精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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カテゴリ:キララシンポ発表( 3 )

■開かれた活動であるために■

第3章 キララとハートネット、似ているところと似てないところ

 こんな風に盛岡で活動しているハートネットと、一関で活動しているキララ。その特徴について、箇条書きにしてみます。

【キララ】
形態:当事者主導、家族、関係機関、市民巻き込み型
活動=シンポジウム、演劇(キラりん一座)
成立条件:当事者のニーズ+豊かな社会資源(病院の理解+関係機関の理解+地域の理解)

【ハートネット】
形態:家族主導、当事者、関係機関、市民巻き込み型
活動=誰が来てもいい例会
成立条件:埋もれたニーズ+いろいろある社会資源

 当事者活動と家族会活動という出発点の違い。さらには、市町村や県立南光病院や地域生活支援センター一関や作業所といった社会資源の豊かな素地と連携、市民ボランティアはじめ地域の温かい理解を土台にしているキララ。一方、むしろ連携が乏しいからネットワークという枠組みをつくることで連携を密にしよう!というのが結成動機のハートネット。このように、お互い、形態や成立条件は異なります。でも、双方の共通項は、キララの活動の柱であるシンポジウムと演劇、ハートネットの活動の柱である例会が、ともに「開かれた活動」である点です。
 それぞれの活動は、仲間うちで終始せず、2つの方向へ開かれています。1つは、まだつながれていない当事者や家族にとって、開かれた活動になっています。もう1つは、社会に向かって。キララの場合は、定期的な集まりでのメンバーの思いが、年1回のシンポジウム、あるいはキラりん一座の演劇発表によって、社会へ開かれます。ハートネットの場合は、そもそも例会はじめプロセス全体をオープンにしています。

【キララの場合…演劇=オープン・ロールプレイ】
 私思うに、演劇とは、最高のロールプレイなんじゃないかと思うのです。
 ロールプレイとは、当事者がさまざまな役割を演じることで、自らの新たな可能性を発見したり他者の気持ちに思いを馳せたりしながらエンパワーメントしていくための、精神保健福祉分野の一技法。でも、キララの場合は、それがオープンなロールプレイ=演劇であることがすごい。単に個々人のエンパワーメントを越えて、社会との接点、すなわち、自分たちの思いを社会に表明するまたとない晴れ舞台となっているところに独創性があります。
 さらに、脚本の素晴らしさについても一言。審美的に一定のレベルを保持しています。脚本を担当された保健師の北川明子さんは、何でも「その昔、演劇部だった」とのこと。なるほど、確かに演劇のツボを押さえた脚本ですね。でも、この脚本、決してある特定の個人の創作ではないと感じます。個人の創作というより、いろんな人の声が響いている、文学的に言えばポリフォニック(多声的)な作品です。みんなの体験、思い、メッセージの集約として脚本が書かれているのです。よって、脚本の素晴らしさは、決して北川さん個人だけじゃなく、キララだけでもない。キララ&北川さんのコラボレーションが、この脚本を生み出したのだと察します。
 さて、メンバーがその脚本を練習し、発表に至るという過程は、ロールプレイによるエンパワーメントであり、社会へ向かう一歩一歩。さらに、メンバーの思いを盛り込んだ脚本が、メンバー自身によって、舞台上で観客へ向かって「声」として発せられるまでの過程でもあります。
 そして、いよいよ発表。まだつながれていない当事者、家族が、キラりん一座の舞台を見たら…その驚き、感動はいかばかりでしょうか。「自分と同じ病気を抱えた人たちが、人前で堂々と発表するなんて!」。客席から、仲間を得ることの大切さや喜びを実感し、社会へ目を開くきっかけになることと思います。さらに、精神障害について知らなかった一般市民にとって、キラりん一座公演は、精神障害を理解するための、共生社会を樹立するための、またとないチャンスになろうかと思います。
 なお、実は私、まだ演劇の本番を観たことがない。その代わり、ビデオで「トンネル抜けたら!」を観賞することができました。そして、思いました。「盛岡でキラりん一座を観たい!」。ぜひ、ハートネットの例会として、「キラりん一座盛岡公演」を実現したいと思います。みなさん、よろしくお願いします。

【ハートネットの場合…誰が来てもいいですよ】
 演劇を軸にしたキララの活動に比べると、ハートネットはそんなにすごくありません。まだスタートラインに立ったばかりではありますが、少なくとも、まだつながれていない当事者や家族、そして社会とつながるため、可能な限りその活動をオープンにして、みんなが参加しやすいよう間口を広げています。また、リーフレットとブログとニュースで情報発信。例会は、当事者や家族のエンパワーメントの場でありながら、一般の人も参加することで、社会に実情を知ってもらう場にもなっています。
 例会のテーマについては、参加者のアンケートや直接寄せられるニーズに基づき、設定しています。例えば第6回例会として開いたシンポジウム「こころとお金の悩み解決」は、当事者や家族の思い(「多重債務でうつ病になって自殺する人、けっこう多いんじゃない?」「国の自殺防止施策ってうつ病治療ばっかりだけど、根本的な格差問題を何とかしないと自殺って減らないんじゃない?」「精神障害者って障害年金だけでカツカツだから、つい借金しちゃったりパチンコにお金つぎ込んだり…金銭問題、いっぱいあるんだよね」「金があればオレは幸せ」といった声)を生かし、精神疾患治療と多重債務対策の連携の必要性を社会に問題提起する試みの一つでした。
 例会のもよう、収支報告、アンケート結果などは、プライバシーに差し支えない限り、そっくりそのままニュースやブログで公開してます。逆に言えば、ハートネットは一人ひとりが主役ですから、事務局3人が自分たちに都合よく情報操作して、ネットワークを私物化することは許されません。みんなのネットワーク、みんなの思いをくみ取った活動であり続けるためには、その思い=アンケート結果から、それに基づいた例会の企画立案と当日のもようまで、すべてオープンにするのが一番。逆に言えば、オープンにしておけば、事務局がみんなの思いとは異なる運営をしようとしたら、すぐバレます。人はなかなか自分のことを客観的には見詰められず、自分に都合良く解釈してしまうものです。私だってそうです。自分ではみなさんのニーズをくみ取った活動をやってるつもりでも、他の人から見ればそうじゃないのかもしれない。だから、初めからすべてオープンにしておいて、みなさんに「黒田ってさあ、最近ちょっとアレなんじゃないの」「態度デカイよね」とか、好き勝手を言ってもらった方が、早いとこ反省できるという意味で、安心なんです。


第4章 開かれた活動であるために

 ハートネットが「開かれた活動」であるというのは、単にオープンな人にとって開かれた集まりですよ、そこに来れない人は知りません、というわけではない。オープン/セミクローズ/クローズ、すべての人にとって「開かれた活動」でなければなりません。
 というのは、精神の分野はいまだ偏見や差別が根強いため、多くの当事者や家族はクローズにしています。私自身はオープンにしていますし、ゆくゆくはみんながオープンにしていかないと、なかなか社会の理解は深まらないという認識は持っています。かといって、その思いをみなさんに押し付ける気はない。個々人の事情はさまざまですから、オープンにするかクローズのままでいるか。それは、あくまで本人次第です。
 すると、「開かれた活動」には、2つの意味があり、ハートネット事務局の役割も2つあるといえましょう。1つには、これまで述べてきたように、「開かれた活動」としてのハートネットを運営するという役割。と同時にもう1つ、ハートネットというオープンな場に来る勇気がない人のためにプライバシー厳守でディープな相談に乗ったりするという、クローズな人たちにとっての「開かれた活動」であるための、裏方さんとしての役割です。
 オープンな人(例会に来れる人)、クローズな人(例会に来れず、ニュースだけほしい人、ブログだけ見ている人)、セミクローズな人(例会に来たいけど恥ずかしいし…と思い悩んでいる人)、こうしたすべての人に開かれた集まりをハートネットは目指しています。おそらくはキララだって、さまざまなメンバーがいる。オープンな人(演劇に出演する勇気がある人)だけの集まりではなく、クローズな人(人前で演じるなんて恥ずかしいという人)、セミクローズな人(出ようかな、でも恥ずかしいし、どうしようと逡巡している人)、すべてを含んだ集まりであることでしょう。
 さて、裏方さんとしてのハートネット事務局は、どんなことをしているか。例えば「例会に参加したい、わが家の問題について講師先生に質問してみたい…でも、大勢の人前に出る勇気がない」という人から連絡があったら、まずは事務局が窓口になります。例えば、喫茶店かどこかで待ち合わせし、その方と個別にお会いし、悩みを聞いたり、専門の相談機関を紹介したり、そこまで同行したりする。その上で、ちょっとだけ参加を勧めてみます。直接人と会う勇気がない、名乗りたくない、匿名で電話だけの関係がいいという人とは、電話でおしゃべりします。ニュースの郵送だけを希望される方、メールだけの関係を希望される人もいます。それぞれ、望み通りに対応します。
 こうした、今はクローズだけど今後ハートネットに来るかもしれない人は、私が関係しているだけで数十人います。私としては、そんな人たちに無理矢理「ハートネットに来なさい」と追い立てるつもりはなく、そんな関係を数カ月なり半年なり続けているうちに、その人にだんだん勇気が出てきて、自然と「例会に行ってみようかな」という気になればいいな。それまで、じっくり待とうかなと思っています。
 待つ。言うはやすし、行うは難し。でも、ハートネットが活動を始めて以来、多くの当事者や家族から問い合わせや相談電話があり、例会を開けば開くほど、窓口を広げれば広げるほど、それは増えていき、そして、ちょっとずつではありますが、最初はクローズだった人が、だんだん心を開き、例会ごとに1人や2人、新しい顔が増えていく。こんな風に、今はまだつながれていない人でも、まずは電話なりメールなりで事務局とつながって、その人がゆくゆくは例会に来ていろんな人とつながって、楽しくおしゃべりして…という具合に、つながりが広がっていけばいいな、と思っています。
 盛岡の地で、ハートネットの活動を始めてたかだか1年弱ですが、裏方としての役割の重さ、大変さをそれなりに実感しています。そして、その重さを実感するにつけ、キララを支え続けてきた裏方さんはすごいな、と思うのです。そして、だからこそ、その喜びは私たちよりもっともっと大きいんじゃないのかなあ、と想像するのです。
キララの裏方とは誰か。そう、自称「おっちょこちょい」の北川明子さんです。
キララもすごいが、北川さんもすごい。一関地方の多様な社会資源と当事者活動をいいあんばいにコーディネートした上に、ロールプレイの技法を援用して当事者の思いと社会を結ぶ「演劇やろう!」というアイデア。さらに、その完成度の高さ。私たちは、キララと北川さんのコラボレーションに多くを学んでいます。
 長らく一関保健所大東支所を拠点にして活動し、本年度から、ここ「酒のくら交流館」に活動の舞台を変えたキララ。関係機関の緊密な連携と、何より千厩にお住まいのみなさんの温かい理解の下で、その「開かれた活動」をますます広げ、ますます多くの当事者とつながっていくことを、盛岡の地から願ってやみません。
 お互い、頑張りすぎず、頑張りましょうね。
(盛岡ハートネット事務局 黒田大介)

※というわけで、9月27日、千厩で、盛岡ハートネットについて、盛岡ハートネットから見たキララについて、話します。盛岡からはちょっと遠いですが、みなさま、当日、会場でお会いしましょう。(黒)
by open-to-love | 2008-09-20 18:05 | 黒田:キララシンポ発表 | Trackback | Comments(0)
 ※来たる9月27日13時20〜16時、一関市千厩町字北方134の「一関市千厩酒のくら交流施設 東蔵」にて、心の病と共に生きる仲間達連合会キララ主催の「明るく生きる2008 こころのシンポジウム」が開かれます。その中の、おしゃべりシンポジウム「活動すること、仲間、つながり、心のケアについて考えよう」で、盛岡ハートネット事務局の私が「当事者・家族・支援者・市民交流をめざすネットワーク活動について」をテーマに話題提供することになりました。私のほか、当事者の方が「ひきこもりからの回復と仲間活動について」をテーマに発表されるそうです。コーディネーターは、精神保健ボランティアあおぞら会代表の神崎浩之さん、助言者は岩手県立南光病院の先生なんだそうです。
 で、下記が、その発表文です。

開かれた活動であるために
     -キララとハートネット

(9月27日 キララ「明るく生きる2008 こころのシンポジウム」資料)

はじめに
第1章 盛岡ハートネットの紹介
第2章 なぜハートネットはこうやっているのか?
第3章 キララとハートネット、似ているところと似てないところ
第4章 開かれた活動であるために


はじめに

 シンポジウムで盛岡ハートネットの活動を発表させていただくに当たり、さる8月23日、事務局の3人で一関市千厩の「酒のくら交流館」を訪問し、「心の病と共に生きる仲間達連合会キララ」(以下・キララ)の活動を見学させていただきました。それから、キララが主催したこれまでのシンポジウム開催要綱、演劇の脚本なども読ませていただき、演劇のビデオも見ました。知れば知るほど、キララはすごいな、と思います。と同時に、キララを知ることによって、自分たちの活動を振り返ることもできました。当事者活動としてのキララと、家族会活動から始まったハートネット。活動場所も、出自も、やってることもずいぶん違うけど、似てるところもあるよな、と感じるのです。
 似てるところ、それは「開かれた活動」であるということです。
 まずはハートネットの自己紹介(1、2章)。それからキララとハートネットを比較してみます(3章)。そして、最後の第4章「開かれた活動であるために」は、1~3章とは毛色を変えた、クローズとオープンをめぐるテクニカルな話。精神の分野は、これまでも、そして今なお閉ざされている部分が多いわけですが、そんな中で「開かれた活動」をするために事務局として考えていることについて、ちょっと触れたいと思います。


第1章 盛岡ハートネットの紹介

 盛岡ハートネットは2007年10月、誕生しました。もうすぐ1年です。事務局の3人はそれぞれ仕事やら家事やら育児やらを抱えていますから、無理しないでのんびり、のつもりなんですが、結局のところ、いろいろやってます。
 それはどんな組織か? 一言で言えば、超ゆるゆる。それは、さっぱり組織の体をなしていません。
 ポイントを箇条書きにしてみます。

【代 表】いない
【事務局】阿部稲子さん、山口みどりさん、黒田の3人
【会 則】なし。その代わりに「4つのルール」
    ♡代表は選びません。参加された皆さん一人ひとりが主役です
    ♡参加費の領収書は出しません。払うか払わないかは任意です
    ♡安心し楽しくおしゃべりしましょう。プライバシー厳守です
    ♡みんなで決めて、みんなの力でハートネットを育てましょう
【会員数】不明(例会のたびに来たい人が来ます)
【会 費】なし(例会のたびに実費数百円)
【活動場所】決まった場所はなし(あちこちに出没してます)
【参加資格】なし。誰でもどうぞ
     (主な参加者は家族ですが、徐々に当事者、関係者も増えてきました)
【活動ペース】2カ月に1回ぐらい
【活動内容】講師のお話&交流会の二本立て。シンポジウムもやりました
【情報発信】◇リーフレット
      ◇ニュース(例会のもようを紹介。通巻6号。毎号100部程度発行)
      ◇ブログ「Open, to Love」http://opentolove.exblog.jp/
      (開設は2007年4月、1日のアクセスは80件から140件
       08年9月18日現在アクセス1万9080件、記事数757件)
【岩家連との関係】微妙
【行政との関係】微妙
【目 的】まずは、まだつながれてない、独り悩み苦しんでいる人とつながること
【期 待】盛岡以外でも、いろんなネットワークが広がればいいな…


第2章 なぜハートネットはこうなっているのか?

 組織っぽくない、ゆるゆるハートネット。それは、言い出しっぺの黒田の性格がテキトーなこともなきにしもあらずですが、一応、盛岡における家族会活動や関係機関の現状と課題を何とかするための理論的考察(…なんつって、そんなに大したもんじゃないですが)に基づいた、一つの実践のつもりなのです。以下、課題を列挙します。

○既存の家族会活動の課題
 ◇家族だけ、がそもそもおかしい。一番大変なのは当事者なのに
 ◇家族会に入っておらず、孤り苦しんでいる人と、なかなかつながることができない
 ◇各家族会単位で活動し、横のつながりがない
 ◇おしなべて高齢化、会員減。一方で、患者も家族も増えているのに…
 ◇代表(会長)が一度決まるとなかなか代わらず、高齢化し、後任が見つからない
 ◇統合失調症患者の家族ばっかり集まっている。精神疾患はさまざまなのに
 ◇これだけ情報化時代なのに、情報に巡り会えなかったり、振り回されている人が多い
 ◇社会との接点がまだまだ希薄
 ◇世の中の動きに呼応した活動になっていない
 ◇こうした課題を自覚しつつも、「お金がないとできない…」「行政にやってほしい」「誰かがやってくれないかな」とかいう理由で、なかなか一歩が踏み出せないでいる
(詳しくは、ブログ所収の黒田の小論『家族会ネットワークをつくろう-盛岡ハートネットの取り組みから』を参照下さい)

○関係機関の課題
 ◇行政、病院、支援事業所…関係機関はごまんとあるのに、意外と連携してない
 ◇従来の家族会活動とはかなりの距離があり、おそらくはニーズが見えずらかった
(詳しくは、同じく小論『実効性ある連携への諸課題-建前と良心』を参照下さい)

○社会全体の課題
 ◇まだまだ精神障害のこと、精神障害者や家族のことを知らない
 ◇だから、いざ発病したとき、早期発見・早期治療がなかなか難しい…
 
 あれやこれや、課題はてんこもりです。一挙に解決とはいかない。でも、ちょっとずつ解決していくために、一歩を踏みだそう。というわけで、ハートネットは誕生しました。なお、阿部さんと山口さんという2人の稀有なキャラクターがいなかったら、ハートネットはできなかったでしょう。私は2人の生き方から多くを学んでいます。
 本当に「お金がないとできない」のか?「行政がやってくれない」とグチをこぼしている場合か? 独り苦しんでいる当事者や家族をよそに「自分はできないから、誰かがやってくれないかな」なんて待ってる場合か? いいえ、違います。別紙「キララ&ハートネットの軌跡」をご覧下さい。ハートネットの歩みは、わざわざ会則を決めたりNPOを取ったりとか七面倒くさいことをしなくても、行政から補助金を貰わないでも、自分たちの力で十分にいろんなことをできる、ということの証明です。
 みなさんご存知の通り、現代は「うつの時代」。日本では年間自殺者がずっと3万人を超えています。精神障害者も増えています。当然、精神障害者の家族も増えています。ところが、なぜ、それに反比例して家族会員は減ってるのでしょうか? 一昔前とは異なって、現代の当事者や家族はみんなで勉強したり、支え合う集まりがなくても大丈夫だから、もう家族会活動はいらないってこと? いいえ。今こそ、現代的な活動のあり方が求められているのです。だって、ハートネットの参加人数をご覧下さい。これだけの方に必要とされている取り組みなんではないでしょうか。
 ちなみに、関係機関が連携を進めるためにも、ハートネットは便利です。だって、ここは誰が来てもいいし、縦割りは無関係。立場を超えてみんなでワイワイおしゃべりできるんですもの。
社会との相互理解を深めるためにはどうしたらいいか? そんなに難しく考えず、まずは「どなたでもどうぞ!」と、こちらが扉を開けばいい。
 さて。ちょっと具体的に書きます。例えば、ストレスが溜まって溜まってもう大変だ!爆発しそうだ! という家族の方がいたとします。そんなとき、どうするか? 本屋さんには、入門書やら専門書やらがずらっと並び、ページをめくれば「ご家族も抱え込まず、自分の人生を楽しみましょう」なんて書かれています。なるほど。でも、分かったようでよく分からない。それができないから困ってるんですものね。
 そんなあなた、ハートネットに来てみませんか? 例会のおしゃべりで、家族のストレス対処法という話題になったとしましょう。私なら「煮物を作る」と答えるかな。100人いれば100通りのストレス解消法があります。筑前煮、治部煮、ビーフシチュー…。スパゲッティは、あんまり煮すぎるとデロデロになってコシがなくなるから向かないかも…むろん、料理に限らず、いろいろあるでしょうが。いずれ、そんな中で、自分に合ったストレス解消のヒントが見つかるかもしれません。本に書いてある一般的な知よりか、わが家ではこうやってますよという、体験的で素朴な知の方が、よっぽど役に立ちます。あと、例会のもようはニュースに書きますし、そこで出た話題については、私が持ってるいろんな本から参考になる記述を探し出し、ブログに収録してます(著作権については…みなさん、内緒ですよ)から、そちらも参考になります。
 なぜ、ハートネットが家族限定ではなく「誰が来てもいいですよ」ということでやっているのか。それは、家族だけで集まると、ついついグチのこぼし合いになってしまうからです。それはそれで仕方ない面もあるのでしょうが、当事者は当事者で、また別の思いを抱えていることを忘れてはなりません。ある当事者が言ってました。「家族会って、どうせ自分の悪口言ってるんでしょ。それって嫌だな」…。
 家族の論理は、しばしばパターナリズム(父権主義。頭ごなしに当事者を押さえつけてしまうこと)に陥ってしまう。そうならないためには、家族の論理と当事者の論理の対話が必要。ハートネットはそういう場でもあります。
 さらに、ハートネットには関係機関からの参加者、つまりプロの方も来ています。すると、何かディープで専門的なことを知りたいときは、わざわざその機関に出向かなくても、この場でちょっとみんなから離れて、個別に相談することだってできます。
 さらに、この場には、一般市民の方も来ている。先にストレス対処法について触れましたが、一般市民の方だってストレスはあります。その方の夫婦げんかの対処法から、ヒントが見つかるかもしれませんよね。精神保健福祉業界だけの狭い視野を超えた、ユニークなアイデアが飛び出すかもしれませんよ。
 岩家連との関係は「微妙」。というのは、ハートネットは岩家連加盟団体ではありますが、家族だけの集まりではなく、会則もなく、代表もいない。いわば、ちょっとはみ出している感じです。ゆくゆくは、岩家連も「家族」という名称が外れ、当事者主体で家族がサポートする組織に移行していけばいいなと思います。
 行政との関係、これまた「微妙」。ハートネットはこれっぽっちも行政主導ではなく、依存的でもありません。行政のみなさんに例会への参加を呼び掛け、「行政としてやるべきことはやってくださいね」と態度はデカいですが、「金くれ」とは言わない。これを、いい意味での〝緊張感ある関係〟と私は考えています(が、行政のみなさんはどう思ってるんでしょうね)。行政にとっては、ハートネット例会に来れば当事者や家族の生の声に接することができたり、何かを告知する際にハートネットのネットワークを活用するメリットもありますよ。
 「4つのルール」について。
 2つ目「領収書は出しません。払うか払わないかは任意です」は、たとえ数百円といえどお金がない人は無理に払わなくていい、ということ。加えて、参加される人が公務であろうとプライベートであろうと、偉い人であろうと偉くない人であろうと関係なく会費払ってもらいます、で、払ってる額は同じなんだから、ここは平場ですよ、上下関係はないですよ、ということの確認です。
 3つ目「プライバシー厳守です」は、言うまでもないことです。ここだけのつもりで相互の信頼関係に基づいておしゃべりしたことを、あちこちでへらへら言いふらされることは、当事者であろうとなかろうと、嫌なことですよね。
 1つ目「参加された皆さん一人ひとりが主役です」。第1章にハートネットの目的として「まずは、まだつながれてない、独り悩み苦しんでいる人とつながること」と挙げました。そこから先の目標については?…書いていません。どうしてかというと、私がとやかく言うことじゃないような気がするからです。参加された方一人一人が自ら目標を設定され、その目標に向かって進んでくれればいいな、と思います。だって、私は代表じゃないですから。この集まりには、代表がいませんから。つまり「参加された皆さん一人ひとりが主役です」。いつまでも誰かに依存してちゃ、自分の人生は切り開けません。ハートネット事務局の役割は、例会という場を設定するところまで。その場から何を学び、その場をいかに楽しみ、今後の自分の人生に生かしていくか。それは、その人自身しかできない。私はじめ、誰かが代わりにやってあげることはできないんです。
 4つ目「みんなで決めて、みんなの力でハートネットを育てましょう」は、1つ目のルールと同様、一人一人が主体性をもって参加してほしいということです。関連して、事務局としては、みなさんのニーズに基づいた運営をする、ということでもあります。そのために、プライバシーに差し障りない限り、ハートネットは例会も、例会に至るプロセスもすべてオープンでやっています。
(第3・4章に続く)
by open-to-love | 2008-09-20 18:03 | 黒田:キララシンポ発表 | Trackback | Comments(0)
心の病を抱えた当事者が企画運営するシンポジウムのご案内

「明るく生きる2008 こころのシンポジウム」
〜生きることを支える活動の輪を広げていこうよ!〜

 心の病やストレスとつきあいながら自分らしく生きるために必要なことは何か、本音で語り合い、地域の皆さんと一緒に考えるシンポジウムも今年で6回目となりました。
 今回は、こころのケアをめぐる仲間や地域とのつながり、ネットワークについてとりあげます。心の不調は誰にでもおこることです。こころの病があったって地域でこうやって生きていける!!心の病と共に生きる仲間達連合会キララ主催の手作りシンポジウムに、皆さん、ふるってご参加ください!

日時:平成20年9月27日(土)13時20〜16時(会場12時40)
場所:「一関市千厩酒のくら交流施設 東蔵」一関市千厩町字北方134
内容:
 13時20 オープニングセレモニー
   当事者による手踊り「玉の春小唄」
   蔵サポーターによる伝承原形「玉の春小唄」
    千厩で酒造りが盛んだった時、愛された小唄と踊り。千厩で活動できる
    感謝を込めて踊ります!
 13時45 講演「地域や家庭でできる心のケア」
   講師:岩手県南光病院の先生
    こころの不調な方に対して周囲の人が普段行える対応について
    学びましょう!
 14時45 おしゃべりシンポジウム
   「活動すること、仲間、つながり、心のケアについて考えよう」
    心病んで孤立し、死を選んでしまうことは防ぎたいことです。
    心の不調を抱え、悩みながら、地域でいろいろな活動を行って
    きた方々のお話を聞いて語り合い、生きてくヒントを得ましょう!
   話題提供 ひきこもりからの回復と仲間活動について:当事者1名
        当事者・家族・支援者・市民交流をめざす
        ネットワーク活動について:家族1名(盛岡ハートネット)
   コーディネーター 精神保健ボランティアあおぞら会代表 神崎浩之さま
   助言者 岩手県立南光病院の先生
 15時50 閉会セレモニー 明日があるさ〜キララ編〜
 16時 終了

どなたでも参加できます!参加費無料

問い合わせ先:心の病と共に生きる仲間達連合会キララ
       事務局:地域活動支援センター一関
        ほのぼのステーション(電話 0191・32・4889)

主催:心の病と共に生きる仲間達連合会キララ
共催:地域活動支援センター一関
   NPO法人アートで明るぐ生ぎるかわさき(工房てんとう虫)
   岩手県一関保健所 一関市 藤沢町 平泉町
後援(予定)千厩まちづくり株式会社 岩手県精神保健福祉協会 岩手県立南光病院 岩手日報社 岩手日日新聞社 社会福祉法人室蓬会 一関市社会福祉協議会 精神障害者家族ピアグループ幸の華会

※一関市酒のくら交流施設=一関市内国道4号線から車で30分(国道284号線から千厩町内へ)JR千厩駅から徒歩15分。駐車場は岩手銀行千厩支店、一関市千厩支所、まちの駅、本町の駐車場をご利用下さい。それぞれ徒歩5〜1分位です。
by open-to-love | 2008-08-24 00:00 | 黒田:キララシンポ発表 | Trackback | Comments(0)