精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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盛岡ハートネットニュース第2号「困ってなくても来てね」

盛岡ハートネット第2号

「困ってなくても来てね」第2回例会

(講師:ソーシャルサポートセンターもりおかPSW 廣田政彦さん)

 みなさん、ソーシャルサポートセンターもりおか(SSCM)はご存じですか? 盛岡市本町通1丁目9の14、JT本町通ビル3階に、2007年8月にオープンしました。いろいろ相談に乗ってくれるところらしいぞ、というわけで12月5日、盛岡市肴町のもりおか女性センター別館で開いた第2回盛岡ハートネット交流会に、同センターの精神保健福祉士(PSW)廣田政彦さん=写真=にお越しいただき、施設のPRを兼ねて「困ったら相談しよう」と題し講演していただきました。市内外、遠くは一関市から35人が参加。廣田さんは「何か知りたいとか、誰かに話したいとか、何かしてみたいとか、何となくとか…困ってなくても来て下さいね」と優しく呼び掛けました。

ソーシャルサポートって?
 まずは、ソーシャルサポートとは何か。「ソーシャル(社会的)サポート(支援)の機能・プロセス理論であるとともに、公的サービス以外のもの(当事者、ボランティア、地域住民など)を含めたネットワーク構築理論の総称」とのこと。
 で、何をしているかといえば、まずは相談支援事業。例えば、福祉サービス利用支援やネットワーク(連携)づくり。また入院者の地域生活移行支援やケア会議などを通じて、関係者の連携を推進するとともに、当事者、家族等への支援を通じ、ネットワークを構築していく。その際、医療機関などの関係機関と協力しケアマネジメントの手法を用いて支援するということだそうです。
 ちょっと難しいですね。廣田さんは、カレー屋さんに行ったときのことを例に、分かりやすく説明してくれました。カレーを食べたくて店に行ってメニューを開いたら、辛さがさまざま選べ、トッピングも多種多様。そこから自分の好みでいろいろ選べる。そんな感じで、カレー屋の客=自分が、メニュー=制度や社会資源を参考にしながら、お店の人=PSWのアドバイスを受けつつ、おいしく食べる=自分の人生を歩んでいく、という感じです。むろん、精神の場合はカレー屋さんほどいろいろなメニュー=選択肢があるわけではないでしょうが…。
要するに、退院したけどいろいろな悩みや不安があるとき、ソーシャルサポートセンターに電話したり行ってみると、廣田さんら専門家がいて、相談に乗ってくれ、医療や福祉制度や作業所のことを教えてくれたり、問題を一緒に考えてくれる、ということ。「予約はできるだけ事前に連絡いただけると助かります」。相談料は基本的に無料なんだそうです。
 さらに、将来的には、「地域活動支援センターⅠ型」をやりたいとのこと。それは、当事者が日中集まって、リフレッシュしたりエネルギーを補充したりする場所です。さらには「携帯電話をどう使う」といった生活のノウハウを学ぶ場所としての「自立訓練(生活訓練)」をやりたいなあ、とのことでした。そういえば、ビルの一室にある同センターの部屋は結構広くて、まだ使ってないスペースが結構ありましたっけ。そこを使って、これからいろんなことをやるみたいです。

家族の力も重要です
 さて、今回は主に家族の集まりということで、廣田さんは家族の心構えについて、いろいろ話をしてくれました。「患者の回復・再発防止には、医療福祉スタッフのみならず、家族の協力も必要」なのです。より効果的な援助のため必要なことは「家族のゆとりある生活」。病気が引き起こしやすい家族の感情を、▽病気の説明をきちんと受ける機会に乏しく、とまどい、理解に苦しむ▽本人の苦しそうな様子を見ると、助けてあげられない自分がいらだたしくなる▽何とかしたいと一所懸命なのに、本人の様子が変わらず、情けなくなり腹が立つ▽何かにつけて本人のことが気がかりで、いつも頭から離れない▽病気自体が不安定な様子なので、はらはらさせられる…と指摘されました。
 そのため「ご家族自身が健康診断や通院の時間を確保しましょう。睡眠を十分とり、食事もしっかりとり、身体を動かすことを心掛けましょう。適切で積極的な休養を。私たちは、自分にゆとりがあればこそ、頑張りが利いたり、人に優しくすることができたりします。自分自身の人生をどうぞ大切にしてください。そして、身近な方々とのお付き合いは遠慮しないで、皆さんらしいやり方で楽しんでください」と呼び掛けました。

平日夜間の相談電話開設中
 あと、耳より情報です。9月1日から平日夜間、岩手県精神科救急情報センター(019・624・6791)を開設しているのだそうです。大抵、日中は調子よくても、夜に具合が悪くなる当事者さんが多いですから、朗報ですね。受付時間は平日午後5時から同10時。今後は土日祝日も受付予定ですが、開始日程は未定なそうです。ただし「かかりつけの医療機関がある人は、まずそちらに相談を。休日や夜間に受診相談などを受けるための電話なので、時間をかけた継続的な相談はご遠慮願います」とのこと。
 さて、精神障害者に対する誤解や偏見は、まだまだ根強いものがあります。質疑応答では、マスコミ報道の在り方について質問がありました。廣田さんは「事件記事に『○○容疑者は、精神科病院に通院歴があった』という記述がある。通院歴が事件とのつながりがあれるならば必要だけど、個人的な情報でもあるし、どうなのか。でも『○○容疑者はその日の朝、カツ丼を食べてた』というのは、むろん記事にはならない。通院歴があったと書かれると、通院していたから事件を起こした、と読者は受け取ってしまう」と問題提起されました。なるほどです。
 あと、今回ハートネットでお話されたように、他の家族会が講師依頼しても来てくれるかとの問いには「ぜひ呼んでください」とのことでした。心強いですね。病気のこと、年金のこと、親亡き後のこと…家族会の集まりでは、いろんな話が出ます。いつも同じメンバーで悩みを打ち明け合うだけではなく、たまには専門家をお招きしていろいろアドバイスをもらうのも、いいことですね。


「盛岡はいい街ですね」
 さて、第2部おしゃべり交流会。今回のお茶菓子は、盛岡市本町通、三盛堂さんのおいしい和菓子。参加者は小グループに分かれ、悩みや近況を語り合い、交流を深めました。終了後、各グループから一人ずつ、話した内容や感想をお伺いしました。「当事者や家族が集まり、癒し、癒やされ、情報交換する場は大切」「障害ある人もない人もみんな一緒に、という地域づくりを頑張りたい」「当事者の将来のことを考え参加したが、みなさんそんなに将来のことを考えてなくて、なんだかホッとした(笑)。参加されたみなさんがとても明るい。盛岡はいい街だな、と実感した」「ハートネットのような場に来られない人、まだどん底にいる人がたくさんいる。そんな人たちを、心の苦しみをはき出せるような場に引き出すにはどうしたらいいのか?」などの感想や問題提起がなされました。
 なお、この日は、廣田さんの同僚のPSW高橋悟さんも参加されてました。しかも、参加費を払っていただいての参加です。ありがたい。その高橋さん、突然の指名にもかかわらず「一戸町の『地域活動支援センターのぞみ』で勤務していたが、ソーシャルサポートセンター開設とともに、8月からこちらに来た。矢巾町出身なので、地元に戻ってきた感じがする。医療、福祉、そして当事者や家族のみなさんと関係を作りながら、頑張りたい」とフレッシュに自己紹介されました。
 最後に、再び、廣田さん。「話すことで、考えが変わり、悩みや苦しみが軽くなったり、ものの見方が変わったりする。困っていても、困ってなくても、人に伝えることは大事。そこから何かが変わってくる。また交流会がある際には、参加したいと思う。ハートネットを継続し、大きなものにしていってほしい」とエールを送っていただきました。ありがとうございました。
みなさん、ソーシャルサポートセンターに限らず、悩みは抱え込まず、相談しましょう。ですが、くれぐれも、自分の悩みを人任せにするのではなく、最終的に問題を解決するのは自分自身である、ということをお忘れ無く。
 では、第3回交流会でまたお会いしましょう。

◎お知らせ◎
▽「家族のための精神保健講座」
1月30日(水)午後2時~4時
「こころの病気について」
2月13日(水)午後2時~4時
「よりよい生活のために家族のできること」
▽「こころの健康づくり講演会 もっと知りたい『うつ病』の話~こころ疲れていませんか?」
2月7日(木)午後2時~4時
会場・プラザおでって3階大会議室
問い合わせ・盛岡市保健センター成人保健係
(019・654・5563、内線385)
▽「岩家連いきいき交流会」&家族会長会議
8日午後1時~4時半、9日午前9時~12時半
内容・講演「みんなねっと設立と今後の事業展開について」(全福連・良田かおりさん)などなど
問い合わせ・岩家連(019・637・7600)
▽「高森信子さんSST教室」
3月22日(岩家連主催)
23日(盛岡ハートネット主催)
内容は、これからのお楽しみ…
by open-to-love | 2007-12-29 14:10 | 盛岡ハートネットニュース | Trackback | Comments(0)