精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:『図説ケアマネジメント』( 6 )

野中猛著『図説 ケアマネジメント』(中央法規、1997年)

A.ケアマネジメント本論

5.ケアマネジメントの必要性

1.生活に困難をもつ人が施設内で暮らす場合は、生活上のニーズが生じても、詰め所の担当者や受付に訴えることで、容易に対処してもらえる。ところが、地域社会で生活するとなると、生活上のニーズを満たしてくれるサービスは広く散在しており、しかも利用の仕方がそれぞれ異なっている。他方、身体障害、精神障害、社会文化的な障害など、生活上の困難さをもつ人々は、サービスを拾って歩くこと自体に困難さがある。

2.ケアマネジメントでは、利用者の必要なサービスを見定め、利用者のできる範囲を超えた場合に、社会資源利用のお手伝いをする。このとき、ニーズを満たすためには、ひとつのサービスだけでは十分でない点に注意したい。例えば、食事をとる活動だけでも、資金、材料購入、台所設備、料理技術、栄養学的知識、会食の楽しみなど、実はさまざまな要素で成り立っている。これらを考慮して、複数のサービスをパッケージにしてニーズにこたえるのである。

3.必要とするサービスの組み合わせは、その人の、その時点での問題や課題によって異なる。目標に応じた支援体制と事態の変化を図りながら、計画を修正するモニタリング体制が大切である。モニタリングはアセスメントを補うわけだが、一方でアセスメントが十分にとらえられていると、的の当たったモニタリングが可能となる。

4.利用者本人のセルフケア能力によって、同様な問題や課題であっても、提供するサービスの内容や支援の仕方が異なる。可能な限り利用者自身が自らやり遂げられるよう支援し、人生を主体的に暮らす喜びと能力を回復することが目的である点を忘れてはならない。こうした支援をエンパワメントという。
by open-to-love | 2010-12-31 10:32 | 『図説ケアマネジメント』 | Trackback | Comments(0)
野中猛著『図説 ケアマネジメント』(中央法規、1997年)

A.ケアマネジメント本論

4.サービスプランの考え方

1.これまでの支援の枠組みは、利用者の要請(デマンド)に応じて、1対1のサービスを提供するものであった。ケアマネジメントも利用者の要請から出発するものであるが、暮らしの上で生じている問題を総合的にとらえ直し、ケアマネジメントの目的にそって、課題の整理と、パッケージにした複数のサービス提供を計画的に行う点で異なる。

2.例えば、失禁のためおむつが必要になった高齢者に対して、すぐさま、おむつの現物給付や介護者の派遣を計画するのが従来の支援であった。ケアマネジメントでは、利用者本人と家屋や近隣の情報を集めてアセスメントの上、本人に対しては排泄自立や重度化防止の対策、より健康な社会生活の課題、家族には健康でゆとりのある生活を目指すための支援策などと、いくつかの課題に整理する。その上で、それぞれに対する実行計画を立てるのである(竹内孝仁)。

3.人間は心理社会生物学的存在であり、ひとつの事象もこれら3つの領域の要因によって影響を受けている。生じた事象が複合的な理由であれば、その対策も複合的となる必要があろう。ケアマネジメントにはシステム的な考え方が基本にある。また、問題となる事象だけに振り回されたり注目したりするのではなく、本人や家族、そして地域の健康な能力や補完する力に注目したい。

4.最も大切なのは背景となる思想である。支援者が一方的に完全なケアを追求して、あたかも集中治療室における「(管だらけの)スパゲッチィ症候群」のように、地域においてそうした補給がないと人が生きられない状態をつくることが目標であってはならない。本人や周囲の人々が、希望をもって元気になるような、具体的で実行可能なプランが求められる。
by open-to-love | 2010-12-31 10:23 | 『図説ケアマネジメント』 | Trackback | Comments(0)
野中猛著『図説 ケアマネジメント』(中央法規、1997年)

A.ケアマネジメント本論

3.ケアマネジメントの目的

1.ケアマネジメントの目的は、単にサービスを寄せ集めて利用者に提供するためではない。もちろん、経費を節約して効率的な福祉を行うことだけが目的でもない。ケアマネジメントの最終的な目的はふたつあり、事例に対する具体的な支援を通してそれらを達成することに最大の特徴がある。
2.ひとつは、ケアマネジメントは生活に困難さをもっている人々に注意を向けている。彼らに対して、さまざまな種類の支援を適切に組み合わせて、ひとそろいのパッケージとして提供する。そのことで、利用者の能力が高まり、最終的に自立的な生活ができることをめざす。すなわち、利用者のセルフケア能力を向上させることが一方の目的である。
3.もうひとつは、ケアマネジメントは地域社会に目を向けている。一例の事例を支援することを通して、さまざまな領域の、さまざまな職種や、家族や近隣の人々がネットワークを形成することになる。そのことで、また別の事例に対応しやすくなり、地域の問題解決能力が向上する。すなわち、地域のコミュニティづくりがもう一方の目的である。この視点によって、ケアマネジメント活動はすぐれて地域保健の実践活動につながる。
4.事例の出現は地域社会というシステムの危機を知らせるものであり、その危機の解決を通して、地域社会は新たな形態を模索する。ケアマネジャーがそれを媒介することになる。
5.これらは、利用者本人および地域ケアシステムのそれぞれに対するエンパワメントであり、ケアの概念を越えているのである。従来のケアが必要な場合はケアを提供し、その必要がない場合は、現物支給、情報提供、見守りなどがサポートとなる。
by open-to-love | 2010-12-26 00:09 | 『図説ケアマネジメント』 | Trackback | Comments(0)
野中猛著『図説 ケアマネジメント』(中央法規、1997年)

A.ケアマネジメント本論

2.ケアマネジメントの間接的意義

1.利用者に直接役立つほかに、対人サービス提供者にとっても、ケアマネジメントを導入する意義がある。ひいてはそれが利用者にとって間接的な利益となる。
2.対人サービスに長く携わってきたベテランの方々には、利用者の立場に立って、最大の幸せをめざして、さまざまに工夫された支援をすでに実践しているのならば、ケアマネジメントの内容はことさら目新しいことではない。むしろ、支援の段階や項目が整理されているために、自分の得意な分野や苦手な領域を、整理し、意欲的に取り組むことができる方法となろう。
3.各職種の初心者にとっては、ケアマネジメントが対人サービスに必要な領域や手段を整理してくれるため、研修して身につけるべき考え方や技術の領域が明確になる。つまり、対人サービス専門家候補のための研修ガイドラインとしての意義がある。
4.各職種ごとによって立つ理論や技術の原則が異なっているのが現状であり、従来のまま事例検討を行っても、例えば「自立を助ける」「就労可能」などと言っても、それぞれ意味する中身が異なっていることが多い。各領域と各職種を越え、利用者とその支援者にも共有される言葉として、ケアマネジメントの枠組みが利用できる。
5.ケアマネジメントの考え方の中には、利用者中心主義(消費者主義)、問題重視よりも能力開発重視、専門家よりも身近な人々の支援を重視するインフォーマルケア、費用対効果の視点など、対人サービスの新しい思想がちりばめられている。こうした見方が、具体的な事例に対するケアマネジメント活動の中で身に付くことになる。
by open-to-love | 2010-12-25 23:57 | 『図説ケアマネジメント』 | Trackback | Comments(0)
野中猛著『図説 ケアマネジメント』(中央法規、1997年)

A.ケアマネジメント本論

1.ケアマネジメントの名称

1.本来はケースマネジメントという名称から始まっている。1960年代アメリカにおける脱施設化政策のもと、精神障害者が退院して地域で暮らすようになったとき、その生活を支援する方法として工夫されたものである。
2.同時代の歴史的な必然性から、さまざまな社会的不利を伴う人々に対する支援の方法として、同様な要請や工夫は先進各国の諸領域で応用されてきた。基本的視点が押さえられていけば、対象や地域によって、その形は柔軟に工夫されるべきものであろう。
3.イギリスにおいては、1970年代にホームケアサービスと呼んでいたものが発展しており、ケース(事例)と対象化されるニュアンスを避けて、ケアマネジメントと呼ぶことが定着した。
4.我が国の厚生省では、一時、マネジメントされるのは人ではなくてサービスの方だからと、ケアコーディネーションという言葉を用いた。しかし、ケアマネジメントの最大の特徴は、ケースを通してサービスの連携を図ることである。ケース抜きの友好関係は無意味であり、無効でもある。
5.ニュアンスとして、ケースマネジメントは個別の支援を強調しており、ケアコーディネーションは機関や支援者の連携のほうを強調しているとも言える。
6.北米を中心として、学会名はケースマネジメント学会であり、認定資格はケースマネジャー(Certified Case manager:CCM)である。学術論文におけるキーワードもケースマネジメントである。つまり、専門用語としては国際的にケースマネジメントが用いられている。
7.実際の活動上は、対象や機関ごとに、パーソナルサービスコーディネーターとか、生活支援パートナーとか、単なる個別担当者と呼んでもよく、利用者に分かりやすい名称を個々に選定するべきであろう。
by open-to-love | 2010-12-25 22:37 | 『図説ケアマネジメント』 | Trackback | Comments(0)
野中猛著『図説 ケアマネジメント』
(中央法規、1997/2008)

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対人サービスのポイント。ケアマネジメントとその周辺領域に関する事柄55項目について、すべてを図式化したうえで簡潔な解説文を加えたビジュアルでハンディな入門書。

目次
 はじめに
 A:ケアマネジメント本論
  1.ケアマネジメントの名称
  2.ケアマネジメントの間接的意義
  3.ケアマネジメントの目的
  4.サービスプランの考え方
  5.ケアマネジメントの必要性
  6.費用対効果
  7.ケアマネジメントの対象
  8.社会資源とケアマネジメント
  9.インテーク(受理)
  10.ケアマネジメントのサイクル
  11.アセスメント表
  12.アセスメントレベルの決定
  13.ニーズアセスメント
  14.セルフケア能力のアセスメント
  15.インフォーマルケアのアセスメント
  16.専門的ケアのアセスメント
  17.ケアマネジメント会議
  18.ケアマネジメントにおけるチームワーク
  19.事例情報の整理
  20.プランニング表
  21.直接介入
  22.エンパワメント
  23.間接介入
  24.仲介(ブローカリング)
  25.連結(リンケージ)
  26.権利擁護(アドボカシー)
  27.調整(コーディネーション)
  28.社会的ネットワーク形成(ネットワーキング)
  29.モニタリング(追跡)
  30.評価(エバリュエーション)
  31.ケアマネジメント実践の指針
  32.ケアマネジメント制度とその応用
  33.我が国に導入する際の強調点
  34.ケアマネジメント研修プログラム
  35.ケアマネジメント実践上のヒント
 B.ケアマネジメントの周辺)
  36.疾病構造の変化
  37.世界的な価値観の変化
  38.慢性疾患の特徴
  39.精神分裂病の経過と支援戦略
  40.痴呆様症状の診断と対策
  41.障害構造論の視点
  42.現代のリハビリテーション
  43.心理社会的リハビリテーションの要点
  44.リハビリテーションサービスの種類
  45.QOLの構造
  46.慢性疾患を抱えた家族
  47.家族の適応
  48.家族心理教育
  49.集団の組織化と指導
  50.健康教育の原則
  51.ストレスー脆弱性ー対処モデルとSST
  52.セルフヘルプグループの意義
  53.職業リハビリテーションにおける準備性
  54.職業リハビリテーションの支援戦略
  55.支援者自身の成長と健康保持(ケアマネジメントの名称
 事例
 ケアマネジメントに関する我が国の主な成書
 ケアマネジメントとその周辺に関する自著論文
 あとがき

※必読です。ブログにもちょこちょこ紹介していますが、ぜひ買って読んでください。(黒田)
by open-to-love | 2008-10-14 23:13 | 『図説ケアマネジメント』 | Trackback | Comments(0)