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岩手県自殺予防情報センターニュースレター 第39号

岩手県自殺予防情報センターニュースレター

発行:岩手県精神保健福祉センター・ 岩手県自殺予防情報センター
第39号 平成22年6月7日発行
このニュースレターは自殺対策に関わる担当者、関係者の方々に配信しています。皆様からの情報やご意見をお待ちしております。また、配信先を募集しております。関係者や機関の方々のご紹介をお願いいたします。

NEWS

自殺者が増え続けています

厚生労働省は、人口動態統計月数(平成21年1月~11月)を発表しました。

平成20年1~11月
全国の自殺者数 27,778人
岩手の自殺者数 413人
全国の自殺死亡率 22.1
岩手の自殺死亡率 30.7

平成21年1~11月
全国の自殺者数 28,218人
岩手の自殺者数 422人
全国の自殺死亡率 22.4
岩手の自殺死亡率 31.3

自殺者数対前年比
全国の増減数 440人
岩手の増減数 9人
全国の増減率 1.6%
岩手の増減率 2.2%

 全国の累計自殺者数は、対前年で440人増加しています。年齢別では、40歳代と60歳代の増加が大きくなっています。

毎月の自殺者数の推移
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/everymonth/index.html
平成21年における自殺の概要資料
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/220513_H21jisatsunogaiyou.pdf

災害とメンタルヘルス

 岩手県では近い将来、三陸沖地震の発生が高い確率で想定されています。新潟中越地震3年後の地域住民調査結果では、PTSDなどのハイリスク者の割合は、低値でしたが、臨床レベルにはいたらないものの自殺の危険性等の精神不健康の状態である者が、地域に相当の割合で存在する可能性が指摘されました。またトラウマ暴露の回数が増加するとPTSD や自殺の危険性が高まりますが、もしもPTSDや大うつ病に罹患した場合でも、個人が災害後の2年以内に治療を求めることは比較的稀だと言われます。このことから、今後の災害後の精神保健支援には、精神疾患の治療という医学モデルよりも、サブクリニカルな状態の人の精神健康向上を目指すヘルスプロモーションや公衆衛生的アプローチが必要だという専門家の指摘があります。
岩手県は、特に被災以前から全国と比して高い自殺率を呈する環境にあります。このため、災害時のこころのケアに関わる支援者は、初動期の医療体制の確保のみならず、地域全体の長期の経過把握や、ハイリスク者への長期のサポートを可能にする工夫をすることが必要になります。特に地域全体のケアを考える場合は、元々対象地域が抱えてきた自殺、社会資源等の精神保健課題に配慮しながら、一般的な心のケアのガイドライン通りの遂行に固執しすぎず、介入対象集団毎に、情報提供等のサービスメニューを柔軟に選択することが重要になります。
 岩手県精神保健福祉センターでは、H18年に実務者の「岩手災害時こころのケアマニュアル」を作成し、これに基づき災害後のこころのケア手法に関わる研修を実施してきました。今年度はこのマニュアルにDMORT(Disaster Mortuary Operatio -nal Response Team)に関する加筆がありましたので、6月18日の研修会で情報提供させていただきます。DMORTとは、災害における遺体への対応、遺族へのケア、遺族・遺体に関わるスタッフのメンタルケアに取り組むチームです。日本ではJR福知山線脱線事故と関係者の混乱を契機に、現場での遺族対応の必要性が指摘されてきました。この研修では神戸赤十字病院心療内科の村上典子先生から対応の実際についてご講義いただきます。また県内のDMATの立場から岩手医科大学救急医学講座の秋冨慎司先生からご助言いただき、初動期から、中長期・地域につながるハイリスク者の心のケア支援について検討します。この研修内容は、遺族や遺体に関わる内容になりますので、対象は、警察、救急、医療、行政等の専門支援者になります。7月9日の研修会は一般支援者も対象になります。

フィールドレポート

「さん・SUNねっと」が設立されました

 「さん・SUNねっと」は、県内各地域で自殺対策に取り組んでいるボランティア団体のネットワークです。2009年2月から4団体が連絡会を持ち、情報交換を重ねてきました。そして、より広く団体間のつながりを作るために、多くの参加を呼びかけ、2010年5月17日に釜石地区合同庁舎において設立の集いが開催されました。集いには14団体が参加し、そのうち9団体が加入しました。つながり、交流し、高めあいながら生きることを支える住民活動を盛り上げることが目的です。今後の地域での活動の発展が期待されます。

資料紹介

「心的トラウマの理解とケア 第2版」
編集:外傷ストレス関連障害に関する研究会 金吉晴/株式会社じほう
 本書は、災害・事件・事故、また日常臨床の現場におけるトラウマケアのマニュアルとして出版されました。ケア提供者を対象に、トラウマについての知識、実際の援助、ケアについての有益な指針をわかりやすく解説しています。ケア提供者には、例えば救急、警察、保健師、ソーシャルワーカー、医師、弁護士、ボランティア等、多様な職業や立場の人が含まれる可能性があります。ぜひ多くの方に本書を読んでいただき、心的トラウマについてのバランスのとれた知識とケアの指針を得ていただきたいと思います。

インフォメーション

★「災害時こころのケア専門研修会」を開催します

◆第1回
日時:平成22年6月18日(金) 13:30~17:00(受付13:00~)
会場:エスポワールいわて 大・中ホール(盛岡市中央通1-1-38)
対象:災害時のこころのケアに関わる保健・医療・福祉・救急・防災・警察等関係者
内容:・講演「災害時の遺族・遺体対応に関わる諸問題~DMORT活動について~」
[講師] 神戸赤十字病院 心療内科部長 村上典子先生
・シンポジウム「災害時遺族の心のケアをどうすすめるか」
[シンポジスト] 盛岡赤十字病院 看護師 佐々木志津子氏
岩手県総務部総合防災室
岩手県保健福祉部障がい保健福祉課 主任主査 山田昭人氏
岩手県大船渡保健所 上席保健師 佐藤恵美子氏
[助言者] 岩手医科大学救急医学講座 秋冨慎司先生

◆第2回
日時:平成22年7月9日(金) 13:30~17:00(受付13:00~)
会場:アイーナ(いわて県民情報交流センター) 501会議室(盛岡市盛岡駅西通1-7-1)
対象:災害時のこころのケアに関わる保健・医療・福祉等関係者
内容:・講演「災害時こころのケア(仮)」
[講師] 国立精神・神経センター 鈴木友理子先生
・演習…シナリオロールプレイ、ロールプレイを通して災害後地域で不眠・不安・トラウマ等の相談を受ける際に必要な技法を学びます
[講師] 岩手県精神保健福祉センター 職員
問い合わせ先: 岩手県精神保健福祉センター019-629-9618

★こころの日
日時:平成22年7月3日(土)12:30~16:30
会場:いわて県民情報交流センター 7階(アイーナホール)
内容:・講演会 13:30~15:20 …講談看護師 加納塩梅さんによる講演と落語
・その他 12:30~ …こころの悩み相談等(精神科看護師が対応)
問い合わせ先: 日精看岩手県支部事務局 019-604-7006

★北東北 自殺予防民間団体等活動交流会
日時:平成22年7月17日(土)12:40~16:30 / 18日(日)9:00~12:00
会場:
17日 五所川原市ふるさと交流圏民センター オルテンシア
18日 鶴田町つがる富士見荘
 今年度の北東北3県の自殺対策活動の交流会は青森で開催されます。事例や課題を情報交換し、各団体・個人が交流を深めることを目的としています。ぜひ、ふるってご参加ください。
問い合わせ先:
特定非営利活動法人 ほほえみの会事務局 (担当/千葉) 080-3197-0082
http://www9.plala.or.jp/hoho emi-kai/
E-mail/npo.hohoeminokai@kna. biglobe.ne.jp
Tracked from 出来事デキゴト at 2010-06-18 08:51
タイトル : 出来事デキゴト
毎日の出来事を紹介します。... more
by open-to-love | 2010-06-07 14:20 | 自殺予防ニュースレター | Trackback(1) | Comments(0)