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第5章「危機のサインを理解する」3…社会的な問題

増野肇著、一番ヶ瀬康子監修『精神保健とは何か』
(介護福祉ハンドブックシリーズ、一橋出版、1997年)

第5章 危機のサインを理解する

3 社会的な問題

 危機のサインを社会的な問題行動として示す人たちがいます。
 外部の人に攻撃的になり、周りに迷惑をかけるものとして、いじめや非行があります。いじめている子も、家庭か学校の中で危機にあり、その解決手段としていじめていると考えられます。盗みや非行も、その子どもなりの助けを求めているサインとして考えるべきです。先生に無視されるよりは、悪いことをしてでも関心を向けられることが不安を解消させるのでしょう。しかし、結果として、さらに悪い状況へと発展し、危機はますます深まるようになります。ただ処罰するのではなく、危機のサインとして受け止め、対処することが必要です。
 母親に見られる幼児虐待も、母親自身のサインでもあります。これらの母親が、自分自身も虐待を受けていたり放置されていたりした思い出があり、自分でも無意識的に虐待をしていることがあり、「赤ちゃん部屋のおばけ」と呼ぶ人もいます。
 登校拒否、出社拒否、引きこもりなどの逃避行動で示す人もいます。家にいられなければ家出となるし、それもできなくなると死の世界へ逃避ということになるでしょう。多重人格障害もほかの人格への逃避と考えられます。

【参考文献】
・近藤喬一訳、アリエッティ著『分裂病入門』星和書店、1980年
・笠原嘉『軽症うつ病』講談社、1996年
・斎藤学『嗜癖行動と家族』有斐閣、1984年
・新福尚武『人類とぼけ』講談社、1987年
・室伏君士『痴呆老人の理解とケア』金剛出版、1985年
・増野肇『みんな一緒に生きている』やどかり出版、1994年
・竹内和也訳、J・F・ケイシー著『踏みにじられた魂』白楊社、1994年
・増野肇『森田式カウンセリングの実際』白楊社、1988年
・増野肇『不思議の国のアリサ』白楊社、1996年
by open-to-love | 2011-01-26 21:50 | 増野肇『精神保健とは何か』 | Trackback | Comments(0)