「いのちとこころを支えるいわて」第3 3号
平成2 1年11月5日発行
発行:岩手県精神保健福祉センター・岩手県自殺予防情報センター
NEWNEWS
緊急警報:自殺者がさらに増え続けています
厚生労働省は、人口動態統計月報(概数)平成21年5月分を公表しました。昨年同時期と比較すると、岩手県の自殺者は19人増加しています。県では、このような状況を踏まえて12 月から「自殺防止緊急強化キャンペーン」を実施します。県民一人ひとりが自殺予防の意識を高めるような各機関・団体からの働きかけをお願いします。
単位:人
平成20 年1 月~5 月
全国12,490
青森215
秋田185
岩手174
平成21 年1 月~5 月
全国13,211
青森205
秋田179
岩手193
前年比
全国721
青森-10
秋田-6
岩手+19
毎月の自殺者数の推移
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/everymonth/index.html
地域における自殺の基礎資料
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/basic_data/index.html
うつ病有病率についてまごころ病院が調査
これまでの研究報告によると、自殺者は死の直前、約90%が何らかの精神疾患に罹患しているとされています。中でもうつ病の割合は最も高く30%となっています。うつ病は、気分を調節する脳機能の障害と考えられています。身体疾患との関連も指摘されており、慢性疾患の多くにうつ病が隠れているといわれます。症状には、①抑うつ気分、②興味や喜びの喪失、③食欲の減退または増加、④睡眠障害(不眠または睡眠過多)、⑤精神運動機能の障害(強い焦燥感あるいは逆に精神運動機能の制止)、⑥疲れやすさ・気力の減退、⑦強い罪悪感、⑧思考力や集中力の低下、⑨自殺への思い等が挙げられます。うつ病による寿命・健康損失の大きさは虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)を超えて、最も大きいとされています。
世界保健機関によれば、うつ病には有効な治療法が確立されています。諸外国や我が国の一部の地域では、うつ病対策により自殺予防の効果があがっています。このため岩手県でも、うつ状態にある人の早期発見、早期治療を図るための取り組みが重要です。行政機関、ボランティアや民間団体、自殺の危険性の高い人を発見する機会の多いかかりつけの医師等がゲートキーパーとなって、うつ病対策に関わっていただくことは有効です。また、精神科医療提供体制の整備を図っていく必要があります。
うつ病患者は、その身体症状を主訴に内科等を初診することが多いのですが、我が国ではプライマリケアにおけるうつ病の実態は不明でした。今般、奥州市国民健康保険まごころ病院では、精神科の設置されていないプライマリケア機能を担う一般病院の内科外来における大うつ病の有病率と、大うつ病患者に対する主治医の精神障害認識(診断)率を明らかにすることを目的に、国内で初めて調査をしました。協力機関は、国立精神・神経センター、奥州保健所、精神保健福祉センターです。この調査は平成21 年6 月に、まごころ病院の内科外来を受診した全患者を対象として、担当医師5 名が自己記入式質問票を用いて、うつ病とその他の精神障害の有無を調査しました。
この調査結果については、11 月14 日に盛岡市国保会館で開催される「平成21年度地域医療研究会秋季集会」において、まごころ病院及川雄悦院長が報告されます。また、当センターの研修等でも報告していきます。まごころ病院、奥州保健所、精神保健福祉センターでは、この結果に基づき、今後地域での研修や具体的ケアの展開を検討していきます。
フィールドレポート
岩手中部圏域における「うつ部会」について
花巻保健所・北上保健所は、精神科医師、内科医師、薬剤師、保健師で構成された「うつ部会」を設置しています。この部会は、平成20年3月に岩手中部圏域医療連携会議医療連携推進プラン検討作業部会として設置され、医療連携体制や啓発普及について検討を重ねてきました。
うつ病患者の多くは身体症状で内科を受診しています。うつ部会では、うつ病治療のための一般診療科・精神科医療連携の必要性について関係者の理解を深めるために、研修会の開催や検討委員会の設置を行なう予定です。また、精神科を受診できる環境を作るために、働き盛り年代への広報活動を行ないます。今後の具体的なアウトカムが期待されます。
資料紹介
ガイドライン 「自殺予防マニュアル第2版」
―地域医療を担う医師へのうつ状態・うつ病の早期発見と対応の指針―
日本医師会編集 西島英利監修
日本医師会では、西島英利小倉蒲生病院理事長の監修、神庭重信九州大学大学院教授、高橋祥友防衛医科大学校教授、中村純産業医科大学教授の執筆により、『自殺予防マニュアル』を平成16 年に刊行しましたが、「自殺対策基本法」の施行、「自殺総合対策大綱」の策定などを踏まえ、第2版として平成20 年3 月に『自殺予防マニュアル-地域医療を担う医師へのうつ状態・うつ病の早期発見と対応の指針』を作成しました。参考にされる方は、当センターに数部ご用意してありますので、お問合ください。
インフォメーション
★ シルバー先生の“こころ”と“いのち”に関する啓発ボランティア支援事業のご案内
「未来ある子どもたちへ“いのち”と“こころ”の大切さを伝えよう!」
日時:11月14日(土) 13:30~15:50 サンセール盛岡2階 桐華 参加費:無料
講演:岩手晴和病院理事長・精神科医師 智田文徳先生
いわて被害者支援センター・支援室長 宮本中子先生
岩手県臨床心理士会・スクールカウンセラー 中島淳子先生
シルバー先生は、主に中学校を対象に、“こころ”と“いのち”に関する授業を行い、教育現場での自殺予防の普及・啓発活動を推進しています。
(一般の方もご参加できます)
★ 第27回医療研究会「うつと自殺対策について」のご案内
日時:11月15日(日) 13:00~16:00 エスポワールいわて 参加費:無料
基調講演:「青年期における非社会性とうつ病の関連性について」
爽風会佐々木病院診療部長・精神科医 斎藤環先生
シンポジウム:「うつと自殺対策について」
シンポジスト 智田文徳先生、鈴木順先生、佐々木久長先生、自死遺族の方
* 事務局:岩手県保険医協会 019-651-7341(事前に事務局まで必ずお申込みください)
(一般の方もご参加できます)
★ 平成21年度岩手県医師会産業医研修会が開催されます
日時: 11月28日(土) 14:00~17:30 岩手県医師会館4階ホール
テーマ:労働安全衛生法令関連通達 岩手労働局労働基準部安全衛生課長 佐藤寿幸氏
メンタルヘルス対策 岩手県精神保健福祉センター所長 黒澤美枝氏
新型インフルエンザ 岩手医科大学附属病院医療安全管理部感染症対策室室長 櫻井滋氏
健康管理 (財)結核予防会第一健康相談所総合健診センター所長 岡山明氏
作業管理 (財)岩手県予防医学協会医療技術部環境保健課長 関向和明氏
* 事務局:岩手県医師会 019-651-1455 (一般の方は参加できません)
★ 自殺対策相談支援研修会「フォローアップ研修」を開催します
日時: 11月30日(月) 10:30~16:00 エスポワールいわて
目的:自殺念虜者への対応及び自殺企図再発を防止するための相談支援技術を学びます。
対象:当センター主催の自殺対策相談支援研修(21.4.24)を受講した方が対象となります。
* 問合せ:精神保健福祉センター 019-629-9618
このニュースレターは自殺対策に関わる担当者、関係者の方々に配信しています。皆様からの情報やご意見をお待ちしております。
また、配信先を募集しております。関係者や機関の方々のご紹介をお願いいたします。