精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:全家連( 16 )

 月刊「ぜんかれん」の最終号が届きました。表紙に「4月15日発行」とありますが、私の手元に届いたのは、ほぼ1カ月遅れの5月16日でした。いつもならカラー表紙60ページくらいでしたが、モノクロ18ページでした。取り急ぎ小松正泰理事長の巻頭文を紹介します。他の内容については、追って。

「全国の皆様へ

 平成19年4月17日、平成19年度第1回理事会に於いて、全家連は破産を決議し、引き続き評議員会で報告、了承されたうえで裁判所への申し立てが行われました。
 精一杯のご協力を賜った債権者の方々に対し誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げます。
 私は平成15年2月の臨時評議員会に於いて理事長に就任致しました。その前年秋に全家連が過去に不正に流用していたことが発覚、全役員が引責辞任した後を受けての就任でした。
 当日、「全家連をつぶすまい。総力を結集して不祥事の汚名を返上し、立ち直ろう!」と叫んだことを鮮烈に記憶しています。
 しかし、その後4年有余の努力にもかかわらず、40年の歴史と伝統に輝く全家連が、刃折れ矢尽きて破産に至ったご報告をすることは誠に無念であり、慚愧の至りでございます。
 全家連の再生を願い、貴重なご寄付を下さいました皆さま、家族会活動のシンボルでもある恵友記念会館建設のために多額のご寄付をされました中村友保、智恵子ご夫妻、全家連をこれまで築いてこられた諸先輩方、家族会活動にご協力いただいた精神保健福祉関係者・関係団体の皆さま、家族会の発展のためともに活動を行ってきた都道府県連合会、全国の家族会の皆さま、ぜんかれん誌の皆さま、そして全家連の活動に関わっていただいた総ての皆さま方に、断腸の思いでお詫び申し上げますとともに、これまでのご支援に言葉では言い尽くせない感謝を申し上げます。
 皆さまから寄せられた尊いご寄付につきましては、目標額には及ばないながら、補助金不正使用に係わる返還金の一部に当てることで、債権者の方々のご理解が得られ、全家連は今日まで活動を継続できたのでございます。この間、全国大会、ブロック研修会、リハ会議などの開催、ぜんかれん誌などの出版、情報の発信、相談事業、そしていろいろ課題は残ってはいますが障害者自立支援法、3障害一元化が実現し、障害者雇用促進法改正により精神障害者も法定雇用率にカウントされ、多くの雇用援助メニューを加えることもできました。
 一方、今日の破産に至るまでの間、法的諸手続きの関係もあり、誠に不本意ながら皆さまに対し十分な経過をお伝えできなかったことを陳謝いたしますとともにご理解をお願いします。その詳細につきましては、後掲資料「全家連の歴史」「年表」等をお読みいただきたいと存じます。
 なお、全家連の4社会復帰施設(ZIP、かれん、たいとう倶楽部、ハートピアきつれ川)は、ほぼ従来通りの事業が他の法人に引き継がれ、利用する全メンバーが引き続き社会復帰、社会参加に向けた訓練を継続出来ておりますことを報告申し上げます。それは、行政の各担当部門のご尽力と、関係者のご努力、そして運営をお引き受けくださった「社会福祉法人 あしなみ」、「NPO法人 えん」、「社会福祉法人 全国精神障害者社会復帰施設協会(全精社協)」のご理解とご協力の賜であり、心より感謝申し上げますと同時に、これらの各施設・事業が新たな運営母体の下でますます発展を遂げられますことを念じてやみません。
 今後の精神障害者家族会組織につきましては、依然として困難な状況下にある全国258万人の精神障害者とその家族の現状打開のためにも、健全な家族会組織が、より有効かつ強力な活動・運動を推進することによって、全国の精神障害者及び家族の明るい未来が早急に実現することを願うばかりでございます。
 全国の皆さまのご支援・ご協力に重ねて深謝いたしますとともに、ますますのご活躍とご発展を心より祈念いたしまして 皆様への言葉とさせていただきます。 小松正泰

月刊「ぜんかれん」特別号 『ぜんかれん』の皆様へ
NO.483 2007年4月15日

目次
全国の皆様へ……………………1
全家連の活動の報告……………3
資料……………………………13
全家連の活動年表……………15
都道府県家族会事務局一覧…17

なお、裏面の注意書きは以下の通りです。
「これまで月刊誌及び書籍のご注文をいただいた際の送付先情報につきましては、個人情報保護のため、管財人管理のもとに破棄させていただきます。ご了承ください。」

きれいさっぱり、か?(黒)
by open-to-love | 2007-05-17 22:14 | 全家連 | Trackback | Comments(0)

全家連の概要

全家連の概要

財団法人全国精神障害者家族会連合会(略称:全家連)
(THE NATIONAL FEDERATION OF FAMILIES WITH THE MENTALY ILL IN
JAPAN [ZENKAREN])

全家連とは
 財団法人全国精神障害者家族会連合会(略称:全家連)は、全国の家族会が手を取り合って'65(昭40)年9月に結成された全国組織で、'67(昭42)年2月に精神障害者とその家族のための福祉事業団体として厚生省(当時)から許可され、財団法人になりました。
 本会は、精神障害(者)に対する社会的理解の促進、精神障害者施策の充実をめざした全国的な運動を展開しています。

 本会役員は都道府県連合会の代表者の中から選ばれ、全国各地で行われている地域活動の中から出される声を大切にしながら運営をしています。各地の家族会活動を支援し、セルフヘルプ活動を基本としつつも、社会運動として精神障害者に対する正しい理解を求めた活動を重視しています。
 '94(平6)年7月には、精神保健福祉法による「精神障害者社会復帰促進センター」の指定を受けて、調査・研究、啓発活動、研修事業などにもより積極的に取り組むようになりました。
 また、本会は、世界で最も古くに組織された家族会として、国際組織である世界精神障害者家族団体連盟(WFSAD:World Fellowship for Schizophrenia and Allied Disorders )にも加盟し、日本の窓口となっています。

 社会情勢の変化や医療技術の向上など、さまざまな情報が氾濫する現代にあって、正しい情報の提供が強く求められています。本会は、これからもさまざまな活動に取り組んでいきます。

【精神障害者社会復帰促進センター】
 精神障害者社会復帰促進センターとは、精神保健福祉法第51条の2に規定されている精神障害者の社会復帰促進のためのセンターで、厚生労働大臣が全国1カ所に限り民間団体を指定することができるものです。
 本会は長年の調査研究活動等が評価され、1994(平成6)年7月1日付で厚生大臣(当時)から指定を受けました。
 社会復帰促進のための啓発・広報活動、訓練及び指導方法の開発、社会復帰促進に関する研究、研修事業、研究成果の公表などを事業内容としています。

理念
 統合失調症、そううつ病などに代表される精神疾患は、主に思春期・青年期に脳神経機能に生じる病気で、 現在わが国では250万人を越える患者がいるといわれています。 この精神疾患に対する無知、誤解、偏見などにより、多くの方々が日常生活や社会生活に支障を有しています。 本会はそういった障害をもつ当事者やその家族が安心して暮らせる地域社会づくりをめざします。 また、全国各地の家族会活動を通じて、相互支援・学習そして諸施策の向上に向けて活動を実行します。

おもな事業
 本会の全国大会は、「精神障害者家族大会」という名称で、毎年各都道府県連合会の持ち回りで開催され、2000人から5000人の参加者が集まります。
 また、全国8ブロックに分かれて300~600人規模で家族・本人・関係者が参加する「ブロック研修会」も毎年開催しています。
 さらに、地域で生活する精神障害者を支える地域活動の関係者が一堂に会する「精神障害者の社会参加を推進する全国会議(リハ会議)」も1000人規模の参加者で開催し、地域活動の拡がりをリードしてきました。この会議を契機にして、当事者組織、社会復帰施設や作業所・グループホームなどの組織と全国団体も結成されてきました。 
 またこの他にも、精神障害者を対象としたホームヘルプサービスの研修や、作業所職員を対象とした研修会を開催してます。

その他の事業
 本会では、1991(平3)年の「恵友記念会館(家族の寄付を元に作られた台東区下谷の7階建てビル)」設立を契機に、 地域生活支援事業にも着手しました。 通所授産施設(ZiP)、共同作業所(かれん・たいとう倶楽部)、相談室、保健福祉研究所を設置し、 さまざまな活動を行っております。 さらに1996(平8)年からは、栃木県さくら市で通入所授産施設を併設した温泉保養施設「ハートピアきつれ川」と 地域生活支援センター、グループホームを設置運営しています。

調査・研究
 1985〈昭60〉年の精神障害者家族ニーズ調査を皮切りに、全家連では各種の社会学的調査研究を行い、 日本の精神保健福祉の現状を明らかにしてきました。
 家族や患者さんの生活実態を明らかにし、必要な施策を提言するなど、数多くの実績を上げています。
 全家連保健福祉研究所が行った精神障害者ホームヘルプの調査研究によって、 その必要性と有効性が明らかにされ、1999〈平11〉年の精神保健福祉法改正では制度化を実現しました。
今後も、政策提言につながる調査研究を積極的に推進していきます。

組織について
 全家連は、各都道府県にある47の連合会によって構成される連合組織です。 全国各地の約1600の家族会が、それぞれ都道府県連合会にまとまり、 その傘下におよそ6万世帯12万人の会員が組織され、地方独自の活動をしています。
 全国各地で活動をしている家族会(単会と呼ばれています)や、そこで活動をしている家族などによって、各都道府県単位に構成された会員組織です。

都道府県連合会について
 全都道府県に各1カ所組織され、近年では、社団法人、社会福祉法人、NPO法人などの法人化も順次全国的に進められています。(政令指定都市の組織も、現時点では各道府県の傘下となっています。)
 各都道府県連合会からは、本会寄付行為に則り評議員が選出され、本会の組織運動を推進する役割を担っています。
 各都道府県連合会では、主に各地の実情に合わせた情報提供、相談指導、社会啓発、施策推進などを中心に活動が行われています。

家族会とは
 身内に精神疾患を持つ家族が集まり、同じ悩みを語り合い、互いに励ましあい、助け合う会が家族会です。病院や保健所等の地域を中心として活動をする会があり、全国に約1600の家族会があります。

 精神疾患(統合失調症・うつ病・そううつ病等)は、服薬をすることにより回復できる疾患となってきたにもかかわらず、「遺伝・治らない・危険」といった誤解や偏見があります。こうした偏見を家族自身がとりはらい、精神疾患や障害に対する正し知識を身につけることがたいへん重要です。
 そのため、参加者同士の交流、精神疾患や精神障害者が利用できる福祉制度の知識を得るための学習会等も家族会の活動の一環となります。
 また、精神障害者の社会復帰施設や小規模作業所の運営等に積極的に取り組む家族会も多くあります。さらに、地方によっては、行政機関から委託を受けて、精神障害に関する相談事業を行っている会もあります。
 各都道府県では、家族会連合会が組織され、行政への陳情等地方行政に直接働きかけを行っています。

家族会の機能
 家族の癒しの場・学習の場として始まった家族会は、現在、「支え合い」「学習」「運動」の3本柱を中心に、地域に合わせた活動をしています。
■支え合い(相互支援)
a.語り合う(癒される、受け入れられる場); 家族会は「集まって」「語り合う」ことから始まります。初めて家族会に参加して「自分一人ではなかった。こんなに大勢の仲間がいるんだ」と思えることで、安心感を抱き、分かり合える思いに癒され、元気を得る、それが「支え合い」です。
b.相互交流(行事、レクリェーション); 家族会は疲れた心を癒し、元気を取り戻すところでもあります。行事を通して、親睦を深め、お互いの理解を深めましょう。
c.助け合い(情報交換、実際的手助け); 「助け合い」の一つは情報交換です。家族会には多くの家族の、たくさんの体験に基づいた情報があります。そうした情報を大いに活用し、交換しましょう。もう一つは、お互いの状況を理解し合ったうえで、実際に手助けしあうことです。急な病気や事故のとき駆けつける、一緒に相談に行く、…などいろいろな手助けが考えられます。
■学習(勉強会、研修会、講演会、見学等)
 家族会のプログラムには、病気・リハビリ・福祉制度などの社会資源等について学ぶための勉強会・研修会などが盛り込まれています。こうした「学習活動」を通して、障害者の生活のために今後自分たちが何に取り組むべきなのか、課題を発見することができます。
 学習の際は、積極的に専門家(医者・ソーシャルワーカー・保健婦など)を活用し、一方的に話を聞くばかりでなく、大いにディスカッションし、家族の状況を伝えることが大切です。このような「学び合い」が地域を変える運動の活力となっていきます。
■運動(関係者会議への参加・発言、広報活動、陳情活動、相談活動等)
 本人・家族が安心して生活していけるために、今何が必要なのか、地域の人々の理解を得るために、偏見をなくすために何をしたらよいかなど、課題が山積しています。
 家族会はこれまで、医療や制度等の改善を要求し、作業所やグループホーム作りなど、社会資源の開発にも努力してきました。こうした「運動」は今も活発に行われています。また最近は、他の障害の人も含んだ地域の関係者会議等に参加して、障害者計画などについて意見を述べる機会も増えてきています。家族会が、より積極的に発言できる団体に成長することが、地域からも求められてきているのです。

全家連 理事長略歴
川崎市精神障害者家族会連合会(あやめ会)
小松 正泰

平成3年3月 川崎市多摩・麻生区家族会単会「泰山木の会」に入会
平成5年6月 川崎市精神障害者家族会連合会(あやめ会)理事に就任
平成6年6月 同 会長に就任 現在に到る
平成7年6月 あやめプロジェクトのメインテーマを"ひきこもり"に設定
以後、毎年数回の会合を開き、第3者による個別訪問の有効性の結論に達し、数件の試行を実施。
平成12年2月~ "ひきこもり"への訪問ボランティアグループを結成、戸別訪問を軌道に乗せた。
平成13年度~ 戸別訪問により、元気を取り戻した当事者の行き場として、音楽療法、友達を作る会(増野肇氏の指導により毎月サイコドラマを実施)、ぶらっと(寄る)会、パソコン教室、などを毎月開催、ボーリングやカラオケに出かけるグループ活動の他、会務を応援する事により働く機会を提供する等の一連の活動を『窓の会』活動と名づけて継続実施中。
(現在の『窓の会』利用者は70名、14年度の延べ利用者見込みは千名に達し、ボランティアは25名が登録している。)

この他、特に注力している事項
平成8年より『こころの相談事業』を、平成10年より『家族学習会事業』を、平成13年度より『交流会事業』を川崎市より事業委託を受けて実施中。
平成12年4月より、川崎市より相談室兼当会事務所の提供を受けている。
遅れているわが国の精神化医療の近代化、新薬の解禁促進などを、専門誌への投稿、また講演会講師として訴え続けている。
会の法人化に向けて、検討委員会を定期的に開催、川崎市のバックアップも得つつある。
(ぜんかれんHP)
by open-to-love | 2007-05-06 12:51 | 全家連 | Trackback | Comments(0)

全家連の活動の報告

 財団法人全国精神障害者家族会連合会 平成19年度臨時評議員会の議案書に添付されていた文書です。全家連としての公式見解と思われます。いずれ、最後のぜんかれん誌に、もっと詳しい経緯が掲載されるのでしょう。


 全家連の活動の報告(2007年4月17日)

 (1)家族会全国組織の発足
 精神障害者の家族会は、1960年頃より大病院で始められ、次第に各地域に広まっていった。1964年、ライシャワー米大使刺傷事件が発生、精神障害者に対し監視を強める法改正の動きに精神医療界は反対運動を展開、家族会も同調した。精神衛生法改正についても陳情活動を続ける中で、全国組織結成の機運が芽生え、1965年、全国精神障害者家族連合会(全家連)が設立された。(本年で42年目)

 (2)啓発活動・請願運動
 ライシャワー事件が起こる前年、米国ではケネディアメリカ大統領が、米国議会に「精神病及び精神薄弱に関する教書」を提示し、精神障害者の隔離収容策から地域ケアへの転換を国策として進めていた。しかし、わが国では、同事件発生後、入院施設の増強を図り、入院患者数が増え続ける事態になる中、忌まわしい宇都宮病院事件が発生する。
 このような精神障害に対する無理解・偏見に対し、全家連は家族の思いを込めて、偏見解消への啓発(カーター元アメリカ大統領夫人の招聘など)、医療制度の改善(医療費負担軽減ほか)、福祉施策改正への要求(精神保健法、精神保健福祉法への改正)等の活動を幅広く展開し、わが国の精神保健福祉制度の向上に努力し続けてきた。

 (3)本部ビルの建設
 法改正により社会復帰施設が認められる時代を迎え、そのモデル施設や活動拠点を確保したい要望が高まる中、家族(中村友保・千恵子ご夫妻)から用地の提供(約4億円)があり、建設資金を工面して1990年、東京・台東区下谷に地下1階地上7階建ての本部ビル(恵友記念会館)を完成させることができた。そこに本部事務局、研究所、通所授産施設、共同作業所が入居した。

 (4)ハートピアきつれ川の建設
 少しづつではあるが、精神障害者への理解が進む中、厚生省の中で「少し夢のある事業、例えば自然の中で精神障害者や家族が温泉でくつろげるような施設があってもいいなという構想」が生まれ、打診を受けた全家連は、厚生省が支援してくれるならばということで趣旨に賛同した。保養所の運営業務を当事者達が訓練を受けながら担当する入所・通所授産施設と組み合わせることで先進的な社会復帰施設を目指し、土地も温泉のある栃木県喜連川町の県有地を選んで、事業は動き出した。しかし、20億円の建設費の調達は難航し、計画の見直し論も出たが、国、栃木県、日本財団の補助金12億円と家族、産業界(経団連・製薬メーカーなど)の募金8億円の見込みで再スタートした。しかし、バブル崩壊後の不況で産業界の寄付は集まらず金融機関からの多額の借入金が発生した。(実建設費20・5億円の内訳:国9・2億、栃木県0・5億、日本財団1・7億、家族会1・1億、社会福祉医療機構の借入4・5億、みずほ銀行の借入3・5億)そして借入金の返済は年6千万円にもなった。
 1996年、ハートピアきつれ川は竣工、開所し、以後多くの研修会等に利用されると共に、全国から集まる当事者達の社会復帰訓練施設の役割を果たした。

 (5)補助金流用の発覚と返還命令
 2002年11月、全家連は国等の補助金を交付目的外に使用しているとの新聞報道がなされ、直ちに補助金交付5団体(厚生労働省、福祉医療機構、高齢・障害者雇用支援機構、日本自転車振興会、日本財団)は過去5年分(一部は10年分)について補助金使用状況の立入検査に入った。
 その結果を基に、翌年(2003年)の春、5団体は補助金の不正流用について返還命令を出した。返還命令は3億8400万円プラス延滞金等で総額5億3900万円にのぼった。
 全家連は2003年度までは、年10億円前後の補助金を受けて精神保健福祉の向上に関する事業を行っていたが、その補助金の一部を使ったことにして一般会計に繰り入れ、借入金の返済などに使用したのである。なお立入検査では個人的な不正使用は認められなかった。目的外使用をした背景には、財政の厳しさがあり、その主因はハートピア建設時の借入金返済とハートピア運営の赤字補填であった。全家連の自己資金は会員の会費(約1億円)が主であるが、事業拡大に伴い増大する補助金のなかには人件費が認められない上、一部自己負担を強いられることもあり、財団の運営はもともと楽なものではなかった。

 (6)募金による組織の存続活動
 事件が発覚して直ちに全役員は辞任、新たな役員による新体制の下でこの難局をどう乗り切るか大問題になった。借入金の返済が続く上、返還金は高率な延滞金等(10・95%)が付く過酷なものである。財政的に破綻は避けられないとする一方で、このような事態になったのは国にも責任があり、救済策を講じるべしとの意見を表明される国会議員もおられ、議論は混沌とした。
 その頃、身体・知的障害福祉分野では、支援費制度の運用が始まったが、その適用を受けない精神障害福祉分野の関係者は余りの格差の大きさに危機感を募らせ、格差解消は精神障害福祉制度改正の重要な眼目となった。ところが運用開始間もなく、支援費制度の利用者は予想以上の数で予算が足りず、制度の存続が問題視され、障害者福祉制度の見直しは避けられない風潮となった。
 このような状況の中で、全家連がやるべきことをせずに消えてよいのか、あらゆる努力をして組織の存続を図り制度の改善に努めるべきではないかの検討がなされ、募金2億5千万円による多額返還と自己財源1千万円による長期返還を組み合わせた返還計画が立てられ、理事会、評議員会に諮られた。
 2003年10月23日に開かれた臨時評議員会は、全家連の命運を賭けて白熱の議論が交わされた。何らかの手を打たなければ解散は避けられず、財政は厳しいが存続の可能性を選ぶかどうかで採決した結果、賛成多数で募金による存続・再生が議決された。
 2004年9月末を目途に活動に入った募金は、目標額2億5千万円に対し7300万円に留まったが、債権者に対し極力誠意を尽くして返還し、不足分については猶予を願い、併せて加算金、延滞金の免除を申し出て認められた団体もあった。(募金は以後も継続し、家族会6640万円、全家連の再生を支える会1540万円、計8185万円)その後も返還金の免除、軽減のお願いを続けているが、3億8千万円もの返還残高は消えていない。
 2004年、厚労省はグランドデザイン構想を公表し、障害者福祉制度改革の方向を示した。
 全家連は、格差解消を図るため、3障害一元化を骨子とする基本案に賛成しつつ、医療費等負担増の軽減策を強く要望し、小松理事長は国会での意見陳述の機会に、精神障害者の実情を訴え、この点を明確に主張した。法案は2005年10月、障害者自立支援法として成立したが、政令で示された個人負担軽減策や施設運営費用には不満が続出した。全家連は他障害団体と連携し、国会や厚生労働省に運用策の見直しを求める運動を展開、作業所国庫補助110万円復活を含む1200億円の緊急緩和予算を獲得した。

 (7)全家連の財政状況
 有用な活動を続ける全家連ではあるが、巨額の返済金・返還金を抱えた現状について、国会議員や厚生労働省も憂慮し、救済策を模索する委員会を厚労省内に設けて検討を続けた。一時、ハートピアの国有化案も浮上したが、実現へのハードルが高く、救済策は混迷したままである。長期借入金は未だに5億4千万円もの残高があり、みずほ銀行の元金返済軽減契約は2007年3月末で期限を迎えた。流用補助金の返還義務を併せ、財務状況は行き詰まりを見せている。
 なお、全家連の再生に際し求められていた、ハートピアおよび都内福祉施設の運営事業切り離し作業は鋭意進められて、平成18年度中に別法人への移譲が実現されることとなった。

                                                        以上


 なお、評議員会は2007年4月17日、東京都中野区中野4の1の1、中野サンプラザ13階会議室で開かれました。
 そこでの報告事項としては

(1)福祉施設運営事業の移譲について
  通所授産施設「ZIP」→社会福祉法人あしなみ(平成19年4月1日より)
  共同作業所「かれん」→NPO法人えん(同)
  共同作業所「たいとう倶楽部」→NPO法人えん(同)
  入所・通所授産施設「ハートピアきつれ川」
                  →社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会(同)

(2)負債状況について(平成19年3月末現在)

  返還金について(厚労省等5団体)
 返還元金(384425991円)+加算金等(154436132円)=小計538862123円
 返還金確定(459882718円)-返還済み額(79107671円)=返還残額380775047円

  長期借入金について(3団体及び銀行)
 借入金(930000000円)→借入金残高546290000円

となっています。  
by open-to-love | 2007-04-26 13:52 | 全家連 | Trackback | Comments(0)
全家連自己破産、解散から5日。ぜんかれんのホームページを毎日チェックしているが、以下の記載以上の情報がない。このまま会員に説明なく終わりか?

「2007年4月17日
破産手続き開始のお知らせ

 当会は平成19年4月17日に東京地方裁判所より破産手続きの開始決定を受け、事業の精算手続きを行っております。皆様にはご迷惑をおかけすることとなり、大変申し訳ございません。なお、お客様の個人情報は管理保護されておりますので、ご安心下さい。
 お問い合わせやご意見がございましたら、下記の宛先までお手紙、FAX、E-mail等にてお願いいたします。
○お問い合わせ先
(財)全国精神障害者家族会連合会
〒110-0004 東京都台東区下谷1-4-5
FAX.03-3845-5974
E-mail:zenkaren@zenkaren.or.jp」

だそうです。
by open-to-love | 2007-04-21 23:56 | 全家連 | Trackback | Comments(0)
きょうされんホームページに、こんな文章が載ってました。なるほど。指摘の通り、会員には何の説明もありませんね。

「全家連の破産・解散に思う 厚労省と元全家連役員は説明責任を果たせ」

■はじめに
 「全家連問題」が大きく報道された(「全家連」の正式な名称は、全国精神障害者家族会連合会)。うわさにはなっていたが、とうとうこの日が来たという感じだ。それにしてもひどいものである。同時に、言いようのない怒りがこみ上げてくる。関係者が口にしているように、まさに「偽装解散」ということになろう。それだけではない。全家連役員と厚労省の結託による「一大税金操作劇」なのだ。「偽装解散」などというのは、むろん障害分野では前代未聞であり、わが国の社会福祉の歴史上、重大な禍根を残すことになろう。

■全家連問題の経緯
 本件の概要を掻い摘んで述べておこう。表向きは、旧厚生省が端緒を開いたことになっている。1990年代の最初の頃に、旧厚生省より全家連に対してこんな構想が持ちかけられている。「温泉地で保養所をつくれないか」というものだった。これを受ける形で、全家連は「ハートピアきつれ川構想」を打ち上げた(授産施設制度を活用しての保養所)。多額の借入金を主財源としながら、形のうえでは必要額の20億円余を揃えたのである。しかし、年間4,000万円にも及ぶ返済計画は(しかも20年間続くことになる)、余りに無謀だった。実際に、事業開始直後にして、既に赤信号がともっていたのである。独立採算的な事業をねらった「ハートピアきつれ川」であったが、返済に窮するとなれば、その母体である全家連に影響が及ぶのは必然である。苦しまぎれに打った手が、全家連に交付されていた各種補助金(厚労省による補助金が最も多かった)を返済金に充てようというものだった。禁じ手を放ったのである。このことが報道機関に漏れるところとなり、「補助金目的外流用事件」として新聞沙汰となった(最初の新聞報道は2002年11月、読売新聞)。
  以上の経緯にあって、とにかく驚くのが全体金額の大きさだ。補助金の不正流用分として返済を求められている金額5億3,900万円(このうち延滞金などの加算分は、1億5,400万円)それに「ハートピアきつれ川」の残債分が5億4,600万円、全家連が負う借財の総計は10億8,500万円というものだった。全家連役員と厚労省、時として自民党の国会議員も入って「妙案」づくりを考えたという(全家連役員の話)。曲折を経て、たどり着いたのが今回の報道で記されている「ウルトラC」なのである。


■ひねり出された「偽装解散」の道
 つまり、補助金不正流用分の返済金に加えて、これに「ハートピアきつれ川」の残債を合わせ、借金のすべてを全家連に集結し、その上で借金で膨らんだ全家連を破産させるという筋書きである。妙案づくりで勘案しなければならなかったのが、1.「ハートピアきつれ川」を継続させなければならないこと(多額の国費が投じられているのであり、継続させることは厚労省の至上課題)、2.全国の家族会をつなぐ中央組織体を残さなければならないこと、3.全家連の財産をできる限り残すこととされている。
  さすがに破産の申し立てともなれば、3の財産をつなぎ止めておくことは叶わなかった。財団法人全家連の最大の財産である、「全家連ビル」(東京都台東区、地上7階地下1階)は手放さなければならなくなったのである。国を中心とした債権者に譲渡されるのだろう。残る二つのポイントがどうなるのかということであったが、「ハートピアきつれ川」については全家連と切り離した上で、全国精神障害者社会復帰施設協会が受け皿となった。全国をつなぐ中央組織体については、全家連を解散した上で、「NPO法人全国精神障害者保健福祉会連合会」として新たな組織体に生まれ変わることになった。既に、昨年末に東京都より認証が下りているというのだから、なかなかの手回しである。
  あらためてまとめると、財産は没収されるものの莫大な借金はチャラになり、その上で、「ハートピアきつれ川」を継続し、中央組織体についても再スタートを切るというのである。


■きちんとした説明責任を
 立場によっては、最善の道という見方になるのかもしれないが、普通の感覚からすればとんでもない話だ。冒頭に述べたとおり、憤りがこみ上げてくる。少なくとも、次にあげる疑問や問題点については、全家連役員(今となっては元全家連役員と言うべきかも)ならびに厚労省は説明責任を果たすべきである。新聞報道にあるように「厚労省所管の全家連」であり、とくに厚労省の責任は重く、事の本質を詳らかにすべきだ。また、この問題は国会でも取り上げられた経緯があり、立法府としても問題の全容と真相、そして背景を徹底的に解明してほしい。さらには、マスコミにも注文を付けたい。一言で言えば、報道の内容が浅薄であり、「事件」ではなく、まるで「関係者の見通しの甘さ」を主因とする避けられなかったアクシデントのような印象を受けかねない。もっと闇の向こうに迫ってほしい。
  そこで、疑問や問題点ということになるが、とりあえずは次の5点をあげておこう。厚労省と元全家連役員は誠実に答えるべきである。


■国民に説明を
 まずは、国民にきちんとした説明を行なうべきである。たとえ「破産」が合法的であったにせよ、11億円近い税金が不問に付されるという事態について、国民はどう思うのだろう。額が額だけに、「最初の見通しが甘かったため」などでは済まされまい。「自己破産」と「借金のチャラ」の抱き合わせは、企業界では時おり見聞するが、きわめて操作的で悪知恵を連想させる。それでも企業破産の場合は、「借金チャラ」が私金ということになろう。全家連の場合は違う。公金が無駄になるのであり、国民の血税が誤った使われ方をするのである。恐ろしいのは、明確に意識するかどうかは別として、障害分野に対する胡散臭(うさんくさ)感やネガティブイメージが国民のあいだに増幅することである。障害分野全体としても大きな痛手になる。とにかく納税者である国民に対して、ていねいな説明をしてほしい。


■厚労省の責任は
 全家連と言えば、厚労省の認可団体である。新聞報道などで「厚労省所管」とあるように、官製団体と言ってよかろう。当然のように厚労省より多額の補助金が交付され(報道にあるように年間10億円程度)、金のつながりが強い。それだけに監査体制を中心に、公金の行方を見守るしっかりとした仕組みが必要となろうが、この点がどうなっていたのだろう。補助金適正化法に違反する「目的外流用」に直接関与した全家連役員は言うに及ばず、事実上放置してきた、あるいは見逃してきた厚労省も同罪である。新聞沙汰になった後の、のらりくらりとした対応も釈然としない。そこには何かがあるに決っているというのは、必ずしもうがった見方とは言えまい。当事者団体の一部からは、「ハートピアきつれ川構想が持ち上がった当時の全家連専務理事がそのあと自民党代議士の秘書となっていたが、厚労省の曖昧な対応と関係があるのか」などの疑問が出されている。また報道に触れた家族からも「そう言えば、ハートピアきつれ川の開設時の責任者に元厚生省課長補佐が就任していたが、今回の報道には複雑な裏がありそうだ」などの感想が述べられている。全家連については、過去にも理事長や理事の引責辞任が行われているが、肝心の所管行政である厚労省ではその気配はまったくない。このままでは「トカゲの尻尾きり」と揶揄されても仕方がなかろう。蔓延しつつある「あらぬうわさ」や疑問に答えるためにも、厚労省としての説明責任を果たすことであり、並行して社会に通用するけじめをつけるべきである。


■「うちも借金チャラにできないか」にどう答えるのか
 今回のような「借金チャラ」がまかり通るとすれば、大変なことになろう。障害関連の社会福祉事業を経営している民間法人の多くは(高齢分野や保育分野も同じ)、「ハートピアきつれ川」同様に公的融資団体である独立行政法人福祉医療機構(旧福祉医療事業団)から借入金を起こしている。厚労省主導で行なわれた「借金チャラ術」が本当に可能だとしたら、「うちも考えてもらいたい」という法人が出てくるに決まっている。これに厚労省はどんな回答を準備しているのだろう。ざっと考えただけでも、福祉医療機構に融資を申請する時点で提出が義務付けられている「寄附申し込み者」(万が一返済が滞った場合に、融資の元利を寄附で埋め合わせをするという確約の仕組み)の責任履行はどうなっているのか、最高責任機関となる財団法人(全家連)の理事長ならびに理事の民法上の負担責任はどうなっているのか等々、疑問は尽きない。
 不良法人であればいざ知らず、範を垂れるべき「厚労省所管」の財団法人とのあいだで行なわれた「借金チャラ術」である。よほど納得のゆく説明がない限り、関係者の理解が得られないのではなかろうか。モラルハザードが広がることがあってはならない。


■個々の会員、支援者に説明を
 全家連の中枢にいた面々は、事の一部始終を包み隠さず話すべきである。厚労省の圧力もあったせいか、この間、確たる情報は伝えられてこなかった。そして、いきない「破産」だの「解散」などと言われても、何がなんだかさっぱり分からないというのが家族会会員の多くであり、支援者の多くであろう。おそらくは、寝耳に水と言うのが一般的な印象だと思う。会員はもちろんのこと、支援者にあっても情報を得る権利があったはずだ。なぜならば、全家連のために何回となく身銭を切ってきたからである。少なくとも、1.中村友保・千恵子夫妻の土地の寄贈を基にしての「全家連ビル」の建設時、2.「ハートピアきつれ川」の建設時、3.「補助金流用事件」発覚後の再度の支援募金時、これらについては、それこそ全国をあげて募金運動がくり広げられたのである。募金に応じた人、募金集めに駆けずり回った人、募金運動の発起人になった人、募金運動を報じてくれたマスコミ関係者等々、こうした人々に対して、知りうる情報の全てを吐露し、心の底から謝罪すべきである。この段に及んでなお会員にではなく、厚労省の方を向いているというのが全家連中枢から受ける印象だ。月刊「ぜんかれん」最終号(2007年3月号)にも何の説明もなく、この間の電話には誰も応じない(4月20日より、「東京地方裁判所より破産手続き開始決定に入っており、事業の清算手続きを行なっています……」の録音テープが流れるのみ)。人間性を疑いたくなるような対処ぶりである。遅きに失した感は否めないが、それでも言わないよりはずっとましだ。今からでもいいから、本当のところを語ってほしい。


■自立支援法の「成立促進」の動きとの関係は
 疑問が尽きない全家連の解散であるが、もう一つ晴れないのがどうして解散の間際に障害者自立支援法案の成立促進にあれほどまでに熱心だったのかということである。全国津々浦々の精神障害当事者が苦しんでいる障害者自立支援法であり、本来であれば反抗の先頭に立つべきだった。ところが全家連がとった行動は、これとは反対だった。それどころか、厚労省の先棒かつぎ役を決め込み、いわゆる「やらせ要望書」を与党議員に持参して回り、同じく「やらせパンフレット」(厚労省作成の成立促進グッズの一環)に団体名を連ねたのである。その理由を全家連役員に問いただしてもはっきりとはしない。法案の内容面で成立促進というのであれば、これはこれで一つの理屈になる。たしかに「3障害統合政策」を歓迎した向きがあるが、どうみても後追い的な賛成理由である。要するに、「厚労省が言うのであれば仕方がないのでは」、このへんが正直なところではなかったのか。どうもすっきりしない。そんな中で、はっきりしていることが一つあった。それは、「全家連問題」処理の最終段階が、ちょうど障害者自立支援法案の成立と山場が重なっていたことだ。是が非でも成立させたかった厚労省であり、他方、全家連はこれに貢献すれば新たな活路が開けるのではとの思惑を強めたとされている。「最後のかけ」だったのかもしれない。思惑が外れたことは言うまでもない。しかし、成立促進に回った理由がそんなことであったとしたら、大問題である。これについても、きちんとした説明をすべきである。厚労省からも真相を聞きたいところだ。
 以上、質問事項を5点掲げてきた。「解散してしまったのだから答えなくても」、間違ってもそんなふうには言ってほしくない。厚労省ならびに全家連の役員だった面々は真摯に応じてほしい。それが、リーダーを信じながら老体に鞭打って家族会運動に身を捧げてきた人びとへの、そしてそれを支援してきた人びとへの、せめてもの救いということになるのではなかろうか。

■意味のある「たら」「れば」であれば
 こんな川柳を目にしたことがある。「どうなった あのとき出会って いなければ」「{たら}{れば}を 肴にきょうも 赤ちょうちん」。「たら」「れば」を織り込んだ面白い作品である。日常的に多く用いられる「たら」「れば」であるが、これが歴史学という学問では事情が一変する。歴史学にあっては、この「たら」「れば」は、禁句になっているそうだ。
 たしかに、「関が原の合戦で家康が負けていたら」「太平洋戦争に突入していなければ」などと、「たら」「れば」をいくらくり返したところでどうにかなるわけではない。文学の世界では興味をそそるかもしれないが、ひたすら史実を問題とする歴史学からすればいたずらに混乱を招くだけになるのである。
 ひるがえって、わが障害分野をみた場合にどうだろう。同様に「たら」「れば」というのは禁句ということになるはずである。しかし、本当にそうなのかと問い直すと、少なくとも感情のレベルではすっきりとしないものが残る。遅れに遅れをとった障害分野であり、ついつい「あの時、あんなふうにしていたら」を言いたくなるのだ。たとえば、精神障害関連施策のこの20年間だけをみても、いくつかの好機や分岐点があったが、ことごとく逃し続けてきたと言ってよかろう。
 居直るわけではないが、こと障害分野に関しては、「たら」「れば」を連発していいのでは、そんな気持ちになってしまう。もちろん愚痴に終わるだけではいけない。「未来への回想」という視点を堅持し、同じ轍を踏まないとする決意の証としての「たら」「れば」であれば、許されるように思う。この際、意味のある「たら」「れば」を言い合うのもいいではないか。

■影をひそめた統合賛成論
 そうは言うものの、将来の時点で悔やまれるような「たら」「れば」は少ないほうがいいに決っている。ここで気になるのが、やはり障害者自立支援法だ。既に、「たら」「れば」を言いたい人は少なくなかろう。共通する「たら」「れば」としては、「そもそも介護保険との統合賛成が混乱の始まりであり、あんな軽薄な言動がなかったら」「どうして民間団体の一部が法案の成立促進に走ったのだろう。あれがなければ」があげられよう。しかし、今だったら、まだ「たら」「れば」を薄められるかもしれない。昨年末の補正予算による補修策もその一つであり、今後の頑張りによってはもう一段と薄められるような気がする。いや、そうしなければならないのである。
 その点で、注目すべき動きがあった。それは、あらためて「障害保健福祉施策と介護保険制度との統合問題」についての公式な意見交換であった。実質的な主催者は厚労省老健局(具体的には「第5回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」、07年2月5日)、応じたのは例の障害関連8団体であった(JD、日身連、育成会など)。特筆すべきは、いわゆる統合について賛意を表明した団体は一つもなかったということである。もう少し正確に言うと、「結論が出ていない」とか「保留」というのはいくつかあったが、かつてのような賛成論調はみられなかったのだ。加えて、「自立支援法の施行直後の混乱状態にあって、統合問題など論議できる環境にない」などの意見も共通に出されていた。
 傍聴していたある報道関係者の口から、「昨年末の補正予算関連の特別対策と合わせみれば、統合の可能性はなくなったとみていいのでは」、こんな感想が述べられていた。一つの見方だと思う。もし、この見方が妥当だとすれば、「2007年2月5日」というのは、歴史を動かした日、そして「たら」「れば」を少しばかり薄めた日、そんな日になるのかもしれない。
(TOMO太郎)

ちなみに、きょうされん(旧称:共同作業所全国連絡会)は、自立支援法の応益負担に一貫して反対している、とてもまともな団体です。
〒164-0011 東京都中野区中央5-41-18-5F
TEL:03(5385)2223  FAX:03(5385)2299
by open-to-love | 2007-04-21 09:21 | 全家連 | Trackback | Comments(0)

全家連が破産、解散

2007年4月18日付岩手日報1面掲載、共同通信の配信記事です。なお、この記事に関連した岩家連の反応については「岩家連」のカテゴリーに掲載しています。

「全家連が破産、解散 精神障害者家族組織 負債総額9億6600万円」

 全国の精神障害者の家族でつくる厚生労働省所管の財団法人「全国精神障害者家族会連合会」(全家連、東京都台東区、小松正泰理事長)は十七日、東京地裁に破産を申し立て、同日付で組織を解散したと発表した。
 記者会見した小松理事長は「栃木県での福祉施設建設に伴う借入金の返済や、国などから求められた補助金返還のめどが立たず組織を維持できなくなった」と説明した。
 負債総額は約九億六千六百万円で、うち約三億八千万円は厚労省と独立行政法人福祉医療機構、日本財団に対する未返還補助金。各都道府県に計約千六百ある傘下の「家族会」はそれぞれ独自に運営されており、従来通り維持される。全家連は精神障害者の家族で組織する唯一の全国組織。国が所管する公益法人の破産は異例という。小松理事長は「債権者や会員家族の皆さまに誠に申し訳なく思う」と陳謝した。
 全家連によると、財務悪化の原因は一九九六年に開設した精神保健福祉施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)。精神障害者がスタッフを務める温泉宿泊施設で、総工費二十億五千万円のうち八億円は企業からの寄付を当て込んだが、バブル経済崩壊後の不況で頓挫。代わりに福祉医療機構と民間銀行から借り入れたが赤字経営が続き、返済が苦しくなった。
 このため全家連は国などから研修会開催などのため交付された補助金を不正流用し返済に充当。この事実が二〇〇二年発覚、計約五億四千万円の返還命令を受けた。以降、補助金を受けられず事業運営が行き詰まった。
 破産申し立ては十七日午前の理事会で全会一致で決議し評議員会に報告。東京地裁は申し立てを受理、破産管財人に多比羅誠弁護士を選任した。

「県内は55団体1147人」

 県内には精神障害者の家族会が五十五団体あり、会員は千百四十七人。特定非営利活動法人(NPO法人)岩手県精神障害者家族会連合会(岩家連、荒木田次郎会長)が取りまとめている。精神障害者の組織では県内最大だ。
 全家連の破産、解散を受け、岩家連は近く緊急に理事会を開き、対応を協議する方針だ。荒木田会長は「解散は残念でならないが、県組織はこれまでと全く変わらず、精神障害者とその家族のために活動していく」と話している。

 全国精神障害者家族会連合会(全家連)とは 精神障害者の社会復帰を促進する目的で1965年に設立、67年に財団法人となった。会員は約12万人。精神障害者の家族でつくる全国約1600の「家族会」をとりまとめており、94年には精神保健福祉法に基づく国内唯一の「精神障害者社会復帰促進センター」に指定された。主な活動は会員の相互交流、病気やリハビリ、福祉制度についての研修会開催、社会復帰施設や小規模作業所の運営、社会の偏見をなくすための啓発、相談など。

なお、同内容ですが、毎日新聞の17日付夕刊に掲載された記事も紹介します。読み比べると面白い。これから解散を発表する、という段階で書かれた記事です。17日付朝刊2面に朝日新聞が全家連の窮状について特集のような記事を掲載。それを見て驚いた全国紙各紙が、あわてて取材を開始したのでしょう。ちなみに、全国紙の夕刊があるのは首都圏のみで、岩手に届くのは朝刊だけ。
なお、17日夕方の破産・解散発表から程なく、長崎市長が選挙期間中に暴力団の男に銃撃され死ぬという前代未聞の大事件が発生しました。この事件がなかったら、全家連解散は、18日付朝刊各紙でもっと大きな扱いになったことでしょう。各紙とも、さらっとした報道で、岩手の地において忸怩たる思いです。

 精神障害者を持つ家族の全国組織「全国精神障害者家族会連合会」(全家連、東京都)が、多額の借入金を返済するめどが立たず、破産する見通しになった。17日に臨時の評議員会を開いて破産と解散を決議、同日午後に正式発表する。厚生労働省所管の財団法人で、精神障害関連の中核団体が破たんするという異例の事態になる。負債総額は約9億円とみられる。
 全家連などによると、破産の最大の原因は、全家連が所有・運営していた精神保健福祉施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)の多額の建設費。20億円を投じ、96年にオープン。精神障害者を雇用して社会復帰を促す授産機能を併せ持ったユニークな宿泊施設として注目を集めた。
 建設資金のうち約12億円は国などからの補助金や寄付で、実質的な借入額は厚労省所管の「福祉医療機構」と大手銀行の計約8億円。しかし、全家連は主な収入を月刊機関誌の販売代金(年間約1億円)に頼っており、毎年5000万円に上る建設費の返済は、当初から全家連本体の運営を圧迫した。
 このため全家連は、厚労省などから受け取っていた補助金や委託費について、出張旅費や人件費の領収書を偽造するなどして目的通りに使ったように見せかけ、浮いた金をハートピアの建設資金返済などにあてていた。
 しかし、02年に補助金目的外流用を巡る不祥事が発覚。同省や日本財団が03年、加算金も含め5億円余りの返還を求めたため、全家連の運営は危機的状況に陥った。全国の家族会や、精神医療関係者が寄付金を募ったが、思うようには集まらなかった。全家連によると、ハートピア建設費の返済残高が5億4600万円、補助金の未返還額も約3億8000万円に上るなど、資金繰りが悪化。国などからの補助金もストップされたままで、これ以上の事業の継続は困難と判断した。
 各都道府県にも家族会が組織されているが、全家連とは別の組織構成になっており、破産の影響を直接的には受けない見通し。また、ハートピア事業は今月1日から、別の障害者団体に無償譲渡、全家連本部が直営していた通所授産施設なども他の団体に譲渡され、それぞれ運営を続けている。
 【ことば】全国精神障害者家族会連合会 精神障害者の医療・福祉の充実、精神障害に対する差別や偏見をなくすことを目的に1965年に設立され、67年に財団法人になった。傘下には各都道府県単位の連合会があり、全国で約6万世帯計12万人が活動している。会員向けの機関誌「月刊ぜんかれん」などの書籍を発行しているほか、精神障害に関する各種研修事業にも取り組んでいる。

4月18日付読売新聞には、次のように報じられています。

「全家連が解散 精神障害者家族の団体 負債9億超 破産申し立て受理」
 厚生労働省所管の財団法人「全国精神障害者家族会連合会」(全家連、東京都台東区、小松正泰理事長)は17日、破産手続きの開始を東京地裁に申し立てた。申し立ては受理され、全国1600の家族会をとりまとめ、会員数は12万人に上る全家連は解散した。
 全家連によると、債務総額は、約9億6000万円。1996年に温泉ホテルと授産施設を併設した「ハートピアきつれ川」を建設した際の借入金と、その返済のために不正流用した補助金の未返還分が大半を占める。
厚労省内で記者会見した小松理事長は、つまずきの原因として「ハートピア建設時、寄付で集めるはずだった8億円が集まらないなど、見通しの甘さがあった」と説明。解散の影響については、「全国の精神障害者の意思を代表して、国や関係団体と折衝する機能が失われる」と述べた。

 寺谷隆子・日本社会事業大客員教授(精神保健福祉)の話 「精神障害者の自立に大きな役割を果たしてきたことは事実で、解散は非常に残念。精神疾患は誰もがかかる可能性のあるもので、本来、みんなで取り組むべき自立支援を、家族の人たちがやってきた。設立当初と比べ、大きな組織になり、経営のプロでない人が運営するには、負担が重すぎたということだろう」

 
by open-to-love | 2007-04-18 00:39 | 全家連 | Trackback | Comments(0)