精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:抗精神病薬( 1 )

向精神病薬を正しく理解していますか…薬物治療に不安や疑問を持っていませんか?
第1部 こころのお薬Q&A集

Q.19:抗精神病薬は統合失調症を治すのですか?あるいは症状を抑える薬なのでしょうか?

A.「治る」という言葉の解釈により答えは変わってくると思います。例えば風邪の時、薬を服用すると症状が治まり、薬を飲まなくても会社や学校に行けるようになります。このように「治る」ということを「元の状態に戻る」、あるいは「薬を服用せずに社会生活が送れる状態」と解釈するとするならば、統合失調症を薬物で治すことはなかなか難しいといえます。しかし、糖尿病患者がインスリンを使用しながら、日常生活を送るように、薬物を使用することで病気による症状がある程度消失し、日常生活を送るのに支障をきたさない程度にまで回復する。つまり、寛解を「治る」と解釈するのであれば、統合失調症は治すことが十分可能な疾患です。特に初発の統合失調症患者の場合は、85%以上が一度は寛解を迎えるといわれています。残念ながら中には、抗精神病薬を使用しても、完全に症状が消えず、幻覚や妄想に苦しんでいる患者が存在することも事実です。しかし、そのような患者でも抗精神病薬を服用することで、「幻聴はまだ残っていますが、それに行動が左右されることはなくなり、無視することができるようになりました」と話し、その症状に対して、自身との間に距離をおくことができるようになることもあります。このような状態が維持できれば、ある程度の症状が残っていても薬を服用しながら仕事をする、学校に通う、また家事をするなどの日常生活に戻り、社会生活を送ることが十分可能になります。
 その一方で、統合失調症の患者の中には、抗精神病薬では寛解に至ることができない(治療抵抗性)患者が存在することも事実です。このような患者には、薬物療法だけでは十分な効果が得にくいため、心理教育などの心理社会的療法の併用が効果的であるといわれています。
 では、病気が「寛解」した後の服薬は必要でしょうか? 統合失調症患者が、症状が消失したことで「病気は治った」と判断し、勝手に服薬を中断してしまうと、再発する可能性が非常に高くなります。実際、服薬を中断すると、1〜2年以内に80%以上の人が再発するという報告があります。また、再発を繰り返すたびに症状が重くなり、それまでの薬の量では症状を抑えることが困難になり入院に至ることもあります。このような症状の重症化は、回復までの期間を長くさせることになり、長期入院を余儀なくされることがあります。つまり抗精神病薬を服用することは、病気を治療すると同時に病気の再発により患者が苦しまないための再発予防薬であるともいえます。
 しかし、抗精神病薬をきちんと継続して服用していれば、全く再発しないというわけではありません。ただ、服薬を継続していて起きた再発は、服薬を中断した結果おこる再発に比べ、軽症であることが多く、また回復も早いといわれています。
 統合失調症を治療し、その再発を予防するためには、薬物療法と同時に服薬指導などの服薬教育を通して、医療を提供する側と患者との間で薬についての正しい知識と情報を共有することが重要です。

星和書店「こころのりんしょう a・la・carte」Vol.27 No.3(2008年9月)
by open-to-love | 2009-08-20 20:06 | 抗精神病薬 | Trackback | Comments(0)