど、顔出してみない?』という方が、断然誘いやすいですよね」
Q.だれか身近に困ってる人がいるとして、その人にハートネットを紹介しようかな、と思ったとします。そのとき、その人に黒田さんの名前とか携帯番号とか、しゃべっていいの?
黒田「どうぞどうぞ。090・2883・9043ですよ」
Q.どうして若い人が家族会に入らないんでしょうかね?
黒田「私は35歳で、みなさんに比べ思いっきり若いです。どこに行っても、そうです。何でか?私の方が聞きたいくらいです。伴侶や兄弟姉妹が当事者の人、いないわけないんですけどね。どうなってんでしょうね。家族会=親の会、というイメージというか、子どもが発症したら親が面倒見るのが当たり前、という意識がものすごく強いんじゃないでしょうかね。
 あと、若い人は、家族会のような濃密な人間関係を敬遠する傾向があるかもしれませんね。最近は世の中全体の人間関係が希薄です。地域社会が崩壊し、隣近所に誰が住んでるんだか知らない時代ですからね。でも、家族会には出たくないけど、情報は得たいという若い人は結構います。その意味で、ネットワークは有効だと思います。実際、これまで2回、交流会を開きましたが、家族会に入ってない家族の方も数人参加してますよ。名乗らない方もいます。でも、こちらから無理に聞き出したりはしてません」
Q.それにしても、盛岡は遠い。
黒田「ですから、みなさんがみなさんの地域で、その地域ならではのネットワークをつくればいいんです。そこの市役所の担当者さん、保健師さん、お医者さん、地域生活支援センターの所長さんとかを呼び話をしてもらい、それから交流会をしたり。盛岡ハートネットのように規約も会費もなし、という方式もありますし、奥家連のようにきちんと会則をつくり、年会費をとる手もある。それぞれの地域らしいネットワークづくりをすればいいんだと思います。頑張ってくださいね」
Q.見学に行きたいんだけど、盛岡以外から行ってもいいの?
黒田「どうぞ、誰が来ても構いません。会費払ってもらえれば(笑)」
Q.会費200円とか300円でやっていけるの?
黒田「ええ。だって、それでやってますから」
Q.盛岡ハートネットのことを、新聞やテレビで取り上げてくれればいいのに。
黒田「オレ日報の記者なんですよね(笑)。で、それは公私混同、自作自演だからできません。でも、いずれにせよ、一番強いのは、口コミですよ。口コミで、どんどん広げてくださいな」
by open-to-love | 2008-02-11 01:43 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
家族会ネットワークをつくろう! -「盛岡ハートネット」の活動を通じて-(下)

3-家族会ネットワークについて

3-1 盛岡ハートネットの特徴
 そんなこんなの課題を解決するため、私たち盛岡の家族会有志が考え、実践し、他の圏域にお住まいのみなさんにも提唱したいのが、県組織と単位家族会の間に家族会ネットワークをつくることです。
 盛岡の場合は「盛岡ハートネット」という名称で、活動を始めています。この活動によって、先に挙げた課題解決、すなわち①若い人にメリットがある組織とするため、高齢者に限らずさまざまな世代の人が集える場②人任せ体質脱却のため、誰彼に頼らず自分たちが主体的に運営する場、③統合失調症に限らずさまざまな精神疾患の当事者や家族が集まれる場、④閉鎖性を超え、少しオープン(セミクローズ)な集まりにすることで、家族会員に限らず誰が来てもOKの場、⑤新規会員の受け皿、既存の地域家族会(作業所運営型)の家族の受け皿としての場、⑥岩家連と単位家族会の中間にあり、相互の連携をスムーズにする場-を目指しています。
 以下、ハートネット結成から3カ月の取り組み状況を紹介します。なお、具体的な中身については、添付のニュースを参照下さい。何より、見学に来て下さい。百聞は一見にしかず、です。

3-1-1 誰が来てもいいですよ-セミクローズな場
 参加対象者は、各単位家族会の会員に限定していません。誰が来てもいいですよ、というスタンスでやってます。ですから、厳密には「家族会連合会」という枠には収まらないゆるゆるのネットワークです。
 なぜか?いろんな悩みを抱えていたり、知識に飢えていながらも、主に「2」で述べたような事情から既存の家族会にメリットを感じず入っていない家族の方が参加しやすくするためです。さらに、家族会の存在自体を知らない人だっています。生活上の困難から、家族会に入りたいけど金がない人も、クローズとはいえ自らのプライバシーを明かしたくない人、名乗りたくない人もいることでしょう。こうした、あらゆる家族の参加を歓迎するため、一切の参加制限はしておりません。
 さらに、同じ心の病である以上、統合失調症に限らず、気分障害も人格障害も何でもござれ。単位家族会の集まりで統合失調症の家族10人に対し気分障害の家族1人だと、話が合わなくてなかなか大変かと思いますが、当方は幅広い枠組みですから、交流会にはいろんな立場の人、数十人がごちゃごちゃ集まります。こうしたスケールメリットにより、どんな事情を抱えた人でも、話があう人の1人や2人は大丈夫、見付かります。
 むろん、当事者もOK。障害種別も問いません。せっかく3障害一元化になったのですから、知的や身体障害の方もどうぞ。行政、医療、保健、福祉関係者や、一般市民の参加も歓迎。こうした開かれた場とすることで、各方面の関係者と情報や課題を共有することができるでしょう。行政関係者の方は、この場に来れば現場の悲痛な生の声に接することで、そのニーズをくみ取り施策に反映することが可能になるし、苦虫かみつぶしたような顔してる(?)財政課の方を説得する原動力にもなるでしょう。障害福祉関係者のみならず、一般の人がぶらっと参加しても構いません。一般の人に門戸を開き、精神障害に縁もゆかりもない人が私たちと場を共有することは、障害問題の理解促進、共生社会樹立の一助となります。家族が内輪でひそひそ話しているだけじゃ、世の中なんにも変わりません。
 むろん、プライバシーには配慮し、やりとりはこの場限り。外でへらへら「誰それさん家の誰それが○○なんだって!」とか言いふらされちゃ困ります。完全にオープンな場ではない。しかし、「誰が来てもいいですよ」と謳っている以上、単位家族会の定例会のような、完全にクローズゆえの極めて親密なやりとりの場でもない。ここはオープンとクローズの真ん中=セミクローズな場なのです。クローズで親密なやりとりは単位家族会の気の合う仲間同士で。ハートネットはそこから一歩踏み出し、少し門戸を広げることによって、いろんな人たちと出会い交流する場です。

3-1-2 ゆるゆる運営、あるいは自主性の尊重
 ハートネットには会則がありません。以下、4つのルールだけで運営しています。①代表は選びません。参加された皆さん一人ひとりが主役です②参加費の領収書は出しません。払うか払わないかは任意です③安心し楽しくおしゃべりしましょう。プライバシー厳守です④大事なことはみんなで決めよう。みんなのハートネットです。
 あらゆる組織は、代表を決めると、その人におんぶにだっこになりがちです。あえて会長やら役員やらは選ばず、ゆるゆる運営方式で続けていきたいと思っています。

3-1-3 講師のお話とおしゃべり会の二本立て
 ハートネット交流会の流れを紹介します。前半は行政や関係機関の方を招いての話題提供。後半は小グループに分かれてのおしゃべり交流会と、二本立てのプログラムとしています。単位家族会でいつも仲間同士のおしゃべりだけでは活動がマンネリ化しますから、講師の話を聞くことで勉強になり、単位家族会活動の刺激にもなります。視点を変えれば、行政や支援機関の関係者が家族会に何か周知したい際、単位家族会を1カ所ずつ回るより、ハートネットの場で紹介すれば1回で済むから、楽ちんですね。後半は気楽におしゃべりすることで、他の家族会員と仲良くなったり、他の家族会の面白い取り組みを知って自分たちもやってみようかなと思ったり、家族会同士で花見をするきっかけになったり、あるいは病院や作業所情報を入手したり…そんな展開をひそかに期待しています。

3-1-4 いいかげん?な明朗会計
 年会費はありません。交流会ごとに200円とか300円とか参加費をいただいて運営しています。お金のない人は払わなくてもいいですよ、というスタンスです。極めていいかげんではありますが、領収書はちゃんと保管してますし、会計報告は、ブログに随時公開することで透明性を確保しています。

3-2 ブログやニュースで情報発信
 ハートネット情報は、随時、ニュースを100部程度発行し、単位家族会や関係機関に郵送しています=添付資料参照。また、ブログ「http://opentolove.exblog.jp/」にも関連情報を網羅してますので、ご覧あれ。
 なお、これまで岩家連はさっぱり情報発信をやってきませんでした。30年の歴史がありながら、クローズな領域での活動が中心だったゆえ「いわかれん?何それ?何やってんの?」と言われていました。このブログは、もともと、岩家連情報や精神保健福祉情報を網羅的に紹介するための、私設岩家連ブログとして2007年4月よりスタートしました。2月7日現在、アクセスは6000件を突破し、岩家連あるいは盛岡ハートネットの活動周知に一役買っております。新聞、市町村広報など世の中にはさまざまなメディアがありますが、掲載スペースが限られているなどさまざまな制約があります。ネットを上手に活用するなどして、まずは自分たちで情報発信することを心掛けましょう。
 なお、岩家連は2008年1月、ようやく機関誌を発行。3月ごろにはカラーの立派なリーフレットも完成の予定です。楽しみですね。

4-将来展望

4-1 圏域単位でネットワークを
 盛岡のような集まりを、ぜひ他の市町村や圏域単位でつくり、地道に回数を重ねてほしいな、と思います。単位家族会が個々に活動しながら、市町村や圏域単位のゆるやかなネットワークを構築していく。ネットワークの場で定期的に情報交換し、情報発信し、医師を招いた勉強会や、保健師を招いた家族教室や、家族会や作業所の活動紹介などの取り組みを自主的に展開する。ゆくゆくは市町村への要望の窓口となる。ネットワークとしてニュースを発行する…。こうした取り組みの積み重ねによって、病院家族会、地域家族会(作業所型、保健師主導型)の弱点もある程度カバーできます。また、各地域の地域生活支援センターなどで取り組まれている当時者会と連携していくことも可能となるでしょう。

4-1-1 単位家族会とネットワークの関係
 くどくど書きましたが、ネットワークは要するに、いつもの家族会の集まりを少し広げた、隣近所の家族会から何人かずつが集り、おしゃべりする場でいいのです。「うちではこんなことやってんですよ」「うちの特徴はこんな活動ですよ」「へえ」…。そんな話から、互いの活動を参考にしたり、家族会同士で花見をしたり、作業所の見学をしたり、共通の悩みを確認したり、互いの情報を持ち寄り補完したりするのがネットワークです。
 ネットワークは単位家族会を吸収合併するのが狙いではありません。むしろ、単位家族会の活動を活発にするための情報や刺激を得る交流の場です。

4-1-2 ネットワークと岩家連の関係
 ネットワークが出来たら、岩家連は、市町村や圏域間の情報交換、格差是正など県への要望活動、全県的な大会や研修会開催、全国組織=全福連との窓口、全県的な生活実態調査など、全県的な事務に特化できるようになります。情報もいちいち個々の家族会におろさず、ネットワークにまとめておろすだけで済みますから、事務量も軽減するはずです。また、事務局はこれまで、何か文書を出す際に、54ある単位家族会総てに郵送していました。それが、将来各圏域や市町村にネットワークができれば、そのネットワークにまとめて1通出して、あとはそこから配布してもらうことだって可能です。

4-2 人任せ体質の脱却
 昔のことは分かりませんが、少なくともここ数年は、「誰ががやってくれるだろう」という意識で、行政や理事や事務局にすべてお任せで続いてきたのではないでしょうか。その岩家連の体質こそ、問題です。岩家連の再生は家族会の再生から。家族会の再生は、家族会員一人一人の意識を変えるところからから始まります。
 行政はさっぱり何もしてくれない、全家連はつぶれちゃった、岩家連は何やってんだかさっぱり分からない、とかグチってる場合じゃない。ならばどうすれば展望が開けるのかを、会員一人一人が本気で考えないと、岩家連は潰れます。障害を持つ当事者のみならず、私たち会員も、岩家連の会員としての当事者意識向上を図らなければ、どんなネットワークを作ろうとも、意味をなさない。医者任せはだめ、ベテラン会員任せはだめ、行政任せもだめです。

4-3 当事者会を支援する家族会への脱皮を
 岩家連は将来的には、当事者会を支援する家族会連合会への方向転換が必要です。
親も伴侶も、一生当事者の面倒を見ることはできません。当事者より長生きする、という意欲は美しい。でも、人生何があるか分からない。そのとき、何があってもいいように、当事者に力を付けることこそが、家族の役割であり、努めです。いつまでも、家族が中心の運動ではいけない。望ましい支援とは、当事者が望む支援であり、家族がそれを十全に代弁しきれるわけがない。だから、いつの日か、当事者主体の運動、それを支える家族会運動という、あるべき形へ再編すべきです。当事者の自立は、家族の自立と共にあります。
 日本はなぜ、いつまでも家族が中心なのでしょうか。精神の場合、かつて、当事者はいませんでした。つまり、発病すれば死ぬまで病院に入ったきりという、極めて日本的な事情が背景にありました。でも、もうそんな時代じゃない。ケネディ教書から半世紀、日本もようやく、長期入院ではなく短期入院と通院が一般的になり、当事者が街に生きる時代になってきました。そして、しかし、日本は悲しいかな、格差社会とストレスフル社会の進行で、心の病がますます増える時代になってしまいました…。だからこそ、今、岩家連の再生と、将来的には当事者会を支援する組織への脱皮が必要なのです。
 最後に。
 今年1月9日深夜、八戸市で、長年引きこもっていた18歳の少年が、家族3人を殺し家に火をつけるという衝撃的な事件が発生しました。不登校から引きこもり、母親は離婚し生活保護受給、3年ほど前には少年が自宅に灯油をまく騒ぎ、殺害された二男が「朝起きたらのどにナイフを突き付けられた、怖い」と話していた…。犯行の手口が自作小説と酷似している、ナイフで母の腹を切って異物を混入…さまざまな報道から、事件の全貌が浮かび上がってきています。また、昨年10月には母が警察を訪れ「長男を入院させるにはどうしたらいいか」と相談し、署員は保健所への相談を勧めたが、母は保健所に相談しなかったとのことです。その少年は、精神鑑定に回される見通しです。
私は、この事件が人ごととは思えません。保健師は、警察は、そして現地の家族会は何をしていたのか?なぜ、精神疾患の疑いがある少年を適切に医療へつなげることができず、惨事が起きるまで放置していたのか?
 岩家連、そして単位家族会は、今、危機的な状況を迎えています。ですが、私たちの危機感は、30年続いて愛着ある組織がなくなることへのノスタルジーであってはならないと思います。
 第2回ハートネット交流会で、ある参加者の言葉が印象に残っています。「ハートネットのような場に来られない人、まだどん底にいる人がたくさんいる。そんな人たちを、心の苦しみをはきだせるような場に引き出すにはどうしたらいいのか?」。…私たちの家族会、そして岩家連が今、危機にある当事者、家族に手を差し伸べられる組織でないことこそが、本当の危機的状況です。家族会が、そういう人たちを1人でも2人でも救えるような広がりを持った組織であるかどうか、私たちは、そういう人たちが危機から抜け出す一助となるような場を作り出すことができるか?それこそが問われているのです。

2008年2月8日 家族会長会議資料(盛岡ハートネット事務局・黒田大介)
by open-to-love | 2008-02-06 01:59 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
家族会ネットワークをつくろう! -「盛岡ハートネット」の活動を通じて-(上)


○2月8日、岩家連家族会長会議で、私が、盛岡精神障害者家族会連合会「盛岡ハートネット」の取り組みを発表することになりました。以下、発表論文(?)の目次と本文です。なお、家族会長会議とは、県内各地に54ある精神障害者家族会の会長が集まって、近況報告や悩みを語り合う集まりで、以前は年に2回開いていたそうなんですが、昨年は財政難により、1回だけ開催。今年も1回だけ開催となりました。
 昨年の会議では、多くの家族会が、会員の高齢化や会員減に悩んでいたそうです。今年、盛岡ハートネットの取り組み紹介が、他地域の家族会にとって、明るい展望となるか?ですが、私の持ち時間は10分…それじゃ到底語り尽くせないので、後は読んでくれ。

目次
0−はじめに

1−家族会活動…歴史的経緯と今日的課題
1−1   家族会活動の全国的動向
1−1−1 全家連の破産、解散
1−1−2 全福連結成
1−1−3 コンボ結成
1−2   本県における家族会活動
1−2−1 岩家連の現状
1−2−2 関係機関の取り組み
1−2−3 地域家族会ネットワーク結成の動き…奥家連、盛岡ハートネット

2−家族会活動…その4類型と課題
2−1   単位家族会の4類型
2−1−1 病院家族会
2−1−2 地域家族会(作業所運営型)
2−1−3 地域家族会(保健師主導型)
2−1−4 地域家族会(自主独立型)
2−2   単位家族会の課題
2−2−1 若い人にメリットが見えない
2−2−2 人任せ体質
2−2−3 統合失調症の家族ばっかり
2−2−4 閉鎖性
2−2−5 新規会員増と適正規模のジレンマ
2−2−6 岩家連と単位家族会の連携の希薄

3−家族会ネットワークについて
3−1   盛岡ハートネットの場合
3−1−1 誰が来てもいいですよ−セミクローズな場
3−1−2 ゆるゆる運営、あるいは自主性の尊重
3−1−3 講師のお話とおしゃべり会の二本立て
3−1−4 いいかげん?な明朗会計
3−2   ブログやニュースで情報発信

4−将来展望
4−1   圏域単位でネットワークを
4−1−1 単位家族会とネットワークの関係
4−1−2 ネットワークと岩家連の関係
4−2 人任せ体質の脱却
4−3 当事者会を支援する家族会への脱皮を

0−はじめに

 この小論は「1」から「4」で構成しています。「1」では通時的(歴史的)観点から、主に全国や県レベルの家族会活動の現状を述べます。「2」では共時的(形式的)な側面から、主に単位家族会における活動の現状を述べます。「3」では、「1」「2」で指摘した諸課題を解決するための一案として、盛岡市内・圏域で実践している家族会ネットワーク「盛岡ハートネット」の取り組みを紹介。「4」では将来展望として、各地でのこうしたネットワークづくりの動きが、岩家連再生への一歩になるという見通しを、期待を込めてお示ししたいと思います。
 よって、「1」「2」はあくまで現状認識と課題の列挙ですから、まどろっこしい方は「3」からお読み下さい。


1−家族会活動…歴史的経緯と今日的課題

1−1 家族会活動の全国的動向
 2007年。精神障害分野は、激動の1年でした。全国精神障害者家族会連合会(全家連)がいち早く賛同していた障害者自立支援法施行2年目。さまざまな課題が噴出している最中、その全家連が解散。そこから、NPO法人「地域精神保健福祉機構・コンボ」(事務局・千葉県市川市)と、「全国精神保健福祉会連合会(全福連)」(事務局・東京都)という2つの全国組織が誕生しました。岩家連は、全福連に加盟しています。

1−1−1 全家連の破産、解散
 岩家連はじめ各都道府県連合会が加盟しており、国との窓口でもあった全国組織である全家連が自己破産、解散したのは2007年4月。国所管の財団法人の破産は異例のこと。そして、日身協、全日本育成会とともに3障害団体の一角を占め、精神障害団体として最大の組織である全家連の解散は、末端の会員には寝耳に水ということもあり、衝撃でした。破綻の大きな原因は、栃木県の温泉保養施設「ハートピアきつれがわ」運営で赤字が膨らみ、最終的には10億円近い負債を抱えたことだったようです。企業の寄付金を当て込んで建設に着手したものの、バブル崩壊でさっぱり集まらず、赤字ばっかり膨らみ、国からの補助金を赤字補填に目的外使用し、それがばれ、返還しなくちゃなくなった。岩家連はじめ会員から寄付を募り再生を目指したが、結局だめで、あえなく破産・解散に追い込まれました。

1−1−2 全福連結成
 その後釜が、全福連(東京都)です。家族の立場に立った組織です。「みんなネット」という機関誌を発行しています。「ぜんかれん」誌の後継で、体裁もそっくり。当初は中身が薄かったですが、だんだん充実してきましたね。なお、岩家連に加盟要請があり、2007年5月19日、総会で承認されました。

1−1−3 コンボ結成
 一方、コンボは、当事者向けの組織を標榜しています。旧全家連研究所のメンバーが中心となり、立ち上げられたそうです。大島巌ら精神業界のそうそうたるメンバーが理事を務めています。笑顔の当事者が表紙を飾る機関誌「こころの元気+」は、各マスコミに取り上げられ、話題を呼びました。中身も充実しています。コンボは個々が会員になって雑誌を購読するスタイルで、全福連のように各県連が加盟するシステムではありませんが、私たちは、全福連(家族向け)とコンボ(当事者向け)双方の動きを注目していきましょう。「4 将来展望」で詳述しますが、これからは、当事者が主人公。いつまでも、家族が当事者の思いを代弁する時代じゃないのです。

1−2 本県における家族会活動
 あたかも、全家連解散が岩家連の行く末を暗示しているがごとく、本県の家族会活動も閉塞感が漂っています。単位家族会の高齢化と会員減は、そのまま、岩家連の高齢化と会員減へ直結しています。時代は変わっているのに、岩家連は依然として、統合失調症長期入院患者の家族組織から脱皮し得ていない。長らくじり貧状態が続き、岩家連として何をするか、ではなく、いかにして岩家連という組織を維持するか、という、組織の延命が自己目的化せざるを得ないような、おかしな状況に追い込まれています。

1−2−1 岩家連の現状
 会員の高齢化と会員減の理由は、何より、中途障害ゆえの構造的問題を抜きには語れません。つまり、統合失調症は20歳前後で発症することが多く、その時点で家族は50歳から60歳。一般に、家族が家族会に入るのは発症から10年かかると言われています。すると、入会時、会員はすでに60歳とか70歳…新規会員がそもそも高齢なのです。子どもが障害を持って生まれ、親が若くて元気なうちから活動に参加する育成会とは、数十年にわたるタイムラグ、ジェネレーションギャップがあります。
 その上で、です。30年前の岩家連立ち上げ時は、主に統合失調症(当時は精神分裂病)の精神障害者は精神病院に長期収容され、偏見もものすごいものがありました。よって、そんな中で家族が肩寄せ合って集まり悩みを語り合おう、というのが、家族会の始まりでした。
 しかし、統合失調症は疫学的にあらゆる時代、人種、地域を問わず100人に1人が罹患する病気です。なら、なぜ岩家連の会員は年々減少するのか?不思議ですよね。その理由は、岩家連が設立当時の名残を未だにとどめ、時代の変化に対応していないから、新しい会員が増えないのです。若い人に魅力がないからです。なお、こうした組織の脆弱さは、財政基盤の脆弱さにもつながっています。財政難は深刻です。2007年5月の総会で、赤字分は、家族会単位で会員数に応じて会費を払い補填することに話はまとまりました。これは焼け石に水、対症療法でしかない。来年も、また来年も、そうやって補填していき、会員が減れば減るだけその補填額が増え…なんてことをやってれば、じり貧です。そして、金がない岩家連は家族大会やいきいき交流会など、ルーティンの年間行事をこなすので精一杯で、ホームページもなければ、岩家連を紹介するリーフレットや機関誌を発行するゆとりもなかった。なおさら、若い人に会員になってもらうだけのメリットを、組織として示せなかった。
 「時代の変化」として、2点、挙げたいと思います。1つは、障害者自立支援法の施行。もう1つは、うつ病はじめさまざまな精神疾患への対応です。
 2006年春に障害者自立支援法が施行されました。精神障害者にとっては、大問題です。定期的な通院が必要にもかかわらず、医療費が0・5割から1割へと倍増になったんです。家族会などでは、生活が厳しくなったという声がしばしば聞こえてきます。でも、岩家連として、その声を集約することはできなかった。声なき声を代弁することはできなかった。岩家連は、それが運動体であるならば、1割負担がどう会員の生活に影響を及ぼしているかという全県的なアンケート調査をして、そのデータを取りまとめ、当事者や家族の置かれた現実と、施策の充実を広く訴えなければならなかったのに、悲しいかな、そんな余裕すらありませんでした。むろん、作業所の新サービス体系移行に向けたNPO法人格取得支援など、県組織としての努力は涙ぐましいものがありました。でも、それ以上ではなかった。組織維持に追われるあまり、運動体としての役割が欠落してしまいました。
 また、現代は「うつの時代」とも呼ばれています。年間自殺者3万人を超える日本で、自殺が社会問題化しています。その多くがうつ病との関連を指摘され、関係機関がうつ病対策に取り組んでいます。しかし、統合失調症患者の家族が中心の岩家連は蚊帳の外。同じ心の病の当事者を抱える家族の集まりにもかかわらず、岩家連は組織として何らの手だても打ち出していません。理由は、財政的に逼迫してそれどころじゃないからです。

1−2−2 関係機関の取り組み
 どうしたら岩家連に新規会員が加入するか?これまでは、県の保健所が家族教室を開き、そこで病気や社会資源について学んだ家族が、既存の家族会に加入するというルートがありました。しかし、県の教室は終了し、取り組みは市町村に委ねられました。今後、市町村格差が生まれることでしょう。
 なお、県精神保健福祉センターは、国の自殺対策がらみで、うつ病の家族教室を新たに始めています。県の精神保健施策は、とっくに統合失調症ではなくうつ病に重点を置いています。繰り返しますが、岩家連はこうした行政の動きに呼応しておりません。

1−2−3 地域家族会ネットワーク結成の動き…奥家連、盛岡ハートネット
 そんな中、県組織としてではなく、地域独自に、新たな動きが生まれています。奥州市家族会連合会(奥家連)と、盛岡家族会連合会(盛岡ハートネット)の誕生です。
奥家連は2006年春、奥州市の合併に伴い、旧市町村単位の4家族会で結成。定期的に交流会を開いています。
 盛岡ハートネットは2007年10月、盛岡市内8家族会はじめ、盛岡圏域15家族会に参加を呼び掛け結成。第1回交流会は約60人が参加し、盛岡市障害福祉課と保健センターの3人に「分かりやすい盛岡市の精神保健福祉サービス」と題し講演してもらいました。第2回交流会は35人が参加。ソーシャルサポートセンターもりおかのPSW廣田政彦さんが「困ったら相談しよう」と題し講演しました。第3回交流会は2月12日、盛岡市のもりおか女性センター別館で開きます。紫波町のベテラン保健師八重嶋幸子さんに「紫波町の精神保健福祉活動」と題し講演していただきます。(詳しくは「3」で紹介します)

2−家族会活動…その4類型と課題

2−1 単位家族会の4類型
 では、この窮状をどうやって打開するか? 岩家連という大きな県組織のピラミッドの頂点をいじったって、小手先の対処でしかありません。まず足元を固めなければならない。なすべきことは、家族会員を増やすことです。底辺をどれだけ広げられるかです。
 よって、本章では「足元」、すなわち県内各地に54ある単位家族会の現状について、その形態を4つに類型化した上で考えてみます。一般に、家族会は病院家族会と地域家族会と2種類に分けられますが、それは現状にそぐわない。地域家族会を3つに分け、㈰病院家族会㈪地域家族会(作業所運営型)㈫地域家族会(保健師主導型㈫地域家族会(自主運営型)の、計4タイプに分類したいと思います。(なお、私はすべての家族会を回って聞き取りしたわけではありません。主に、私自身が加入する盛岡市内の4家族会の現状を見た限りの現状認識であることを了承ください)

2−1−1 病院家族会
 病院家族会は、病院単位で、そこの患者さんの家族がメンバーです。家族会では最も歴史が古い。そして、おそらくどこも、高齢化、新規会員減少という問題を抱えています。そこには、診療報酬の改訂や非定型抗精神病薬の進歩により、長期入院患者が減少していることが背景にあります。かつては発病したら10年、20年、あるいは一生入院するのが当たり前でしたから、多くの家族が家族会に入会していました。ですが、今はたいてい3カ月で退院。すると「3カ月だけなのに、どうして家族会に1年分の会費を?」と考え、わざわざ家族会に入ろうという人は減っているわけです。
 すると、設立当初から長らく入院している患者の家族が今なお会員の中心として固定化してしまう。高齢化が進む。進めば進むほど、会員は病気がちになったり、体のあちこちが痛くなったり、耳が遠くなったりして、フットワークが重くなる。動きが鈍くなり、病院側スタッフに運営を任せることになり、家族会運営は病院におんぶにだっこ体質になってしまう。家族会を開いても、年々参加者は減少の一途。そして、会員がベテラン揃いだとなおさら若い人は入りづらい。すると、だんだんと、やってることがマンネリ化し、メリットが見えず、ますます若い人の家族会離れが進む、という構図になっています。もっと早くに、世代交代を図るべきでしたが、時既に遅し。病院家族会が仮に設立から30年ぐらいとして、主要な会員の高齢化と重ね合わせて類推すると…今や、設立当初のメンバーが櫛の歯が欠けるみたいに減っていったらそのまま自然消滅、あるいは、消滅しないまでも開店休業状態、という家族会は多いのではないでしょうか?
 ただし、実態はともかくも、病院家族会には大きな存在意義があります。精神疾患は回復まで長くかかるし、回復しても再発防止のためには一生病院にお世話になり、服薬を続けなければならない患者もいる。長期入院ではなく短期入院・通院治療が主流の今こそ、患者とともに家族も服薬の大切さなど学び、力をつけないと、患者の早期回復につながらないからです。よって、とりわけ単科の精神科病院は、既存の形骸化した家族会をどうするかという狭い視野ではなく、新しい時代の精神科医療の一環としての家族心理教育の中に既存の家族会を位置付けたり、デイケアメンバーとの連携を図るなど、広い視野で捉え直すことが必要でしょう。病院家族会の問題は、決して家族だけの問題ではなく、病院がいかに地域に開かれた病院になっていくかという取り組みの一環として考えるべきです。

2−1−2 地域家族会(作業所運営型)
 地域家族会(作業所運営型)ですが、これも病院家族会と同様、高齢化、新規会員減少という問題を抱えています。その理由は、作業所(地域活動支援センターや就労継続支援事業所)運営に手一杯で、家族会活動をやってるヒマがないからです。作業所を運営しながら、毎月定期的に家族が集まって情報交換したり、会報を発行したりするのは厳しい。とりわけ支援法の新サービス体系移行期は、NPO法人格取得など事務手続きで手一杯。家族会としての活動はさっぱりできず、かつ今後も事務量は増えますから、ますます家族会活動は望めないでしょう。
 作業所の担い手が家族会の担い手である限り、これは仕方がないとも言える。日本の障害福祉の歴史において、身体・知的と比べ、精神の社会資源が格段に立ち遅れていたため、精神障害者は、退院しても行き場がなく、結局、家族会が自分たちで作業所をやらざるを得なかった。
 作業所はその業務の傍らいかに家族会を開くかを考えるより、家族会運営方式から早期に脱皮を目指すのが現実的だし、あるべき姿です。そして、作業所利用者家族のための家族会活動については、作業所としてやるのではなく、別な枠組みの中で受け皿を用意する方がいい。でないと、作業所スタッフは過労で倒れてしまう。そもそも、家族が作業所をやらざるを得ないという日本の精神障害者福祉行政の貧困さこそ問題なのです。

2−1−3 地域家族会(保健師主導型)
 県内各市町村では、保健師主導で家族会を立ち上げ、保健師が事務局となって運営している家族会も多い。ここの課題は、市町村の行財政改革や合併、あるいは長年お世話になった保健師が退職して新しい人に代替わりしたなどの事情で、行政が家族会から手を離し自立を迫られる場合、果たしてそれが可能か、ということです。事務局=保健師が年間スケジュールを決め、場所を提供し、段取りをすべてつけてくれて、その上に家族が乗るというパターンが続くと、家族の自主性はいつしか失われ、自立は望めなくなるでしょう。

2−1−4 地域家族会(自主独立型)
 地域家族会(自主独立型)ですが、これがいわゆる「心のオアシス」としての家族会本来の活動をしています。盛岡で言えば「助支安の会」です。同会は、盛岡保健所主催の家族教室の修了生で結成。毎月1回、自分たちで場所を確保し定例会を開き、悩みを語り合ったり情報交換をしています。さらに、医師を交えての勉強会、県立大教授を招いた家族SST教室、当事者と家族のアート交流会など、フットワーク軽く活発に活動してます。

2−2  単位家族会の課題
 ここで、あらためて、単位家族会の課題を列挙してみます。一言でいえば、人任せ体質は活動のマンネリ化を招き、すると若い人が入らなくなり、高齢化と会員減が進み、それはさらなる人任せ体質と活動のマンネリ化になり、ますます若い人が入らない、という悪循環を招く。さらに、病院は病院、作業所は作業所、市町村は市町村でバラバラに活動しているので、互いの連携もなく、かろうじて岩家連とそれぞれがつながっているだけ、というのも深刻な課題です。

2−2−1 若い人にメリットが見えない
 これは、病院家族会と地域家族会(作業所運営型)に顕著な特徴です。世代間のギャップが背景にあります。長らく子どもが入院している高齢の家族と、子どもや伴侶が病気になったばかりで、非常な混乱期におかれている家族とのコミュニケーションは、極めて難しい。また、地域家族会(作業所運営型)の場合、作業所の運営が忙しくて、利用者の家族が悩みや苦しみを語り合う、いわゆる家族会活動をしている暇がないといういかんともしがたい現状があります。

2−2−2 人任せ体質
 病院家族会に顕著です。運営が病院スタッフ任せですから。さらに、地域家族会(保健師主導型)も、会員が保健師におんぶにだっこになりかねない危険性をはらんでいます。 

2−2−3 統合失調症の家族ばっかり
 これまでの家族会は、一般に統合失調症の患者の家族が中心でした。ですが、目下社会問題になっているのは、統合失調症よりうつ病などの気分障害と、それによる自殺です。岩手は自殺率全国ワースト3ですから、県はうつ病の対策に懸命ですね。今後、家族会にうつ病患者の家族が参加することも予想されますが、そのとき、例えば統合失調症患者の家族10人の家族会の中に、1人だけポツンとうつ病患者の家族が参加することは、かなり疾患の特性が違いますから、双方やりづらいでしょう。

2−2−4 閉鎖性
 単位家族会は、基本的に、クローズで活動しています。会員は家族のみで、ドアの閉められた部屋の中で、近況や悩みを語り合う。そこでの話はドアの外には持ち出さない。それはそれで悪いことではないし、だからこそ家族会なのです。しかし、クローズな活動ばかりで、どうやって社会に理解を訴えていくのか? 社会との接点はいつまでたっても生まれない。しかし、現実的には、小世帯の単位家族会が「一般の人の参加OKですよ、どうぞ来て下さいな」と呼び掛けるのは難しいし、来る方もかなり緊張するでしょうから、来づらいことでしょう。

2−2−5 新規会員増と適正規模のジレンマ
 メンバーが若々しく活発な地域家族会(自主独立型)ですが、そこはそこで、これから問題を抱えることは必至であります。
 単位家族会の適正規模はだいたい十数人、多くても20人でしょう。一家族会の会員がかりに50人になったら、1人10分ずつ近況報告すると6時間超。これじゃ、癒しどころかかえって疲れてしまい、家族会として成り立ちません。
 さて、統合失調症は100人に1人。当然、新たな患者は出てくるし、その家族も出てきます。そして、今、うつ病や人格障害などの患者も増えています。そうした患者の家族は、どこにつながりを求めればいいのか?その受け皿として、既存の単位家族会が想定されます。中でも、年齢構成が若い「地域家族会(自主運営型)」が、世代も近いので、入りやすいでしょう。ですが、数人ならともかく、あまり増えると、1家族会が受け皿となるのは無理です。
 で、かりに次々に家族会入会希望者が出てきたとして、「私たちの会は定員いっぱいです」と断れるかというと、断れないのが人情。とりわけ自分自身苦しんだ家族会員だからこそ、苦しんでいる家族を救いたいと思うのが共通した思いです。でも、増え続けたとして、限度がある。でも、受け入れないと、自宅で孤独に引きこもり、苦しむ親子が出てくる。どうしよう?…それが、地域家族会(自主独立型)のジレンマです。
 つまり、私たち家族会員は、さまざまな精神疾患患者と家族が増加するであろう時代にコミットするため、既存の家族会を受け皿とするだけではなく、新たな受け皿を自分たちで準備していくことも考えなければならないと思います。

2−2−6  岩家連と単位家族会の連携の希薄
 岩家連(ふれあいランド岩手にある事務局)と単位家族会個々のつながりがあるだけで、家族会の横のつながりがないのは、大きな課題です。市町村や圏域レベルの中間ネットワークがない。とりわけ盛岡の場合は、ものすごくバラバラでした。支援法により、サービス主体も財源も、県から市町村に移ったのに、岩家連は制度変革に対応できていない。サービス提供主体の市町村に何か要望するなり、協力して何かするなどの際、その主体が不在なんです。市町村の担当者だって困ると思いますよ。さあ、自分たちがサービスの主体になったぞ、でも、管轄内の当事者や家族にどんなニーズがあるのか、どんな現状なのか、どこの誰に聞けばいいんだ? 
 市町村対応まですべて岩家連事務局にお任せ、というのは、専従事務局員1人態勢の現状では無理です。さらに、岩家連の財政難で、家族会長会議の開催数も減少しました。交通費掛けて広い県内から一堂に集まることは、それ自体が大変なことです。よって、ますます家族会同士の横のつながりは希薄になっていく。そして、岩家連は県内各地の家族会それぞれが抱える課題を集約できるような態勢にはありません。

以上、とっても暗い前半でした。以下、(下)に続きます…
by open-to-love | 2008-02-06 01:58 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
家族会活動の課題と展望-支援法施行1年、全家連破産・解散、岩家連の危機の中で-

みなさま、ご紹介にあずかりました岩手日報記者で岩家連会員の黒田大介と申します。会員になってまだ1年経ってませんし、まだまだ勉強中の身ではありますが、個人として、記者としてこの1年、感じたこと、考えたことを、お話しさせていただきます。

まず、全国の動向について、話します。岩家連はじめ各都道府県連合会が加盟しており、国との窓口でもあった全国組織である全家連が4月に自己破産、解散しました。詳しくは、月間「ぜんかれん」最終号(4月15日刊行、でも届いたのは5月中旬)所収の小松正泰理事長のお詫び文章、あるいは、解散発表時の新聞報道などお読み下さい。ここでは、岩家連の今後を考える上で、示唆的な点のみ指摘します。

全家連破綻の大きな原因は、小松理事長も会見で話していた通り、栃木県の温泉保養施設「ハートピアきつれがわ」運営で赤字が膨らみ、最終的には10億円近い負債を抱えたことだったようです。企業の寄付金を当て込んで建設に着手したものの、バブル崩壊でさっぱり集まらず、赤字ばっかり膨らみ、国からの補助金を赤字補填に目的外使用し、それがばれ、返還しなくちゃなくなった。岩家連はじめ会員から寄付を募り再生を目指したが、結局だめで、破産・解散に追い込まれた、ということです。

多くの岩家連会員にとって、全家連は遠い存在でした。岩家連を通じて、全家連が毎月発行している月刊「ぜんかれん」誌が届くという関係でしかありませんでした。実際、岩家連から全家連への上納金はありません。にもかかわらず、全家連の解散により、「じゃあ岩家連も解散か」なんて、関係者の間でしばしばささやかれることは、ちょっと哀しいですよね。全家連と岩家連は全く別組織なのに。

さて、岩家連が全家連と同様、危機的状況であることは変わりません。で、岩家連までも解散せず再生するため、全家連解散をなにがしかの教訓とするならば、それは、ある作業所の人が言ってましたが「結局、善意頼みでホテル経営が成り立つほど、世の中甘くない」という現実をきちんと見据えることではないでしょうか。精神障害者の雇用がさっぱり進まぬ中、温泉保養施設を立ち上げ、障害者をホテルマンとして雇い、給料を払い、さらに接客を通じ対人関係を磨き、自立につなげ、かつ、社会=お客さんの理解を進めるという構想は素晴らしく、美しい。でも、世の中そんなに甘くない、という現実を見据えないと、岩家連も全家連の二の舞になってしまう。岩家連は何もすべきではない、というんじゃありません。そうではなく、身の丈にあったことを、実現可能なことを、少しずつ時間を掛けてやることこそ大事ではないかと思います。「善意頼み」でいえば、そもそも岩家連は、八重樫正美さんというボランティアの無償労働=善意を前提として成り立っている組織という意味では、全家連と大差ない。全然自立なんかしてない、という現実から、出発していきましょう。

それにしても、全家連は最悪の時期に解散しました。支援法が施行され1年、「3障害平等」(サービス一元化)となり、いざこれからというときに、解散しちゃいました。ですが、善し悪しは別として、全家連は密かに、自分たちが解散したあとの全国組織を計画していたらしいのです。それが「全福連」(東京都)です。「みんなネット」という機関誌を発行しています。岩家連に加盟要請があり、5月19日、総会で承認されました。

 ところで、もう一つの全国組織「全国精神保健福祉機構」(千葉県市川市)は、みなさんご存じでしょうか。略称は英語の頭文字を取って「コンボ」。こちらは、当事者向けの組織として、機関誌「こころの元気」を刊行しています。「全福連」「コンボ」とも、全家連本部にいた職員がかかわっているということですが、どうして2つの全国組織が生まれたのか?岩手の地からその内情をうかがい知ることはできません。ただ単に仲が悪いだけかもしれない。あるいは、厚労省と全家連幹部のシナリオに沿った形で全福連を作ろうという水面下の動きに対する反発があったかもしれない。

で、それぞれの活動方針・内容については、機関誌以外に判断材料はありません。創刊号を読み比べてみました。私見ですが、はっきり言って、クオリティーははるかにコンボの「こころの元気」が上です。むろん私は岩家連の会員だし、その岩家連が加盟した全福連について、その成長、その機関誌である「みんなねっと」の内容充実を願ってやみません。しかしながら、当面、「みんなねっと」だけじゃ、全国の動向はさっぱり分かりません。で、私はコンボの会員にもなっています。コンボは、全福連のように団体加盟する組織ではなく、個々人が会員になって機関誌を購読する形になります。みなさん、もし金銭に余裕があるならば、双方の購読をお薦めします。

岩家連の危機的状況については、岩手日報の「自立支援の名の下に」③で、温かくも厳しく指摘してましたね。その上で、話します。記事で指摘した通り、会員も理事も高齢化が進み、自然と会員も減少しているのが現状ですが、その理由としては、中途障害ゆえの構造的問題が大きい。こうした組織の脆弱さを背景に、決まり切った行事しかできない。ホームページも、岩家連を紹介するリーフレットすらもない。正直、驚きました。結局、組織維持に追われ、運動体としての役割も欠落してしまいました。

昨年春に支援法が施行されました。精神障害者にとっては、大問題です。定期的な通院が必要にもかかわらず、医療費が0・5%から1割へと倍増になったんです。家族会などでは、生活が厳しくなったという声がしばしば聞こえてきます。でも、岩家連として、その声を集約することはできなかった。岩家連は、それが運動体であるならば、1割負担がどう会員の生活に影響を及ぼしているかというアンケート調査をして、そのデータを取りまとめ、当事者や家族の置かれた現実と、施策の充実を広く訴えなければならなかったのに、悲しいかな、そんな余裕すらありませんでした。

また、貧弱な組織態勢も露わになりました。岩家連は、県組織(ふれあいランドにある事務局)と家族会個々のつながりがあるだけで、家族会の横のつながりがない。市町村や圏域レベルの中間ネットワークがありません。支援法により、サービス主体も財源も、県から市町村に移ったのに、岩家連は制度変革に対応できていない。サービス提供主体の市町村に何か要望するなり、協力して何かするなどの際、その主体が不在なんです。市町村の担当者だって困ると思いますよ。さあ、自分たちがサービスの主体になったぞ、でも、管轄内の当事者や家族にどんなニーズがあるのか、どんな現状なのか、どこの誰に聞けばいいんだ? 市町村対応まですべて岩家連事務局にお任せ、というのは、専従事務局員1人態勢の現状では無理です。さらに、岩家連の財政難で、家族会長会議の開催数も減少しました。交通費掛けて広い県内から一堂に集まることは、それ自体が大変なことです。よって、ますます家族会同士の横のつながりは希薄になっていく。

暗い話ばっかりですいません。でも、だからしょうがないかと諦めるのはまだ早い。まず、何かできることはないかを考えましょう。理事や事務局は何やってんだ、という声も聞こえてきますが、責めたってしょうがないんです。5月の総会で、新年度赤字の赤字分は、家族会単位で、会員数に応じて会費を払う事で補填することに話はまとまりました。これは対症療法でしかない。来年も、また来年も、そうやって補填していき、会員が減れば減るだけその補填額が増え…なんてことをやってれば、じり貧です。岩家連組織のピラミッドの頂点をいじったって、小手先の対処でしかありません。この現状を何とかするためには、まず足元を固めなければならない。なすべきことは、家族会員を増やすことのほか、ありません。底辺をどれだけ広げられるかなんです。

そして、昔のことは分かりませんが、少なくともここ数年は、「誰ががやってくれるだろう」という意識で、行政や理事や事務局にすべてお任せで続いてきた。その岩家連の体質こそ、問題です。岩家連の再生は家族会の再生から。家族会の再生は、家族会員一人一人の意識を変えるところからから始まります。

まず、一人一人ができることを考え、実践しましょう。私の場合。情報発信の不在を解消するために、今春から手っ取り早い、2つのことに取り組んでいます。まず、個人的に、ブログ「http://opentolove.exblog.jp/」を始めました。私設岩家連ブログです。みなさん、ご覧下さい。私はパソコンに詳しくなく、ホームページを作る能力がまだありませんが、そのうち勉強して、将来的にはホームページに移行を目指します。岩家連が定期的に機関誌を発行できれば一番いいんですが、財政的にも事務局態勢も、なかなか厳しい。あくまでパソコン持ってる人だけが対象ですが、ブログに最新情報を随時載せていけば、連携は少しずつスムーズになっていくことでしょう。

あと、リーフレットも作ってみました。見本をお見せします。A4判三つ折りで、これも将来は、なんとか財団の助成を受け、きっちりしたのを作りたい。モノクロでしょぼいですが、ないよりマシ。これを、研修会や家族大会などの際に配布します。病院や関係機関の窓口にも置いてもらおうと思っています。岩家連は最近、全家連解散がらみで有名になりましたが(笑)、まだまだ存在自体を知らない人もいることでしょう。存在を知っていても、何をしているか分からない人も多いことでしょう。リーフレットには、岩家連の活動内容や歴史などについてコンパクトに記載してますので、例えば病院などでリーフレットを手にした当事者や家族が、関心を示し、会員になるかもしれない。

こうして、私は自分ができることとして、2つのことを始めました。みなさんも、一人一人ができること、必ずあるはずです。例えば、リーフレットをコピーして、配って下さい。さっぱり集りに来ない会員に、参加を呼び掛けて下さい。知り合いの保健師さんらと、現状について話し合って下さい。

ついで、家族会相互の連携の不在という問題を解決するため、各医療圏域や市町村単位のネットワーク結成を提唱します。

そもそも家族会って何でしょうか?それは、一言で言えば「心のオアシス」です。この言葉は、実は私の言葉じゃなくて、盛岡市の地域家族会「たんぽぽの会」のある会員さんの言葉です。そうだよなー、と、家族会参加当時の一年前を振り返り、しみじみ思います。

みなさんも、家族の発病前後のことを思い出してみましょう。当事者も、その最も身近な家族も、無茶苦茶で、わけが分からない日々。病院に行くまでが一苦労。行ってからも一苦労。職場を変わった人、辞めた人、心中を思い立った人、隣近所に隠している人、家庭内不和になった人、離婚した人…いろんなケースがあるでしょう。薬で症状が治まったとしても、我が息子は、我が伴侶は、なかなか以前のような快活な笑顔が戻らない。治ったと思っても、また症状がぶり返す。症状が治まったとしても、今度は薬の副作用で不眠になったり。「医者が悪い」と転院したものの、あまり状態は変わらない…。

そんな時、家族会なる集まりがあることを知った。どぎまぎしながら、行ってみた。わが家の悩みを、わがことのように共有し、共感してくれる人たちと出会った。自宅と病院との往復から、新たな一歩の始まりです。我が家だけが苦労してるんじゃない。「ああ、よそもこんなに苦労してんだなあ」と、相手を励ましたい気分になれることもある。つまり、「心のオアシス」なんですよね。

家族がそういう気分になれるひとときがあるということは、当事者の回復にもつながります。定期的に薬を飲むのが治療の基本だとしても、その傍らで家族が泣いてばかりいたり、怒ったりどなったりばかりしていたら、回復の支えにはならず、むしろ妨げの要因となります。急がず騒がず、一関市で昨年、地域生活支援センター主催で開かれた「家族のための井戸端会議」で講演した家族SST講師高森信子さんの言葉によれば、ある種の「あきらめ」というか、長く付き合い、ゆっくりゆっくり直して行こうという気になることが、この病気には必要な家族の姿勢。そのためにも、家族同士が会い、ともに泣き、ともに笑い、うち解け会い、つかの間でもリラックスする場が必要なんです。

 では、その上で、家族会の現状について、類型化した上で考えてみましょう。一般に、家族会は病院家族会と地域家族会と2種類に分けられますが、私はそれでは現状にそぐわないと思います。地域家族会を、作業所運営型と、そうでないところに分ける。つまり①病院家族会②地域家族会(作業所運営型)③地域家族会(家族会型)の、計3タイプに分類したいと思います。

 まず、病院家族会は、高齢化、新規会員減少という問題を抱えています。そこには、診療報酬の改訂や、非定型抗精神病薬の進歩により、長期入院患者が減少していることが背景にあります。かつては10年、20年と入院するのが当たり前でしたから、多くの人が当然のように入会していました。ですが、今はたいてい3カ月で退院。すると「3カ月だけなのに、どうして1年分の会費を?」と考え、わざわざ家族会に入ろうという人は減っているわけです。

すると、長らく入院している患者の家族が現在の会員の中心となってしまう。高齢化が進めば進むほど、会員は病気がちになったり、体のあちこちが痛くなったり、耳が遠くなったりして、フットワークが重くなる。動きが鈍くなり、病院側スタッフに運営を任せることになり、家族会運営は病院におんぶにだっこ体質になってしまう。私の入っている岩手保養院のプラタナスの会は、もろそんな感じです。そして、会員がベテラン揃いだと若い人は入りづらい。もっと早くに、世代交代を図るべきでしたが、時既に遅しという感じ。すると、だんだんと、やってることがマンネリ化してしまう。そうなれば、毎月「ぜんかれん」誌が届く以外のメリットが見えず、ますます若い人の家族会離れが進む、という構図になっています。

 つぎに、地域家族会(作業所運営型)ですが、これも病院家族会と同様、高齢化、新規会員減少という同じ問題を抱えている。その理由は、作業所運営に手一杯で、先に話した「心のオアシス」としての家族会活動をやってるヒマがないからです。とりわけこの1年は、支援法の新サービス体系に移行する条件とされたNPO法人格取得、利用者一人一人の個別支援計画作成などの事務に手一杯で、家族会としての活動はさっぱりできなかったし、今後も補助金は増えないのに事務量は格段に増えますから、家族会活動は望めないでしょう。作業所の担い手が家族会の担い手である限り、これは仕方がないとも言える。どうしてこうなったかといえば、やっぱり日本の障害福祉の歴史において、身体・知的と比べ、精神の社会資源が格段に立ち遅れていたことが背景にあります。精神障害者は、退院しても行き場がない。結局、家族会が自分たちで作業所をやらざるを得なかった。そんな日本の精神障害者福祉行政の貧困さが問題なのですが、かといって将来、借金大国日本で、精神の社会資源が充実されることは、望むだけ無駄でしょう。つまり、地域家族会(作業所型)の会員は、ますます作業所に利用者を通わせている親兄弟に限定されていくでしょう。作業所を運営しながら、毎月定期的に集まったり、会報を発行したりするのは、現状ではとても厳しいから、会員にとっては、毎年会費を払っている以外のメリットがなかなか見えにくい。

 病院家族会、地域家族会(作業所型)は、当事者の視点からすれば、いずれも大きな存在意義があります。病院にとっては、家族が潰れられちゃ困る。作業所利用者にとっては、作業所運営母体である家族会が潰れられちゃ困る。それぞれが潰れることによる、さまざまな悲劇は、誰も望んでいない。だから、なくしちゃいけない。にもかかわらず会員減が続くのはなぜか。それは、会費を払うことに対する具体的なメリット(例えば定期的に家族会を開く、ニュースを発行するなど)が見えない限り、会員の新規開拓は望めないということです。

 最後に、地域家族会(家族会型)ですが、これがいわゆる家族会本来のイメージです。盛岡で言えば「たんぽぽの会」「助支安の会」が、ここに分類されます。例えば「助支安の会」の場合は、保健所主催の家族教室の修了生で結成。家族同士の交流会を超え、県立大教授を招いた家族のためのSST教室、当事者と家族のアート交流会など、実に活発に活動してますね。「たんぽぽの会」は、広く市民を交え、喫茶ひだまりを運営している「精神保健を考える岩手の会」と連携しているのが特徴。こないだは葉桜でしたが、お花見を楽しみました。6月には保健師を招き交流します。こんな感じで、いずれもフットワークの軽さが特徴といえましょう。

地域家族会(家族会型)の今後想定される問題は、新規会員増と適正規模のジレンマです。今までなら、保健所主催の家族教室が毎年開かれていました。そこで、盛岡でいえば「助支安の会」のような新たな家族会が、毎年誕生していくことも期待できました。ところが、保健所主催の家族教室が昨年度で終わってしまったのです。統合失調症は100人に1人。当然、新たな患者は出てくるし、その家族も出てきます。ですが、その新規会員はどこに行けばいい? その受け皿として、既存の家族会が想定されますが、数人ならともかく、あまり増えると、一家族会が受け皿となるのは無理です。

家族会の適正規模はだいたい十数人、多くても20人でしょう。一家族会の会員がかりに50人になったら、1人10分ずつ近況報告すると6時間超。これじゃ、家族はかえって疲れてしまいます。でも、保健所がもう家族教室を主催して新たな家族会作りを支援せず、市町村もやらないとしたら、そういう事態になってもおかしくないことになってしまいます。で、かりに次々に家族会入会希望者が出てきたら、「私たちの会は定員いっぱいです」と断れますか?無理です。断らないのが人情です。とりわけ自分自身苦しんだ家族会員だからこそ、苦しんでいる家族を救いたいと思うのが共通した思いです。でも、増え続けたとして、限度がある。でも、受け入れないと、自宅で孤独に引きこもり、苦しむ親子が出てくる。どうしよう?…それが、地域家族会(家族会型)のジレンマです。

 こうしたもろもろの困難な現状を、一挙に、とは行きませんが、少しずつでも解消していくための方策が、ネットワーク構想です。盛岡を例に挙げれば、岩家連と単位家族会の間に、「盛岡市家族会ネットワーク」「盛岡圏域家族会ネットワーク」みたいな組織をつくろう!というのが私の主張です。適正規模の家族会が個々に活動しながら、市町村や圏域単位のゆるやかなネットワークを構築し、自主的に家族教室を主催し新たな家族会作りを支援していく。地域家族会(家族会型)が主導し、病院家族会、地域家族会(作業所型)を巻き込んでいく。そんなイメージです。なぜ地域家族会(家族会型)が主導するかといえば、それはメンバーが若々しく、活力にあふれているからです。病院家族会と地域家族会(作業所型)には、とてもそんな余裕はありません。

 地域家族会のネットワークが定期的に情報交換し、情報発信し、保健師を招いた家族教室主催など自主事業を展開する。市町村への要望の窓口となる。さらに、家族会個々では力が弱く、定期的にニュースなど情報発信をできない現状にあるので、各家族会のみんなが少しずつ原稿を持ち寄り、ネットワークとしてニュースを発行する。それによって、病院家族会、地域家族会(作業所型)の弱点もある程度カバーできます。さらに、これまでの家族会は、一般に統合失調症の患者の家族が中心でした。ですが、目下社会問題になっているのは、統合失調症より鬱病などの気分障害と、それによる自殺です。岩手は自殺率全国ワースト3ですから、県は欝病の対策に懸命です。今後、家族会に欝病患者の親が参加することも予想されますが、そのとき、統合失調症患者の家族だけの家族会の中に一人、欝病患者の家族が参加することは、双方やりづらいでしょう。障害特性がまったく違いますから。でも、市町村や圏域単位のネットワークという幅広い枠組みであれば、鬱病患者家族会との交流など、将来的に連携していく道は開けると思います。

 さらに、ネットワークが出来たら、岩家連は、市町村や圏域間の情報交換、格差是正を県へ要望、全県的な大会や研修会開催、全国組織=全福連との窓口、全県的な生活実態調査など、全県的な事務に特化できるようになります。情報もいちいち個々の家族会におろさず、ネットワークにまとめておろすだけで済みますから、事務量も軽減するはずです。例えば、事務局はこれまで、何か文書を出す際に、54ある単位家族会総てに郵送していました。それが、将来各圏域や市町村にネットワークができれば、そのネットワークにまとめて1通出して、あとはそこから配布してもらうことだって可能です。

ともあれ、ネットワーク作りが自己目的化するのは避けましょう。何より問題なのは、人任せ体質の脱却です。行政はさっぱり何もしてくれない、全家連はつぶれちゃった、岩家連は何やってんだかさっぱり分からない、とかぐちってる場合じゃなく、じゃあどうすれば展望が開けるのかを、会員一人一人が本気で考えないと、岩家連は潰れます。障害を持つ当事者のみならず、私たち会員も、岩家連の会員としての当事者意識向上を図らなければ、どんなネットワークを作ろうとも、意味をなさない。医者任せはだめ、ベテラン会員任せはだめ、行政任せもだめです。それぞれの局面において、会員である家族が障害を持つ当事者を支えるため、自分ができることをやりつつ、押し付けではなく当事者のニーズを代弁することが求められています。自分たちでやるべきことはやった上で、権利を主張しましょう。

あんまり大上段に構える必要もありません。とにかく、隣近所の家族会から何人かずつが集り、おしゃべりする。「うちではこんなことやってんですよ」「うちの特徴はこんな活動ですよ」「へえ」…。そんな話から、互いの活動を参考にしたり、家族会同士で花見をしたり、作業所の見学をしたり、共通の悩みを確認したり、互いの情報を持ち寄り補完したり、そんなつながりが発展して、結果としてネットワークになればいいのです。

最後に、大きな話。岩家連は将来的には、当事者会を支援する家族会連合会への方向転換が必要です。今回の第30回県精神障害者家族大会のキャッチフレーズに、ある実行委員のメンバーが「地域で生きる。ありのままの私で」と提案しました。結局採用されませんでしたが、私はまさに、将来はこの幻のキャッチフレーズに示された方向で、岩家連は進んでいくべきだと思う。

日本はなぜ、いつまでも家族が中心なのでしょうか。精神の場合、かつて、当事者はいませんでした。つまり、病院に入ったきりでした。そして、偏見は変わらないけど、長期入院ではなく短期入院と通院が一般的になり、格差社会とストレスフル社会は進行しこころの病が一般化すればするほど、当事者の時代になっていく。

よく考えて見ましょう。親も伴侶も、一生当事者の面倒を見ることはできません。当事者より長生きする、という意欲は美しい。私もそのつもりです。何ら根拠ない自信もある。でも、人生何があるか分からない。そのとき、何があってもいいように、当事者に力を付けることこそが、家族の役割であり、努めです。いつまでも、親が中心の運動ではいけない。望ましい支援とは、当事者が望む支援であり、親がそれを十全に代弁しきれるわけがない。だから、いつの日か、当事者主体の運動、それを支える家族会運動という、あるべき形へ再編すべきです。そして、単体の家族会がバラバラではなく、小さな単位でネットワーク化されていれば、各地域の地域生活支援センターなどで取り組まれている当時者会の集まりと連携していくことも可能でしょう。

冒頭の話に戻りますが、全家連が解散し、そこから当事者の立場に立った「コンボ」と、家族の立場に立った「全福連」という、二つの全国組織が誕生した。内実はともあれ、この二つの流れを、僥倖ととらえましょう。岩家連は便宜上、全福連に加盟しています。ですが、会員個々は、双方の動きに注目していくべきでしょう。当事者の自立は、家族の自立と共にあります。家族が潰れれば当事者も潰れる。その逆もまた真なりです。
(2007年5月14日、精神保健を考えるいわての会総会でのミニミニ講演に加筆修正)
by open-to-love | 2007-05-21 22:49 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)
 5月14日、盛岡市本町の県精神保健福祉センターで開かれた「精神保健を考えるいわての会」総会にて、家族会活動の課題と展望について、話題提供しました。私が一年間弱、この世界に入って感じたこと、考えたことの、当面の帰結です。精神障害者の脆弱性と、岩家連の脆弱性と、全家連の脆弱性とが、あたかもそれぞれがそれぞれを象徴しているかのように語られる中、だったらその上で、いま、ここで、どうすりゃいいのか、ということを考え、話させていただきました。レジュメを紹介します。

家族会活動の課題と展望-支援法施行1年、全家連破産・解散、岩家連の危機の中で-

①全家連の自己破産、解散問題

支援法施行による名ばかりの平等ではなく実質的平等へ運動すべき時に、国との窓口である全国組織が解散という、異例の事態
全家連破綻の原因は、栃木県の温泉保養施設「ハートピアきつれ川」で赤字が膨らんだこと→つまり、善意頼みでは、世の中通じない、ということ。

②岩家連の危機的状況
高齢化→会員も理事もいい年、会員も減少(中途障害ゆえの構造的問題でもある)。
情報発信の不在(ホームページ、ブログ、リーフレット)ゆえ、新規会員増が見込めない。
運動体としての役割が欠落、支援法施行に伴うアンケート調査すらできなかった
貧弱な組織態勢=県組織と家族会個々のつながりがあるだけで、市町村や圏域レベルの中間ネットワーク不在→サービス主体も財源も、県から市町村に移ったのに、岩家連は制度変革に対応できず。専従事務局員1人がいくらがんばっても、情報の流れがスムーズにはいかない。

③ここで、改めて、家族会とは何ぞや?
本来の役割は「心のオアシス」
自宅と病院との往復から、新たな一歩。
我が家の場合と他の家の場合とを比較、相対化。(我が家が一番大変だと思ってたけど、ああ、よそもこんなに苦労してんだなあ、とか、いろいろ感じ、生きる力がわいてくる)

家族会の3タイプ
【病院家族会】
高齢化、新規会員減少
長期入院患者の減少→「3カ月で出るのにどうして1年分の会費を?」
長らく入院している患者の家族が中心で、新規会員が少ない→病院におんぶにだっこ体質、
ベテラン揃いで若い人は入りづらい、やってることがマンネリ化、毎月の「ぜんかれん」誌が届く以外のメリットが見えにくい(といっても、ぜんかれん誌は終った…)

【地域家族会(作業所運営型)】
高齢化、新規会員減少
作業所の担い手=家族会の担い手(退院しても行き場がない…背景には、自分たちでやらざるを得なかった、日本の精神障害者福祉行政の貧困さ)
作業所運営と新体系移行事務に手一杯、家族会としての活動まで手が回らない

【地域家族会(家族会型)】
いわゆる家族会本来の役割である「心のオアシス」という役割を担う→交流会、家族のためのSST教室など

新規会員増と適正規模のジレンマ=保健所主催の家族教室が終了したが、新たな患者は当然出てくるし、家族も出てくる。だが、その新規会員の受け皿として、既存の単体の家族会には限度がある。やっぱり単体家族会には十数人くらいの適正規模がある。(交流会では、たいてい一人一人近況報告するが、一家族会の会員が仮に50人になってしまったら、1人10分ずつ近況報告すると6時間超になってしまう。そりゃ無理だ)。

④岩家連の再生は家族会の再生から
岩家連と家族会個々が直結し、家族会同士のつながりが希薄。サービス提供主体の市町村に何か要望する際、その主体が不在。岩家連の財政難で、家族会長会議の開催数減少。この現状を何とかするためには、まず足元を固めなければならない。

【理想】市町村や圏域単位、例えば「盛岡市家族会ネットワーク」みたいなゆるやかな組織の構築を!

適正規模の家族会が個々に活動しながら、市町村や圏域単位のゆるやかなネットワークを構築し、自主的に家族教室を主催し新たな家族会作りを支援していく。地域家族会(家族会型)が主導し、病院家族会、地域家族会(作業所型)を巻き込んでいく。

[現状]単位家族会
      ↓
     岩家連

[理想]単位家族会(病院、地域(作業所型、家族会型))
      ↓
単位家族会のネットワーク(情報交換、情報発信、保健師を招いた家族教室主催など
自主事業展開、市町村へ要望)=病院家族会、作業所型地域家族会のデメリット解消
      ↓
岩家連(市町村や圏域間の情報交換、格差是正を県へ要望、全県的な大会や研修会開催、全国組織=全福連とのつながり、全県的な生活実態調査)

⑤当事者意識向上を
将来的には、当事者会を支援する家族会への方向転換が必要。→「地域で生きる。ありのままの私で」と願う当事者の自助グループを支える組織へ。
当事者性とは、障害を持つ当事者だけではない。家族の当事者性もともに必要→医者任せはだめ、ベテラン会員任せはだめ、行政任せはだめ。

【結論】自分たちでやることはやった上で、権利を主張しよう!
by open-to-love | 2007-05-18 23:07 | 黒田:家族会長会議講演 | Trackback | Comments(0)