精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:自殺対策基本法&対策大綱( 5 )

自殺対策基本法

自殺対策基本法
(平成十八年六月二十一日法律第八十五号)


 第一章 総則(第一条―第十条)
 第二章 基本的施策(第十一条―第十九条)
 第三章 自殺総合対策会議(第二十条・第二十一条)
 附則

 第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、近年、我が国において自殺による死亡者数が高い水準で推移していることにかんがみ、自殺対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、自殺対策の基本となる事項を定めること等により、自殺対策を総合的に推進して、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族等に対する支援の充実を図り、もって国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)
第二条  自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取組として実施されなければならない。
2  自殺対策は、自殺が多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることを踏まえ、単に精神保健的観点からのみならず、自殺の実態に即して実施されるようにしなければならない。
3  自殺対策は、自殺の事前予防、自殺発生の危機への対応及び自殺が発生した後又は自殺が未遂に終わった後の事後対応の各段階に応じた効果的な施策として実施されなければならない。
4  自殺対策は、国、地方公共団体、医療機関、事業主、学校、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係する者の相互の密接な連携の下に実施されなければならない。

(国の責務)
第三条  国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、自殺対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第四条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、自殺対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業主の責務)
第五条  事業主は、国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、その雇用する労働者の心の健康の保持を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(国民の責務)
第六条  国民は、自殺対策の重要性に対する関心と理解を深めるよう努めるものとする。

(名誉及び生活の平穏への配慮)
第七条  自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければならない。

(施策の大綱)
第八条  政府は、政府が推進すべき自殺対策の指針として、基本的かつ総合的な自殺対策の大綱を定めなければならない。

(法制上の措置等)
第九条  政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

(年次報告)
第十条  政府は、毎年、国会に、我が国における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。

 第二章 基本的施策

(調査研究の推進等)
第十一条  国及び地方公共団体は、自殺の防止等に関し、調査研究を推進し、並びに情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。
2  国は、前項の施策の効果的かつ効率的な実施に資するための体制の整備を行うものとする。

(国民の理解の増進)
第十二条  国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、自殺の防止等に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。

(人材の確保等)
第十三条  国及び地方公共団体は、自殺の防止等に関する人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

(心の健康の保持に係る体制の整備)
第十四条  国及び地方公共団体は、職域、学校、地域等における国民の心の健康の保持に係る体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。

(医療提供体制の整備)
第十五条  国及び地方公共団体は、心の健康の保持に支障を生じていることにより自殺のおそれがある者に対し必要な医療が早期かつ適切に提供されるよう、精神疾患を有する者が精神保健に関して学識経験を有する医師(以下この条において「精神科医」という。)の診療を受けやすい環境の整備、身体の傷害又は疾病についての診療の初期の段階における当該診療を行う医師と精神科医との適切な連携の確保、救急医療を行う医師と精神科医との適切な連携の確保等必要な施策を講ずるものとする。

(自殺発生回避のための体制の整備等)
第十六条  国及び地方公共団体は、自殺をする危険性が高い者を早期に発見し、相談その他の自殺の発生を回避するための適切な対処を行う体制の整備及び充実に必要な施策を講ずるものとする。

(自殺未遂者に対する支援)
第十七条  国及び地方公共団体は、自殺未遂者が再び自殺を図ることのないよう、自殺未遂者に対する適切な支援を行うために必要な施策を講ずるものとする。

(自殺者の親族等に対する支援)
第十八条  国及び地方公共団体は、自殺又は自殺未遂が自殺者又は自殺未遂者の親族等に及ぼす深刻な心理的影響が緩和されるよう、当該親族等に対する適切な支援を行うために必要な施策を講ずるものとする。

(民間団体の活動に対する支援)
第十九条  国及び地方公共団体は、民間の団体が行う自殺の防止等に関する活動を支援するために必要な施策を講ずるものとする。

 第三章 自殺総合対策会議

(設置及び所掌事務)
第二十条  内閣府に、特別の機関として、自殺総合対策会議(以下「会議」という。)を置く。
2  会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  第八条の大綱の案を作成すること。
二  自殺対策について必要な関係行政機関相互の調整をすること。
三  前二号に掲げるもののほか、自殺対策に関する重要事項について審議し、及び自殺対策の実施を推進すること。

(組織等)
第二十一条  会議は、会長及び委員をもって組織する。
2  会長は、内閣官房長官をもって充てる。
3  委員は、内閣官房長官以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者をもって充てる。
4  会議に、幹事を置く。
5  幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
6  幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
7  前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則
(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

※2011年1月7日、警察庁は昨年1年間の全国の自殺者数の暫定値(速報値)を発表。自殺者数は3万1560人で、前年より1285人(3.9%)減少。これで、13年連続で自殺者が3万人を超えることになりましたが、2002年以降では最も少なかったそうです。(黒田)
by open-to-love | 2011-01-07 20:30 | 自殺対策基本法&対策大綱 | Trackback | Comments(0)

自殺総合対策大綱①

自殺総合対策大綱①

目 次

第1 はじめに

1.自殺をめぐる現状

2.自殺対策の基本認識
<自殺は追い込まれた末の死>
<自殺は防ぐことができる>
<自殺を考えている人は悩みを抱え込みながらもサインを発している>

第2 自殺対策の基本的考え

1.社会的要因も踏まえ総合的に取り組む
〈社会的要因に対する働きかけ>
<うつ病の早期発見、早期治療>
<自殺や精神疾患に対する偏見をなくす取組>
<マスメディアの自主的な取組への期待>

2.国民一人ひとりが自殺予防の主役となるよう取り組む

3.自殺の事前予防、危機対応に加え未遂者や遺族等への事後対応に取り組む

4.自殺を考えている人を関係者が連携して包括的に支える

5.自殺の実態解明を進め、その成果に基づき施策を展開する

6.中長期的視点に立って、継続的に進める

第3 世代別の自殺の特徴と自殺対策の方向
1.青少年
2.中高年
3.高齢者

第4 自殺を予防するための当面の重点施策
1.自殺の実態を明らかにする
2.国民一人ひとりの気づきと見守りを促す
3.早期対応の中心的役割を果たす人材を養成する
4.心の健康づくりを進める
5.適切な精神科医療を受けられるようにする
6.社会的な取組で自殺を防ぐ
7.自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ
8.遺された人の苦痛を和らげる
9.民間団体との連携を強化する

第5 自殺対策の数値目標

第6 推進体制等
1.国における推進体制
2.地域における連携・協力の確保
3.施策の評価及び管理
4.大綱の見直し

第1 はじめに
1.自殺をめぐる現状
 我が国の自殺者数は、平成10年に一挙に8,000人余り増加して3 万人を越え、その後も高い水準が続いている。人口10万人当たりの自殺による死亡率(以下「自殺死亡率」という。)も欧米の先進諸国と比較して 突出して高い水準にある。 世代別に見ると、将来ある子どもの自殺や20歳代、30歳代を中心に インターネット自殺が問題となっている。中高年、特に男性は、自殺者急 増の主要因であり、今後、この世代が高齢者層に移行するにつれ、さらに 問題が深刻化することが懸念されている。高齢者は、従来自殺死亡率が高 く、今後、高齢化、核家族化が一層進行するにつれ、健康問題に加え、老々介護による介護・看病疲れ等が課題となる。
このような状況に対し、政府としても、相談体制の整備、自殺防止のた めの啓発、調査研究の推進等に取り組んできたが、自殺者数の減少傾向が 見られないことから、平成18年10月、国を挙げて自殺対策を総合的に 推進することにより、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族等に対す る支援の充実を図るため、自殺対策基本法(以下「基本法」という。)が施 行された。
この自殺総合対策大綱(以下「大綱」という。)は、基本法に基づき、政 府が推進すべき自殺対策の指針として策定するものである。
人の「命」は何ものにも代えがたい。また、自殺は、本人にとってこの 上ない悲劇であるだけでなく、家族や周りの人々に大きな悲しみと生活上 の困難をもたらし、社会全体にとっても大きな損失である。国を挙げて自 殺対策に取り組み、自殺を考えている人を一人でも多く救うことによって、 日本を「生きやすい社会」に変えていく必要がある。今後、大綱に基づき、 地方公共団体をはじめ、医療機関、自殺の防止等に関する活動を行う民間 の団体等との密接な連携を図りつつ、自殺対策を強力に推進する。

2.自殺対策の基本認識
<自殺は追い込まれた末の死> 自殺は、個人の自由な意思や選択の結果と思われがちであるが、実際には、倒産、失業、多重債務等の経済・生活問題の外、病気の悩み等の健康 問題、介護・看病疲れ等の家庭問題など様々な要因とその人の性格傾向、 家族の状況、死生観などが複雑に関係している。 自殺に至る心理としては、このような様々な悩みが原因で心理的に追い 詰められ、自殺以外の選択肢が考えられない状態に陥ってしまったり、社 会とのつながりの減少や生きていても役に立たないという役割喪失感から、 また、与えられた役割の大きさに対する過剰な負担感から、危機的な状態 にまで追い込まれてしまうという過程を見ることができる。
 また、自殺を図った人の直前の心の健康状態を見ると、大多数は、様々 な悩みにより心理的に追い詰められた結果、うつ病、アルコール依存症等 の精神疾患を発症しており、これらの精神疾患の影響により正常な判断を 行うことができない状態となっていることが明らかになってきた。
このように、多くの自殺は、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、 様々な悩みにより心理的に「追い込まれた末の死」ということができる。
<自殺は防ぐことができる> 世界保健機関が「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題」 であると明言しているように、自殺は社会の努力で避けることのできる死 であるというのが、世界の共通認識となりつつある。
すなわち、経済・生活問題、健康問題、家庭問題等自殺の背景・原因と なる様々な要因のうち、失業、倒産、多重債務、長時間労働等の社会的要 因については、制度、慣行の見直しや相談・支援体制の整備という社会的 な取組により自殺を防ぐことが可能である。 また、健康問題や家庭問題等一見個人の問題と思われる要因であっても、 専門家への相談やうつ病等の治療について社会的な支援の手を差し伸べる ことにより自殺を防ぐことが可能である。世界保健機関によれば、うつ病、 アルコール依存症、統合失調症には有効な治療法があり、この3種の精神 疾患の早期発見、早期治療に取り組むことにより自殺死亡率を引き下げる ことができるとされている。
このように、心理的な悩みを引き起こす様々な要因に対する社会の適切 な介入により、また、自殺に至る前のうつ病等の精神疾患に対する適切な 治療により、多くの自殺は防ぐことができる。
<自殺を考えている人は悩みを抱え込みながらもサインを発している> 我が国では精神疾患や精神科医療に対する偏見が強く、自殺を図った人 が精神科医等の専門家を受診している例は少ない。特に、自殺者が多い中 高年男性は、心の問題を抱えやすい上、相談することへの抵抗感から問題 を深刻化しがちと言われている。
他方、死にたいと考えている人も、心の中では「生きたい」という気持 ちとの間で激しく揺れ動いており、不眠、原因不明の体調不良など自殺の 危険を示すサインを発している。 自殺を図った人の家族や職場の同僚など身近な人は、自殺のサインに気 づいていることも多く、このような国民一人ひとりの気づきを自殺予防につなげていくことが課題である。
by open-to-love | 2008-03-01 21:37 | 自殺対策基本法&対策大綱 | Trackback | Comments(0)

自殺総合対策大綱②

第2 自殺対策の基本的考え方
1.社会的要因も踏まえ総合的に取り組む
自殺は、失業、倒産、多重債務、長時間労働等の社会的要因を含む様々 な要因とその人の性格傾向、家族の状況、死生観などが複雑に関係してい る。
このため、自殺を予防するためには、社会的要因に対する働きかけとと もに、心の健康問題について、個人に対する働きかけと社会に対する働き かけの両面から総合的に取り組むことが必要である。
<社会的要因に対する働きかけ> 第一に、失業、倒産、多重債務、長時間労働などの社会的要因は深刻な 心の悩みを引き起こしたり、心の健康に変調をもたらしたりして自殺の危 険を高める要因となる。
このような社会的要因が関係している自殺を予防するためには、先ず、 長時間労働を余儀なくさせている現在の日本人の働き方を見直したり、失 敗しても何度でも再チャレンジすることができる社会を創り上げていくな ど社会的要因の背景にある制度・慣行そのものの見直しを進めることが重 要である。また、問題を抱えた人に対する相談・支援体制の整備・充実を 図るとともに、相談機関の存在を知らないため十分な社会的支援が受けら れないことがないよう関係機関の幅広い連携により相談窓口等を周知する ための取組を強化する必要がある。 また、社会に対する働きかけとして、危険な場所の安全確保や危険な薬 品等に対する適正な取り扱いの徹底も重要である。
<うつ病の早期発見、早期治療> 第二に、自殺を図った人の直前の心の健康状態を見ると、大多数がうつ 病等の精神疾患に罹患しており、中でもうつ病の割合が高いこと、世界保 健機関によればうつ病等については有効な治療法が確立していること、諸 外国や我が国の一部の地域ではうつ病対策の実施により自殺予防の効果を あげていることから、うつ状態にある人の早期発見、早期治療を図るため の取組が重要である。
このため、自殺の危険性の高い人を発見する機会の多いかかりつけの医 師等をゲートキーパーとして養成し、うつ病対策に活用するとともに、精 神科医療提供体制の整備を図る必要がある。
 <自殺や精神疾患に対する偏見をなくす取組> 第三に、国民全体に対し、命の大切さの理解を深めるとともに、悩みを 抱えたときに気軽に心の健康問題の相談機関を利用できるよう、自殺や精 神疾患に対する正しい知識を普及啓発し、偏見をなくしていく取組が重要 である。困ったときは誰かに助けを求めることが適切な方法であることな どを周知する必要がある。
<マスメディアの自主的な取組への期待> また、マスメディアによる自殺報道では、事実関係に併せて自殺の危険 を示すサインやその対応方法等自殺予防に有用な情報を提供することによ り大きな効果が得られる一方で、自殺手段の詳細な報道、短期集中的な報 道は他の自殺を誘発する危険性もある。このため、国民の知る権利や報道 の自由も勘案しつつ、適切な自殺報道が行われるようマスメディアによる 自主的な検討のための取組を期待する。
2.国民一人ひとりが自殺予防の主役となるよう取り組む
現代社会はストレス過多の社会であり、少子高齢化、価値観の多様化が 進む中で、核家族化や都市化の進展に伴い従来の家族、地域のきずなが弱 まりつつあり、誰もが心の健康を損なう可能性がある。 このため、まず、国民一人ひとりが、心の健康問題の重要性を認識する とともに、自らの心の不調に気づき、適切に対処することができるように することが重要である。 また、心の問題を抱えて自殺を考えている人は、専門家に相談したり、 精神科医を受診したりすることは少ないが、何らかの自殺のサインを発し ていることが多いことから、全ての国民が、身近にいるかもしれない自殺 を考えている人のサインに早く気づき、精神科医等の専門家につなぎ、そ の指導を受けながら見守っていけるようにすることが重要である。日常の 心の健康の変化に気づくことができる身近な家族、同僚の果たす役割は大 きい。 国民一人ひとりが自殺予防の主役となるよう広報活動、教育活動等に取 り組む必要がある。
3.自殺の事前予防、危機対応に加え未遂者や遺族等への事後対応に取り組む
自殺対策は、 1)事前予防:心身の健康の保持増進についての取組、自殺や精神疾患 についての正しい知識の普及啓発等自殺の危険性が低い段階で予防 を図ること、 2)自殺発生の危機対応:現に起こりつつある自殺の危険に介入し、自 殺を防ぐこと、 3)事後対応:不幸にして自殺や自殺未遂が生じてしまった場合に家族 や職場の同僚等他の人に与える影響を最小限とし、新たな自殺を防 ぐこと、 の段階ごとに効果的な施策を講じる必要がある。
未遂者や遺族等への事後対応については、再度の自殺や後追い自殺を防 ぐことも期待され、将来の事前予防にもつながる。これまで十分な取組が 行われていないことを踏まえ、今後、事後対応について積極的に取り組む ことにより、段階ごとの施策がバランスよく実施されることが重要である。
4.自殺を考えている人を関係者が連携して包括的に支える
自殺は、健康問題、経済・生活問題、人間関係の問題の外、地域・職場 のあり方の変化など様々な要因とその人の性格傾向、家族の状況、死生観 などが複雑に関係しており、自殺を考えている人を支え、自殺を防ぐため には、精神保健的な視点だけでなく、社会・経済的な視点を含む包括的な 取組が重要である。また、この様な包括的な取組を実施するためには、様々 な分野の人々や組織が密接に連携する必要がある。
例えば、うつ病等自殺の危険性の高い人や自殺未遂者の相談、治療に当 たる保健・医療機関においては、心の悩みの原因となる社会的要因に対す る取組も求められることから、問題に対応した相談窓口を紹介できるよう にする必要がある。また、経済・生活問題の相談窓口担当者も、自殺の危 険を示すサインやその対応方法、支援が受けられる外部の保健・医療機関 など自殺予防の基礎知識を有していることが求められる。
また、このような連携を確保するためには、国だけでなく、地域におい ても民間団体も含めた様々な分野の関係機関・団体のネットワークを確立 することが重要である。 5.自殺の実態解明を進め、その成果に基づき施策を展開する
自殺対策を進めるに当たっては、先ず、どのような問題が、どの程度深 刻な問題であるかを把握した上で、自殺の実態に即して、科学的根拠に基 づき実施する必要がある。しかしながら、このような実態解明のための調 査研究は取組が始まったばかりであり、自殺の実態は未だ明らかでない部 分が多い。 このため、これまでの調査研究の成果や世界保健機関、諸外国の知見を 基に、効果があると考えられる施策から実施することとし、並行して、実 態解明のための調査研究を進める必要がある。
6.中長期的視点に立って、継続的に進める
自殺対策は、社会的要因の背景にある制度・慣行の見直しや相談・支援 体制の整備・充実を図るとともに、国民全体に対する啓発活動等を通じて 正しい知識を普及させ、自殺や精神疾患に対する偏見を減らし、併せて、 精神科医療全体の改善を図っていくことが必要であるが、直ちに効果を発 揮するものではない。諸外国の例を見ても、自殺予防に即効性のある施策 はないといわれており、中長期的な視点に立って継続的に実施する必要が ある。

第3 世代別の自殺の特徴と自殺対策の方向
1.青少年(30歳未満)
思春期は精神的な安定を損ないやすく、また、青少年期に受けた心の傷 は生涯にわたって影響することから、自殺者数は少ないものの、青少年の 自殺対策は重大な課題である。 青少年の心の健康の保持・増進や良好な人格形成への支援を行うことが、 適切な自殺予防につながることから、児童生徒及び教職員に対する児童生 徒の自殺予防に資する教育や普及啓発の実施と学校で自殺や自殺未遂が発 生した場合の児童生徒等の心理的ケアに取り組む必要がある。
2.中高年(30歳~64歳)
中高年は、家庭、職場の両方で重要な位置を占める一方、親との死別や 退職などの大きな喪失体験を迎え、心理的にも、社会的にも負担を抱える ことが多い世代である。特に、仕事に関して強い不安やストレスを感じて いる労働者が多い。また、女性は、出産や更年期において心の健康を損な いやすい。 心理的、社会的ストレスに対応するための心の健康づくりとともに、ス トレスの原因となる長時間労働、失業等の社会的要因に対する取組が重要 である。また、ストレスによるうつ病が多いことから、うつ病の早期発見、 早期治療が重要である。
3.高齢者(65歳以上)
高齢者の自殺の背景には、慢性疾患による継続的な身体的苦痛や将来へ の不安、身体機能の低下に伴う社会や家庭での役割の喪失感、近親者の喪 失体験、介護疲れ等によるうつ病が多い。 高齢者は、身体的不調により医療機関を受診する機会も多く、かかりつ けの医師等のうつ病等の精神疾患の診断技術の向上、健康診査等を活用し たうつ病の早期発見、早期治療とともに、高齢者の生きがいづくり対策が 重要である。また、在宅介護者に対する支援の充実も重要である。
by open-to-love | 2008-03-01 21:22 | 自殺対策基本法&対策大綱 | Trackback | Comments(0)

自殺総合対策大綱③

第4 自殺を予防するための当面の重点施策
「第2 自殺対策の基本的考え方」、「第3 世代別の自殺の特徴と自殺 対策の方向」を踏まえ、当面、特に集中的に取り組むべき施策として、基 本法の9つの基本的施策に沿って、以下の施策を設定する。
なお、今後の調査研究の成果等により新たに必要となる施策については、 逐次実施することとする。 また、地方公共団体においては、本大綱を踏まえつつ、地域の実情に応 じた施策を設定する必要がある。
1.自殺の実態を明らかにする
自殺者や遺族のプライバシーに配慮しつつ、社会的要因を含む自殺の実 態を把握するための調査研究とともに、自殺対策に関する情報の提供等を 推進する。
(1)実態解明のための調査の実施 社会的要因を含む自殺の原因・背景、自殺に至る経過、自殺直前の心 理状態等を多角的に把握し、自殺予防のための介入ポイント等を明確化 するため、いわゆる心理学的剖検の手法を用いた遺族等に対する面接調 査等を継続的に実施する。
また、地方公共団体、民間団体等が実施する自殺の実態解明のための 調査を支援する。
(2)情報提供体制の充実
国、地方公共団体等における自殺対策の企画、立案に資するため、自 殺予防総合対策センターの機能強化を図るなど、自殺の実態、自殺に関 する内外の調査研究等自殺対策に関する情報の収集・整理・分析、提供 を推進する。
また、同センターと関係機関との連携を強化する。
(3)自殺未遂者、遺族等の実態及び支援方策についての調査の推進
自殺未遂者、遺族等の実態及び支援方策についての調査研究を進める。
  (4)児童生徒の自殺予防についての調査の推進
児童生徒の自殺について、教育委員会や学校による調査等に限界があ る場合に、必要に応じて第三者による実態把握を進める。
また、児童生徒の自殺の特徴や傾向などを分析しながら、自殺予防の あり方について調査研究を行う。
(5)うつ病等の精神疾患の病態解明及び診断・治療技術の開発
うつ病等の精神疾患の病態を脳科学等様々な分野にわたる研究によ り解明し、治療法の研究開発を進めるとともに、簡便で客観的な指標を 用いたうつ病の診断技術の研究開発を進め、その結果について普及を図 る。
(6)既存資料の利活用の促進
各都道府県警察が保有する自殺統計資料や関係機関が保有する資料 等について、自殺の実態解明のための調査研究への活用を促進する。
2.国民一人ひとりの気づきと見守りを促す
自分の周りにいるかもしれない自殺を考えている人の存在に気づき、専 門家につなぎ、見守っていくという自殺対策における国民一人ひとりの役 割等について国民の理解の促進を図るため、教育活動、広報活動等を通じ た啓発事業を展開する。
(1)自殺予防週間の設定と啓発事業の実施
自殺や精神疾患についての正しい知識の普及を図るとともに、これら に対する偏見をなくすため、9月10日の世界自殺予防デーに因んで、 毎年、9月10日からの一週間を自殺予防週間として設定し、国、地方 公共団体が連携して、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進し、 命の大切さとともに、自殺の危険を示すサインや危険に気づいたときの 対応方法等について国民の理解を促進する。
(2)児童生徒の自殺予防に資する教育の実施
学校において、体験活動、地域の高齢者等との世代間交流等を活用す るなどして、児童生徒が命の大切さを実感できる教育を推進するととも に、児童生徒に対する自殺予防を目的とした教育の実施に向けた環境づ くりを進める。
さらに、メディアリテラシー教育とともに、情報モラル教育及び違 法・有害情報対策を推進する。
(3)うつ病についての普及啓発の推進
「新健康フロンティア戦略」に基づき、ライフステージ別のうつに対 する知識の普及・啓発、うつ病の認識、受診の啓発を推進する。
3.早期対応の中心的役割を果たす人材を養成する 自殺の危険性の高い人の早期発見、早期対応を図るため、自殺の危険を 示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる「ゲートキーパー」 の役割を担う人材等を養成する。
(1)かかりつけの医師等のうつ病等の精神疾患の診断・治療技術の向上
うつ病等の精神疾患患者は身体症状が出ることも多く、かかりつけの 医師等を受診することも多いことから、臨床研修等の医師を養成する過 程や生涯教育等の機会を通じ、かかりつけの医師等のうつ病等の精神疾 患の診断・治療技術の向上を図る。
(2)教職員に対する普及啓発等の実施
児童生徒と日々接している学級担任、養護教諭等の教職員に対し、自 殺の危険性の高い児童生徒に気づいたときの対応方法などについて普 及啓発を実施するため、研修に資する教材の作成などにより取組の支援 を行う。自殺者の遺児に対するケアも含め教育相談を担当する教職員の 資質向上のための研修等を実施する。
(3)地域保健スタッフや産業保健スタッフの資質の向上
精神保健福祉センター、保健所等における心の健康問題に関する相談 機能を向上させるため、保健師等の地域保健スタッフに対する心の健康 づくりや自殺予防についての研修を実施する。
また、職域におけるメンタルヘルス対策を推進するため、産業保健ス タッフの資質向上のための研修等を充実する。
  (4)介護支援専門員等に対する研修の実施
介護支援専門員等の介護事業従事者の研修等の機会を通じ、心の健康 づくりや自殺予防に関する知識の普及を図る。
(5)民生委員・児童委員等への研修の実施
住民主体の見守り活動を支援するため、民生委員・児童委員等に対す る心の健康づくりや自殺予防に関する施策についての研修を実施する。
(6)地域でのリーダー養成研修の充実
国立保健医療科学院や自殺予防総合対策センターなどにおける地域 での自殺対策におけるリーダー的存在となる専門職の研修を推進する。
(7)社会的要因に関連する相談員の資質の向上
消費生活センターの多重債務相談窓口、商工会・商工会議所等の経営 相談窓口、ハローワークの相談窓口等の相談員に対しメンタルヘルスに ついての正しい知識の普及を促進する。
(8)遺族等に対応する公的機関の職員の資質の向上
警察官、消防職員等に対して、適切な遺族対応等に関する知識の普及 を促進する。 (9)研修資材の開発等
国、地方公共団体等が開催する自殺防止等に関する様々な人材の養成、 資質の向上のための研修を支援するため、研修資材の開発を推進すると ともに、自殺予防総合対策センターにおいて公的機関や民間団体の相談 員の研修事業を行う。
(10)自殺対策従事者への心のケアの推進
民間団体の活動に従事する人も含む自殺対策従事者の心の健康を維 持するための対応方法の普及を図る。
4.心の健康づくりを進める
自殺の原因となる様々なストレスについて、ストレス要因の軽減、スト レスへの適切な対応など心の健康の保持・増進のための職場、地域、学校 における体制整備を進める。
(1)職場におけるメンタルヘルス対策の推進
職場におけるメンタルヘルス対策の充実を推進するため、「労働者の 心の健康の保持増進のための指針」の普及啓発を図る。また、管理・監 督者を始め労働者に対し心の健康問題への誤解や偏見をなくすための 正しい知識の普及、産業保健スタッフの資質の向上等による相談体制の 充実等事業場に対する支援を実施し、労働者が職場内で相談しやすい環 境整備を図る。特に、メンタルヘルス対策の取組が進んでいない小規模 事業場に対しては、産業保健と地域保健との連携などにより支援を充実 する。
また、過重労働による健康障害防止のための労働基準監督署による監 督指導を強化する。
(2)地域における心の健康づくり推進体制の整備
精神保健福祉センター、保健所等における心の健康問題に関する相談機能を向上させるとともに、心の健康づくりにおける地域保健と産業保健との連携を推進する。
また、心身の健康の保持・増進に配慮した公園整備など高齢者が地域 で集い、憩うことのできる場所の整備を進める。
農村における高齢者福祉対策を推進するとともに、高齢者の生きがい 発揮のための施設整備を行うなど、快適で安心な生産環境・生活環境づ くりを推進する。
(3)学校における心の健康づくり推進体制の整備
保健室やカウンセリングルームなどをより開かれた場として活用し、 養護教諭の行う保健相談活動を推進するとともに、スクールカウンセラ ーや「子どもと親の相談員」の配置など学校における相談体制の充実を 図る。
また、事業場としての学校の労働安全衛生対策を推進する。
5.適切な精神科医療を受けられるようにする
うつ病等の自殺の危険性の高い人の早期発見に努め、確実に精神科医療 につなぐ取組に併せて、これらの人々が適切な精神科医療を受けられるよう精神科医療体制を充実する。
(1)精神科医をサポートする人材の養成など精神科医療体制の充実
各都道府県が定める保健、医療、福祉に関する計画等における精神保 健福祉対策を踏まえ、地域の精神科医療機関を含めた保健・医療・福祉 のネットワークの構築を促進する。
また、必要な研修等を実施し、精神科医をサポートできる心理職等の 養成を図る。その上で、こうした心理職等のサポートを受けて精神科医 が行う診療の普及状況を踏まえ、診療報酬での取扱いを含めた精神科医 療体制の充実のための方策を検討する。 (2)うつ病の受診率の向上
「新健康フロンティア戦略」に基づき、うつ病についての正しい知識 を普及し偏見をなくすための普及啓発を行う。
また、かかりつけの医師等がうつ病と診断した人を専門医につなげる ための診療報酬上の評価を含む仕組みづくりについて検討する。
(3)かかりつけの医師等のうつ病等の精神疾患の診断・治療技術の向上【再掲】
(4)子どもの心の診療体制の整備の推進
子どもの心の問題に対応できる医師等の養成を推進するなど子ども の心の診療体制の整備を推進する。
(5)うつ病スクリーニングの実施
保健所、市町村の保健センター等による訪問指導や住民健診、健康教 育・健康相談の機会を活用することにより、地域で、うつ病の懸念があ る人の把握を進める。
特に、高齢者については、介護予防事業の一環としての基本チェック リストの結果をうつ病の1次スクリーニングとして活用するなどうつ 病の懸念がある人を早期に発見し、適切な相談等につなげるための体制 を整備する。
(6)慢性疾患患者等に対する支援
重篤な慢性疾患に苦しむ患者等からの相談を適切に受けることがで きる看護師を養成するなど、心理的ケアが実施できる医療体制の整備を 図る。
6.社会的な取組で自殺を防ぐ
社会的要因を含む様々な要因により自殺の危険性が高まっている人に対 し、社会的な支援の手を差し伸べることにより、自殺を防止する。
(1)地域における相談体制の充実
地方公共団体による自殺の危険を示すサインとその対応方法、相談窓 口のわかりやすい一覧表等を掲載した住民向けの自殺予防のためのパ ンフレット等の作成・配布や相談しやすい体制の整備を促進する。
(2)多重債務の相談窓口の整備とセーフティネット融資の充実
「多重債務問題改善プログラム」に基づき、多重債務者に対するカウ ンセリング体制の充実、セーフティネット貸付の充実を図る。
(3)失業者等に対する相談窓口の充実等
失業者に対して早期再就職支援等の各種雇用対策を推進するととも に、ハローワーク等の窓口においてきめ細やかな職業相談を実施するほ か、失業に直面した際に生じる心の悩み相談など様々な生活上の問題に 関する相談に対応する。
また、「地域若者サポートステーション」において、地域の関係機関 とも連携し、ニート状態にある若者等の自立を個別的・継続的・包括的 に支援する。
(4)経営者に対する相談事業の実施等
商工会・商工会議所等と連携し、経営の危機に直面した中小企業を対 象とした相談事業、中小企業の一般的な経営相談に対応する相談事業を 引き続き推進する。
また、全都道府県に設置している中小企業再生支援協議会で、相談か ら再生計画の策定支援まで、地域の金融機関など地域の総力を結集して 中小企業の再生を支援する。 さらに、事業に失敗した人など経済的に困難な状況にある経営者が事 業に再チャレンジできるよう支援すべく、早期撤退や新たな事業への再 挑戦について専門家による相談対応を行う窓口を全国各地に設置する とともに、政府系金融機関等における本人保証・第三者保証や不動産担 保を求めない保証・融資の拡充、個人保証に過度に依存しない融資につ いて金融機関へ要請等を行う。
5)法的問題解決のための情報提供の充実
日本司法支援センター(法テラス)の法的問題解決のための情報提供 の充実及び国民への周知を図る。
(6)危険な場所、薬品等の規制等
自殺の名所や高層建築物等における安全確保の徹底や鉄道駅におけ るホームドア・ホーム柵の普及を図る。
また、危険な薬品の譲渡規制を遵守するよう周知の徹底を図るととも に、従来から行っている自殺するおそれのある家出人に関する家出人発 見活動を継続して実施する。 (7)インターネット上の自殺予告事案への対応等
インターネット上の自殺予告事案に対する迅速・適切な対応を継続し て実施する。 また、インターネットにおける自殺予告サイトや電子掲示板への特定 個人を誹謗中傷する書き込み等の違法・有害情報について、フィルタリ ングソフトの普及、プロバイダにおける自主的措置への支援、相談者へ の対処方法の教示等を実施する。
(8)介護者への支援の充実
高齢者を介護する者の負担を軽減するため、地域包括支援センターそ の他関係機関等との連携協力体制の整備や介護者に対する相談等が円 滑に実施されるよう、相談業務等に従事する職員の確保や資質の向上な どに関し、必要な支援の実施に努める。
(9)いじめを苦にした子どもの自殺の予防
子どもがいつでも不安や悩みを打ち明けられるような全国統一ダイ ヤルによるいじめなどの問題に関する電話相談体制について地方公共 団体を支援するとともに、学校、地域、家庭が連携して、いじめを早期 に発見し、適切に対応できる地域ぐるみの体制整備を促進する。
(10)報道機関に対する世界保健機関の手引きの周知
世界保健機関の自殺予防の手引きのうち「マスメディアのための手引 き」の報道各社に対する周知を図る。
7.自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ
自殺未遂者の再度の自殺を防ぐため、入院中及び退院後の心理的ケア、 自殺の原因となった社会的要因に対する取組を支援する。
(1)救急医療施設における精神科医による診療体制等の充実
精神科救急体制の充実を図るとともに、必要に応じ、救命救急センタ ーにおいても精神科医による診療が可能となるよう救急医療体制の整 備を図る。
また、自殺未遂者に対する的確な支援を行うため、自殺未遂者の治療 と管理に関するガイドラインを作成する。
(2)家族等の身近な人の見守りに対する支援
自殺の原因となる社会的要因に関する各種相談機関とのネットワー クを構築することにより精神保健福祉センターや保健所の保健師等に よる自殺未遂者に対する相談体制を充実するとともに、退院後は、家族 等の身近な人の見守りを支援するため、地域において精神科医療機関を 含めた医療保健福祉のネットワークを構築するなど継続的なケアがで きる体制の整備を図る。
8.遺された人の苦痛を和らげる
自殺や自殺未遂の発生直後に遺された人の心理的影響を和らげるための ケアを行うとともに、遺族のための自助グループ等の地域における活動を 支援する。
(1)自殺者の遺族のための自助グループの運営支援
精神保健福祉センターや保健所の保健師等による遺族への相談体制 を充実するとともに、遺族等のケアに関するガイドラインを作成するこ とにより、地域における民間団体が主催する自助グループ等の運営、相 談機関の遺族等への周知を支援する。
(2)学校、職場での事後対応の促進
学校、職場での自殺や自殺未遂の発生直後の周りの人々に対する心理 的ケアが的確に行われるよう自殺発生直後の職場における対応マニュアルや学校の教職員向けの資料を作成する。
(3)遺族のためのパンフレットの作成・配布の促進
遺族のための地方公共団体による各種相談窓口の一覧表、民間団体の 連絡先等を掲載したパンフレットの作成と、遺族と接する機会の多い関 係機関等での配布を促進する。 (4)自殺遺児へのケアの充実
自殺者の遺児に対するケアも含め教育相談を担当する教職員の資質 向上のための研修等を実施する。【再掲】
9.民間団体との連携を強化する
自殺対策を進める上で、民間団体の活動は不可欠である。宗教家、遺族 やその支援者などが、ボランティアとして参加している民間団体の相談活 動などの取組は、多くの自殺の危機にある人を援助している。国及び地域 の自殺対策において、このような民間団体の活動を明確に位置づけること 等により、民間団体の活動を支援する。
(1)民間団体の人材育成に対する支援
遺族のための自助グループの進行役(ファシリテーター)、電話相談 事業の相談員等の養成のための研修資材を開発する。
(2)地域における連携体制の確立
地域において、自殺対策活動を行っている公的機関、民間団体等の確 かな連携体制の確立を促す。
(3)民間団体の電話相談事業に対する支援
民間団体の電話相談事業に対する支援を引き続き実施するとともに、 相談窓口電話番号の全国共通化について検討する。
(4)民間団体の先駆的・試行的取組に対する支援
地域における取組を推進するため、民間団体の実施する先駆的・試行 的な自殺対策を支援する。
by open-to-love | 2008-03-01 21:14 | 自殺対策基本法&対策大綱 | Trackback | Comments(0)

自殺総合対策大綱④

自殺総合対策大綱④

第5、6章

第5 自殺対策の数値目標
平成28年までに、平成17年の自殺死亡率を20%以上減少させるこ とを目標とする。
 なお、自殺対策の目的は、一人でも多くの自殺を考えている人を救うこ とであり、できるだけ早期に目標を達成できるよう努めるものとし、目標 が達成された場合は、大綱の見直し期間にかかわらず、数値目標を見直す ものとする。

第6 推進体制等
1.国における推進体制
大綱に基づく施策を総合的かつ効果的に推進するため、自殺総合対策会 議を中心として、内閣官房長官(自殺対策を担当する内閣府特命担当大臣 が置かれている場合には当該内閣府特命担当大臣とする。以下同じ)のリ ーダーシップの下に関係行政機関相互の緊密な連携・協力を図るとともに、 施策相互間の十分な調整を図る。
また、同会議の事務局が置かれている内閣府において、関係府省が行う 対策を支援、促進するとともに、関係者による協議の場を通じ、地方公共 団体や自殺防止等に関する活動を行っている民間団体とも連携しつつ総合 的な自殺対策を実施していく。
さらに、男女共同参画、高齢社会、少子化社会、青少年育成、障害者に 関する施策など関連する分野との連携にも留意しつつ、施策を推進する。
2.地域における連携・協力の確保
自殺対策は、家庭や学校、職場、地域など社会全般に深く関係しており、 総合的な自殺対策を推進するためには、地域の多様な関係者の連携・協力 を確保しつつ、地域の特性に応じた実効性の高い施策を推進していくこと が重要である。
このため、都道府県及び政令指定市において、様々な分野の関係機関・ 団体によって構成される自殺対策連絡協議会等の自殺対策の検討の場の設 置と同協議会等より地域における自殺対策の計画づくり等が推進されるよ う、積極的に働きかけるとともに、情報の提供等適切な支援を行うことと する。
3.施策の評価及び管理 自殺総合対策会議により、本大綱に基づく施策の実施状況、目標の達成 状況等を把握し、その効果等を評価するとともに、これを踏まえた施策の 見直しと改善に努める。
このため、内閣官房長官の下に、本大綱に基づく施策の実施状況の評価及びこれを踏まえた施策の見直し、改善等についての検討に民間有識者等 の意見を反映させる仕組みを作り、総合的な自殺対策の推進につなげる。
4.大綱の見直し
本大綱については、政府が推進すべき自殺対策の指針としての性格にか んがみ、社会経済情勢の変化、自殺をめぐる諸情勢の変化、本大綱に基づ く施策の推進状況や目標達成状況等を踏まえ、おおむね5年を目途に見直 しを行う。
by open-to-love | 2008-03-01 20:57 | 自殺対策基本法&対策大綱 | Trackback | Comments(0)