精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


by open-to-love
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

飲酒運転とアルコール依存症

飲酒運転厳罰化後も…アルコール依存症の半数やめず

 運転免許を持っているアルコール依存症患者の約半数が、飲酒運転の罰則が強化された二〇〇二年の改正道交法施行後も、飲酒運転を続けていたことが六日、関西アルコール関連問題学会の調査で分かった。比較調査した、依存症ではない一般の人の約八割が、法改正後に飲酒運転をやめたのと対照的。同学会などは「厳罰化だけでは飲酒運転は防げない。交通違反者は依存症かどうかを判定し、治療や予防教育など別の対策を取ることが必要」としている。
 調査は〇四年九―十一月、三重、滋賀、奈良、大阪などのアルコール依存症患者二百四十六人を対象に実施。一般の人の傾向を探るため医療機関に勤める職員三百八十五人にも同じ調査を行い比較、分析した。
 依存症患者の運転免許所有者のうち道交法改正前に飲酒運転の経験があったのは75%。五人に一人はほぼ毎日飲酒運転をしていた。経験者のうち改正後、飲酒運転を「やめた」と答えたのは44%で、「大幅に減らした」(13%)、「少し減らした」(16%)、「変化なく続けた」(22%)、「逆に増えた」(1%)を合わせると52%が飲酒運転を続けていた。
 一方、一般の人では改正前の飲酒運転経験者(48%)のうちの82%が改正後「やめた」と回答。「大幅に減らした」なども含めて改正後も続けていたのは14%だった。
 やめたり、減らしたりした理由は、依存症患者も一般も「罰金が高いから」や「免許の取り消しが怖いから」と答えた人が多く、厳罰化に一定の効果がうかがえた。一方で、厳罰化の影響を理由に挙げなかった人は、一般は18%だったが、依存症患者は39%に上った。
 調査をした天理よろづ相談所病院(奈良)の長徹二医師は「依存症の人は、自分が依存症と自覚していないケースがあり、飲酒運転をやめられない人が多い。依存症の治療や予防教育をする仕組みが必要だ」と指摘している。

 飲酒運転の厳罰化とは 悪質なドライバーに対する刑が軽すぎるとする交通事故被害者の遺族らの声を受け、罰則を強化した改正道交法が2002年6月、施行された。酒酔い運転については、以前の「2年以下の懲役または10万円以下の罰金」から「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に強化。酒気帯び運転の対象となる呼気1リットル中のアルコール濃度を「0・25ミリグラム以上」から「0・15ミリグラム以上」に下げ、範囲を大幅に広げた。
(2006年11月6日付夕刊)
by open-to-love | 2007-07-23 16:58 | 依存症 | Trackback | Comments(0)