精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


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全家連の活動の報告

 財団法人全国精神障害者家族会連合会 平成19年度臨時評議員会の議案書に添付されていた文書です。全家連としての公式見解と思われます。いずれ、最後のぜんかれん誌に、もっと詳しい経緯が掲載されるのでしょう。


 全家連の活動の報告(2007年4月17日)

 (1)家族会全国組織の発足
 精神障害者の家族会は、1960年頃より大病院で始められ、次第に各地域に広まっていった。1964年、ライシャワー米大使刺傷事件が発生、精神障害者に対し監視を強める法改正の動きに精神医療界は反対運動を展開、家族会も同調した。精神衛生法改正についても陳情活動を続ける中で、全国組織結成の機運が芽生え、1965年、全国精神障害者家族連合会(全家連)が設立された。(本年で42年目)

 (2)啓発活動・請願運動
 ライシャワー事件が起こる前年、米国ではケネディアメリカ大統領が、米国議会に「精神病及び精神薄弱に関する教書」を提示し、精神障害者の隔離収容策から地域ケアへの転換を国策として進めていた。しかし、わが国では、同事件発生後、入院施設の増強を図り、入院患者数が増え続ける事態になる中、忌まわしい宇都宮病院事件が発生する。
 このような精神障害に対する無理解・偏見に対し、全家連は家族の思いを込めて、偏見解消への啓発(カーター元アメリカ大統領夫人の招聘など)、医療制度の改善(医療費負担軽減ほか)、福祉施策改正への要求(精神保健法、精神保健福祉法への改正)等の活動を幅広く展開し、わが国の精神保健福祉制度の向上に努力し続けてきた。

 (3)本部ビルの建設
 法改正により社会復帰施設が認められる時代を迎え、そのモデル施設や活動拠点を確保したい要望が高まる中、家族(中村友保・千恵子ご夫妻)から用地の提供(約4億円)があり、建設資金を工面して1990年、東京・台東区下谷に地下1階地上7階建ての本部ビル(恵友記念会館)を完成させることができた。そこに本部事務局、研究所、通所授産施設、共同作業所が入居した。

 (4)ハートピアきつれ川の建設
 少しづつではあるが、精神障害者への理解が進む中、厚生省の中で「少し夢のある事業、例えば自然の中で精神障害者や家族が温泉でくつろげるような施設があってもいいなという構想」が生まれ、打診を受けた全家連は、厚生省が支援してくれるならばということで趣旨に賛同した。保養所の運営業務を当事者達が訓練を受けながら担当する入所・通所授産施設と組み合わせることで先進的な社会復帰施設を目指し、土地も温泉のある栃木県喜連川町の県有地を選んで、事業は動き出した。しかし、20億円の建設費の調達は難航し、計画の見直し論も出たが、国、栃木県、日本財団の補助金12億円と家族、産業界(経団連・製薬メーカーなど)の募金8億円の見込みで再スタートした。しかし、バブル崩壊後の不況で産業界の寄付は集まらず金融機関からの多額の借入金が発生した。(実建設費20・5億円の内訳:国9・2億、栃木県0・5億、日本財団1・7億、家族会1・1億、社会福祉医療機構の借入4・5億、みずほ銀行の借入3・5億)そして借入金の返済は年6千万円にもなった。
 1996年、ハートピアきつれ川は竣工、開所し、以後多くの研修会等に利用されると共に、全国から集まる当事者達の社会復帰訓練施設の役割を果たした。

 (5)補助金流用の発覚と返還命令
 2002年11月、全家連は国等の補助金を交付目的外に使用しているとの新聞報道がなされ、直ちに補助金交付5団体(厚生労働省、福祉医療機構、高齢・障害者雇用支援機構、日本自転車振興会、日本財団)は過去5年分(一部は10年分)について補助金使用状況の立入検査に入った。
 その結果を基に、翌年(2003年)の春、5団体は補助金の不正流用について返還命令を出した。返還命令は3億8400万円プラス延滞金等で総額5億3900万円にのぼった。
 全家連は2003年度までは、年10億円前後の補助金を受けて精神保健福祉の向上に関する事業を行っていたが、その補助金の一部を使ったことにして一般会計に繰り入れ、借入金の返済などに使用したのである。なお立入検査では個人的な不正使用は認められなかった。目的外使用をした背景には、財政の厳しさがあり、その主因はハートピア建設時の借入金返済とハートピア運営の赤字補填であった。全家連の自己資金は会員の会費(約1億円)が主であるが、事業拡大に伴い増大する補助金のなかには人件費が認められない上、一部自己負担を強いられることもあり、財団の運営はもともと楽なものではなかった。

 (6)募金による組織の存続活動
 事件が発覚して直ちに全役員は辞任、新たな役員による新体制の下でこの難局をどう乗り切るか大問題になった。借入金の返済が続く上、返還金は高率な延滞金等(10・95%)が付く過酷なものである。財政的に破綻は避けられないとする一方で、このような事態になったのは国にも責任があり、救済策を講じるべしとの意見を表明される国会議員もおられ、議論は混沌とした。
 その頃、身体・知的障害福祉分野では、支援費制度の運用が始まったが、その適用を受けない精神障害福祉分野の関係者は余りの格差の大きさに危機感を募らせ、格差解消は精神障害福祉制度改正の重要な眼目となった。ところが運用開始間もなく、支援費制度の利用者は予想以上の数で予算が足りず、制度の存続が問題視され、障害者福祉制度の見直しは避けられない風潮となった。
 このような状況の中で、全家連がやるべきことをせずに消えてよいのか、あらゆる努力をして組織の存続を図り制度の改善に努めるべきではないかの検討がなされ、募金2億5千万円による多額返還と自己財源1千万円による長期返還を組み合わせた返還計画が立てられ、理事会、評議員会に諮られた。
 2003年10月23日に開かれた臨時評議員会は、全家連の命運を賭けて白熱の議論が交わされた。何らかの手を打たなければ解散は避けられず、財政は厳しいが存続の可能性を選ぶかどうかで採決した結果、賛成多数で募金による存続・再生が議決された。
 2004年9月末を目途に活動に入った募金は、目標額2億5千万円に対し7300万円に留まったが、債権者に対し極力誠意を尽くして返還し、不足分については猶予を願い、併せて加算金、延滞金の免除を申し出て認められた団体もあった。(募金は以後も継続し、家族会6640万円、全家連の再生を支える会1540万円、計8185万円)その後も返還金の免除、軽減のお願いを続けているが、3億8千万円もの返還残高は消えていない。
 2004年、厚労省はグランドデザイン構想を公表し、障害者福祉制度改革の方向を示した。
 全家連は、格差解消を図るため、3障害一元化を骨子とする基本案に賛成しつつ、医療費等負担増の軽減策を強く要望し、小松理事長は国会での意見陳述の機会に、精神障害者の実情を訴え、この点を明確に主張した。法案は2005年10月、障害者自立支援法として成立したが、政令で示された個人負担軽減策や施設運営費用には不満が続出した。全家連は他障害団体と連携し、国会や厚生労働省に運用策の見直しを求める運動を展開、作業所国庫補助110万円復活を含む1200億円の緊急緩和予算を獲得した。

 (7)全家連の財政状況
 有用な活動を続ける全家連ではあるが、巨額の返済金・返還金を抱えた現状について、国会議員や厚生労働省も憂慮し、救済策を模索する委員会を厚労省内に設けて検討を続けた。一時、ハートピアの国有化案も浮上したが、実現へのハードルが高く、救済策は混迷したままである。長期借入金は未だに5億4千万円もの残高があり、みずほ銀行の元金返済軽減契約は2007年3月末で期限を迎えた。流用補助金の返還義務を併せ、財務状況は行き詰まりを見せている。
 なお、全家連の再生に際し求められていた、ハートピアおよび都内福祉施設の運営事業切り離し作業は鋭意進められて、平成18年度中に別法人への移譲が実現されることとなった。

                                                        以上


 なお、評議員会は2007年4月17日、東京都中野区中野4の1の1、中野サンプラザ13階会議室で開かれました。
 そこでの報告事項としては

(1)福祉施設運営事業の移譲について
  通所授産施設「ZIP」→社会福祉法人あしなみ(平成19年4月1日より)
  共同作業所「かれん」→NPO法人えん(同)
  共同作業所「たいとう倶楽部」→NPO法人えん(同)
  入所・通所授産施設「ハートピアきつれ川」
                  →社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会(同)

(2)負債状況について(平成19年3月末現在)

  返還金について(厚労省等5団体)
 返還元金(384425991円)+加算金等(154436132円)=小計538862123円
 返還金確定(459882718円)-返還済み額(79107671円)=返還残額380775047円

  長期借入金について(3団体及び銀行)
 借入金(930000000円)→借入金残高546290000円

となっています。  
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by open-to-love | 2007-04-26 13:52 | 全家連 | Trackback | Comments(0)