精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


by open-to-love

2009年 02月 20日 ( 1 )

リチャード・ワーナー著、蟻塚亮二、野中由彦訳『統合失調症回復への13の提案—とりまく環境を変革するために』
(岩崎学術出版社、2008年)

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 統合失調症が進行性の経過をたどり人格荒廃に至るというのは神話である。著者によるとその発病は遺伝子的要因のみならず周産期ケアの不備や貧困などの「不幸の重なり合い」による。妊娠出産期のトラブルはこの病気の発病率を20%は押し上げる。戦後、豊かな地域で乳児死亡率と統合失調症発病率は低下したが貧困な地域ではいずれとも低下しなかった。貧困は母体の健康を損ない生まれた子供の発病リスクを高めるという「負の連鎖」をうむ。他方、就労や、スティグマの減少は患者の有能感を高めて症状を軽くする。
 一連の研究によっても統合失調症の発病やその後の経過には、明らかに多くの環境要因が影響している。この本では、統合失調症の発生や重症度を軽減する新しい方法を確立するために、環境要因に関する考えを紹介した。著者は、個人や家庭、地域でどのような環境要因が働いているかを吟味し、着手可能な問題を提案した。

序文 統合失調症とは何か?
第1部 個人のレベル
 産科合併症
 薬物の使用
 対人的ストレス
 当事者の力を強める
第2部 家庭のレベル
 家族とともに生きる
 家庭内のストレス
人を疎外する環境)
第3部 地域社会レベル
 働くことの有効性
 就労を妨げる制度的な罠
 スティグマ
概要と結論
by open-to-love | 2009-02-20 21:51 | 統合失調症関連書籍 | Trackback | Comments(0)