精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:ホームヘルプ( 4 )

べてるの家「新鮮組のなんちゃってヘルパー」

盛岡ハートネットの皆さんへ

 こんにちは。べてるの伊藤知之です。
 今年度から、べてるは「なんちゃってヘルパー」という事業を始めました。
 べてるの肉体系のチームや引っ越し手伝いや清掃などを行うチーム「新鮮組」の事業の1つとして始めたものです。
 私たち精神障害者には、部屋の片付けや掃除が苦手なメンバーが多くいます。しかし、べてるではこれまで居宅介護の事業を行っておらず、浦河町も(意外ですが)居宅介護に予算を付けてくれていないので、自主的にヘルパー的事業を始めました。これが「なんちゃってヘルパー」事業です。
 6月に入ってから本格的に活動を始め、今では数か所のメンバーの住居に入ってメンバーと一緒に片付けをしたり家事のやり方を教える応援をしています。
 なんちゃってヘルパーのメンバーの中には掃除が得意な元看護師さんもいて、入ってくれたメンバーからも喜びの声が上がっています。
 べてるのメンバーの中には、ヘルパーの資格を持つ人が少なからずいます。
 今後、社会福祉法人や福祉ショップべてるやNPO法人セルポ浦河などで、本格的にヘルパー事業ができるようになるための練習として働くメンバーは頑張っています。
 彼らがヘルパーを仕事としてできるように応援よろしくお願いします。
 それでは、このへんにて。
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伊藤知之
hqhmr956@ybb.ne.jp
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by open-to-love | 2013-06-19 21:42 | ホームヘルプ | Trackback | Comments(0)
心のとびら

 私がホームヘルパーとして、初めて精神障害の方のところに訪問することとなったのは、今からちょうど2年前のことになります。初回訪問は、利用者の戸惑いを軽減するための配慮と仲人役をかねて、これまで関わってきた保健婦との同行訪問から始まりました。
 利用者の家族構成は、60代の姉と8歳年下の弟さんとの2人暮らしで、ご両人とも精神分裂病です。ヘルパーが入るまでは自分たちで家事などをこなしておられましたが、加齢とともに腰痛などの身体的な症状が現れるようになり、加えて弟さんの精神状態が不安定になることも多くなっていました。これまでは弟さんの運転する車で一緒に用事や買物に出かけることもできたのですが、それもままならなくなったため、家事援助の訪問依頼が利用者より申請されました。
 私としては精神障害者の方へのヘルプは初めての経験であり、一抹の不安と緊張を抱えながらの訪問でした。実際、お二人に初めて対面したときの私の心のなかの言葉は、「なーんだ、普通の人じゃないの」でした。自分の心の片隅に精神障害者=凶暴というイメージがあったことにあらためて気づかされ、今思えば恥ずかしいくらいの偏見と勉強不足でしかなかったのです。本当にお二人とも表情が穏やかだったので、ひと安心したことを昨日のことのように思い出します。
 初回訪問がスムーズに運び、気をよくして訪れた次回のことです。予想もしていなかったことが突然起こりました。「こんにちはヘルパーです〜」といって玄関に入るやいなや、すぐ弟さんが出てこられ、私の顔を見るなり「買物をしてきたので今日はいいです」といわれました。拒絶されたのです。どう対応すべきなのか、もしかして受け入れてもらえないのではないかとの不安、このときは少々落ち込みました。が、一晩寝ればすっきりする楽天家の性格がよいのか悪いのか、ようやく4回目の訪問で掃除の依頼があり、それ以来、お二人とはつかず離れずという言葉があてはまるかどうかわかりませんが、よりよい関係ができてきて、いろいろな相談も受けるようになり現在に至っています。
 精神障害の方へのヘルプに携わって私が得たことは、ヘルパーが緊張していては駄目。リラックスして利用者をなにげなく冷静に観察し、心の声に耳を傾けながら余計なお節介はしない。もちろん利用者に変化があれば保健婦などと緊密に連絡を取り、適切に対応することはいうまでもありません。これからも心の絆を大切にしながら、明るく楽しいヘルパーさんをめざします。

石川県/寺井町社会福祉協議会 酒野和美

(季刊「REVIEW」2002 No.38)
by open-to-love | 2007-09-17 08:03 | ホームヘルプ | Trackback | Comments(0)
心にとどくホームヘルプ
第1部 心と暮らしを支えるホームヘルプ
2.地域生活支援にむけて

ようやく在宅福祉が動き出す
 精神障害者ホームヘルプサービス(精神障害者居宅介護等事業)が2002(平成14)年度からスタートすることが、1999(平成11)年の精神保健福祉法の改正により決まりました。ホームヘルプサービスは、グループホーム(精神障害者地域生活援助事業)、ショートステイ(精神障害者短期入所事業)とともに「精神障害者居宅生活支援事業」として位置付けられ、在宅福祉サービスの大きな柱の一つとなり、しかもその実施主体は市町村へと移管されました。
 ホームヘルプサービスは、多くの精神障害のある人やその家族、関係者たちから「地域で暮らすための大きな支援サービスが始まるのだ」と期待されていました。せっかく精神病院を退院しても、生活の支えがないばかりに、地域生活が継続できず、調子をくずして再入院を余儀なくされたり、孤独で他者との関係が一切ない地域での暮らしに疲れて再発する例も少なくなかったからです。厚生労働省は実施直前の2002(平成14)年2月にまとめた「精神障害者居宅生活支援事業に関するQ&A」において、本事業の導入趣旨を以下のように述べています。
 「ノーマライゼーションの理念のもと、精神障害者が自立して地域において生活できる地域づくりを推進し、精神障害者の自立及び社会復帰を促進することが求められているが、在宅の精神障害者が安定的な生活を送っていくためには、日常生活の支援が必要である。しかしながら、これまでそのような精神障害者に対する生活支援を行ってきた家族等については、高齢化のため日常生活を支援する機能が低下してきていること、単身生活者も増加していること等により、公的施策による生活支援体制の整備が求められているところである」
 ここからも、精神障害者ホームヘルプサービスは、わが国で初めての公的な、精神障害のある人への個別支援サービスであることがわかります。このスタートは大きな意味をもっているのです。

介護保険導入とともに
 ところで、介護保険がスタートし、ホームヘルパーさんが高齢者を中心にサービス提供を始めたところ、多くの家庭に精神障害をもつ(あるいはもっていると思われる)人がいることがわかりました。介護保険で訪問したヘルパーが、同居している家族に精神障害のある人がいることを発見したわけです。中には、精神障害があっても通院もせず医療につながっていない人も少なからずいたようです。そうした状況の中で少しずつ現場のヘルパーから不安や不満が出されました。
 「ヘルプに入っているけど、おじいちゃんに『自分の介護をするよりも精神障害のある息子の世話をしてくれ』と依頼された」
「高齢者の介護の仕事をしたかったのに、実際は家にじっとしている精神障害のある人の相手で多くの時間をとられ、ケアプランはちっともこなせない」
「ヘルパー以外に、精神障害のある人への訪問をしてくれる専門家がおらず、私たちヘルパーが何もかもしなければならない状態」等の声はほんの一例です。

いよいよスタート
 こうして、各地でサービス提供を始めたホームヘルパーさんたちの活動が、それまで隠れていた、というよりも在宅でサービスが届かなかった精神障害のある人の暮らしぶりを浮き彫りにしました。
 「今まで知らなかったけど、どうしていたのでしょう。精神障害のある人が日中行く場所や、この家庭に来てくれる人がほとんどない状況を目の当たりにし、ショックです」とあるヘルパーさんが言われました。混乱もある中で、またヘルパーを支えるシステムも不十分な中で介護保険が始まり、2002(平成14)年には精神障害者ホーッムヘルプサービスがスタートしたのです。
 残念ながらホームヘルパー養成研修のカリキュラムの中で、精神障害や障害のある人に関する講義もほとんどないため、「どう関わっていいのか分からない」「どのくらい関わっていいのか不明確」「病気や障害の知識や理解が十分でない」「ヘルパーが出しゃばるのではなく、医療に任せるべきではないか?」等の声が、精神障害者ホームヘルパー研修会でもよく聞かれます。
 それはヘルパーを支える基盤が貧しいことの現れでもあります。また、精神保健・医療・福祉の専門機関・専門職がヘルパーさんを支援できていないことでもあるでしょう。このような中で、必死に精神障害のある人やその家族を支えてくださるヘルパーさんには頭が下がります。

まだまだ軌道には乗ってないけれど
 このように現在、まだ軌道に乗っているとは言い難い状況ではありますが、利用者の側からは着実に変化が見られるようになりました。もちろん、美味しい食事を作っていただくとか、きれいなお部屋でゆったりできる喜びは格別だったようです。
 初めは「『あかの他人』のヘルパーさんに掃除をしてもらうなんてばちが当たる」と言い続け、ヘルパー訪問日前に一睡もせずに掃除をした精神障害のある人も続出しました。ヘルパーを迎えるだけでエネルギーを使い果たし、せっかく作っていただいた食事をなかなか食べられず、ヘルパーが帰ったあと、しばらく起き上がれない人もいました。ヘルパーとしての初めての仕事が医療機関への連絡となった例もあったほとです。精神障害のある人自身もまた、ホームヘルプを使いこなすまでに四苦八苦しているのです。

3.社会の風を運ぶホームヘルプサービス
 こうしてスタートした精神障害者ホームヘルプサービスですが、多くの精神障害のある人がこんな中で感想としてあげたことは次のようなことでした。

ヘルパーを利用してよかったことは何ですか?
1)このヘルパー信用できるかな、ってずっと様子をみていた。ちゃんとした言葉で話し掛けてくれるので「大丈夫」と思った。(40代男性)
2)家族だと甘えも出て、つい口論になるけど、ヘルパーさんはプロとしてきっちり仕事をしてくれるので気持ちが疲れず、楽です。(40代女性)
3)保健所から訪問に来ると「もっとしっかり片付けなよ」「吸い殻の管理はしっかりしないとアパートに居られないよ」とガミガミ説教されて嫌な気分になる。ヘルパーさんは「どこに片付けますか?」って聞いてくれるので暗い気持ちにはならないで済む。(50代男性)
4)明るい人なので、こちらまで元気になる。気持ちが落ち込んでいるときは、少し(声の)ボリュームを下げてほしいけど、ヘルパーさんもしゃべりたいみたいだから(笑)、なるべく耳に入れないよう我慢している。(40代男性)
5)妹がときどき来てくれますがヘルパーさんと妹に頼むことを分けられるのが嬉しいです。(50代男性)
6)私も普通のお付き合いが普通にできる自信みたいなものを感じられた。(30代女性)

 直接、実際の援助場面で感想を言うことは誰もができることではないですが、精神障害があってもきちんとヘルパーの仕事を評価し、新しい関係づくりを築くために配慮していることもわかります。

社会の風を運ぶ
 ヘルパーさんには当り前の呼び方である「利用者さん」という言葉は、精神障害のある人たちには、とても新鮮に感じられたようでした。不安や戸惑いが、精神障害のある人の側にもありましたが、「何を片付けたらいいのか」「自分はどの部分に手をかせばいいのか」をその部屋の主に必ず聞きながら仕事をする姿勢が、精神障害のある人たちにとって新鮮だったのです。
 「失敗したときにヘルパーさんが『ごめんなさい』って謝ったとき、『どのくらい誰かに謝られたことがなかったかなあ』って数えちゃったよ。ずっと自分が謝るばかりの人生だったからね」と笑いながら、誇らしげに報告してくださった方もいました。
 また、病気になって以来、何年かぶりに世間話を楽しんだり、勇気をふりしぼって「天候の話」を切り出したり、端から見たら、他愛もない、淡々とした時間が過ぎていくうちに、ある精神障害のある人がこう言いました。
 「保健師さんは医療を背負ってくる。ワーカーさんは福祉を背負ってくる。でも、ヘルパーさんはね、社会の風を運んで来てくれるからありがたいんです」と。
 退院してただ地域に暮らしていても、社会を感じる風は吹いていなかったかもしれない。生活のしづらさで毎日が一杯だったのかもしれない、と思うと私は胸が一杯になりました。

雑学は力
 また、ある利用者は「ヘルパーさんは僕の雑学の先生なんです」と、研修会で多くのヘルパーさんの前で発表しました。
 若い時に発病し、人間関係を築く経験をする機会をほとんど持てなかった彼は、人と話すときの相づちの打ち方や何気ない言い回しが苦手でした。「今日は陽の光が肌にしみるね」とヘルパーが言った言葉をノートに書き留めました。「今日の風はもう秋の気配がするね」と言われても、どう答えていいのかわからなかったそうです。「そんな会話をする余裕が僕の人生にはなかったからね」と40代のその男性は穏やかに言いました。彼にとっては一つひとつが嬉しい発見だったようです。
 こうしてヘルパーさんに内緒で書き留めた雑学ノートは彼の宝になりました。こんなことを教えてくれる人も場面も、これまでの入退院を繰り返す彼の人生にはなかったそうです。もちろんヘルパーさんにとっては特別でない、何気ない会話の一つに過ぎないかもしれません。しかし、こんな体験を与えることができるヘルパーさんの力はまさに、「生活支援のプロ」としての一面ではないかと多くの利用者、関係者は気づきはじめました。

ホームヘルプの魅力
 全家連保健福祉研究所では、1996(平成8)年度から、当時の厚生省から委託を受けて、精神障害のある人への福祉サービスのあり方を考える研究班が発足しました。医療対象者ではあっても生活者として暮らしていることを共通認識とし、福祉サービスを利用することによって豊かに暮らすための援助の仕組みを地域につくることを真剣に議論しました。
 そこで出会った太田貞司先生(現神奈川県立保健福祉大学)が、ホームヘルプサービスについて教えてくださいました。印象的だったのは、次の3点です。
1)「日常生活」に最も深く関わり、「普通の暮らし」を支援する役割
2)「いのち」を支え、自ら「くらし」「生きかた」を創り出せるように支援する役割
3)多職種と連携し、自ら「くらし」「生きかた」を創り出せるよう支援する役割
 高齢でも障害があっても、ホームヘルプサービスの利用者の普通の暮らしを求めていいこと、利用者自らのもつ力を信じること、そしてホームヘルプだけではなく、多くの支援の重なりによって生活の支援は成るものであることを学んだように思います。
 生活の主人公として自分のライフスタイルをもっていいのだと、気づいてもらえる支援が今まであったろうか、そのように精神障害のある人を見つめて来ただろうか、そんな自問を迫られる研究会でした。
(三田優子、平直子、岡伊織編著、ぜんかれん号外『心にとどくホームヘルプ』2004年)
by open-to-love | 2007-08-05 09:09 | ホームヘルプ | Trackback | Comments(0)

ホームヘルプ

精神障害者居宅介護等事業(ホームヘルプ)

 精神障害をもつ人たちを対象にしたホームヘルプサービスは、1999(平成11)年に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の第50条の3の2に、精神障害者居宅介護等事業として位置付けられた。その要点は、①対象が「精神障害のために日常生活を営むのに支障のある精神障害者」であること、②援助内容が「日常生活を営むのに必要な便宜(ケアや援助)の供与」であること、③サービスが「居宅において供与」されることである。
 これらの点は精神障害者ホームヘルプサービスの必要性と意義に深くかかわる。まず第1点は、精神障害者が日常生活や社会生活上の困難をもつ「障害者」として社会的・法律的に認識されたことを意味している。精神障害も他の障害と同様の障害構造をもつことが広く認識され、特に活動の障害レベルの問題が、精神障害者において深刻なことが明確になったのである。第2点は、そのような日常生活上、社会生活上の諸困難に適切に対応できる社会的援助サービスが、これまで欠落していた。厚生労働省の精神障害者居宅介護等事業運営要綱では、その援助内容を①家事、②身体の介護、③相談および助言に分類する。これらは、日常的で継続的な関与が必要なサービスである。従来これらの援助は障害者の家族が行い、一方、家族に代わる社会サービスが地域に欠けていた。このため、重い精神障害をもつ人たちが家族ケアを受けられなくなると、精神病院への長期入院を余儀なくされる事態を招いていた。第3点は、これまで精神病院や社会復帰施設などで日常生活に必要な援助が提供されていたが、自宅で提供される個別対人ケアサービスは存在しなかった。以上のように、第1点で規定される障害者が多数いるにもかかわらず、対応する重要な地域サービスがないという制度的不備が存在していた。2002(平成14)年に発表された新障害者プランでは、条件が整えば退院可能とされる入院患者約7万人を10年以内に退院させるという目標が提示されたが、地域で重い精神障害をもつ人たちを支えるために欠くことのできないサービスといえる。
 精神障害者ホームヘルプサービスが市町村で実施できるようになったことも大きな制度的前進である。高齢者や他の障害者と同等の地域福祉的サービスが身近な自治体で受けられるようになったのである。他の障害者と比べて、関係づくりの支援などに独自の配慮が必要であるが、市町村サービスを他の障害者や高齢者と共有できるメリットは少なくない。一方、関係づくり支援と関連して、精神障害者ホームヘルプサービスはケアマネジメントと連動して取り組む必要がある。直接対人サービスが伴う集中型・包括型のケアマネジメントの重要性が指摘されるが、障害者自立支援法の体制のなかで、どのようにこの二つのサービスが連携して、地域で個別対人ケアサービスを提供していくべきか、それぞれ実践および制度的なレベルの大きな課題といえよう。(大島巌)
(「精神保健福祉白書」2006年版)
by open-to-love | 2007-06-16 21:48 | ホームヘルプ | Trackback | Comments(0)