精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:盛岡圏域家族交流会( 4 )

 精神障害者地域移行支援特別対策事業「盛岡圏域家族交流会」報告

 精神障害当事者・家族・関係機関・市民のネットワーク「盛岡ハートネット」は、2012年度県精神障害者地域移行支援特別対策事業盛岡地域委員会の委員として、同事業の一環で、2013年2月3日に盛岡市総合福祉センターで盛岡圏域家族交流会を開きました。お茶っこの会によく来ていただいている方からも、たくさん参加いただき、ありがとうございました。
 ハートネットは3月22日、盛岡地区合同庁舎で開かれた第4回委員会で、交流会について、A4サイズで8枚の「である」調の文書にて報告してきました。ハートネットのみなさんにも、委員会で配布した報告書をベースに、交流会がどうだったかについて、今後の家族支援はどんなだったらいいかなどについても、ざっくり報告します。
 ちなみに、報告は5章からなっています。

1:精神障害者地域移行支援特別対策事業と家族支援
2:盛岡圏域家族交流会開催に至る経緯
3:盛岡圏域家族交流会
4:家族アンケートの考察
5:あるべき家族支援に向けて


1:精神障害者地域移行支援特別対策事業と家族支援

 まず、この「精神障害者地域移行支援特別対策事業」とは何か? 「精神障害者が住み慣れた地域を拠点とし、本人の意向に即して充実した生活を送れるよう、関係機関連携の下で医療、福祉等の支援を行う観点から、統合失調症をはじめとする入院患者の減少及び地域生活を継続するための支援を推進する」ための事業でした。
 みなさんご存知の通り、日本は諸外国に比べて、ものすごく精神科病院への入院患者が多いのです。昔に比べて心の病の薬がずいぶん良くなって、症状が安定して十分に地域で暮らせるにもかかわらず、入院していることを「社会的入院」と言います。ハンセン病訴訟で国が敗訴したり、日本がものすごく入院患者が多いことを世界各国が問題にしたことから、ようやく「社会的入院の解消」に向けて国が動き出しました。そんな大きな流れの中に、この事業があります。
 同事業に2012年度から「精神障がい者等の交流事業の実施」が盛り込まれ、その一環として「家族同士の交流会」を開催することになったそうで、盛岡ハートネットが同事業盛岡地域委員会事務局(相談支援事業所太田の園・My夢)の依頼で、同委員会の委員になり、盛岡圏域家族交流会を企画立案したのでした。
 で、委員を頼まれたので、いろいろ考えたのですが、そもそも、家族支援って、社会的入院の解消のためだけに必要なのかといえば、必ずしもそれだけではないよな、ということでした。
 社会的入院を解消するための退院促進・定着支援(=精神障害者地域移行支援特別対策事業)を進める上で家族支援が重要なことについては、井上新平編『精神科退院支援ハンドブック ガイドラインと実践的アプローチ』(医学書院、2011年)にも示されています。そして、そもそも、退院促進に限定しないで、広い意味での精神保健医療福祉の中でも、家族支援の必要性や家族心理教育の有効性は、ずいぶん前から指摘されているのです。お勧め本として、後藤雅博著『家族心理教育から地域精神保健福祉まで』(金剛出版、2012年)を挙げます。ちょっと高いですが…。
 そこで、ハートネットとしては、今回の家族交流会を、しゃちこばった言い方ですが「地域精神保健医療福祉システムを構成する精神障害者家族支援の一環」として実施しようと思いました。


2:盛岡圏域家族交流会開催に至る経緯

 盛岡ハートネットは、家族交流会の開催に際し、委員会を構成する関係機関を対象にアンケート調査を実施しました。委員会のメンバーは、盛岡圏域(葛巻町から紫波町まで)の行政や精神科病院や相談機関などの担当者、いわゆる関係機関のみなさんです。家族交流会の企画立案を進める上で、関係機関のみなさんが家族支援についてどんなふうに考えているのか、どんな家族交流会がいいと考えているのかを知った上で実施しようと考えたからでした。
 2012年9月の第2回委員会で、アンケート調査への協力をお願いし、29機関中、25機関より回答が寄せられました。
 アンケートの回答から、関係機関のみなさんは、地域移行・定着を進める上で家族の役割が大きいと考えていることが分かりました。でも、家族が抱えるさまざまな課題を解決し、当事者を支える役割を担うという目標に向かってどうやって支援を進めるのかという具体的なところについては、模索が続いているなあ、という感じでした。
 そこで、交流会は「家族にとって楽しくためになるひとときであると共に、関係機関のこれからの家族支援のヒントにもなる」ように企画しました。


3:盛岡圏域家族交流会

 というわけで、いよいよ盛岡圏域家族交流会。2013年2月3日(日曜日)午後1時~4時30分、埼玉県立大保健医療福祉学部の横山恵子教授を講師に、「お茶っこの会」でいつもお世話になっている、盛岡市若園町の市総合福祉センターで開きました。主催は精神障害者地域移行支援特別対策事業盛岡地域委員会、企画協力が盛岡ハートネット、後援が岩手県精神保健福祉会連合会です。盛岡市内外のご家族ら約50人が参加しました。
 第1部は横山教授の講演「家族が元気になるために」。日本の精神医療福祉の歴史、家族の困難と家族会の歴史的変遷などに続き、家族の力を新しい家族に届ける「家族学習会」についても分かりやすく解説していただいきました。講演資料は、ブログにアップしてますので、お読み下さいね。とってもいい資料です。
 第2部は、埼玉もくせい会のメンバーを交え、参加者から数人を募っての「家族学習会」デモンストレーションと意見交換会をしました。「家族学習会」とは何かについても、横山先生の講演録に載っています。ちなみに、使用したテキストは、国立精神・神経センター国府台病院精神科家族心理教育グループ著『じょうずな対処 今日から明日へ』(コンボ発行)です。
 今回のプログラムは参加者から非常に好評でした。「継続的に開催してほしい」との声がたくさんありました。
 ちなみに、今回の盛岡圏域家族交流会は、盛岡での開催日前日の2月2日、宮古圏域障がい者福祉推進ネット(レインボーネット)が宮古市で開いた宮古圏域障がい者地域交流事業「宮古圏域家族懇談会」と同じようなプログラムで実施しました。というのは、盛岡ハートネットは2011年度以来、レインボーネットの依頼で家族懇談会のゲストをしており、せっかくですから一緒にやりましょ、ということで、共同で企画を進めたのでした。


4:家族アンケートの考察

 家族交流会参加者約50人中、アンケート回答者数は30人。アンケートは2部構成として、家族支援に関する設問も盛り込みましたが、28人が家族支援に関する設問に回答してくれました。
 その中で、印象深かったことについて、少し紹介します。「本人が初めて精神科を受診して診断を受けたとき、その精神疾患についての知識がありましたか」という質問に対し、「知識がなかった」と答えた方はかなり多かったです(振り返れば、私もそうでした)。精神疾患に対する普及啓発がまだまだ進んでいないことも、かつ、それだけに、家族に正しい知識を伝えてくれる専門家の存在がいかに大きいか、ということも浮かび上がりました。
 別の質問「本人の初診後、病気について十分な知識を得られるまでどのくらい時間がかかりましたか」の回答では、「3年以上」かかった方、さらには「いまだに得られていない」と答えた方も結構いました。
 あらためて、家族支援とは、家族会運営支援に留まるものではないなあ、家族に対するかかわりの総体が家族支援だよなあ、と思いました。
 今、盛岡でも、県内各地さらには全国各地で、家族会活動そのものが衰退傾向にあります。会員の高齢化、新規加入者の減少、活動のマンネリ化などなど…。そんな今だからこそ、地域精神医療福祉システムに家族支援を今後どう位置づけていくのか、きちんと考える時期に来てるのかなあと思いました。そのため、今回の交流会がいいきっかけになってくれればいいなあと思いました。
 ちなみに、交流会への参加者は、年代も、本人(精神疾患がある当事者)との関係も、多様でした。本人の疾患も、統合失調症だけではなく、これまた多様でした。
 精神障害者家族といえば「統合失調症の子どもを持つ親」という固定観念が根強いように思います。それは、全国的に家族会が組織された1960年代当時、主な会員が長期入院中の統合失調症患者の家族だったことが背景にあることでしょう。でも、その後、新規抗精神病薬が開発されたり、少しずつではありますが入院から地域へという流れが出て来たり、自殺とうつ病が社会問題化するなど、時代の変化につれて、「家族」像も多様になってきています。うつ病、そううつ病、パーソナリティー障害、発達障害などさまざまな疾患を抱えた当事者の家族がいますし、当事者との関係も伴侶、兄弟姉妹、親などさまざまです。そんな、さまざまな「家族」の状況に応じたかかわりも大事だなあと思いました。
 さて、先に触れましたが、家族交流会は宮古圏域でも同じようなプログラムで実施されました。今回のプログラムは、宮古圏域でもすごく好評で、継続開催を望む声が多かったそうです。それは何より、横山先生と埼玉もくせい会のコラボレーションによるプログラム自体の魅力でしょう。加えて、近年の多様な「家族」が、既存の家族会活動では満たされ得ない新たな「つながり」を求めているからということもあるんじゃないかなあと思いました。
 盛岡圏域では初の交流会だけに、参加者のみなさんは最初は緊張気味でしたが、だんだん盛り上がっていきました。精神障害者家族に限らず、初対面の人同士が心おきなく語り合えるようになるためには、すぐすぐ、とはいきません。1回こっきりの交流会ではなく、継続的に開催してこそ、その意義はもっと深まると感じました。


5:あるべき家族支援に向けて

 あるべき家族支援、といっても、盛岡ハートネットは「精神障害当事者・家族・関係機関・市民のネットワーク」ですから、家族支援の充実だけを願うようなことはしません。だって、当事者の安心こそ、家族の安心につながりますよね。ですから、大事なのは、硬い言い方ですが「地域移行支援特別事業を含んだ地域精神保健医療福祉システムの一環として今後の家族支援はどうあるべきか」ということなんだと思います。そんな視点から、今回の家族交流会を振り返り、これからを考えてみます。

 まず、通常の地域精神保健でも、地域移行支援でも、かねがね家族支援が重要だと言われていますが、今回、関係機関アンケートで、そのことが再認識されました。じゃあ、具体的にどう家族支援に取り組んでいくか、ですが、関係機関のみなさんには、今回の交流会をぜひ参考にしてもらえばいいなあと思います。それでこそ、開催した意義があるというものです。

 家族交流会での、横山先生と埼玉もくせい会の「家族学習会」プログラムは、参加者から非常に好評でした。このプログラムは、統合失調症に特化した「1回3時間程度、5~6回を1コース」という充実のプログラムです。今後は、統合失調症だけではなく、精神疾患一般に対する家族のよりよい関わり方をまとめた入門的プログラムも開発されるとうれしいなあ、将来的には、うつ病、そううつ病など、疾患別の家族学習会バージョンも開発されるとうれしいなあ、と、期待してます。

 震災と家族支援についても、ちょっと触れたいと思います。
 精神障害者家族であり、かつ、被災者でもある方が、自らを語ることは、すごく大変で、デリケートなことだと思います。でも、盛岡ハートネットが、被災地である宮古圏域で家族懇談会のゲストに招かれた際に感じたのは、家族が集い語り合うことは、すごく家族の元気につながるなあ、ということでした。
 その際、大事なのは、安心・安全な場で語る、ということだと思います。そのような場があればこそ、家族は安心してそれぞれのペースで語り合い、そこから、家族の元気は生まれていきます。そのため、レインボーネットの担当者は、細心の注意を払い、心を砕いて家族にかかわっています。その姿勢、熱意、すごいなあと思います。
 ところで、盛岡圏域は直接的な津波被害を受けてはいないですが、かといって、震災と無関係なわけではないです。沿岸被災地からは人口流出が進んでいますが、精神科病院がたくさんある盛岡圏域には、沿岸部からの精神障害当事者と家族がたくさん引っ越してきていることでしょう。そして、住み慣れた沿岸部から、これまで縁もゆかりもなかった盛岡圏域に移り住むことになった精神障害者家族にとってこそ、安心して語り合える場が求められているのではないでしょうか。
 その意味でも、盛岡圏域で家族交流会が継続的に開かれればいいなあと思いました。

 なお、盛岡ハートネットは震災後の2011年7月から月1回ペースで、そのような「安心して語り合える場」であることを願って「お茶っこの会」を継続開催しています。当事者中心の集まりと銘打ってはいますが、ご家族も誰でも参加OKですので、みなさん活用くださいね。
 そして、ハートネットは、盛岡圏域であれ他の圏域であれ、熱意のある関係機関に対しては積極的に応援していきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
(盛岡ハートネット事務局)
by open-to-love | 2013-03-25 00:16 | 盛岡圏域家族交流会 | Trackback | Comments(0)
盛岡圏域家族交流会「横山恵子先生資料」…下

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※とってもいい資料ですので、横山先生のご了承を得て、ブログにて紹介させていただきます。(盛岡ハートネット事務局)
by open-to-love | 2013-03-23 21:54 | 盛岡圏域家族交流会 | Trackback | Comments(1)
盛岡圏域家族交流会「横山恵子先生資料」…上

精神障害者地域移行支援特別対策事業「家族交流会」

日時:2013(平成25)年2月3日(日)
場所:盛岡市総合福祉センター
講師:横山恵子氏(埼玉県立大保健医療福祉学部教授)

内容:第1部 講演:「家族が元気になるように」
   第2部 グループワーク:「家族による家族学習会」

主催:精神障害者地域移行支援特別対策事業盛岡地域委員会
企画協力:盛岡ハートネット
後援:岩手県精神保健福祉会連合会(岩福連)

横山先生講演「家族が元気になるように」

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(下に続く)
by open-to-love | 2013-03-23 21:51 | 盛岡圏域家族交流会 | Trackback | Comments(0)
家族交流会のご案内(2013年2月3日)

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精神障害者地域移行支援特別対策事業

家族交流会のご案内

 なぜ我が子が精神疾患に…現実を受け入れられない…。退院したけど将来が不安…。
 家族が独り苦しみを抱え込まず、集い、学び、語り合い、希望を取り戻しませんか?

日時:2013(平成25)年2月3日(日)13:00~16:30(開場12:30)

場所:盛岡市総合福祉センター(盛岡市若園町2-2) 4階

講師:横山 恵子 氏(埼玉県立大保健医療福祉学部教授)

内容:第1部 講演:「家族が元気になるように」
   第2部 グループワーク:「家族による家族学習会」

対象:盛岡圏域にお住まいの精神障がい者の家族と、家族支援にご関心のある関係機関の方

定員:50人。平成25年1月25日まで電話、FAX(裏面)、
メールで申し込み下さい。当日参加も可です。

参加費:無料
主催:精神障害者地域移行支援特別対策事業盛岡地域委員会
企画協力:盛岡ハートネット
後援:岩手県精神保健福祉会連合会(岩福連)

※統合失調症などの精神障がい者の入院を減らし、住み慣れた地域で充実した生活が送れるように、盛岡圏域(盛岡市、八幡平市、雫石町、葛巻町、岩手町、滝沢村、紫波町、矢巾町)の市町村や精神科病院などが連携して「精神障害者地域移行支援特別対策事業」に取り組んでいます。

【申し込み&問い合わせ】
◎盛岡広域圏障害者地域生活支援センター(My夢) 担当:黄川田
  住 所:盛岡市本町通3丁目19-1 岩手県福祉総合相談センター内2F 
電 話:019-605-8822
FAX:019-605-8823
メール:sc-maim@giga.ocn.ne.jp
◎盛岡ハートネット事務局
携 帯:090-2883-9043
PCメール:yukapyon@estate.ocn.ne.jp
携帯メール:opentolove@ezweb.ne.jp
ブログ「Open, to Love」http://opentolove.exblog.jp/

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※盛岡ハートネットが企画協力です。ご家族のみなさま、ぜひご参加下さい。
by open-to-love | 2013-01-10 01:12 | 盛岡圏域家族交流会 | Trackback | Comments(0)