精神障害がある当事者、家族、関係者、市民のネットワークを目指して


by open-to-love
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

桑児元『求めても、求めても。』(2012年1月1日)

桑児元『求めても、求めても。』(2012年1月1日)

 求めても、求めても。――

桑児 元

求めても、求めても、消されてゆく。
風の様に、光の様に
この掌に封じ込めることはできない。
かつてポルトガル船が運んだスパイスの様に
人々の記憶には残り続ける。

空を巡る鳥は自由という言葉を知らない。
そこが空であれ、森であれ
そこに暮らしているものだから。
彼らは求めてはいない、
ただそこに存在しているだけだ。――

求めても、求めても、残されることはない。
不世出のオペラ歌手の声は
そこにしか存在しない。
いくら録音技術が発展しているとはいえ、
その場で酔い痴れることはできない。
ただできることは模倣すること。
そして想像を繰り返し
イメージを膨らませること。感じること。
芸術作品はその為に生まれた。
芸術家はただその作品の手段に過ぎない。

求めても、求めても、求め続ける。
自身の夢の為、この世界の未来の為にも。――

 2012・1・1
by open-to-love | 2012-02-13 21:00 | 心の病と文学 | Trackback | Comments(0)