精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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プルタブと車いす

※盛岡市の就労継続支援事業所「You-Meゆいっこ」が発行している「You-Meゆいっこ便」第63号に、下記の文章が載ってました。なるほどです。紹介します。

プルタブと車いす

 E-mail で「プルタブ」を寄付したいが・・・という案内が入った。 このメールを「寄付して欲しい」と勘違いして早速TEL・・逆に「寄付したい」にとまどいを感じたが、ある福祉の施設は「お金に換えてくれたらもらう・・・」というあまりにも頂くことが当たり前という麻痺した言葉に、同じ福祉の中にいる者として少々腹立たしくもあり、中間にたっているNPOの方に申し訳なさもあって、それを預かることにした。
 それは高校生の純粋なボランティアの心(?)を何とか形にしなければという心があってのことでもあった。
 かねがね、この「プルタブと車いす」に少なからず疑問(なんとなくの疑問)?を感じていた精もあって、プルタブと車いすの関係は何なのかハッキリさせたくて、ブログを開くことになった。

■■■表1 車いすはプルタブ何個で買える?■■■
車いす1台の交換に必要な個数・・・・600キログラム・・・
1個0.5グラムだから120万個・・・
ドラム缶6~7本らしい・・・
*この量のカンジュースを買うと1億4000万円かかるのだそうで
*ちなみに 車いす1台・・・3~5万円
*アルミ缶は1キログラム100円くらいで取引されている*(缶全体だとプルタブ44個)
*車いす1台を回収業者は3000円くらいで引き取る*


 昔、リングプル(プルタブ)は缶を開けると缶から外れてしまうタイプのものであった。リングプルは缶を開けたあと飛散し、「家畜や野生動物が食べて死ぬ」「砂丘などで踏んでケガをする」などの事故がたびたび起きていた。そこで、環境・美化運動の一環としてリングプル拾いをしたのが最初の活動だったと聞く。 せっかく集めたものを何かに使えないかということでアルミ資源として換金し、そのお金で車いすでも・・・が最初であった様だ。あくまでも環境保護が第一目的であり、換金して何かに換えるはオマケだった。
 ・・・・現在のリングプルは全て缶から外れないステイオンタブのみになり、缶ごと回収できる今ではリングプルを拾う必要は全くない。・・・・・環境を考えて缶から外れないように開発されたステイオンタブをわざわざちぎって集めるより、缶のままリサイクルにまわす方がいかに効率がよいか論を待たない。ちなみに、今やリサイクル率は80%を超えているという。
 つまり、リサイクルや環境保護的に逆行しているのではないのか。
 しかし、いつの間にか「リングプルを集めると車いすになる」が「割り箸の袋を集めると車いすになる」や「タバコの銀紙・・・・」と言うデマと同じように、一人歩きしてしまった。 しかし、あくまでもボランティアする側の“要望”が非常に多いために本当のデマ通り「リングプルを集めて車いすにする仕組み」を作ってしまったというのが本当である。今はある意味デマではなく真実ではあるのでだが・・。
 「リングプルをどこに送れば車いすがもらえるの?」・・小学生の何気ないこの一言の夢を叶えてあげようと思ったのが収集のきっかけだった・・・・・・環境浄化から集めて車いすにする、という目的に代わってしまった。
 そもそも何で車いすなのか・・・?
・最初の活動で換金して買ったのが車いすだったこと がそのまま形骸化 したに過ぎない?
・リングプルが車いすに換えられるわけではないので一旦換金する必要がある→別に車いすでなくても良い?
・車いすはそんなに不足しているのか?→実際は余っている・・・体験用とか貸し出し用に使用されている・・身体障がい者が必要とする車いすはオーダーメイドでなければ彼らの足にはなり得ない・・・(オーダーメイドの車いすは20 万円超える・・・→ドラム缶40 本超のプルタブになる)
 車いすを与えれば喜ばれるというのは、事情を知らない健常者の勝手な思いこみではないのか・・・・・・??つまり、誰のためのボランティアなのか・・・相手のいない・目標のないボランティアは達成感は大いにあるだろうが、しかし単なる自己満足的活動にすぎないと言われる危険性がないだろうか・・・?!
 「小さいことをこつこつと」・・・いかにもボランティア心をくすぐられる活動だが、実際にはリサイクル的にも意味がなく目的もハッキリせず効率が悪い。・・・・高校生の純粋な気持ちに対しては、否定するべきではなくむしろこれが彼らのボランティアの入り口的役目を果たしてくれることを期待さえしている。 これから「ボランティアとは」なんて事を理屈で聞かせるより良いのかも知れないが、しかしこのボランティアのあり方には教師を始めとして大人がもう少し配慮していく必要があったのではないだろうかと思う。
 全てに於いて、人に差し伸べる手は、成長や経験と共に一歩一歩、歩むように広がるというのは心理学的にも言えること・・・子供達の周りに居る何かを考えるべき人間が、もっと認識を持ち、子供達がプルタブを無理にはずそうとするその手を、他のことに向けさせるべきではないのか??と このことについては、「プルタブ集めはもうやめましょうよ」・・・が結論ではないか!!と、ブログの主は結んでおります。
*ボランティア(volunteer)=志願兵なのです、やりたくなければやらなくて良いのです。

「You-Meゆいっこ便」第63 号(2008年4月15日発行)

You-Me ゆいっこ(代表 上中 雅文)
〒020-0851 岩手県盛岡市向中野字八日市場45 番9号
TEL/FAX 019-635-3828
E-mail mail@yuikko.org
by open-to-love | 2008-05-28 14:18 | 就労支援事業所 | Trackback | Comments(0)