精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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岩波明著『精神障害者をどう裁くか』

岩波明著『精神障害者をどう裁くか』
(光文社新書、2009年)
岩波明著『精神障害者をどう裁くか』 _a0103650_2392021.jpg
「野放し」と「厳罰化」のあいだ-。
なぜ「心神喪失」犯罪者たちは、すぐに社会に戻れるのか。
なぜ刑務所は、精神障害者であふれるようになったのか。
日本における司法・医療・福祉システムの問題点を暴く。

 「殺人」(九・六%)、「放火」(一五・二%)の加害者において、精神障害者等の比率は極めて高い(平成一八年)。そうした重大事件において、心神喪失や心神耗弱が認定され不起訴となったり、公判で無罪となったりした場合、どこかやりきれない思いが残ることは少なくない。精神科医の視点からみても、裁判所の精神障害者に対する判断は、時に過剰なほど苛酷であるとともに、別の場合には「刑が軽すぎる」という印象を抱かせる。
 まもなく裁判員制度が始まり、精神鑑定は一般国民にとってより身近なものになるであろう。刑法三九条の是非やその運用は重要な問題である。
 しかし問題はそれにとどまらず、精神障害者や知的障害者を社会がどうやって支えていくかという、より困難な課題が存在している。

目次
第1章 刑法三九条―「心神喪失」犯罪とは
第2章 精神障害者はどう扱われてきたか?
第3章 「座敷牢」から「病院任せ」の時代へ
第4章 池田小事件と「医療観察法」の誕生
第5章 刑法三九条に対する批判
第6章 裁判員制度と精神鑑定

岩波明(いわなみあきら)1959年神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医、医学博士。東京都立松沢病院をはじめ多くの医療機関で精神科臨床にたずさわる。東京大学医学部助教授を経て、独ヴュルツブルク大学精神科に留学。現在は昭和大学医学部精神医学教室准教授。うつ病の薬物療法、統合失調症の認知機能障害、精神疾患と犯罪などを主な研究分野とする。著書に『狂気という隣人』『狂気の偽装』『心に狂いが生じるとき』(以上、新潮社)、『自我崩壊』(講談社)、『うつ病』(ちくま新書)、共著に『思想の身体 狂の巻』(春秋社)、共訳書に『精神分析に別れを告げよう』(批評社)、『内因性精神病の分類』(医学書院)などがある。
by open-to-love | 2010-01-13 23:10 | 事件 | Trackback | Comments(0)