精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


by open-to-love
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ:成年後見制度( 1 )

2010年2月13日 岩家連いきいき交流会資料

漆原さんは2009年12月、盛岡市大通リリオで開かれた、社会福祉士会フォーラムで私が講師として招かれた際、司会をしていただいた方です。今回、いきいき交流会開催にあたり、精神障害者家族にとって非常に関心の高い「親亡き後」「成年後見制度」について、ぜひ社会福祉士の方にお話いただきたいと漆原さんを通じ頼んだところ、その漆原さんが講師を引き受けてくださいました。とっても優しい方です当日のお話が楽しみです。(黒田)

「分かりやすい“成年後見”のしくみ」

社会福祉士 漆原(うるしばら) 圭史(けいし)
★「社会福祉士」って、どういう人?
 「専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者または医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡および調整その他の援助を行うことを業とする者」(社会福祉士及び介護福祉士法 第2条)

 分かりやすく言えば、「福祉的支援を必要とする方への、総合的支援を行なう専門職」といえるでしょうか。
 福祉施設や相談支援機関、行政の福祉関係部署、病院のソーシャルワーカーなど、「社会福祉士」はいろいろな場所で活躍しています。
 (ちなみに私の場合、保育所で保育士、老人福祉施設で生活相談員を経て、現在は知的障がい者の生活介護施設で生活支援の仕事をしています。)

★「成年後見」制度とは・・・?
 認知症・知的障がい・精神障がいなどを持つがゆえに、自分の財産(預貯金や不動産など)を管理したり、法律上の「契約行為」(物品の購入、福祉サービスの利用契約、医療サービスの利用契約、遺産分割協議など)を自分で行うことが難しい方のために、「本人」に代わって法律上の行為(契約など)を行ったり、財産の管理を行ったりする人を選任し、本人を保護・支援していく制度です。

★成年後見制度の「3類型」について
 法定後見制度においては、本人が持つ「判断能力」など、本人の状況に応じて3つの類型があり、本人の状態に応じて「代理権」(本人に代わり契約する)・「取消権」(本人がよく理解しないまま結んでしまった契約を、代わりに取り消すことができる)が付与されます。

 「後見」・・・「判断能力が欠けているのが通常の状態」と判断される方
        財産に関するすべての契約行為について後見人に「代理権」が付与されます。
        日常生活にかかわる行為以外のすべての行為について、後見人に「取消権」が発生します。

「保佐」・・・「判断能力が著しく不十分」と判断される方
      申立の範囲内で、家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(例・預貯金の管理、介護・福祉サービス利用の契約、保険金の請求など・・・)について保佐人に「代理権」が付与されます。
      また、民法に規定された所定の行為(不動産の処分、借金、相続など・・・)について保佐人の同意のもとで行ったり、本人にとって不利益な場合、保佐人に「取消権」が発生します。

「補助」・・・「判断能力が不十分」と判断される方
      「保佐」類型と似ていますが、本人の意思を尊重してサポートする形になります。

【たとえば・・・】
◎日常生活に必要な買い物が一人でできない・・・・・
「自己の財産を管理・処分することができない」ので、「後見」ケースに該当します。
◎日常生活に必要な買い物はできるが、大きな金額の買い物や契約(不動産の処分・お金の貸し借りなど)はできない・・・・・
「自己の財産を管理・処分するには常に援助が必要」なので、「保佐」ケースに該当します。
◎大きな金額の買い物や契約も、できるかもしれないけれど自信がない・・・・・
「援助が必要な場合もある」ので、「補助」ケースに該当します。

★後見人には、どういう人がなれるの?
 現在の状況では、「親族後見」(親や兄弟、親戚など)が大多数を占めている現状です。
 ただし、適任な親族がない場合、親族間で問題がある(関係がよくない、本人がほかの親族に不当な扱いを受けているなど)場合は、「第三者」(弁護士・司法書士・社会福祉士など)が選任されることもあります。
 申立の際に「後見人候補者」を記入することになっていますが、この時点で「第三者」を推薦してもらう方法もあります。また、親族を候補者に立てても家庭裁判所の判断で「第三者」が後見人等に選任されるケースもあります。

★後見人をつけるには、どういう手続が必要なの?
 まずは「申立人」(法律上は4親等以内の親族となっています)が家庭裁判所に申立をします。
 それを受けて、裁判所調査官の面接や、主治医の診断書、必要に応じて「精神鑑定」を行った上で審判が下ります。(DVDを参照ください。)
 4親等以内の親族がいない場合は、市町村長の職権で申立することも可能です。
 ちなみに申立にかかる費用は、申立手数料・印紙・切手などで約1万円、精神鑑定が必要な場合は5万円(裁判所に「予納」することになります)ほどです。ほかに戸籍や住民票などが必要になります。申立に際して、一度家庭裁判所で説明を受けた上で準備していただくことになります。

★後見人がついてくれればもう安心なの?
 本人が地域・社会の中で安心して暮らしていくためには、「後見人」がいれば済むわけではありません。
 身近なところでかかわりを持っている家族をはじめ、主治医・ワーカー・福祉サービス・行政・・・いろいろな機関や人とのかかわりの中で生まれる「セーフティ・ネットワーク」で本人を見守り、支援していく必要があります。「後見人」も、そのネットワークの一員として、本人が安心して暮らせるように「お手伝い」していく役割を担っています。
 
 特に、第三者が選任された場合では、第一にご本人様との「信頼関係」を築くことが最優先課題になります。ご家族、周りの支援者の皆様にもご理解・ご協力をお願いしたいと思います。
また、「セーフティ・ネットワーク」の中でご本人様を支援していくことになりますので、本人や家族が「孤立」してしまわないよう、できるだけ周りとの良好な関係を築いていただきたいと思います。

★社会福祉士会権利擁護センター「ぱあとなあ」について
 日本社会福祉士会(社会福祉士の職能団体)では、「成年後見人受任者研修」を受講した会員で、後見人受任が可能な会員を権利擁護センター「ぱあとなあ」会員として登録しています。
 「ぱあとなあ」では、福祉専門職の立場から、ご本人が地域・社会の中で安心して暮らしていくことができるように相談に応じたり、申立支援を行なったりしています。また、第3者後見人としての受任も登録会員が対応しています。

ほかにも司法書士会が運営する「リーガル・サポート」、弁護士会などでも第三者後見についての相談を受けています。相続・財産管理面での心配事が大きい場合は、専門家であるこちらを利用する方法もあります。


※日常生活や財産管理などの点でご心配なことがあれば、ぜひご相談ください。※

岩手県社会福祉士会 事務局  019-648-1411(青山和敬荘内)

毎月第2土曜日、盛岡市菜園・川徳8階にて「福祉なんでも相談」を開催しています。
(予約不要・相談無料)
by open-to-love | 2010-02-08 22:13 | 成年後見制度 | Trackback | Comments(0)