精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:救急・急性期( 19 )

コンボお知らせメール便:「こころの元気+」2月号早読み!&神戸でピアサポ!

盛岡ハートネットのみなさま

 こんにちは。コンボ広報チームです。本日は、「こころの元気+」2月号のご紹介、そして、コンボの当事者活動盛り上げ企画、PNPPのご案内です。次回は兵庫県神戸市に伺います。

 ★HEADLINES★
 (1) 「こころの元気+」2月号のご案内:テーマは「病名」
 (2) PNPP@兵庫: 申込受付中!
 (3) コンボイベント最新情報

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 「こころの元気+」2月号
 特集:病名はどうやってつけてるの?
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 2月号は、「病名」をテーマにしています。皆さんからお寄せいただいた、診察・診断、そして「誤診」にまつわる体験談の数々は、考えさせられることしきりです。診察・診断をする側のお医者さんからも、診断に至るまでのプロセスについて解説していただき、また、診察を受けるさいのアドバイスもいただきました。なかなか聞けない「病名」についてのあんなこと、こんなこと。読み応えのある特集です!

【特集1】ていねいな診察と診断(体験談)ていねいな聞き取り、納得した上での薬選びなど、ていねいな診察と診断の体験談です。
【特集2】診断への疑問と苦労(体験談)「治療しても治りませんよ」は、「診断」ですか?
【特集3】精神科医はどうやって診断しているのか あまり聞くことのない「診断する側」の視点から、診断にいたるまでのプロセスについて、具体例をまじえてじっくりと解説していただきました。診断が心配になった時のアドバイスも必見!(内野俊郎:久留米大学医学部神経精神医学講座)
【特集4】病名を教えてもらえない不安(体験談)診断アンケート(特集8)では、現在も16人の方には自分の病名が告げられていませんでした。病名を教えてもらえない・もらえなかった時の気持ちは?
【特集5】漫画(ぼうえんぎょ)くるくる変わる病名に翻弄されるぼうえんぎょファミリーの運命やいかに! 見開き2頁の漫画の中に、病名はいくつでてくるかな?
【特集6】自分の苦労が伝わる自己病名 「べてる」と言えば、ちょっとニヤッとしてしまうユニークな自己病名。なぜ自己病名をつけるのか、それには、こんな深い理由があるのです!(伊藤知之:浦河べてるの家)
【特集7】セカンドオピニオン体験談(体験談)セカンドオピニオンを受けるのは「あり」という方、結局同じクリニックに戻って安心という方、様々です。
【特集8】診断アンケート 予診の面接からセカンドオピニオンまで、250人もの皆さんに、お答えいただきました。ご協力いただいた皆さんに感謝します!
【特集9】患者を追い込む診断から、救う診断へ 記者として目の当たりにした医師の姿、患者の姿。診断は、患者を追い込むためにあるのではなく、病の克服や病との共生に活かすものです!(佐藤光展:読売新聞医療部記者)
【特集10】時代によって、病名が変わるのはどうしてか? 時代や医療・研究の進化とともに、病名は変わってきました。でも、病名でなく「人」を診ることの大切さは、変わりません。(大野裕:国立精神・神経医療研究センター/認知行動療法センター)
  ★「こころの元気+」最新号の情報・お申込みはこちらから
  → http://www.comhbo.net/mental_energy/index.html
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 表紙モデルインタビュー(動画)
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 今月のモデルはこんな人!
 → http://www.comhbo.net/online/interview/index.html

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 ◎PNPP◎
 ピア・ネットワーク・プロモーション・プロジェクト in 兵庫
        2015年3月2日(月)
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 PNPP~ピア・ネットワーク・プロモーション・プロジェクト~は、コンボの「当事者活動盛り上げ企画」です。これまで、3年にわたり、全国12か所に伺いました。今年度は、7月の埼玉に始まり、11月の札幌、1月の広島、栃木、沖縄と続いています。それぞれの地元で様々な活動をしている皆さんとの出会いがありました。3月は、兵庫県神戸市に伺います。近畿地方にお住まいの皆様、お誘いあわせの上、ぜひご参加ください!
 ☆詳細はコンボのHPから
 → http://www.comhbo.net/event/report/report_20150302.html
 ☆チラシ(申込用紙つき)のダウンロードはこちらから
 → http://www.comhbo.net/event/pdf_data/pnpp_hyogo.pdf
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 PNPPで仲間を作ろう!
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 心に困難をかかえ、精神疾患を持つ人(当事者)を仲間同士で「ピア」と呼びます。ピア・ネットワーク・プロモーション・プロジェクト(P.N.P.P.)では、「言いっぱなし、聞きっぱなし」のグループを作り、運営し、全国のピアサポートグループとネットワークを作ることをめざしています。仲間の力を信じて、つながりを作るためのネットワークです。
 これまで、全然ピア活動をしてこなかった人でも、気軽に始められる「言いっぱなし、聞きっぱなし」のピアサポグループを体験してみませんか?それぞれの地元ですでにさまざまなピア(当事者)活動をしているみなさんの紹介もあります。
 当事者主体の世の中にしていきましょう。コンボがサポートします。ふるってご参加ください!
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 PNPP in 兵庫!
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 【日時】 2015年3月2日(月)13:00 ~ 16:00(12:30受付開始)
 ※少々延長の場合あり
 【会場】 神戸市勤労会館 4階 講習室403&404
          (神戸市中央区雲井通5丁目1-2)
      《会場アクセス》
      ●地図:http://www.kobe-kinrou.jp/shisetsu/kinroukaikan/index.html
      ●最寄り駅から:
         1. 三宮(阪神・神戸新交通)[A19(さんちか)](2分)
         2. 三ノ宮[JR中央口(南側)](4分)
         3. 三宮(阪急・地下鉄・神戸高速)[東出口2(地下鉄三宮)](5分)
 【参加費】 無料
      ◎資料代◎ コンボ賛助会員:500円(賛助会員の家族可)、一般:1000円
         ※資料代は当日お支払ください。
         ※会場でコンボ賛助会員になることも可能です。その場合は500円になります。
 【申込方法】
      (1)メールで: 「PNPP兵庫参加希望」の件名で、1)お名前(会員の方はID
        番号も。会員ご家族の方はその旨お書き下さい)、2)ご住所、3)電話
        番号、 4)FAX番号を、コンボPNPPチームまでお送りください。
               → Email: pnpp.comhbo@gmail.com
      (2)FAXで: チラシをダウンロードし、裏面の申込用紙にご記入のうえ、
        コンボまでお送りください。
               → FAX: 047-320-3871
   ※お申込みは先着順に受け付け、定員(50人)に達したところで締切ります。ご了承ください。
   ※お一人様1枚でお申込みください。(複数でお申込みの場合は、人数分コピーしてください)
   ※お申込み後、参加券(ハガキ)をお送りいたします。
 【協力】 ドリームファクトリー
 【お問合せ】
  NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボ (PNPPチーム)
  電話: 047-320-3870
  Fax: 047-320-3871
  Email: pnpp.comhbo@gmail.com

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 コンボ★イベント
 最 新 情 報
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 ◎こんぼ亭第27回月例会◎
 ~申込受付中~
 『発達障害者の就労をめぐって』
 【日時】2015年2月28日(土)
 【会場】タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1)
 【出演】加藤進昌(昭和大学付属烏山病院院長)、
 五十嵐美紀(昭和大学付属烏山病院ケースワーカー)、
 烏山東風の会(発達障害家族会)の方、ほか
 ☆詳細はコンボのHPから
 → http://www.comhbo.net/event/report/report_20140805.html
 ☆チラシ(申込用紙つき)のダウンロードはこちらから
 → http://www.comhbo.net/event/pdf_data/20150228_27_remedy_flyer.pdf

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  コンボの活動にご協力をお願いします
○===============================○
 さまざまなイベント・研修会や情報提供など、NPO法人コンボの活動は、皆さまからのご理解・ご協力に支えられています。コンボへの皆さまのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
 【賛助会員として】
   ☆会費は1年間5,000円です
   ☆賛助会員のお申込みはこちらから
    → https://x172.secure.ne.jp/~x172042/support_member_apply/main.cgi
 【書籍・DVD等の購入を通じて】
   ☆詳しくはこちらから
    → https://x172.secure.ne.jp/~x172042/shop/main.cgi?mode=cart&sid=1
 【寄付を通じて】
   ☆詳しくはこちらから
    → http://www.comhbo.net/main/content003.html
 ※賛助会員のお申込み、書籍・DVD等のご注文、ご寄付はお電話・ファックス・郵送でもお受けしております。
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  《競輪 RING!RING!プロジェクトの補助を受けています》
   「こころの元気+」の制作&PNPP(ピア・ネットワーク・プロモーション・プロジェクト)
  《日本財団の助成を受けています》
   ACTチームへの調査及びアウトリーチ支援に係わるスタッフ養成事業
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●「こころの元気+」最新号の情報はこちらからご覧になれます。
http://www.comhbo.net/mental_energy/index.html
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特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構(コンボ)
Website: http://comhbo.net
Twitter: http://twitter.com/#!/comhbo/
  〒272-0031 千葉県市川市平田3-5-1 トノックスビル2F
  TEL: 047-320-3870 FAX: 047-320-3871
  EMAIL: info@comhbo.net (コンボ広報チーム)
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下記のサイトより過去のお知らせメール便がご覧になれます。
http://comhbo-mail.blogspot.com/
by open-to-love | 2015-02-08 09:25 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)
コンボお知らせメール便:アンケートにご協力ください~病名はどうやってつけているの?

盛岡ハートネットのみなさま

 こんにちは。コンボ広報チームです。いよいよ12月、今年最後の月に入りましたね。センセイも走るという「師走」。コンボのスタッフも気ばかりがせいています。本日は、「こころの元気+」編集部より、皆様にアンケートご協力のお願いです。また、ピアサポートグループについては12月の開催情報を追加しました。

 ★HEADLINES★
 (1) 「こころの元気+」アンケート
 (2) ピアサポートグループ開催情報
 (3) コンボイベント最新情報
 (4) コンボ出展情報

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 「こころの元気+」
 2月号特集のアンケートにご協力ください!
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 みなさまこんにちは。「こころの元気+」編集担当の丹羽です。早くも12月となってしまいました。皆さんにとって今年はどんな1年でしたでしょうか。「今年の漢字」は何になるのか気になり始めました。皆さんの予想はどうですか?
 さて今回もまた、皆さんにアンケートにご協力いただきたいと思っております。現在、コンボが発行している「こころの元気+」2月号で「病名はどうやってつけているの?」という特集を企画しています。その特集に掲載をするアンケートを募集させていただきます。皆さま、ぜひご協力をお願いいたします。
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 アンケートの趣旨
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 「こころの元気+」2015年2月号では、診断や病名に関する特集として、「病名はどうやってつけているの?」という特集を企画しております。そもそも診断はどのようにされるのが基本なのか、どのようにして誤診が生じるのか、その場合どうしたらよいのか、などについて考える特集です。その特集のなかに、診断や誤診などに関連したアンケートを掲載したいと思います。アンケート結果は2月号にて掲載をさせていただきたいと思いますので、ぜひお答えください! よろしく御願いいたします。
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 回答していただきたい方と回答期間
   & ご注意いただきたいこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【このアンケートに回答していただきたい方】
   なんらかの精神疾患をかかえている方。その代理としての御家族の方。
   ※コンボライターに登録をされている方で、このアンケートにすでにお答えいただいた方は、同じ内容ですので、ご回答いただかなくても結構です。

 【アンケート回答期間】
   本日~2014年12月7日(日)まで

 【掲載】「こころの元気+」2015年2月号

 【ご注意】
  ※1人で2回以上回答はしないようにお願いいたします。病院や施設などで、同じパソコンから複数回答を希望する方は、事前に電話かメールでご連絡ください。複数回答ができるように設定を変更いたします。
  ※今回のアンケートの結果はすべてを掲載できないこともあるかもしれませんので、あらかじめご承知おきください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 アンケートに答える方法
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 〇アンケートはインターネットに接続して、下記をクリックしてお答えください。
 〇携帯電話ご使用の方は、ご記入いただけない場合がありますのであらかじめご了承ください。

  (1) 下記のアンケート回答サイトをクリックしてください。
         http://enq-maker.com/96rQ9NK
  (2) そうするとインターネット上にアンケート頁が立ち上がりますので、アンケートにお答えください。
  (3) アンケート頁の右側に、いろいろな企業広告があるときは無視してください。企業広告をクリックすると全く別のサイトが立ち上がってしまうことがあります。

  ※もし、上記をクリックしてもアンケート頁が立ち上がらない場合は、インターネットを立ち上げて、 http://enq-maker.com/96rQ9NK  をコピーして、それをURL欄に貼り付けてくだされば、たちあがります。皆様どうぞよろしくお願いいたします。

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 ピアサポートグループ
 開 催 情 報
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 ☆最新情報はウェブサイトから
 → http://comhbo.net/2013/peersupport/genki-plus.html

 ○12/7(日)元気+サークルズ in ワカフェス(栃木県宇都宮市)
 ○12/12(金)元気+サークルズ in パームハウス(東京都国立市・立川市)
 ○12/19(金)元気+サークルズ in 清瀬(東京都清瀬市)new!
 ○12/20(土)元気+サークルズ in 秋葉原(東京都千代田区)new!
 ○12/21(日)ピアサポートグループ在(ざい)(神奈川県横浜・川崎市)new!

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 コンボ★イベント
 最 新 情 報
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 ◎こんぼ亭第25回月例会◎
 ~申込受付中!~
 『働き続けるコツと就労継続支援のツボ』
 【日時】2014年12月20日(土)
 【会場】すみだリバーサイドホール(東京都墨田区吾妻橋1-23-20)
 【出演】宇田亮一(立教大学心理教育相談所;臨床心理士)、ほか
 ☆詳細はコンボのHPから
 → http://www.comhbo.net/event/report/report_20140805.html
 ☆チラシはこちらから
 → http://www.comhbo.net/event/pdf_data/20141222_25_remedy_flyer.pdf

 ◎PNPP in 広島◎
 ~申込受付中!~
 『ピア・ネットワーク・プロモーション・プロジェクト in広島』
 【日時】2015年1月15日(木)13:00 ~ 16:00(12:30受付開始)
 【会場】中特会館ビル3階 中会議室(広島市中区幟町3番57号)
 ☆詳細はコンボのHPから
 → http://www.comhbo.net/event/report/report_20150115.html
 ☆チラシ(申込用紙つき)のダウンロードはこちらから
 → http://www.comhbo.net/event/pdf_data/pnpp_hiroshima.pdf

 ◎こんぼ亭第26回月例会◎
 ~申込受付中!~
 『自傷や依存 やめたい!でもやめられない』
 【日時】2015年1月31日(土)
 【会場】タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1)
 【出演】松本俊彦(国立精神・神経医療研究センター)、ほか
 ☆詳細はコンボのHPから
 → http://www.comhbo.net/event/report/report_20140805.html
 ☆チラシはこちらから (イラスト:はにゅけんまま)
 → http://www.comhbo.net/event/pdf_data/20150131_26_remedy_flyer.pdf

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 コンボ出展スケジュール
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 ★コンボのブースにぜひお立ち寄りください!お待ちしております。

 ◎就労支援フォーラムNIPPON2014(東京都)◎
 【日時】 2014年12月6日(土)~7日(日)
 【会場】 ベルサール汐留(東京都中央区銀座8-21-1)
 【HP】 http://www.jpna.jp/sfnippon/

 ◎第3回全国ピアスタッフの集い(埼玉県)◎
 【日時】 2014年12月13日(土)~14日(日)
 【会場】 聖学院大学(埼玉県上尾市戸崎 1-1)
 【HP】 http://peer2014.tumblr.com/

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  コンボの活動にご協力をお願いします
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 さまざまなイベント・研修会や情報提供など、NPO法人コンボの活動は、皆さまからのご理解・ご協力に支えられています。コンボへの皆さまのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

 【賛助会員として】
   ☆会費は1年間5,000円です
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   ☆詳しくはこちらから
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 ※賛助会員のお申込み、書籍・DVD等のご注文、ご寄付はお電話・ファックス・郵送でもお受けしております。

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  《競輪 RING!RING!プロジェクトの補助を受けています》
   「こころの元気+」の制作&PNPP(ピア・ネットワーク・プロモーション・プロジェクト)
  《日本財団の助成を受けています》
   ACTチームへの調査及びアウトリーチ支援に係わるスタッフ養成事業
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●「こころの元気+」最新号の情報はこちらからご覧になれます。
http://www.comhbo.net/mental_energy/index.html
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特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構(コンボ)
Website: http://comhbo.net
Twitter: http://twitter.com/#!/comhbo/
  〒272-0031 千葉県市川市平田3-5-1 トノックスビル2F
  TEL: 047-320-3870 FAX: 047-320-3871
  EMAIL: info@comhbo.net (コンボ広報チーム)
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下記のサイトより過去のお知らせメール便がご覧になれます。
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by open-to-love | 2014-12-04 07:45 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)
平田豊明、分島徹著『精神科救急医療の現在(専門医のための精神科臨床リュミエール 13)』
(2009年、中山書店)
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 精神科救急は,緊急患者への危機介入を行う地域医療システム,社会変化にともない多様化する患者への対応,急性期医療の水準向上,そして在宅ケアの支援という,4つのテーマを軸に展開してきた.本書では,そうした局面について,実務の最前線で奮闘してきた医療スタッフがその現状を豊富な事例をまじえ報告.精神科救急の現場だけでなく精神科一般臨床に多くの示唆を与えてくれる、実践から紡ぎ出された見解やアイディアが満載。

目次

I.制度としての精神科救急医療

A. わが国の精神科救急医療体制
1.歴史と現況
2.精神科救急医療の機能とその評価

B. 各地の精神科救急医療体制
1.東京都
2.大阪府
3.神奈川県
4.千葉県
5.静岡県
6.岩手県
7.北海道
8.広島県

II.技術としての精神科救急医療

A. 精神科救急医療へのアクセス
1.電話相談?ホットラインサービスとトリアージ
2.精神科救急搬送とアウトリーチサービス

B. 救急外来
1.鎮静法
2.鑑別診断
3.緊急措置診察
4.入院形式の選択
5.自傷・自殺企図ケースへの対応
6.他害行為を伴うケースへの対応

C. 急性期入院治療
1.急性期治療の基本戦略
2.隔離・身体拘束
3.精神科急性期看護
4.身体管理と合併症治療
5.薬物療法
6.服薬指導
7.電気けいれん療法
8.ケースワーク
9.心理教育・SST
10.作業療法
D. 特定事例群の救急・急性期医療
1.児童・思春期
2.認知症・高齢者
3.物質依存
4.境界例
5.発達障害
6.来日外国人ケース
7.在外邦人ケースの帰国支援
by open-to-love | 2011-01-07 21:13 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)
移送の問題をどう解決するか

(伊東秀幸 田園調布大学人間福祉学部)

□はじめに

 前回の法改正の大きな改正点のひとつは、移送が都道府県(指定都市を含む。以下同)の役割として位置づいたことです。それまで、受診をいやがる本人を病院へ連れて行くのは、すべて家族の役割でした。高齢になった両親が、受診させることは非常に苦労の多いことです。そこで一部の家族が頼っていたのが、民間の警備会社などが行う患者搬送サービスでした。この問題が、1997(平成9)年7月に朝日新聞で取り上げられてから顕在化して、法改正にもつながっていったように思います。
 しかし、現在でも移送が実施されていない都道府県もあり、地域の格差は大きなものがあります。移送問題には、医療保護入院等のための移送と措置入院のための移送という2つの問題がありますが、今回は医療保護入院のための移送にしぼって現状を分析し、これからの移送問題について考えたいと思います。

□法34条の移送の概要

 移送は、精神保健福祉法の第34条に規定されています。2000(平成12)年3月31日に厚生労働省から出されている「精神障害者の移送に関する事務処理基準」には、移送制度の基本的な考え方が次のように示されています。
 「医療保護入院及び応急入院のための移送は、緊急に入院を必要とする状態にあるにも関わらず、精神障害のために患者自身が入院の必要性を理解できず、家族や主治医等が説得の努力を尽くしても本人が病院に行くことを同意しないような場合に限り、本人に必要な医療を確保するため、都道府県知事が、公的責任において適切な医療機関まで移送するものである。したがって、この移送制度の対象とならない者に本制度が適用されることのないよう、事前調査その他の移送のための手続を適切に行うことが重要である」
 移送について具体的に説明すると、次のようになります。たとえば家族が保健所を訪れ、「こどもが通院を中断して状態が悪くなったため受診をさせたいが、なかなか家族の説得に応じてくれない」という相談をしたとします。相談を受けた保健所の担当者は、受診について家族に助言したり、担当者が訪問して本人を説得するなどして医療に結び付けることを提案します。しかし、なかなか相談訪問による説得など(地域精神保健福祉活動)がうまく運ばない、その間にも本人の状態が悪くなっていく可能性が大きいときなど、医療につなげる方法として移送を考えるわけです。
 その場合、移送が適当なのかを調査して判断します。すなわち、自傷他害のある場合などは、精神保健福祉法第23条(診療及び保護の申請)や同法第24条(警察官の通報)などの措置入院を視野に入れた対応も考える必要がありますし、身体合併症が重い場合には、そちらの治療が優先されます。
 移送が適当と判断された場合、本人のいる自宅などで精神保健指定医に診察してもらいます。そこで入院のために医療機関に移送することが必要であると判断された場合、かつ家族が移送について了解した場合、保健所の担当者などによって本人を入院先の病院まで搬送します。そのときの入院先の病院は、応急入院ができる応急入院指定病院になります。

□移送の実施状況

 厚生労働省の調べによると、「表1」のように、移送制度が開始された2000(平成12)年4月から2003(平成15)年4月30日までの移送件数の累計は、平日が399件、夜間休日が56件で、全体で455件になります。すなわち3年1カ月の間に455件の移送が全国で実施されたわけですから、この間、1都道府県平均9.7件の移送が実施されたことになります。
 この表でわかるように、平日の勤務時間帯での実施体制が整備されていない都道府県は15、政令指定都市は3、夜間休日での実施体制が整備されていない都道府県は30、政令指定都市は10になります。
 また、実施体制が整備されていても、移送件数には、大きな違いがあります。最も多く移送が実施されているのは京都市で、これまで112件実施しています。逆に移送体制は整備されているが通報等の件数が0件の都道府県等は、青森県、宮城県、島根県、横浜市になります。なお、静岡県のように通報等の件数が36件ありますが移送は0件という都道府県もあり、移送については体制整備のほかに、実施の運用についても都道府県によって大きな違いがあるようです。
 全国保健所長会精神保健福祉研究班が2003(平成15)年に実施したアンケート調査によると、回答のあった44都道府県のうち、実施体制を整備しているのが27都道府県、整備を予定しているのが4都道府県、整備していない、が13都道府県でした(表2)。
 整備されていない都道府県のうち、未整備の理由としては、搬送手段の確保と精神保健指定医の確保困難がそれぞれ8県、応急入院指定病院の確保不十分が7県でした。また、整備に必要なものとして、精神科病院協会の協力が9県、移送マニュアルの整備が8県、搬送車両の整備が5県でした(複数回答。回答した都道府県は16県)。

□地域格差の原因

 まず、考えられる地域格差の原因は、移送によって入院する病院が応急入院してい病院であるということです。さきの全国保健所長会のアンケートでも未整備の理由として応急入院指定病院の確保不十分が挙げられていたように、このことが移送実施を困難にさせている一因になっていると思われます。
 表3に示した通り、全国の応急入院指定病院の数には都道府県によってばらつきがあり、2002(平成14)念6月の時点ではまだ設置されていない都道府県もあります。設置されていない都道府県は、移送を実施すること自体が不可能であると考えられます。また、設置はされていても数が少ない場合が多く、都道府県内に1カ所しかないところが11県もあります。
 そもそも応急入院制度は、1987(昭和62)年の法改正で創設されたものです。そのときの趣旨としては、身体疾患などが原因で精神症状を呈した場合など、原因が不明確で緊急な場合、保護者等の同意がなくても72時間にかぎり応急入院指定病院に入院させることができるという入院形態です。原因が不明確な患者を入院させるため、応急入院指定病院にはCTスキャン等の検査設備が整っていなければならないという基準があり、制度創設当初から応急入院指定病院がなかなか整備されない状況にありました。
 次に考えられる原因として、移送を実施する際の判断の難しさがあると思われます。先に示した「精神障害者の移送に関する事務処理基準」には、緊急に入院が必要であり、家族や主治医が説得しても患者本人が受診することを承知しない場合に移送を実施するとありますが、さらに移送制度の対象とならない者に適用しないよう、事前調査その他の移送のための手続を適切に行うことが重要であるとしています。
 すなわち、緊急なケースであるが、事前の調査や家族や主治医の説得が必要であるわけです。緊急なケースは、時間的に余裕がない場合が多いと思われます。しかし、事前の調査や説得には、ある程度の時間が必要です。そのような矛盾した条件のなかでどこに合意点を見いだすのか、本来移送の対象となるケースとはどのようなケースなのかなど、難しい問題があります。そのようなことが移送実施の運用上で地域格差を生んでいるものと思われます。
 また、保健所長会んアンケートのなかで、整備に必要なものとしてマニュアルの整備という答えが8県ありましたが、上述のような問題を反映していると思われます。

□まとめ

①応急入院指定病院から一般病院へ

 移送制度で受診する病院は,応急入院指定病院と決められています。そのことが移送を実施しづらくしている原因になっていますが、利用者である患者や家族にとっても不便な制度となっています。これまで入院や通院をしていたかかりつけの病院が応急入院指定病院であればよいのですが、そうでなければ、なじみのない病院に入院しなければならないことになります。それも県内に応急入院指定病院が1カ所しかないような場合、住所地から遠く離れた病院になる可能性も大きいわけです。それらの不都合を考えると、移送で受診する病院を一般病院でもよいように改正していく必要があると思います。

②救急医療の充実を

 移送制度は、救急医療との関係が不明確でわかりづらいところがあります。それは、移送制度のみが創設されて、救急医療の整備が遅れていることによるものだと思います。利用者が望む制度は、必要なときに必要な医療が受けられるという救急医療体制の整備であり、その救急医療機関を利用するための搬送手段として移送制度が使えることです。その場合、理想的なのは、他の疾患と同様に救急車によって病院に搬送されることだと思います。そのような体制ができると、現状の移送制度は、必要なくなるのかもしれません。または、救急医療体制に適応した移送制度にしていく必要があると思います。

③移送制度を必要とするケース

 救急医療が整備されて救急車で搬送されることがあたりまえになれば、移送制度はすべて必要なくなるのでしょうか。たとえば、精神障害があるが、緊急に受診する必要はなく、自傷他害行為もない、このままの状態でもなんら支障なく経過することができる。しかし、このまま時間が過ぎていけば、問題が発生する可能性があるとか、両親が亡くなってしまったらその時点から生活できなくなってしまう状態にある。医療にかかれば現状よりもっと質のよい生活ができる可能性があるが、家族や保健所担当者が説得しても応じてくれず、時間のみが過ぎてしまうようなケースです。そのような場合、移送制度は有効に機能するのではないでしょうか。決して救急医療体制が整備されただけえでは解決できないケースがあると思います。

④問題を広くとらえて

 現在の移送制度は、医療保護入院を前提とした制度です。その医療保護入院は、保護者制度を前提としています。移送制度を考える場合、救急医療のほかに保護者問題なども視野に入れて検討する必要があると思います。

参考文献:伊東秀幸「法34条による移送の実施について」精神保健福祉 通巻50号

季刊「Review」13-1(49),2004 特集「精神保健福祉法改正への提言」

※もう4年前の論考ですが、とっても勉強になります。伊東先生、さすが。あと、今は亡きこの「Review」はとってもいい本でした。合掌…(黒田)
by open-to-love | 2008-12-09 17:09 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)
医学書院「保健師ジャーナル」2008年08月号 (Vol.64 No.8)

特集「家庭訪問」現代の保健師活動における意味を問い直す

■現場の声から探る家庭訪問の現状(大西章恵・他)

 保健師の家庭訪問の件数が年々減少しているといわれる。現場では,何が起こっているのだろうか。現場の保健師を対象にした調査とインタビューから,家庭訪問を取り巻く現状を探る。

□はじめに

 行政で活動する保健師は、地域住民の健康づくりのために地域のあらゆる人々と手を組み生活しやすい地域づくりを目指して活動している。この活動の発展には、家庭訪問による個別支援が重要であると考える保健師は数多い。しかし、地域保健法を境に保健師の家庭訪問件数が減少し続けている。私たちは、保健師の家庭訪問に関する実態や生の声を知りたいと考え、質問紙調査とフォーカスインタビューを行った。質問紙調査では、保健所保健師104名、市町村保健師587名より回答を得た。この調査から、自由回答やインタビュー内容も含めて家庭訪問に関する現状と課題を述べたい。

□家庭訪問の推移

 保健師1人あたりの月平均の訪問件数の推移についてA県を例にしてみると、2005(平成17)年度は実数4.8件、延べ数7.6件であった。これは、1970年代と比較して約半数となっている。行政の保健師が行う継続訪問は、月におおよそ2〜3件ということになる。1997年以降は報告様式が変更され、全国データはないが、1996年までの状況(国民衛生の動向、看護関係統計資料集による)から判断して、保健師の訪問の減少はA県だけではなく全国的な傾向であると考えられる。
 このように、保健師の家庭訪問は減少し続けており、とくに継続訪問が減少傾向にあるが、その理由は何だろうか。また、それでいいのであろうか。

□現場の保健師の声

○家庭訪問は苦手、でも大切な活動

 現代の保健師は家庭訪問をどのように捉えているのか。先述の調査では、保健師の99%が「訪問で得られる情報は重要である」と、また、約95%の保健師が「信頼関係を築くうえで訪問は有効である」と回答していた。現場の保健師は、家庭訪問を対象者および地域の実態把握のために有効な手段であり、保健師にとって重要な業務であると認識しているのだ。
 さらに、現場の保健師を対象に行ったフォーカスインタビューの結果、保健師としての経験年数や立場によって家庭訪問の捉え方に違いがみられた。新人保健師の多くは、家庭訪問を苦手な活動と感じていることがわかった。新人保健師は看護基礎教育において基礎的な知識や技術については学んでいるが、生活の場に入り込み初対面の対象者と信頼関係を築き対象者に応じた支援を行うための応用力やコミュニケーション能力は十分とはいえない。困難事例や他機関との連携が必要な事例も増加しており、新人保健師にとって家庭訪問が苦手なのは当然であろう。
 しかし、不安をもちながらの家庭訪問ではあるが、支援をとおして新人保健師は病いや障害を持ちながらも力強く生きている対象者から「人間の力強さ」「人間としての生き方」「生活を支える支援」など保健師としての学びも多いと認識していた。先輩保健師から助言を受けながら保健師としてのスキルを習得するとともに、人間として成長していることを新人保健師自身が感じていた。また、家庭訪問をとおして学んだ家族への関わり方が健康相談や健康教育でも生かすことができていた。新人保健師は苦手意識をもち困難さを感じながらも、家庭訪問をとおして保健師としての基礎を築いていっているのである。
 一方、ベテラン保健師の家庭訪問に対する捉え方は、「地域把握のために必要」「個別で捉えた課題をもとに地域のシステム化につながる」「個別支援をとおして施策化」などで、個別支援をとおして地域づくりに発展していくと考えていた。
 このように、経験年数や職場における立場により捉え方の違いはあるが、現場の保健師のほとんどは保健師活動において家庭訪問は大切な手段であると捉えていた。

○職場状況の変化によるジレンマ

 しかし、保健師自身が大切な活動であると考えている家庭訪問が減ってきている。保健師を巡る職場の状況は変化してきているのか。市町村保健師のうち約85%が「日常業務で事務量が増加している」と回答していた。自由回答で「財政難で事務職の削減もあり、従来は事務職が行っていた業務も保健師が行うことになり『報告もの』などの業務が増加している状況」「分散配置により保健活動に従事する保健師が減少している」の声があるように、市町村合併や保健師の分散配置などが保健師活動にも影響を与えていた。
 そのようななか、「予算化されている事業を現在の保健師数でこなしていくことで精一杯であるため、削られてしまうのが家庭訪問。重要な仕事なのに悲しい」「訪問は有効な手段だと思うが、限られた時間のなかで、担当業務以外もこなさなければならないので後回しになってしまう」など、保健師にとって家庭訪問は大切な手段であることを認識しているものの、家庭訪問ができていない現状にジレンマを感じていた。

○職場内に家庭訪問に対する温度差

 家庭訪問の意義は認識しているものの、地域の課題に対し訪問以外の「来所、電話、集団支援で対処できる」と約20%の保健師が回答していた。「訪問だけに限らず、健康相談や健康教育などを重視することのほうが重要」「家庭訪問は手段のひとつに過ぎない」など家庭訪問がすべてではないと考えている保健師がいる一方で、「上司や先輩の保健師は訪問に消極的」「机上の作業をしているより、同僚にはもっと出かけてほしい」の声があるなど、職場において家庭訪問に対する意識には温度差があるようだ。
 また、現場では、そのような家庭訪問に関する保健師間のずれは、訪問の対象・判断が担当保健師個人の考えに任されているという組織体制が関係していると認識していた。保健師間の温度差だけではなく、「関係職員は保健師の役割を理解している」と回答した保健師は約半数であり、上司や他職種には保健師が家庭訪問に行く意味を理解してもらうことが困難であると感じていた。在宅ケアの専門職種が充実しているなかで、保健師の役割が周囲の関係者にみえにくい現状があるようだ。

○家庭訪問事例を1人で抱え込んでいる現状

 保健師の業務としては、虐待や育児不安、閉じこもりなど精神的な問題を抱えている人への支援が増加している。また、生活習慣病などの予防的な支援が必要な対象者も増加している。それらの人は、保健師の支援を自らは求めていない人たちで、保健師が関わるうえでより高度な面接技術が必要とされるが、47%の保健師が「面接技術に不安がある」と回答しており、コミュニケーションや支援の難しさを感じていた。
 また、保健師たちは現任教育については、保健所保健師の91%以上が「ある」と回答していたが、市町村保健師においては45.8%のみであった。また、「新人に対して教育をする特定の保健師が決められている」と保健所保健師の76%が回答していたが、市町村においては34.4%と低く、とくに市町村保健師においては組織的な教育プログラムが未確立であると感じていることがわかった。また、「事例検討会議は有効に機能している」の回答は市町村保健師の約37%のみであった。そのようななかでも、「自分が支援をとおして感じていることや悩みを語ることで気づきができ、また、ほかの保健師や地区の理解が深まることができる事例検討会からの学びは大きい」と認識していた。しかし、事例検討会の定例化は困難であると認識しており、現実には保健師間のタイムリーな話し合いや事例検討はほとんど行われていないなかで、事例を担当保健師1人で抱え込んでいる状況であった。

□訪問減少の要因

 私たちは、調査のなかで家庭訪問の減少の要因を探った。その結果、「保健師個人の意識」「組織体制」「一般住民の受け入れ状況」の3要因が影響していた。

○保健師個人の意識

 個々の保健師が家庭訪問についてどのように考えているのか、「訪問が減少した場合の危機感」など、個々の保健師が訪問の意味・考え方をどのように認識しているかが訪問の実施に影響していた。
 「生活環境や人間関係を肌で感じるには訪問は重要な手段」という声のように、保健師が生活の場に出向き住民の生活を実感することで、家族や地域のつながりまでみえてくる。また訪問での情報から、事例の求めていることを軸として地域を捉える視点が定まり、地域で不足しているサービスを捉えることにつながる。地域住民のニーズをもとにして地域の保健事業や施策に反映させるという保健師活動の本質を知っている保健師は、家庭訪問が減少してきている現実に危機感を抱いており、活動のなかで家庭訪問の優先度が高いのではないかと考えられる。しかし、それは家庭訪問をとおして捉えた個人や地域の情報が保健活動や施策化に反映するなどの経験があって実感することであろう。

○組織体制

 「職場の先輩たちは訪問を大切にしている。自分も時間をみつけてなるべく行くようにしている。支援で困ったときには先輩が相談にのってくれ、また、事例のことを保健師間で相談しあっておりそれが勉強になる」という意見のように訪問を後押しする職場の雰囲気があれば、経験年数が少ない保健師でも、訪問が大切であると認識することができていた。しかし反対に「上司や先輩保健師は訪問に消極的。関係機関との連携も図れず支援体制もしっかりしていないなか、訪問せず次々事例を手放していいものか、疑問に思っている」という声のように職場で信頼関係が築けないなか、保健師が1人で悩んでいる姿も浮かび上がる。職場風土や雰囲気が、個々の保健師の活動そのものに影響を与えていた。
 また、保健師の訪問対象基準について「ある」と回答していた保健師は72%であった。しかし、訪問対象の優先順位の基準や、訪問頻度、継続訪問の判断などは具体的な基準がなく、地区担当保健師に任されている傾向が強いことがインタビューをとおしてみえてきた。現場の保健師は、「訪問支援対象の基準はあっても、解釈はそれぞれで統一されていない」と、現状の基準の曖昧さを感じ、具体的な訪問対象基準や具体的対応について組織的な取り組みが必要であると感じていた。
 また、支援や対応に不足がないのが保健師間で確認しあうことが大切であると感じていた。お互いに確認しあう体制であることは、保健師が事例を1人で抱え込まない職場環境であるともいえる。

○一般住民の受け入れ状況

 住民の価値観が多様化し、地域や住民の健康観やニーズの変化により保健師は訪問対象を理解し関係をつくることにも困難を感じるようになっていた。「高齢者も訪問販売などで警戒して戸を開けてくれない」「住民側に保健師などが家に入ることへの抵抗感がある」と感じている保健師もみられ、また、先にも述べたとおり保健所や市町村の保健師の対象のなかには、自ら支援を求めてはいない人が増えている。あらかじめ電話で訪問の趣旨を伝えないと受け入れてもらえず、「望んでいない対象には足が遠のく傾向がある」と約6割の保健師が回答しており、住民の受け入れの良否が訪問に対する意欲に影響していることがわかった。対応困難と感じる訪問が増えていることも、訪問に対する苦手意識をもつことにつながっていた。

□家庭訪問の重要性は変化したのか

 地域で活躍する専門職種が充実し、地域住民が望めば誰でも訪問看護を受けることができるようになった。「他職種が増え、家庭訪問は保健師の専売特許ではなくなってきている」と保健師自身が感じはじめている。一方、行政の保健師の業務も多様化、複雑化し、訪問の時間の確保が難しくなってきている。そのようななかで、現代において保健師が家庭訪問を行う意義とは何だろうか。
 まず、複雑な問題を抱えている家族やどこからも支援がない人へのアウトリーチの必要性がある。これらの人々への支援は、行政に所属している保健師にのみ果せる役割であり、そこから地域の課題がみえてくる。つまり、施策化が保健師の重要な役割となってきているからこそ、個別の生活実態を捉える必要があるのである。対象者の生活を自分の目でみて感じることで、問題を引き起こしている背景は何なのか、そしてどのようにして解決するのか、その手がかりを掴むことができるのかが家庭訪問である。
 また、家庭訪問は、保健師として自分を成長させてくれるものでる。家庭訪問をとおして、コミュニケーション能力、アセスメント能力、判断能力、調整能力など保健師として重要なスキルを習得することにつながる。さらに、事例に対する責任、保健師が地域をもつ意味など保健師活動における基本を学ぶことができる。

□今後に向けて

 最後に、保健師の家庭訪問に関する今後の課題について述べたい。
 まず、家庭訪問を保健師個人の判断に任せるのではなく、訪問基準の整備や事例検討会の開催など職場での組織的な取り組みが必要である。また、保健師教育の教育年限を2年に改正する動きが出てきているが、保健師基礎教育の充実に向けての検討、さらに現任教育については、とくに市町村新人保健師の教育体制やフォロー体勢の整備が課題であると考える。
 一方、職場の関係職種や住民に対して保健師の役割・家庭訪問の意味などを知ってもらう努力が保健師自身に必要である。これには、事例をとおしてネットワークづくりを地道に行っていくことが重要であり、その積み重ねが施策化や地域づくりにもつながっていくものと考える。
 地域に必要な活動が根づくためには、地域のニーズから出発することが欠かせない。保健師が地域に出向き生活実態や住民の思いを捉えることの重要性を。改めて考えてみる必要がある。
by open-to-love | 2008-11-11 20:11 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)
 ※緊急時の対応にかかわる、ある家族の方の手記が寄せられました。勇気ある「声」、ありがとうございます。そして、これほどの体験をされていながらも、「怒りと不安が交錯」しながらも、怒りにまかせるのではなく、適度な客観性を保った静かな筆致であること、あるいは、保とうと努力されておられること、すごいと思います。そこには、長い時の経過があったのでしょうか。それとも、あきらめでしょうか。あるいは、ひたすらな努力でしょうか。
 以下、全文です。タイトルは、文意から「緊急時の連携を」と付けさせていただきました。


 朝、母を起こそうと寝室に行くと、母は布団にしがみ付いて起きようとしなかった。一時間程そっとしておき、再度起こしに行くと母の体はガタガタと震え、汗をかき、やがて体が硬直した。急いで救急車を呼んだ。
 救急車は5分程度で到着したが、救急車のサイレンを聞いたのか、母は今まで硬直していた体をすっと起き上がらせトイレに引きこもった。さっきまでの様態を救急隊員に説明し、このまま、かかりつけの病院ではなく、総合的に見てもらえる大きな病院へ搬送して欲しいと伝えた。しかし救急隊員からは搬送できないと断られてしまった。理由は精神疾患者の搬送は保健所か警察が行なうのだという。精神疾患という視点でなく、身体的要素で搬送をしてもらえないのかと訴えたが聞き入れてはもらえなかった。
 急を要していたので私たちは家族で母を病院へ連れて行った。かかりつけの病院から紹介状を書いてもらい、総合病院へ。母はその間、何度も嘔吐し、ぐったりしていた。時間も労力もかかったが、なんとか総合病院で診てもらえた。その時の診察結果は「悪性症候群」であった。(数日の治療を行い、検査を重ねるごとに悪性症候群である可能性は少なくなっていった。)その後、担当医から体調不良、ストレス、急激な薬の変化でこのような状態になったのだと説明があった。新しい病院での治療はゆっくりと母の体に合う薬と量を探していった。
 今回の出来事を通し、家族として感じたこと。かかりつけの病院、そして医師を信頼して今まで関わってきた。しかし、当時の主治医から、何が理由か想像もつかないが短期間で様々な薬が許容範囲を超えて投与していたことを知った。そして、いざという時に精神疾患者であるということから救急車を利用できない場合があるということを知った。本当に困った時に、公のサービスを利用できない不自由さを痛感した。あの時、せめて救急車と保健所、もしくは警察、横のつながりができていればどんなに救われたかと思う。
 私たちはまだ若いし、力もパワーもある。抵抗する母を担いで搬送できたが、これがもし年老いた父だけであったら、途方にくれていたと思う。ましてや精神疾患者に対する周囲の偏見もあり、他人の力は得にくいのが現状である。私たちのようなケースに遭遇している人は世の中に多くいると思う。そういった場合、どうすればいいのか、どこに行けばいいのか。行き場のない怒りとこれからの不安をどう解消していけばよいのか未だ、交錯している。

 管理人注:悪性症候群とは、どんな症状か。「こころの治療薬ハンドブック」第4版(2006年、星和書店)を引用します。

 抗精神病薬の投与開始や増量時、あるいは抗パーキンソン薬や抗不安薬の減量・中止時に、脱水や身体的衰弱などが重なった場合に生じやすい。症状は高熱、錐体外路症状(筋固縮、振戦、無動など)、自律神経症状(発汗、頻脈、血圧変動など)、意識障害などが出現し、CPK、血中・尿中ミオグロビンの上昇などがみられ、重篤な場合は腎不全を合併し、死に至ることもある。治療は原因薬剤を中止し、全身管理をしながらダントロレンナトリウムやプロモクリプチンを投与する。横紋筋融解症を合併する時もある。

 あなたは、お母さんの容態の急変により、救急車を呼び、かかりつけの病院(単科病院?)ではなく、別の病院に搬送してもらうことを望みました。「もし副作用だったら?」「身体疾患との合併症だったら」という思いが、頭をよぎったのでしょうか? であれば、「いつもの病院ではなく別の大きな総合病院で診てもらいたい」という心情、十分に理解できます。そして、新たな病院で、「悪性症候群」と診断されたことが、あなたの選択の正しさを証明しています。つまり、もし、搬送先がかかりつけの病院だったら、「さまざまな薬の大量投与による悪性症候群」と自らの非を認めたでしょうか? 
 ところが、問題は、医療システムが家族の選択に対応していないということです。このご家族は、自分たちの力でなんとか対処した。ただ、あなたが危惧するのは「若くもパワーもない家族だったら、どうなっていただろう」ということ。だからこそ、泣き寝入りせず、手記を寄せていただいたのだと思います。
 先日、盛岡ハートネットは、盛岡市との共催で、自殺対策にかかわる精神疾患治療と多重債務者支援の連携をテーマにしたシンポジウムを開きました。「連携」が必要なのは、自殺に限らないことを、このご家族のケースは物語っています。
 私、あるいは、私たちには、たいした力はありません。でも、あなたの思いを無にはしません。
 お母さんの回復を、心よりお祈りします。(黒)
by open-to-love | 2008-09-09 23:29 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)
街の診療所からのお便り
 …父親と受診、母親と受診… 連載⑫
(増本茂樹 増本クリニック院長)

□24条通報?
 学者や小説家の中には、「夜の方が仕事がはかどる」なんて言って夜中に仕事をする人もありますが、普通の人、特に精神病の人はしっかりと眠らないといけません。頭を休めて、幻聴、妄想にも眠ってもらいましょう。
 でも、精神科医には時々夜中でも保健所から電話が掛かって来ます。警察に捕まった人で先に精神科の治療が必要かどうかを決めた方がいい人があると呼び出されるのです。精神保健福祉法第24条に決められています。精神病が引き起こした行為が結果的に犯罪になった場合は病気を良くする方が先ですからね。

□警察にて…黙秘権
 こんな時は精神科のいつもの診察とは違い、「何でも言ってください。相談して決めましょう」と言う訳には行きません。相手の味方ばかりはできないのです。「裁判を受けるか、精神病の治療をするかを決めるために保健所から来ました。自分に不利なことは言わないでおく権利があります」と最初に伝える必要があります。警察の取調室で職員や家族に囲まれて診察するので、私も緊張します。
 半年前に警察署で診察したUさんは、「ええ」とか「うんにゃ」とかしか喋らなかった。後はそっぽを向いてしまって、他人事のよう。40代の男性で、仕事に行かなくなってから20年。ずっと両親と暮らしていました。父親は仕事面ではやり手で、会社ではバリバリ。副業もかなりしていたらしい。一方、母親は「息子は精神病ではない」と言い続け、父親の定年退職後は転地療養をするために田舎に借家を見つけ、一家で住んでいました。しかし、最近息子は「警察が音を出して意地悪する」と言いだし、今回とうとう警察署に突撃して警官に殴りかかり、捕まってしまいました。

□精神病院に入院する
 面接の時にも両親の意見がなかなか一致しません。昔入院した時期や通院した時期、言われた病名、それから、彼の日頃の妄想も違った感じで捉えておられる。母親は「病気は軽い。ひどく言ってはかわいそう」と言う。父親は、「精神病なんだから、母親がしっかり面倒見よ」と言い、最後は「勝手にせい」で終わる。それを本人はポカンとして聞いている。
 それでも診察の後、「精神病の治療が必要です。同じことがまだ起こるでしょうから、入院しないといけません」と伝えると、両親とも今回の入院に同意されました。

□早い退院を提案される
 それから1カ月半たった頃、入院先の県立病院から「落ち着いたから退院させる。患者は入院時に面接した医者への通院を希望している」と、電話がありました。
 通常、精神病院は面倒見が良い(?)ですから、彼くらい重症なら半年は入院しますね。そして、大体その病院の外来に通う。服薬2カ月という時期は、患者さんが病気を受け入れ、頑張って行く気持ちが定まるのには、ちょっと怪しい時期です。いろいろな試行錯誤が必要で、安心な生活をつくり上げるのはこれからです。もし、再悪化した時に耐えられるか?

□父親の変身?
 2カ月目、父親と共に私の病院に現れた彼はやはり寡黙でしたが、ちゃんと挨拶してくれました。警察への被害妄想も今はないようでした。薬は夜1回で手渡しでしたが、これを朝夕2回に分けて、本人が効果を確かめながら飲むように提案しました。
 受診時には父親も発言されました。「今まで自分は逃げていた。もっと、息子に力を入れるべきだった。これからは畑仕事を一緒にやろうと思います」
 そうですね、お母さんは病気を見ないようにしておられましたが、お父さんもやっぱり逃げていたんです。親が子どもの病気を認めなかったら、親の意見に反対するのが苦手な子は自分の病気を受け入れることができません。今度の事件はこれまでのやり方の無理が出てきたんですよ。これをきっかけにして、親子で病気に対処する体勢をつくりましょう。

□お母さんが先に相談
 女子大生のVさんの場合は、まずお母さんが2〜3回相談に来られ、春休みになって本人も受診されました。でも、じっと下を向いたままでほとんど声が出ません。お母さんには、「教室の皆の視線が気になる」「町の人が私のことを観察している」と訴えたようです。こんな時、精神科医は抗精神薬を効かせることを考えるものです。でも、もう少しよく聞いてみたかった。本人とだけで話したら、彼女は劣等感がとても強く、感じ方も暗い方に傾いているんですね。でも、その説明の仕方を見ると、統合失調症ではないようです。

□お母さんと楽しむ
 「一番悩んでいることは何ですか?」と聞きましたところ、スーパーのレジで見られていると感じること、一人ではスーパーに行けなくなっていることが分かりました。そんな彼女にまず必要なのは幻覚妄想を止める薬ではなく、やってみて自信を付けることだと思いました。それで、再度お母さんとも話し合って、「まずお母さんと一緒に買物を楽しみましょう」と決めました。そして、何回かは一緒にレジを通り、その後ではレジの外でお母さんに待っていてもらう。その次はちょっと離れたドアの所で見ていてもらう。そうやって、だんだん自信を付けて行く事を勧めました。このやり方を「脱感作(だつかんさ)」と言います。

□親が力を一杯に出そう
 Vさんは中学、高校と不登校で苦労しましたが、精神病ではないようです。でも、親と一緒にやって行って自信を付ける方法は、すごく自信がなくなっている統合失調症の若者たちの場合にこそぜひ必要なやり方です。彼らが力と自信を忘れている時には、例えば親が、回復する方法をやって見せなければなりません。
 この2人の場合は、親が医者と話したことで治療の良い方向が見つかっています。実際、現実には日本はやっぱり家族が面倒を見る国です。自信とパワーを持って家の柱になっている人が子の病気に対しても主になって立ち向かわなければ、彼らが統合失調症を乗り越えることは困難なのです。

(全福連『みんなねっと』12号 2008年4月)
by open-to-love | 2008-05-07 19:00 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)

早期治療とは何か

早期治療とは何か 精神医学・医療のニューフロンティア

(東京都立松沢病院 岡崎祐士)

はじめに
 最近、精神科関係の雑誌や書籍に、早期介入や早期診断、早期治療、early interventionという言葉を見かけるようになった。厚生労働省は、予防によって医療費の減少をめざすことを最重点施策にしており、メタボリックシンドロームなる言葉も、成人病のリスクに警鐘をならし、成人病患者を減らすことを視野に入れたものである。精神疾患の早期介入も、その一環ではないかと受け入れられる向きもあるかもしれないが、残念ながらその施策の中で生まれたものではなく、輸入ものである。筆者らは、早期介入という直訳は正確に意図するところを伝えておらず、早期相談・支援・治療が本来の趣旨を表現していると考えて使用している。しかし、輸入概念であるといっても、地球規模で考えれば、時代の流れは共通する認識と実践を惹起しているのかもしれない。
 疾患はその始まりの早期に気づかれ、処置されることがよいに決まっている。当たり前のことがなぜ今話題になり、ニューフロンティアなどとも言われるのか。ここに至るには長い道のりがあった。19世紀末に医学的疾患であると提唱された主な精神疾患、統合失調症や双極性障害(躁うつ病)が、疾患として受け入れられ、身体の臓器に(この場合脳に)基盤をもつものであることが概略是認されるのに1世紀近くかかったのである。つい三十数年前には、統合失調症は「家族の共謀の産物、虚構である」とする著明な論客もいたくらいである。
 しかしその後30年あまりの間に、精神疾患の治療は早期相談・支援・治療の時代になった。おそらくまだわが国の精神医学・精神科医療のこの動向は、固有の事情によって、おおいに未消化のままのはずである。統合失調症の病前機能、リスクファクター、脆弱性、環境的・遺伝的要因、予防を主な関心としてきた筆者にとっても、事態は追いつけない速さで進んだ。1996年6月の第1回早期精神病国際会議(メルボルン)に参加した小椋力琉球大学教授(当時)と筆者は、前年から準備していた日本精神障害予防研究会を3カ月早く発足させ、毎年研究会を開催したが、オーストラリアや英国、スカンジナビア諸国のように早期治療を普及させえなかった。
 精神疾患の早期相談・支援・治療に取り組んだ国では、相談者の増加、入院の減少、医療費の減少にとどまらず、自殺者の減少などの医療本来の目的の改善という結果が報告され始めていう。並行して、そのような医療の方法の医学的根拠を解明する研究も進められた。それが、発症早期からの縦断的脳画像や遺伝子多型や発現、あるいはリスクファクターとしての大麻使用などの研究であったため、統合失調症の新しい側面の病態が解明された。
 このようにして、早期介入の医療は医学研究の新しい焦点をも掘り起こしながら、邁進している。もし、入院減少や経費の縮減のみではなく、人生への疾患の悪影響を軽減することが可能であるならば、わが国に適した方法での適用を考える価値がある。
 しかし、わが国の医療制度や医療費の問題は楽観を許さない段階まできている。今までと同じシステムを維持するなら、早晩、〝医療サービスの縮少は必至〟という見通しが濃厚である。その意味でも、医療費を増やさなくとも精神科医療の質を改善できる方途に、われわれ専門家はチャレンジしなければならない。早期からの相談・支援・治療は精神科医療にそのような可能性をもたらす一つの方法であると思う。

早期治療に至った経緯
 クレペリンによる統合失調症の初期の概念である「早発性痴呆」は、慢性進行性経過を重要な診断基準とするものであったため、早期の診断や治療は視野に入りにくかったと思われる。進行性経過を十分確認した後の治療であったから、治療の重点は、疾患過程が進行した慢性期患者の機能回復の試みとなった。作業療法、最近では生活機能訓練、あるいは保護工場というアイデアになりがちであったであろう。あるいは、そのような疾患過程にある患者の体験を理解しようとする試みや、そのような患者とともに生活する空間の提供、コロニーや生活の場のよりよいあり方としての治療共同体であった。最近ではデイケアや宿泊施設である。疾患過程の発現自体を防止する考えや試みの出現は、他の疾患に比べて非常に遅れた。
 もちろん統合失調症の発症初期の記述に焦点をおくコンラッド(1)やわが国では中安(2)の「初期分裂病(統合失調症)」の考究があったが、医療システム化を促進するような治療論としての発展はなかった。初期統合失調症論は、あくまでも統合失調症の初期の精神病理を記述しようとするところにモチベーションがあったといえる。
 一次予防を展望した統合失調症の病前適応や発症リスクファクター研究は、胎生期や周産期、あるいは新生児期・幼児期の重要な要因を発見・解明したが、それに比べて発症に近接する病態解明や治療論の開発は遅れた。
 クロウ(Crow)らはノースウイック・パーク(Northwick Park)病院の初回エピソード統合失調症の連続臨床研究の第二報(3)で、無作為割り付け二十盲検比較試験によって、実薬が偽薬よりも有意に再発が少ないことを示すとともに、発症から薬物治療開始までの期間(精神病未治期間duration of untreated psychosis: DUP)1年未満は、1年以上よりも、治療開始から再発までの期間が有意に長い(生存率が高い)ことを示した。
 筆者等はすぐにデイケアの62例を調査し、初発後5年以内の再発を指標に、1年以内の早期に抗精神病薬治療を開始した者は、再発が有意に少ない(フィッシャーの直接確率X2値=5・76977、p=0・0163、片側検定)ことを明らかにした(4)。
 国際的にも次々とDUPが短いと予後がよいことが確認された。この動向は、オーストラリアや英国、スカンジナビア諸国では早期治療の取り組みとなって現れた。米国では、治療よりも病態研究に重点がおかれ、薬物治療や疾患経過の影響のない初回エピソード統合失調症を対象とする病態研究が推奨された。1988年の統合失調症国家計画では、統合失調症初回エピソード患者を重視することが強調された(5)。残念ながらわが国では、両方ともに特別強調されなかった。
 とりわけパトリック・マクゴーリ(6)を中心とするメルボルン大学精神科グループは、DUPの予後予測性があることを重視して、ビクトリア州政府の支援も得て精神病早期予防・介入センター(EPPIC)を設置、早期受診を大々的に訴え、早期受診者を実際に増やした。その結果、統合失調症患者の入院治療は減り、医療費も減少した。これを契機に州政府の支援はいっそう拡大した。統合失調症初回エピソード以前の前駆期からの働きかけがより有効である可能性を想定し、病気の心配を含む相談を受けるPACEクリニックを設け、思春期や青年期の人々を対象に、インターネットやリーフレット、パンフレット等で情報を普及させ、相談や支援、一部に治療を始めた。
 ここで、今までの統合失調症の早期でも初回統合失調症でもなく、初回精神病あるいは早期精神病を対象にするというパラダイム転換が行われた。つまり。精神病症状を目安にして疾病早期の対象を発見するが、それらの人々は精神疾患に発展しない人々も含み、また、精神疾患に発展したとしても統合失調症とは限らない。一過性に終わる精神病(急性一過性精神病など)、妄想性障害、精神病症状を伴う気分障害(うつ病、双極性障害)、さらに大麻や薬物・アルコール起因性の精神病、PTSDによるものも含まれていることがある。
 つまり、疾患または一過性の精神病症状を目安にして、その精神疾患または精神病への発展を予防しようとする実践的な取り組みなのである。ここには、疾患の診断や疾患への発展、何が疾患と関連する症状かなどにこだわる従来の視点ではなく、精神病症状を早期に軽減し、あわよくば精神疾患への発展を防止したいという精神保健と精神医学の原点的実践的な視点がある。
 英国のブレア政権がいち早く国会医療政策に導入したことによって、精神疾患の早期介入は、研究や試行段階を飛び越えて医療・保険施策の課題ともなった。

早期治療とは
 つまり、統合失調症の転帰を改善したいという願いは、DUPの発見、その短縮の試みから始まって、統合失調症初回エピソード、そして統合失調症とは診断できない段階である早期精神病エピソード(後ろ向きに考えた統合失調症前駆期と重なる場合もある)へと発展したのである。
 そして現在最も注目されているのは、ニュージーランド出生コホート研究で明らかにされた思春期早期の精神病状様体験(psychotic like experience: PLEs)である。11歳児童の十数%が体験していると報告される精神病症状の意味は何であろうか? PLEsを強く体験した児童は、26歳時には、その90%が社会生活不適応、70%が何らかの精神病症状を有しており、25%は統合失調症様障害に罹患していた。90%以上の子どもの15年後の精神保健不良を予測するという重要な目安であることが、PLEsの何よりの意義であろう。しかもそれが発達のまだ遅くない時期であり、その体験だけでなく、身体、心理、家族、友人、学校、社会とさまざまな働きかけの領域が考えうるのである。
 ほんとうに11歳という思春期早期に精神病症状が体験されているのであろうか・ ニュージーランドの一地方(Dunedin)のみの現象ではないか、という当然の疑問が生じる。
 西田と筆者は、2006年7月に三重県のある市の5000人以上の中学生の協力を得て無記名アンケート調査を実施した(学校関係者は一切回答内容を見ることができない方法で行った)。その結果、15%の子どもがPLEsをたしかに体験したと報告した。12歳の子どもも13%であった。したがってそれよりも若年に体験が存在する可能性が高い。また、そのような子どもたちは、やせるための意図的嘔吐、厭世気分・希死念慮、いじめ、同居の大人からの暴力、飲酒などときわめて高い相関を示した。
 オランダでも、同じく質問紙法で14歳児19%と報告されている(7)。(英国で9~12歳児を対象にローレンスらが質問紙で調査したが、59%が何らかのPLEsを体験したと報告したという。これは質問の主旨の理解の問題が想定される。この年齢の場合、面接の必要性を示していると思われる)。このように、PLEsは思春期の子どもに広く存在する不良な個人精神保健を予測する重要な目安であることを示している。また、思春期に限らず成人一般にも不健康群としてPLEs陽性群が存在することが知られている(9)。
 つまり、統合失調症初回エピソード→精神病初回エピソード(統合失調症前駆期と重なる)→PLEsと早期介入の対象が推移し、統合失調症治療から精神病治療と防止、さらに精神疾患の防止と精神保健の改善という、二次予防から限りなく一次予防に近い課題へと進展していることがわかる。早期治療とはこのように、精神病初回エピソード(早期精神病)を対象とするものであるが、PLEsを含む早期精神障害を含む精神保健と精神科治療が融合したような働きかけ(介入)を展望するものである。筆者は、この働きかけの内容は、「相談・支援・治療」と表現するのが妥当と考えている。
 いずれにしても、PLEsの調査が明らかにしているように、10~15歳くらいの思春期の少なからぬ子どもが、つらい時期を過ごしている可能性がある。この時期の子どもへの役に立つ相談や支援をどのように進めるかを緊急に真剣に考えるべきであることを、昨今の諸事件は物語っている。

早期相談・支援・医療が精神科医療システムの基本となるために
 統合失調症から精神病早期へと対象が広がった治療理念を、英国のブレア政権はいち早く医療政策に取り入れた。1999年以降の精神保健国家標準、導入ガイド等で精神保健施策によって、精神疾患早期の訪問型医療チームによる相談、支援、診断と治療が始められた。2004年には、早期治療チームが目標50を大幅に上回って127も誕生し、自殺率が6%減少、ロンドン地区では入院20%減、経費40%減少という報告がなされた。今、この流れは北欧、ドイツ、オランダ、米国やアジアの一部へと波及している。
 このようなダイナミックな変化はわが国ではすぐには期待できないが、わが国には現状でも家庭や家族全体の健康の守り手である地区担当保健師、乳幼児相談、保健所の精神保健福祉相談、精神保健福祉センターの相談や技術指導、スクールカウンセラー、大学の健康管理センター、職場の産業医と健康管理医、いつでもアクセスできる多数の精神科病院とクリニック、国民皆保険制度である。
 これらの精神保健の財産である、人生早期からの精神保健の増進、学校精神保健、自己効力の強化、精神保健のたしかな予測指標に基づく早期からの相談・支援・治療のシステムが、既存の精神保健・医療システムに組み込まれる必要があるだろう。英国で導入されたように、早期に取り組み、重症化や入院を減少させ、もしくは発生を防止するような指標の達成のいかんによって、医療費の評価がなされるようなシステムへの転換がなされるならば、わが国の精神保健のベースラインの高さがきわめて有効に作用し、優秀な精神保健と精神科医療が達成されると思われる。

おわりに
 医学における新しい発見は、病気の原因や新しい薬物の発見のみに限らない。統合失調症を主とする精神疾患は、その病態が脳の可塑性に基盤をおいているだけに、早期の介入(相談・支援・治療)が症状・生活機能レベルの悪化を軽減するだけでなく、脳病理の変化を軽くする可能性もあることが示唆されている。脳の病態が解明される前に既存の治療法のパラダイムを転換したことによって、脳の病態を軽減させうる可能性が生じたのである。これは立派な発見であり、その医療・医学分野はニューフロンティアといっても過言ではない。
 ちょうど、Early Intervention in Psychiatry誌が発刊された。創刊号で編集主幹マクゴーリは発刊の主旨について、統合失調症や精神病に限らず、精神疾患や精神作用物質による精神障害の早期病態を科学的に研究し、それに早期に気づき診断し治療すること、それを国際的に精神医学に普及することである、と述べている。
 創刊号には「大うつ病の前駆症」「摂食障害の前駆症から顕在症状へ:早期同定と治療」「双極性障害の初回エピソード転帰」「PTSDへの早期治療」「初回エピソード精神病患者の装置治療チーム発見と通常の医療で発見された場合の転帰、健康サービスの比較」「前駆期初期患者に対する認知行動療法の無作為統制臨床試験」「精神作用物質による精神障害と統合失調症初回エピソード」など、統合失調症に限らず他の精神疾患の早期病態の研究や治療、その効果の科学的検討が並んでいる。
 わが国の精神医学は、この課題を独自に消化し、独自のシステムを形成していくことになるであろう。

文献
(1)
(2)中安信夫『初期分裂病』清和書店、1990年
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)

(『こころの科学』133 2007年5月号 特別企画「早期治療をめざす」)
by open-to-love | 2008-01-16 20:18 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)

早期治療を目指す

早期治療を目指す

[特別企画]岡崎祐士、水野雅文編

オーストラリア帝国主義(Australian Imperialism)と英国の精神科医は、自嘲気味に呼ぶそうである。メルボルンのマクゴーリらが始めたearly intervention(早期相談・支援・医療)がブレア政権によって国の重要医療政策に取り入れられ、英国精神科医は否応なくそれに巻き込まれたからである。この新しく開かれた精神科医療の分野は、今日ではよく知られているように、英国のクロウらのノースウイック・パーク病院の報告に始まった。本国よりも早くオーストラリアで実践に移されたことも、自嘲的言い方に含意されているのであろう。
 いずれにしても、統合失調症発症から治療期間までの期間(精神病未治療期間)が短いほど転帰(数年後)がよいことをクロウらは発見した(1986年)。以後、日本をはじめ多数の国で確認された。1990年代前半には早くも、オーストラリアのビクトリア州で、病気や前駆症を広く社会に啓発し、早期受診を促した結果、精神病未治療期間が短くなり、統合失調症の入院は減り、州の医療費はむしろ減少した。
 その後短期間に、対象は統合失調症の初回エピソードから精神病初回エピソード(前駆症と重なる)へと発展し、現在、それに先行し、一回り広く存在する精神病様体験(psychotic like experiences:PLEs)に関心が集まっている。さらに、気分障害(うつ病、双極性障害)、摂食障害、PTSD、精神作用物質性障害等へと広がった。
 この取り組みの特徴は、多職種チームで進められ、医療従事者が元気で明るいことである。それは、そもそも悩みや困難をもっている人々のニーズに、社会的・心理的・医学的・精神医学的に総合的に取り組むという医療本来の姿に近いからではないかと思われる。
 わが国には保健所(保健師の地区担当制や精神保健福祉相談)、学校精神保健、職場精神保健、多数の精神科病院やクリニックがある。これらの豊かな資源を生かすならば、欧米よりはるかに優れた早期相談・支援・治療のシステムが開発できると思われる。
(『こころの科学』133 2007年5月号 特別企画「早期治療を目指す」巻頭言)
by open-to-love | 2008-01-14 16:04 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)
体験談 入院したがらなかった兄の死 (O.H きょうだい 岐阜県)

 私の兄は2001年11月18日に病院の保護室で、朝食の何かが喉に詰まって亡くなりました。46歳でした。若い時に発病し入退院を繰り返していましたが、症状は軽い方でした。父親の仕事をよく手伝い、トラックの運転手をしていました。兄はおしゃれでダンディでした。私にもやさしくて、兄が大好きでした。

強制入院の後で
 兄が小規模作業所に通っていたころ、好きになった女性に薬をのんでいることで何か言われ、それを境にまったく薬をのまなくなりました。容態が急に悪化したため、家族が強制入院をさせました。そのために家族との信頼関係が崩れて、兄は一人、不信感の固まりとなり、退院後アパートに独り住いをし、家族を一切寄せ付けず、まったく対話もできない様子でした。
 入院した病院から市内のクリニックに替わりましたが、しばらくは順調に社会生活を送っている様子を陰ながら見ていました。しかし、薬を服用していないのではないかと心配をしていました。心配どおり、容態が徐々に悪くなってきていると思われました。もともと兄はきちょうめんで、服装に気を配り、身だしなみをとても気にする人でした。家族は、長年の経験から本人の病状を知るのに身だしなみの様子を基準にしていました。容態が徐々に悪くなっていると感じたのは、身だしなみが悪くなったからでした。髪やひげが伸び放題になり、服装も乱れて町の中をさまよい歩いている状態になりました。兄が一番信頼しているのは主治医でしたから、クリニックに行き主治医に「薬を服用していないと思いますから、入院治療を説得してください」と懇願しました。しかし、主治医は「入院するほどではない」と話を聞いていただけませんでした。保健所にも相談しましたが、「主治医がそう言っておられるのだから」ということで、見解は同じでした。主治医も保健所も「家族が強制入院をさせるのは問題ない」というのですが、それができないから、助けを求めて相談をしていたのです。
 大阪の池田小学校殺傷事件・岐阜市の主婦による女子児童刺殺事件が起り、これまで見過ごされてきた兄に兄の住む地域で学校関係者・地域住民が着目、「頭髪やひげは伸び放題、手足は垢で汚れ、衣服は季節はずれで、一見おそろしい」と警察に連絡しました。巡査が職務質問したが意味不明のつぶやきであったということで、民生委員から保健所に連絡され、そこで保健婦が保護者に説明を求めました。
 私はこれまでの経緯をお話しして、「兄は決して他人に害を加えるようなことはない。むしろ、これまでにも心ない人たちから暴行を何度も受けてけがを負わされている精神障害者なのです。ですから地域住民の皆さんに怖がらないようによくよく説明してください」と保健婦さんにお願いしました。
 こういうことがきっかけで、再度、主治医に入院治療を懇願しましたが、主治医は「患者は通院をきちんとしている限り問題はない。本人が入院を拒否しているのに強制的に入院を勧めれば、医師と患者の信頼関係が崩れて人権問題になる。人間をすべて身なりで判断して強制入院させるのは人権を無視するたいへんな問題である」と言われるばかりでした。保健所も同じ見解をくりかえすのでした。
 兄は自分の病状の悪化に気がつかず、この2年間薬をまったくのまないのに、定期的にクリニックに行く理由は、クリニックに行くことで入院を免れることを知っているからです。「今後は医師・保健所・保健婦が、連携して地域の方たちと障害者を温かく見守っていきます」との保健所の言葉に、家族は入院治療を断念せざるを得なかったのです。
 5カ月後の11月9日、保健婦からの電話で「兄さんの様子をみてほしい」とのことで、夜遅くに訪ねたところ、いつもは鍵をかけて部屋へ絶対入れてくれないのにすっと戸口が開いたので、けげんに思い、中に入ると兄は横になっていて私が来たことにも気づかず、死んでしまったようでした。声をかけ続けたら目を開けてくれましたが、美羽動きをしない。兄は餓死寸前で痩せて、髪の毛・ひげ・その顔はこの世の人とは思えませんでした。

瀕死の兄の入院
 夜中であったので、朝を待ち救急車を呼びようやく救急車に収容されましたが、兄が隊員の方にちょっと拒否の態度を示したため、こんな瀕死の人に対しても、隊員は手を出せないということでした。それで私が兄を背負って三階から救急車まで運んだのです。
 次は病院に受け入れていただけないので、救急隊員の人が懸命に電話で交渉してくださっても、どの病院もベッドが空いていないと断られ、受け入れられるまでに35分かかりました。精神病院はもちろん、精神神経科のある総合病院を当っていただいたのですが、瀕死の人間でもここまで受け入れてもらうことがむずかしいのかと思いました。
 とにかく総合病院に入院させることができ、〝この数年間願い続けた兄の治療が始められる。また元のやさしい兄に会うことができるのだ〟と思うと、うれし涙が、ほっとした気持ちと共にあふれてきました。長いながい間の苦悩が報われるはずでした。
 それなのに…それなのに入院から8日目の早朝、信じられない電話が病院の看護婦さんからありました。兄が保護室で朝食を気管に詰まらせて亡くなったというのです。九死に一生を得た兄が入院して、8日間手厚い看護のおかげで次第にダンディで優しい兄に戻りつつあったのに、死ぬなんて信じられるはずはありません。あんなに入院したくなかった病院の保護室で一人、のどに物が詰まって息ができずに苦しい思いをしていたなんて信じられないことです。まさかという思いが強くて信じられないまま、看護婦さんの電話の内容を何度も反すうしながら、病院に駆け付けました。
 病院の保護室は鍵がかけられるわけで、部屋の中の人を保護してもらえるはずの所ですから、事故があるなんて考えられませんが、看護婦さんが離れられた間のモニターがない病院で、記録がないので兄の姿を見ることはできません。兄の苦しみと無念の思いだけが私の胸の中にあります。翌日、病院は医療事故として届けを出されたのですが、「医療事故で死んでしまうなんて神も仏もない、哀れなお兄ちゃん! かわいそうなお兄ちゃん!」。怒りと悲しみで私の胸は張り裂けそうです。

治療の道を開いてほしい
 この数年間、兄の入院治療を望んできましたが、「人権侵害」だといって自分自身がわからない状態になった患者の治療ができない制度は、逆に人間が人間であるための人権を踏み砕いているのではないでしょうか。適宜に治療の道を開かないことこそ、人権侵害ではないでしょうか。
 「もっと早く元気なうちに入院させたかったの! お兄ちゃん! 力のない家族で、ごめんなさい、ごめんなさい」。ずうっと私は私が死ぬまで、家族と楽しい語らいができる兄に戻ることなく死んでしまったその死について考え続けます。楽しかったきょうだいの関係の続きを織り成すことのできなかったことをあきらめきれません。
 苦しい日々、やるせない日々、家族会の皆さまのお気持ちに支えていただきました。
(月刊「ぜんかれん」2004年8月号 通巻451号 特集「訪問」がつなぐもの)

※心ある保健師、精神科医の方。この女性の思いに向き合ってほしいです。(黒)
by open-to-love | 2008-01-05 00:16 | 救急・急性期 | Trackback | Comments(0)